ACSの調和プロトタイプで使用される用語の定義

 



Reconciliation[調和]:  

 調和とは輸入者が確定できない情報(許容性に影響するものを除く)を税関に

 名乗り出させ、かつ、後日その未処理情報を提供させることを許すプロセスを

 言う。同じく調和はそれについて未処理の情報が提供される通関申告のことを

 言う。



Underlying entry summary[根本的な[直輸入]通関概要]:

 根本的な通関概要[納税申告]とは調和要のフラッグが付いた消費[直輸入]

 納税申告を言う。



Flagging an entry for reconciliation[通関申告に調和要のフラグを

 立てること]:

 通関申告に調和要のフラグを立てることとは税関に納税申告が規定された問題

 についての調和を(得ることを)条件とするものであることを明らかにするこ

 とを言う。輸入者が通関申告に調和要のフラグを立てることができる次の2つ

 の方法がある。

    

   1.Entry-by-entry flagging[通関申告の一つずつにフラグを立てる];

    輸入者は調和を条件とする全ての通関申告に自動通関システム(ABI)経

    由で電子的に標識を入力する。この標識は調和を(得ることを)条件と

    する問題であることを明らかにする。

   2.Blanket application[包括申請];

    調和を条件とする通関申告を提出する前に、輸入者は税関に登録輸入者

    番号、通関申告が調和を条件とするその期間、及び調和を条件とするそ

    の問題を含む書状を提供する。税関は電子標識をかの期間にかの輸入者

    の(ための)全通関申告について入力する、そしてそのことはそれら

    (通関申告)を指示された問題について調和を条件とするものとして特

    定する。



Entry-by-entry Reconciliation[通関申告一つずつの調和]:

 収益修正が対象となる各納税申告毎にそこで具体的に規定される調和を言う。

 (訳者注;収益修正とは新データに基く収入の増減を仕訳記入すること)



Aggregate Reconciliation[集約調和]:

 集約調和とは集団レベルでの[複数の申告を一纏めにして]帳尻を合わせる調

 整額を提示する要約データを用いて申立てられる調和を言う。対象となる通関申

 告の一覧表が要求されるが、しかし、個々の(フラグが付いた)根本的な[直輸

 入]通関申告に応じて歳入変化を現す必要がない。集約調和は当該輸入者

 が関税、税金及び手数料の還付を請求していない場合に限り使用されるものと

 する。そして又、償還金も支払われるべき(手数料・税等の)お金と相殺され

 てはならない。(関税の)戻し税は補正費増額/(帳尻合せ済み調整の)場合

 では利用できない。



Netting[相殺決済]:

 相殺決済とは、調和期間の終わりに増減分がもたらした(次の)事態を言う。

 どんな相殺事態でも、輸入者は次の選択肢を有する:

  ●増加分及び減少分の両方の計上を求めて通関申告一つずつの調和を申し

   立てる、 又は

  ●その調和を二分する、即ち、増加分については集約調和及び減少分につ

   いては通関申告一つずつの調和を申し立てる。

 

 

[訳者補足]

 1."Reconciliation"中のoutstanding informationの意味について

   http://www.cbp.gov/linkhandler/cgov/trade/trade_programs/audits/

   focused_assessment/fap_documents/exh5t.ctt/exh5t.pdfより抜粋

   Reconciliation is the process by which an importer notifies Customs

    of undeterminable information for post-entry adjustment, and by 

   which the outstanding information is provided to Customs at a later

   date. Under Reconciliation, the importer is not disclosing a 

   violation, but rather identifying information that is undeterminable

   and will be provided at a later date. Auditors should be aware of 

   the distinction between a prior disclosure and a Reconciliation 

   entry. A prior disclosure exists when a person concerned discloses

   the circumstances of a violation pursuant to the Customs Regulations.

   The person disclosing this information must do so before, or without

   knowledge of a formal investigation of that violation.

   上記よりこの情報は(申告時に)確定できないものであって、(調和後税

   関に)後日提供されるものである。それを’未処理の情報’と訳した。

 2."Aggregate Reconciliation"中のreconciled adjustmentsの意味について

   メリーランド州公益事業委員会、事件番号9192の指令NO.83085より抜粋

   8.Miscellaneous Operating Income Adjustments

    The parties have also reconciled certain operating income adjust-

      ments. They concur that operating income should be increased by 

      $1,395,000 to reflect the elimination of some incentive expenses.

      The one-time adjustment for amortizing the increase in the Mary-

      land corporate tax rate increases operating income by $1,888,00091.

      The Commission accepts these reconciled adjustments.

      91This adjustment reduces rate base by $1,322,000.

  ”営業雑収益の補正

   当事者達もまた一定の営業収益補正を照合確認している。彼等は営業収益

   は幾つかの奨励費の削減を反映して1.395 M$だけ増えるべきことに同意し

   ている。(前記増収により)メリーランド州法人税率が上った分を割賦償

   還するための1回限りの調整により営業収益が1.888 M$だけ増える91。

   委員会はこれらのreconciled adjustmentsを受け入れる。

      91この調整により課税評価額が1.322M$だけ減額される。”

   reconcileには次の意味がある:(論争等を)仲裁[調停]する、(対立・違い

   等を)調和[調整]させる、承諾させる、(計算書を)照合確認する、の帳

   尻を合わせる、必然的なものとして受け入れる。

   上記の文は会計処理に関するものであり、最初のreconcileは照合確認す

   るの意味を採用したが、最後のものはその間に表示される幾つかの増減額

   を勘案して「の帳尻を合わせる」ことだと考える。

   そこで、reconciled adjustmentsを帳尻を合わせ済みの修正項目→帳尻を

   合わせる(複数の)調整(額)と訳した。

 3.reconciliation(調停)のdrawback(戻し税)に与える影響 

  @http://www.capin-vyborny.com/documents/acs_recon_ops_guide.pdf

   #search='"reconciled adjustments"'より抜粋し以下に訳した。

  3.Impact on Drawbackより

      Drawback is paid on a per-entry basis; therefore, reconciled 

   adjustments filed with aggregate data are not eligible for drawback.

   As the adjustment made pursuant to an Aggregate Reconciliation is

   not connected to specific entry summaries, it would be impossible

   for Customs to ensure that those duties were indeed entitled to 

   drawback, and/or that the duty for which the drawback was claimed

   had not been previously refunded on the underlying entry summaries.

  3.戻し税に与える影響

   戻し税は1申告毎方式で支払われる;それ故、集計データを用いて申立て

   る帳尻を合わせる調整は戻し税には適格しない。集約調和に準じて行われ

   る補正は特定の納税申告に結びつかないので、税関がそれらの関税は本当

   に戻し税を得る資格があるか、及び/又は、戻し税が請求された関税が根

   本的な[直輸入]納税申告についてこれまでに償還されていないことを保

   証するのは不可能である。

  Ahttp://www.cbp.gov/linkhandler/cgov/trade/legal/recent_federal_

   register_notices/archives/acs_reconcile.ctt/acs_reconcile.pdfより

  5.Aggregate Reconciliation: A Reconciliation filed with summarized 

   data showing reconciled adjustments at an aggregate level. A list 

   of the affected entries is required, but the revenue change need 

   not be broken out according to individual underlying entries. 

   Aggregate Reconciliations may be used only where all adjustments 

   covered by the Reconciliation result in absolute increases in 

   duties, taxes, and fees. Drawback is not available on the 

   increased/reconciled adjustment.

   これからDrawbackが利用できないのはincreased/reconciled adjustment

   の場合である。increasedの方は(未収の)関税等が増加するのだから戻

   すものはない。reconciledは調和済みなので戻し税の請求はできない。

   本文のthe increasedは上記の通り/reconciled adjustmentが省略されて

   いるものと見なせる。

 4.netting situationの意味

  @nettingの意味についてhttp://www.findai.com/yogo/0312.htmより抜粋

  ・ネッティングとは、お金の受取りと支払いを帳簿上で相殺しあうことで、

   実際の取引金額を小さくするものです。一定の期日に、債権から債務を差

   し引いた差額を決済することから、差額決済とも呼ばれています。

   ネッティングには、取引に伴うリスクの低減、為替手数料や事務処理費用

   の削減、決済資金の削減などの効果があります。

  ・クローズアウト・ネッティングとは、取引の当事者が倒産するなど決済不

   能な状態に陥った場合に、一括清算するために行われるネッティングです。

   決済日や通貨の種類にかかわらず、すべての取引(債権・債務)を差し引

   きして、新しく1つの債権・債務をつくります。

   デリバティブ取引の場合、ISDAが作成したマスター・アグリーメント

   で契約することで、クローズアウト・ネッティング時に一括清算すること

   ができます。

   マスター・アグリーメントとは、ISDA(国際スワップデリバティブ協

   会)が作成した基本契約書です。契約書の標準化をはかるための、デリバ

   ティブ取引の契約書の雛形といえるもので、取引開始前に交換します。そ

   の後は、取引が何度行われても、コンファメーションという確認書のみで

   取引が行えます。各取引ごとに契約書を交わす必要はありません。

    Anetting situationの用例についてCanadian Structured Finance Law

   (法律事務所)のHPより抜粋

   The mutuality issue as it relates to netting under an ISDA Master

   Agreement that most often concerns market participants is whether

   netting protections apply to a netting agreement that seeks to 

   include transactions with a counterparty’s affiliates within the

   netting calculation. That is the paradigm tri-party or non-mutual

   netting situation.

   殆どの場合に市場参加者に関係するISDA基本契約書に基づく相殺決済

   に関連する相互依存問題は、相殺擁護条項が取引先の系列会社との取引を

   相殺計算の中に算入しようと努める相殺契約書に適用されるか否かによる。

   そのことは三者即ち非相互間の相殺決済事情のパラタイム(思考の枠組み

   ;範例)となる。

 5.(参考)本邦における不当廉売関税制度の概要

   http://www.customs.go.jp/tokusyu/hutou.htm:「不当廉売関税(ダンピ

   ング防止税)制度について」より抜粋

  3.不当廉売関税の課税手続(課税の求め・調査)

   不当廉売関税を課税するためには、政府が調査を実施して課税要件を充た

   していることを確認することが必要です。この調査は原則として課税の求

   めを受けて実施されることとなっており、国内産業の利害関係者(注)か

   ら上記2.(1)〜(3)について十分な証拠を提出して財務大臣(提出先:

   財務省関税局関税課)に対し課税の求めが行われれば、関係大臣(財務大

   臣、産業所管大臣及び経済産業大臣)の間で協議のうえ、政府として調査

   を開始するかどうかを決定します。 

  5.不当廉売関税の還付請求手続

   納付された不当廉売関税の額が現実の不当廉売差額を超える事実がある場

   合、輸入者は、当該超える部分の額(要還付額)に相当する不当廉売関税

   の還付の請求をすることができます(関税定率法第8条第32項)。

   還付請求をしようとする輸入者は、還付を受けようとする不当廉売関税の

   額及びその計算の基礎を記載した還付請求書に、要還付額があることにつ

   いての十分な証拠を添えて、これを指定貨物の輸入地を所轄する税関長に

   提出する必要があります(不当廉売関税に関する政令第19条)。





[原文]用語の定義



[改訂来歴]

'17.06.08 ・reconciliationの訳語を、調停→調和申告/調和に訂正した。

      Aggregate Reconciliation中の訳文を、しかし、個々の(フラグが付いた)

      根本的な[直輸入]通関申告に従って歳入変化を類別する必要はない→

      しかし、個々の(フラグが付いた)根本的な[直輸入]通関申告に応じて

      歳入変化を現す必要がない、に訂正した。

      相違決済とは、以下の訳文中、それに帰着した事情→もたらした(次の)

      事態、に訂正した。