行政執行訴訟手続き(続き) §766.17 「行政法審判官の裁決」 (a)事前決定に係わる事項 本章の§766.7に基づく不出頭手続きを除き、行政法審判官は当事者に下記の ものを提出する適当な機会を与える。そして、それは訴訟記録の一部となる。 (1)聴聞会の際の審判官による裁定への、若しくはその場で提供された 証拠の適格性への異議申立て (2)発議された事実認定と法律による判定 (3)前記の異議申立て、及び発議された事実認定と法律による判定に ついて、法律上の論拠を裏付けるもの (4)発議された命令 (訳者注:上記(2)〜(4)における’発議された(proposed)’・・・とは、・・・ の措置が審判官により又はその他手続きにより正式に確定する前の状 態にあるものを指す。) (b)裁決及び命令 手続き中の訴訟記録を完全に考究した後、行政法審判官は文書により裁決を 発行する。(訳者補足:以下これを前記裁決と呼ぶ。) (1)初期裁決 EARの760章に関連する違反の告発手続きについては、言い渡された 前記裁決を初期裁決とする。本裁決には、事実認定、法律による判定、及 び、EAA,EAR違反、若しくはそれらに基づき発行された命令、許可 又は承認違反があったかどうかに関する認定を含む。もし、行政法審判官 が一以上の告発項目に関し、訴訟記録中の証拠は違反が起こっているとの 事実認定を支持するには不充分であると判定するならば、審判官は適宜、 全部の或いは一部の告発を却下する命令を発するものとする。もし、行政 法審判官が一以上の違反が起こっていると判定するならば、審判官は命令 を発してEARの764章に規定されているところの行政制裁を課すこと ができる。裁決及び命令は各当事者に送達され、本章の766.21に従い上訴 が提出されない限り、送達後30日を経過すれば商務省の最終裁決として 効力を生ずることになる。 (2)裁決推奨案 EARの760章に関連する違反を含まない訴訟手続きについては、言い 渡された前記裁決を裁決推奨案とする。本裁決には、事実認定、法律によ る判定、及び、EAA,EAR違反、若しくはそれらに基づき発行された 命令、許可又は承認違反があったかどうかに関する認定の推奨案を含む。 もし、行政法審判官が一以上の告発項目に関し、訴訟記録中の証拠は違反 が起こっているとの事実認定を支持するには不充分であると判定するなら ば、審判官は係る告発を却下するよう勧告するものとする。もし、行政法 審判官が一以上の違反が起こっていると判定するならば、審判官はEAR の764章に規定されているところの行政制裁を課す命令を発するよう、 若しくは審判官が適当と見なすようなその他措置をとるよう勧告する。 行政法審判官は直ちに、推奨する裁決と命令の原本の写しを含めて、訴訟 記録を本章§766.22に従い審理する次官に保証しなければならない。行政 法審判官はまた、全ての当事者にも裁決推奨案を直ちに送達しなければな らない。EAAに次官による審査の期限が設けられているために、当事者 への送達は自分で配達するか、速達郵便若しくはその他の翌日運送便によ らなければならない。 (c)制裁の停止 行政制裁を課す如何なる命令も、その全部又は一部について、行政法審判官 又は次官が指定するような執行猶予条件或いはその他条件で、その制裁を停 止するよう規定できる。如何なる停止命令でも、署名職員により、執行猶予 条件或いはその他条件に違反することを示すBISの申請書に基づき、修正 若しくは取消しできる。但し、本章§766.5の送達条項に従い申請書の通知 が被控訴人に送達された後であって、かつ、署名担当官が彼/彼女の裁量で 与えるような応答の機会があるものとする。停止命令を修正し、若しくは取 消しする命令の写しも併せて本章の§766.5の条項に従い、被控訴人に送達さ れなければならない。 (d)裁決の期限 EARの760章に関連する違反を含まない行政執行訴訟手続きは、行政法 審判官が正当な理由を示して期間を延長しない限り、本章の§766.22に基づ く次官による審理を含めて、告発状の提出から1年以内に終結するものとす る。告発状は、被控訴人が回答書を提出した日、又は本章§766.7(a)に準じ てBISが欠席裁決による命令の動議を提出した日の、いずれか早い方の日 に行政法審判官に提出されていたものと見なされる。 §766.18 「和解」 (a)告発状送達前に和解した案件 告発状送達前に和解した案件では、告発建議書が作成され、そして和解の合 意と命令から成る和解案が承認及び署名を受けるために次官補に提出される。 もし、次官補が本案を承認しないならば、彼/彼女(次官補)は当事者に通 知し、恰も和解案は作られなかったかの如く本案件の処理が行われる。もし、 次官補が本案を承認するならば、彼/彼女は適切な命令を発行し、行政法審 判官には何の措置も必要とされない。 (b)そして又、告発状送達後に和解した案件 (1)もし、本案件が行政法審判官の下で現在係争中ならば、当事者から信実の 和解交渉を開始したとの通知があり次第、審判官は妥当な期間、通常30 日を超えない間、訴訟手続きを停止させるものとする。行政法審判官は、 彼/彼女の裁量で、停止期間をさらに追加することができる。もし、和解 に達したならば、承認及び署名を受けるために和解案を次官補に提出する。 もし、次官補が本案を承認するならば、彼/彼女は適切な命令を発行し、 かつ本案件の裁決を取り下げる旨行政法審判官に通知する。もし次官補が 本案を承認しないならば、彼/彼女は当事者に通知し、恰も和解案は作ら れなかったかの如く、本案件の行政法審判官による裁決に取り掛かる。 (2)もし、本案件が本章の§766.21又は§766.22に基づき次官の下で現在係争 中ならば、当事者は承認及び署名を受けるために和解案を次官に提出でき る。もし、次官が本案を承認するならば、彼/彼女(次官)は適切な命令 を発行する。もし、次官が本案を承認しないならば、本章の§766.21又は §766.22に従い適宜、本案件の最終裁決に取り掛かる。 (c)和解による案件の如何なる処置命令でも、その全部又は一部について、その 署名職員が指定するような執行猶予条件或いはその他条件で、課せられた行 政制裁を停止できる。前述の停止命令は、本章の§766.17(c)に述べる手順 に従い、その署名職員により修正若しくは取消しできる。 (d)行政制裁を課す命令に同意した被控訴人は、本章に基づき惹起された行政執 行訴訟手続きに関する主張を解決する目的についてのみ、ただそれのみ処理 したのである。このことは、BISが刑事訴訟手続きを開始、指導、和解、 その他処置する権限も責任も有しないことを表している。それらの権限及び 責任は司法長官及び司法省に与えられている。 (e)和解が成立した案件が、再開若しくは上訴されることはない。 §766.19 「再開」 被控訴人は、最終裁決の日から1年以内に、但し本裁決が欠席裁決の場合若 しくは和解による場合を除く、以前の手続き中には知られていないか或いは 取得できなかった関係する重要な証拠を受理するために、行政法審判官に行 政執行訴訟手続きを再開するよう請願するとができる。本請願書には、前述 の証拠の概要、それが本件に関係し、重要な影響を与えると見なせる理由、 及びそれが以前の手続き中に提示できなかった理由を含まなければならない。 行政法審判官は、その他当事者に意見を述べさせる妥当な機会を与えた後、 本請願を認めるか、或いは拒否する。もし、手続きが再開されるならば、行 政法審判官は、審判官が新証拠の受理及び訴訟記録の仕上げに適切と見なす ような準備をする。行政法審判官は、それから新しい初期裁決若しくは裁決 推奨案及び命令を発行し、そして本案件は適宜、本章の§766.21又は §766.22に従い最終裁決及び命令に取り掛かる。 §766.20 「裁決のための訴訟記録及び証拠資料の利用」 (a)総論 訴訟手続きに繰り入れられた、公聴会記録の謄本、証拠物件、裁定、命令、 全ての書類並びに要請、及び本章の§766.21に基づく上訴若しくは本章の §766.22に基づく審理についての、行政法審判官の裁決及び本章の§766.21 と§766.22により規定されるような提出物が訴訟記録の構成要素であり、裁 決のための唯一の根拠となる。告発状が送達された後に和解が成立した案件 の場合は、和解合意書及び命令のみならず、前述のもののいずれか及び全て が訴訟記録を構成する。告発状が送達される前に和解が成立した案件の場合、 訴訟記録は告発建議書、和解合意書及び命令から成る。 (b)閲覧制限 訴訟記録の中に、法令により又は訴訟手続きの中で登録された禁止命令の条 件により公開方法が制限されるものがあるならば、行政法審判官は、審判官 自身の動議で、又は当事者の動議により、当該資料について閲覧制限箇所の あることを指示する。訴訟記録の如何なる箇所であっても、その閲覧を制限 したいと努める当事者は、本章の§766.20(c)(2)に明記した時期に、削除要 請をした部分を反映している証拠資料の公開利用版を提出する責任を負う。 訴訟記録の閲覧制限箇所は別のファイルに置き、そのファイルが不適当な公 開をされないよう、かつそれが訴訟手続きにおける公式記録の一部と分かる ようにはっきりと印を付けること。行政法審判官は、時の経過を経て機密扱 いを解かれた或いは制限不要となった資料を、何時でも訴訟記録の閲覧制限 のない方に移すことが出来るよう行動する。 (c)証拠資料の利用 (1)範囲 (@) 1979年10月12日以後に開始された訴訟手続きについては、全 ての告発状、回答書、初期裁決及び裁決推奨案、そして案件を処理す る命令は、米国商務省,H-6624号室,BIS情報公開訴訟記録閲覧施 設,ワシントン,D.C.20230,N.W.,ペンシルバニア大通り14番街において自由に 閲覧できる。本節の項(a)及び(b)に定義しているところの裁決のため の完全な訴訟記録は、要請があり次第利用できる。さらに付け加える と、本章の§766.22に準ずる上訴に関する次官の全ての裁決及び輸出 特権の拒否、停止若しくは取消しを規定するそれらの最終命令は官報 に公表されるものとする。 (A) 1979年10月12日前に開始された訴訟手続きについては、裁決 のための訴訟記録の公開利用は、訴訟手続きが開始された時に効力を 有していた適当な規則が適用される。 (1)時期 (@) 反ボイコット案件 EARの760章に関係する事項については、隔離要請がなされた訴 訟証記録の箇所を除き、証拠資料が直ちに綴じ込まれて利用できるよ うになる。本節(b)項に基づき訴訟記録の如何なる箇所であっても、 その閲覧を制限したいと努める当事者は、前述の要請を、機密性を主 張する裏付け理由と共に、同時に訴訟記録のための資料(公開利用版) の提出と併せてしなければならない。 (A) その他案件 全てのその他案件においては、当該案件の最終行政処分の後のみ、証 拠資料が利用できるようになる。これらの案件においては、本節(b)項 に基づき訴訟記録の如何なる箇所であっても、その閲覧を制限したい と望む当事者は、訴訟手続きが終了する前に、主張を裏付ける理由と 共に、機密性の必要性を主張しなければならない。 §766.21 「上訴」 (a)根拠 EARの760章に関係する違反訴訟について、当事者当人は以下の根拠に 基づき、訴訟手続きの処理命令、又は欠席裁決の破棄請願若しくは再開の請 願の拒否命令を不服として次官に上訴できる。 (1)必要な事実認定に漏れがある、間違いがある、或いは訴訟記録中の証拠で は本質的な裏付けが取れていない (2)必要な法的な結論若しくは事実認定が法律に反する (3)不利益を蒙る手続き上の誤りがあった 或いは (4)裁決若しくは制裁の範囲が恣意的、気まぐれ又は裁量権の濫用に当たる。 上訴には、上訴の基礎となる根拠及び上訴の元となった命令の条項を明記 しなければならない。 (b)上訴の提出 或る命令を元とする上訴は、上訴の元となる命令の送達後30日以内に、米 国商務省,H-3898号室,産業安全保障局、輸出管理担当次官事務所、ワシントン, D.C.20230,N.W.,コンシチィチューション大通り14番街に提出されなければならない。 もし、次官が何らかの理由で上訴に判定を下すことができないならば、次官 は上訴を受理し、判定を下す別の商務省職員を指名する。 (c)上訴の効果 上訴の提出により如何なる命令もその施行を停止させないものとする。但し、 その命令の条件の中で明白にそう規定している場合、若しくは当事者当人に よるものであって、かつ応答の機会が与えられている申請に対し、次官が停 止を許可した場合はこの限りではない。 (d)上訴の手順 次官は通常、聴聞会を開催することはなく、或いは上訴に関する口頭の論証 に応ずることもない。上訴を擁護すべき文書のみによる陳述書が上訴と共に 提出され、同時にこれが全ての当事者に送達されなければならない。そして、 全ての当事者は送達後30日以内に回答書を提出するものとする。彼/彼女 の考え次第で、次官は新しい提出物を受理するかも知れないが、しかし、上 訴人の最初の提出物に対する回答書提出後30日を超えて提出されたものは 大抵受理しない。 (e)裁決 裁決は書面により、かつ、次官の署名した裁決実施命令を伴う。その命令は、 行政法審判官の命令を確認、修正若しくは逆転する処置を行うか或いは当該 案件を行政法審判官に差戻し、さらに訴訟手続きを続けさせるものである。 §766.22 「次官による再審理」 (a)裁決推奨案 EARの760章に関係する違反を含まない訴訟手続きについては、行政法 審判官は直ちに、(審判官が)推奨する裁決と命令を次官に付託するものと する。次官による審査についてEAAに基づき規定された期限があるために、 推奨する裁決と命令の当事者への送達、その応答として当事者により提出さ れた全ての書類、及び次官の最終裁決は、自分で配達するか、ファクシミリ、 速達郵便若しくはその他の翌日運送便によらなければならない。もし、次官 が何らかの理由で推奨する裁決と命令に判定を下すことができないならば、 次官は推奨案を受理し、判定を下す別の商務省職員を指名する。 (b)当事者による提出物 当事者は推奨する裁決と命令の発行日から12日以内に、それらに対する応 答書を同時に提出すべきものとする。当事者はその後、何らかの応答書を受 取ってから8日以内に、それに対する返答書を提出すべきものとする。如何 なる応答書若しくは返答書も次官が規定する期間内に受理されなければなら ない。 (c)最終裁決 裁決推奨案及び命令を受取ってから30日以内に、次官は行政法審判官の推 奨する裁決と命令を確認、修正若しくは無効にする文書による命令を発行す るものとする。もし、彼/彼女が推奨する裁決と命令を無効にするならば、 次官は当該案件を行政法審判官に差戻し、さらに訴訟手続きを続けさせるこ とができる。期限があるために次官の審査は大抵、全ての公聴会の記録の謄 本、及び裁決推奨案に関し当事者から提出された物を含む、裁決のための文 書による訴訟記録に限定される。 (d)配達 最終裁決及び実施命令が当事者に送達されなければならず、また本章の §766.20に従いそれらが世の中に公開される。 (e)上告 告発された当事者は、50 U.S.C.app.§2412(c)(3)に準じ、次官の文書による 命令を不服として15日以内にコロンビア特別区の合衆国最高裁判所に上告 できる。 §766.23 「関係者」 (a)総論 法律のくぐり抜けを防止するために、本章に基づく一定の種類の命令は被控 訴人のみならず、取引若しくは業務における、所有権、管理、責任を負う地 位、併合、又はその他の関係により、その時若しくはその後、被控訴人と関 係したその他の者にも、併せて適用される。関係者に適用される命令には、 暫定拒絶命令を含めて、輸出特権を拒絶若しくはそれに影響を与えるもの、 及び被控訴人当人をBISに先んずる訴訟手続きから締め出すものを含む。 (b)手順 もし、或る者が被控訴人と関係があり、かつ現在求められているか、若しく は既に発行されている命令が、その命令のくぐり抜けを防止するために前述 の者に適用されるべきと信ずるべき理由をBISが有するならば、本章の §766.24(a)に基づく一方的な手続きとなるものを除き、BISはその者に、 本章の§766.5(b)に従い通知すると共に、係る措置に異議を唱える機会を与 えるものとする。もし、被控訴人に対しその命令を発行する権限を与えられ た職員が、当該命令のくぐり抜けを防止するために、当該命令をかの者に適 用すべきと判定するならば、当該職員はそれに応じた命令の発行、若しくは 改正を行うこととする。 (c)上訴 命令の中で被控訴人に関係する者としてBISより指名された者は、行政法 審判官に抗告書を提出できる。この場合、訴訟を起こし、裁定を求めること の出来る争点は、そう指名されたその者が被控訴人の関係者に該当するかど うか、及び当該命令がくぐり抜けを防止するための命令として正当化される かどうか、唯それのみに限られている。行政法審判官の裁決推奨案及び命令 は、本章の§766.22に述べた手順に従い次官の審理を受けるものとする。 §766.24 「暫定拒絶」 (a)総論 本節における手順は、1985年7月12日以降に発行された暫定拒絶命令 に適用される。1985年7月11日以前に発行された暫定拒絶命令につい ては、その訴訟手続きには当該暫定拒絶命令が発行された時点で効力を有し ていた適切な規則を適用する。EAAに基づき発行された如何なる申請書、 命令、許可又は承認に関し、BISがEARに基づき取れる如何なる措置を も制限するものではないが、BISはEAA,EAR又は命令、若しくはこ れらに基づき発行された許可又は承認に対する、本節で定義するところの、 差し迫った違反を回避するために、一方的な根拠に基づく暫定拒絶命令を発 行するよう次官補に求めることができる。暫定拒絶命令はEARの§764.3 (a)(2)に規定するところの命令において指名された如何なる者にも輸出特権 を与えない。 (b)発行 (1)BISより、本命令はEAA,EAR又は命令、若しくはこれらに基づき 発行された許可又は承認に対する、差し迫った違反を回避し公共の利益に 資するために必須であるとの申立てがあり次第、次官補はEARの764 章に記述されている輸出特権の一部若しくは全部を、或る者に一時的に与 えない命令を発行できる。 (2)暫定拒絶命令は、差し迫った違反を定義し、かつそれが公聴会なしに発行 される理由を述べるものとする。全ての拒絶命令は公開されるので、そこ に述べられる差し迫った違反及び一方的な根拠に基づく訴訟手続きについ ての理由の記述は、国家安全保障、外交政策、業務機密、及び調査中の懸 念事項に矛盾しない方法で述べられなければならない。 (3)違反が”差し迫っている”との見通しは、時間的な面からでも、或いは程 度面からであっても良い。暫定拒絶命令についての根拠を確立するために、 BISは、違反が将に起ころうとしていることか、或いは刑事又は行政告 発に基づき調査又は訴訟中の当該事項の総体的な状況から将来違反が起こ るはずであることを論証するか、いずれかを明らかにする。将来違反が起 こりそうな見通しを示すために、BISは調査又は告発中の違反が、技術 上或いは怠慢によると言うよりもむしろ、重要な、計画的な、隠された及 び/又は再発しそうなことを、及び、調査又は告発中の者が輸出規制要件 に反し結果的に処分を受ける危険を冒して、係る品目を輸出若しくは海外 から獲得することを続ける可能性を減ずるために、その者とする米国原産 品目の取引を止めるように、米国内及び海外の会社に知らせるのが適切な ことを明らかにする。違反が起こる正確な時期を確定する情報が無くても、 違反が起こりそうなことを信ずべき充分な理由がある限り、違反が差し迫 っていると言う事実認定を排除できない。 (4)暫定拒絶命令は180日を超えない期間に渡り発布される。 (5)一方的な根拠に基づく暫定拒絶命令発行通知は、本章の§766.5(b)に従い、 発行の都度通知されるものとする。 (c)関係者 暫定拒絶命令は本章の§766.23に従い関係者にも適用される。 (d)更新 (1)もし、暫定拒絶命令の満了日の20日前までに、差し迫った違反を回避し 公共の利益に資するために暫定拒絶命令の更新が必要であるとBISが信 ずるならば、BISはその後に追加又は変更された周囲状況を含めて、そ の確信についての根拠を述べ、そして次官補が当該暫定拒絶命令を更新す るよう求める文書による要請を、180日を超えない追加期間分について、 適切な日数分だけ追加した修正版と共に提出する。BISの要請書は、本 章の§766.5(b)に従い、被控訴人又はこの目的のために指名された代理人 に配送されるものとし、これを以って更新申請書の通知とする。 (2)非居住被控訴人 更新要請書の時宜に適う通知を促進するために、米国に居住しない被控訴 人当人は本目的に適う当地の代理人を指名し、本章の§766.5(b)に述べる 方法で前記指名を文書によりBISへ届け出る。 (3)聴聞会 (@)被控訴人当人は、適切な証拠により裏付けられた文書による提出物であ って、前述の命令の満了日の7日前までに受理されるものを次官補に提 出することにより、暫定拒絶命令の更新に反対できる。正当な理由が示 された場合、次官補は満了日の5日前までに受理される提出物を考慮す る。次官補は大抵開示を許可しないけれど、しかしながら、被控訴人の 提出物において正当な理由が示された場合には、彼/彼女は当事者に制 限された開示を行うことを許可する。ここで前記提出物には証拠資料の 提出要請を含む。もし、文書による提出物において被控訴人より要請が あれば、次官補は更新申請に関する聴聞会を開催するものとする。聴聞 会は訴訟記録に基づくものとし、大抵、口頭の論証のみからなる。 BISの更新要請に関し考慮すべき唯一の係争点は、暫定拒絶命令がこ こに定義されているところの差し迫った違反を回避するために継続され るべきかどうかにある。 (A)関係者として指名された者は誰も、暫定拒絶命令の発行又は更新に異議 を唱えてはならない。しかし、本章の§766.23(c)に従い抗告書を提出 できる。 (B)もし、BISの更新要請に対する文書による異議申立てが指定された期 間内に受理されないならば、次官補は聴聞会なしに暫定拒絶命令を更新 する命令を発行できる。 (4)暫定拒絶命令は一回以上更新できる。 (e)上訴 (1)提出 (@)被控訴人当人は何時でも、初期の又は更新後の暫定拒絶命令に対する抗 告書を行政法審判官に提出できる。 (A)抗告書の提出がなされても、暫定拒絶命令の効力も如何なる更新申請を も停止させないものとし、またそれが如何なる更新の申請についても次 官補の考察を妨げるような働きをするものではない。 (2)根拠 被控訴人当人は、当該命令が差し迫った違反を回避し公共の利益に資する ために必須であるとする事実認定が立証されていないと言う根拠に基づき 上訴できる。 (3)上訴の手順 上訴を擁護すべき文書のみによる陳述書が適切な証拠と合せて上訴と共に 提出され、同時にこれがBISに送達されなければならない。そして、 BISは受領後7日以内に回答書を提出するものとする。行政法審判官へ の送達は、米国商務省,H-6716号室,ワシントン,D.C.20230,N.W.,コンシチィチューシ ョン大通り14番街、行政法審判官事務所宛としなければならない。BISへ の送達方法は本章の§766.5(b)に述べたところによるものとする。行政法 審判官は通常、聴聞会を開催することはなく、或いは上訴に関する口頭の 論証に応ずることもない。 (4)裁決推奨案 上訴が提出された後の10就業日以内に、行政法審判官は裁決推奨案を次 官に提出し、また写しを当事者に送達して、暫定拒絶命令の発行若しくは 更新が確認され、修正され或いは無効にされるべきかどうかの勧告を行う ものとする。 (5)最終裁決 裁決推奨案が受理された後の5就業日以内に、次官はその裁決推奨案を受 容し、却下し或いは修正する文書による命令を発行するものとする。時間 的な束縛があるために、次官の審理は大抵、全ての公聴会の記録の謄本を 含む、裁決のための文書による訴訟記録に限定される。暫定拒絶命令の発 行若しくは更新は、当該暫定拒絶命令がEAA,EAR,又は命令、若し くはEAAに基づき発行された許可或いはその他承認に対する差し迫った 違反を回避し、公共の利益に資するために必要とされることを信ずるべき 理由がある場合に限り承諾されるものとする。次官の文書による命令は最 終的なものであり、本節(g)項に規定するところのものを除き、司法の審 理を受けることはない。 (f)配達 発行若しくは更新された如何なる暫定拒絶命令及び上訴に関する如何なる最 終裁決の写しも官報で公表されるものとし、かつ写しが、告発状以外の書類 の提出について本章§766.5に規定するところと同様な方法で、BISに及 び被控訴人に、又はこの目的のために指名された如何なる代理人にも、及び 如何なる関係者にも配達されるものとする。 (g)司法審理 次官の命令により輸出特権を暫定的に拒絶された被控訴人当人は、50 U.S.C. app.§2412(d)(3)に準じ、コロンビア特別区の合衆国最高裁判所に上告でき る。 §766.25 「輸出特権を拒絶する行政措置」 (a)総論 輸出者サービス事務所の所長は、輸出執行事務所の所長と協議して、EAA, EAR,又は何らかの命令、若しくはそれらに基づき発行された許可又は承 認、それから、国際的緊急事態における経済権限法(50 U.S.C. 1701-1706)に 基づき発行された何らかの規則、許可又は命令、そして、18 U.S.C.793,794, 又は798、さらに、1950年の国際安全保障法の4(b)節、又は武器輸出規正 法(22 U.S.C. 2778)の38節、に対する違反について有罪が決定している者の 輸出特権を拒絶することができる。 (b)手順 或る者が本節(a)に明記された条項の一つ以上に対する違反について有罪が決 定しているとの通知があり次第、輸出者サービス事務所の所長は、輸出執行 事務所の所長と協議して、前述の者に輸出特権を与えることを拒絶すべきか どうかを決定する。前記特権には、これに限るものではないが、以下のもの を含む。それらは、何らかの許可、許可例外、或いは輸出規制資料の申請、 取得若しくは使用であり、それから又、EARの規制を受ける輸出若しくは 輸出関連取引に参加し、又はどんな方法であれそこから利益を受けることで ある。本節に基づき或る者に輸出特権を与えることを拒絶する措置をとる前 に、輸出者サービス事務所の所長は、特別な事情がない限り、その者に文書 による発議された措置通知を与え、かつ文書化した提出物により意見を述べ る機会を与える。応答を検討しながら、輸出者サービス事務所の所長は何故 これらの特権が拒絶されるべきでないか、それに関連し若しくはその罪を軽 減すべき証拠を考察する。最終決定ができ次第、輸出者サービス事務所の所 長は書面で、本節に基づき輸出特権を与えることを拒絶された各々の者に通 知する。 (c)基準 本節の(a)項に述べた法令の一つ以上について以前に有罪が決定していた或る 者に米国の輸出特権を与えることを拒絶すべきかどうかを決定する点で、及 びどのくらいの期間とするかについて、輸出者サービス事務所の所長は如何 なる関連情報をも考慮して良い。それらは、これに限るものではないが、刑 事告発に含まれる犯罪の重大性、課せられる刑事制裁の種別及び期間、及び 何らかの矯正措置を現在負っているか等である。 (d)期間 本節に基づく如何なる輸出特権の拒絶も、拒絶を受ける者の有罪の決定の日 から10年を超えないものとする。 (訳者注:有罪決定の日から10年を超えればその件で拒絶してはならない。) (e)効果 本節に基づく輸出特権を拒絶された者は、EARの§736.2(b)(4)(一般禁止 事項4−拒絶命令により禁止された活動に従事すること。)及び§764.2(k)で は”輸出特権を拒絶された者”と見なされることになる。 (f)公表 本節に基づく輸出特権の拒絶命令は、官報が発行された時そこに公表され、 そして、公衆の便宜を図るために、それらの命令に関する情報が、Web サイト の上でBISにより維持されている編集物の中に、及び予約によって政府印 刷局から入手できるEARの非公式版の補足として含まれている。 (g)上訴 本節に基づく措置に対する上訴はEARの756章に準ずる。 (h)関係者への適用 輸出者サービス事務所の所長は、輸出執行事務所の所長と協議して、現在し ようと試みられているか、若しくは本節に基づき発行されている命令を関係 者に適用するために、本章§766.23に従い措置をすることができる。 以上 (最初の項へ戻る) [訳者補足] 1.上訴(appeal) 本章の行政訴訟手続きは司法審理における訴訟手続きとは別のものである。 しかし、用語には類似のものが多いので、両者の関連付けをしてみると理解 しやすい。ここで、特に分かり難い「上訴」を取り上げた。 上訴(appeal)とは、法律・裁判に対する不服申立てを上級の裁判所に対して 行うことで、司法における控訴・上告・抗告の総称を言う。 本章の手続きを見ると、原則として最初の審判を行うのは行政法審判官であ り、その裁決に不服がある時は次官に申立てし、さらに不服のある場合は コロンビア特別区の最高裁に申立てできることになっている。これらの申立 て及び行政法審判官への申立てを、本章では区別することなく一様にappeal と記載している。 前述の申立てを一見すると司法の控訴・上告・抗告に完全に対応しているよ に見えるが、詳細に見ると審判官と次官の関係は入り組んでおり、そのまま 前記用語に置換えたのでは誤解を生ずる。そこで、私は司法との類似性と違 いが同時に分かるように上記の上告と抗告に対応する場合以外全て上訴と訳 すことにした。 2.地方裁判所(district court) §766.2,Final decisionにおける'Federal district court'(連邦地方裁判 所)、及び§766.9(d)における'a district court of the United States' (合衆国地方裁判所)は、同じものと思うので等しく地方裁判所と訳した。 なお、単にdistrict courtとすると@連邦第一審裁判所 A諸州の下級裁判 所の意味を表す。 3.§766.16(b)(2)及び§766.22(b)におけるwhich to 〜の意味 下記の3.項(文字色:藍緑色)ではこのwhichを疑問代名詞と見なした。 しかし、スペースアルクの【英辞郎】にある次の用例を参照し、 Apparently the movie gives people a new perspective from which to look at the world. その映画は人々に世界を見る新しい視点を与えているようだ。 このwhichは関係代名詞で先行詞はnew perspectiveであることに気付いた。 関係節の部分を先行詞を用いて書き直すと、to look at the world from a new perspectiveとなる。実際には関係節は先行詞を修飾するものだから、 ’そこから世界を見るべき新しい視点’の如く訳せる。 @§766.16(b)(2) ....,extend the time within which to file and serve 〜 ”その間に〜を提出・送達すべき期間を延長する’と訳した。 A§766.22(b) .....any response(s) in which to submit replies. ”そのために返答書を提出すべき応答”と訳した。 3.節中にある疑問代名詞 which 講談社 英和辞典 which の項<付記>不定詞・前置詞を伴うか節中にある 疑問代名詞 I wonder which to read first.どっちを先に読んだものだろ うか。 上記訳例からwhichは、先行する2以上の一群の名詞の中の'どっち'かを 表す。本章における次の2例について検討した。 @§766.16(b)(2) ....,extend the time within which to file and serve 〜 ”〜を提出・送達すべき'どっち'かの範囲内で期間を延長する”と訳す。 そこで、先行する2以上の名詞群としては、本文の(b)(1)項で延長した 〜の提出期限若しくはその延長前の期限を私は想定した。(within whichを〜の後に持って来て訳すと、the timeを修飾するものが〜を提出 ・送達することに限定され、その前の句中のany applicable time limimitationとの関連性を失い意味をなさない。) A§766.22(b) .....any response(s) in which to submit replies. ”返答書を提出すべき'どっち'かの応答のために”と訳す。 そこで、先行する2以上の名詞群としては、複数の応答(response(s))を 想定した。直訳は上記の通りであるが、本文では分かり易くするために ”それら応答のどっちかに返答するために”と訳した。 4.暫定拒絶命令更新に係わる要請書提出期限 §766.24(d)(1); no later than 20 days before the expiration date of a temporary denial order,について以下詳細に検討した。 研究社 リーダーズ英和辞典 第2版 laterの項 not[no] later than 〜, 〜までに。 従って、これを直訳すれば”暫定拒絶命令の満了日の前20日までに”と なる。原文のlaterは提出日の遅れの程度を示すもので、満了日前の遅れが 20日間を超えない日とは、§766.5(e)の期間の計算に準じ考えると、満了 日の前日から数えて20日前の日の前日になる。何故なら、遅れの程度は満 了日に近づく程大きくなることを併せ考えると、原文の期間を超えない日と は、前記の20日前の日の前日になる。 そこで、本文では”暫定拒絶命令の満了日の20日前までに”と訳した。 [改訂来歴] REV1 '05.12.19 §766.25(b)において、’前記特権には以下のものを含むが、 ・・・’の部分を’前記特権には、これに限るものではない が、以下のものを含む。’に訂正した。 REV2 '08.07.29 §766.22(b)においてin which to submitとある2か所につ いて’どちらかの’及び’そのいずれかに’を[訳者補足] 3.項に基づき’それらに対する’及び’それに対する’に 訂正した。