上   訴

                          

§756.1 「緒  言」

(a)範  囲

  本756章は、輸出管理法(EAA)又は輸出管理規則(EAR)に基づく

  行政措置をもととする上訴に適用される手続きを記述する(本章で、EAR

  の参照は15 CFR 第Z章、副章Cによる)。産業安全保障局(BIS)の行政

  措置により直接に、かつ不利益な影響を受けた者は誰でも、かの行政措置の

  再審議を商務次官に上訴できる。下記の種類の行政措置は本756章に記述

  する上訴手続きに従わない。

 (1)規則の発行、改正、取消し、又は抗議(これらの要請は何時でもBISに

   提出して良い)

 (2)EARの764及び766章に基づく、拒絶又は執行猶予命令、民事罰、

   制裁、又はその他の措置。但し、§766.25に基づく措置をもととする上訴

   は、本756章に記述する上訴手続きに従わなければならないことを除く。

(b)予  備



§756.2 「行政措置をもととする上訴」

(a)審査及び上訴職員

  商務次官は産業安全保障担当次官代理、又は別のBIS職員に上訴を審査し、

  決定する権限を委任できる。その上、次官は本章に基づく上訴の審査及び処

  理を助ける上訴調整者となるBIS職員を指名できる。上訴調整者の責務に

  は非公式な聴聞会を統轄することも含む。

(b)上訴の手続き

 (1)提出

   本章に基づく上訴は次の部署へ提出しなければならない。



     産業安全保障担当次官宛

     米国商務省 産業安全保障局、3898 号室

     DC 20230 ワシントン、ペンシルバニア大通り、N.W.14番街 

   それは行政措置の文書による通知があった日から45日以内に到着しなけ

   ればならない。

 (2)上訴の内容

   その上訴には、上訴人の立場を裏付けるための全貌を文書にした陳述書を

   含まなければならない。その上訴には、上訴人がその行政措置は直接、か

   つ不利益な効果を及ぼし、訂正若しくは修正されるべきと信ずる理由を正

   確に述べた陳述書を含まなければならない。商務次官はその上訴を解決す

   るのに役立つ追加情報を要請し、追加の提出物を受取ることができる。商

   務次官は、上訴の又は要請を受けた提案の、提出から後30日を超えて提

   出された提出物を普通は受取らない。

 (3)非公式な聴聞会の要請

   上訴を裏付けるために提出された文書にした陳述書に加えて、上訴人は文

   書で、上訴が提出された時に、非公式な聴聞会の機会を与えるよう要請で

   きる。商務次官は非公式聴聞会の要請を承諾し、又は拒絶する。商務次官

   が、そこに示した正当な理由に基づき、別の場所の方が良いと決定しない

   限り、如何なる聴聞会もコロンビア特別区において開催される。

 (4)非公式な聴聞会の手続き

   (@)説明会

       商務次官は、予め上訴人により提出され、又はその行政措置に関連する

    省により使えるようにされた資料に基づき、上訴人が口頭説明をする機

    会を与えなければならない。商務次官は議論の際の申し立てが、宣誓下

    で与えられる宣誓供述書又は宣誓証言、若しくは無宣誓証言のいずれか

    次官が希望するものにより取り扱われるよう要求できる。

   (A)証拠

    法廷で一般に行われている(連邦)証拠規則は適用されず、商務次官が

    訴訟手続きに関連があり、大きな影響を与え、かつ過度な繰り返しがな

    いと見なした全ての証拠資料が受理され、考慮される。

   (B)手続き上の問題点

    商務次官はその聴聞会に出席する人数を制限し、合理的と見なせれば何

    時でも、又はその他制限を課し、及び全ての手続き上の問題点に決着を

    つける権限を有する。

   (C)筆記録

    非公式聴聞会の筆記録は、それを正当化する国家権益又はその他正当な

    理由があると商務次官が決定するか、上訴人が筆記録を要請しない限り、

    とってはならない。もし、上訴人が筆記録を要請するなら、その上訴人

    は、その筆記録の作成に関連する全ての費用を支払う責任を負う。

   (D)報告

    商務次官が非公式聴聞会を進める別のBIS職員を指名する時は、当該

    職員はその聴聞会の要約及び次官への推奨される措置を含む文書による

    報告を提出する。

(c)決定

 (1)上訴の終結

   上訴に関連して特に提出された証拠資料に加え、商務次官は訴訟を終結さ

   せるに際し、推奨案、報告書又はBISに役立つ関連証拠資料を検討しな

   ければならないが、しかし、少しも前述の推奨案に拘束されることはなく、

   また、終結させるに際して、その他の如何なる情報をも考慮し、如何なる

   その他の者若しくはグループと協議することを妨げるものではない。次官

   は上訴の検討をするために必要、かつ合理的と見なされる如何なるその他

   手続きも採用できる。次官は上訴を受けた後、適度な時間内に上訴に判定

   を下さなければならない。その決定は文書で上訴人に出され、またその措

   置について理由を述べた説明文が含まれなければならない。

 (2)終結の効果

   商務次官の決定は最終的なものである。

(d)上訴の効果

  商務次官が上訴人による要請に基づき、応答の機会を与えると共に、停止を

  承諾しない限り、上訴の受理及び検討は、それが未決であれ、実施されてい

  るものであれ、何ら行政措置に影響を及ぼすものではない。

                                  以上



[訳者補足]

 1.BISの主な組織及び役職名

   BISのホームページの中からBIS Senior Management Teamを一覧表に

   示した。なお、参考用に(  )内に私の日本語訳を付した。

担当部署役職名氏名
Industry and Security
(産業安全保障)
Under Secretary
(商務次官)
David McCormick
(同上)Deputy Under Secretary
(次官代理)
Mark Foulon
Export Administration
(輸出管理)
Assistant Secretary
(次官補)
Peter Lichtenbaum
Export Enforcement
(輸出執行)
Assistant Secretary
(次官補)
Darryl Jackson
Export Administration
(輸出管理)
Deputy Assistant Secretary
(次官補代理)
Matthew S. Borman
Export Enforcement
(輸出執行)
Deputy Assistant Secretary
(次官補代理)
Wendy Wysong
(BIS)Director of Administration
(管理局長)
Michael G. Carroll
(BIS)Chief Information Officer
(情報事務所長)
Dawn Leaf
(BIS)Acting Chief Counsel
(主席弁護士代行)
Craig S. Burkhardt
 2.BISに所属する事務所    BISのホームページの中からBIS Program Officesを抜粋して以下に示    した。   (1)Export Administration(輸出管理)    ・Office of Nonproliferation and Treaty Compliance (NPTC):     (不拡散及び条約遵守事務所)    ・Office of National Security and Technology Transfer     Controls (NSTTC):     (国家安全保障及び技術移転規制事務所)    ・Office of Exporter Services (OExS): (*輸出者サービス事務所)    ・Office of Strategic Industry and Economic Security (SIES):     (戦略的産業経済安全保障事務所)   (2)Export Enforcement(輸出執行)    ・Office of Export Enforcement (OEE): (*輸出執行事務所)    ・Office of Export Enforcement, Investigations Division:     (輸出執行事務所、調査課)    ・Office of Export Enforcement, Operations Division:     (輸出執行事務所、運営課)      *Office of Export Enforcement, Export Control Officers       (輸出執行事務所、輸出規制職員)       ・Office of Enforcement Analysis (OEA):        (執行分析官事務所)       ・Office of Antiboycott Compliance (OAC):        (*反ボイコット遵守事務所)   (3)Other BIS Offices and Organizations(その他BIS事務所及び組織) ・Office of Chief Counsel for Industry and Security:     (*産業・安全保障担当主席弁護士事務所)    ・Office of International Programs (OIP):     (国際活動計画事務所) [改訂来歴]  REV1 '08.11.11 §756.2(b)(4)(A)における"rules of evidence"の訳語を          ’証拠の原則’→”(連邦)証拠規則”に訂正した。  REV2 '09.11.05 訳者補足1.項における"Acting Chief Counsel"の訳語を          ’首席弁護士代理’→”首席弁護士代行”に訂正した。