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『横丁のアインシュタイン』 2000.3.03 隣の爺さんは大変な博識で近所では「横丁のアインシュタイン」と呼ばれている。 今日は爺さんの家で、町内会の寄り合いがあり祭の準備などについて話し合った後酒が 出た。大分酒が回ってから、若者の一人が「爺さんが物知りなことは分かったが、何で 今世紀最大の学者とも言われるアインシュタインの渾名が付いたのか。」と尋ねた。 すると町内会長のXが「今日は若者が多く未だ聞いたことがない者が多いと思うので、 爺さんお得意の将軍さんの日光参詣が見れる話をして呉れないか。」と言った。 爺さんは、あれから長いこと話していないが、書き留めたものがあるのでそれを持って きて話ましょう、と言い奥に入った。しばらくすると、ややセピア色に焼けた二三枚の 青焼原稿を持ってきて、「さて、一般相対性理論の爺さん流解釈についてお話しょう。」 と言った。実際のお話しはもっと面白く、分かりやすいものでしたが私が要点のみ以下に 纏めました。 1.光の速度は常に一定であること。 音は空気中を伝わり、同様に宇宙は光を伝える物質、エーテルが充満しているものと 昔は考えられていた。然らば、エーテルを満たした入れ物を加速するとその中の光は、 止まっている者から見ると、加速され光の速度が増すはずである。マイケルソンは実験 を行い、光の速度は加速した入れ物中でも増さず、どのような場合にも一定であること を明らかにした。 2.如何なる物体も光速を超えられないこと。 速度の早い物には色々あり、例えば新幹線、ジェット機、宇宙ロケット等々がある。 しかし、どんな物でも光速を超えることはできない。何故なのか。 普通、人は物が発する光、若くは反射する光を見てその物を認識する。発光若くは反射 する光は目に入るものだけではなく、宇宙空間にも放射される。これは時時刻刻と放射 されから、宇宙空間には物の変化に対応する時系列の光情報が光速で移動していること になる。現在、過去に係わらずありとあらゆる物が発した光情報が宇宙空間を移動して いる。その中には徳川七代将軍吉宗の日光参詣の様子や、日清、日露戦争の状況等あり とあらゆる過去及び現在の歴史が含まれている。 逆に、遥か銀河系の彼方の星から何億光年も掛って地球に届く光は、何億年も昔に起こ った星の状況を示し、その星に近づけば近づく程最新の情報が含まれる。 さて、そこでもし光速を超える物があるとすれば、それに乗ればいつかは将軍さんの 日光参詣の光に追い付き本当に生きていた時の将軍さんの顔や、言動その他真実の姿 を見ることができる。そうすると、人が現在から過去に行けるタイムマシンが実現でき ることになる。そんなことはできないから、先の仮定は誤りであり、 「如何なる物体も光速を超えられない。」ことになる。 3.光速に近い乗り物の中では時間がゆっくり経過すること。 もしも自分の顔が発した光を光速に近い乗り物に乗って自分で追いかけたとする。 乗り物の速度が限りなく光速に近づけば、いつも殆ど同じ変化しない光情報の自分を 見ることになる。それは乗り物の中の自分と同一のはずだから、その人にとって時間 は止まったように極めてゆっくりと経過する。乗り物の速度が遅くなると、光情報は 変化し、速度が遅くなるほど静止している時の時間の経過に近づく。 このことについて、ロシアの科学者ガモフは次のような例え話を書いている。 それは、「光速に近い宇宙船に乗った人が宇宙船の窓から地球上の友人を見ていると 手元の時計では数時間しか立っていないのに、友人の髪は真っ白になり数十年の歳月 が経過したようであつた。」と言うものである。 ところで、乗り物の中の時計はゆっくりと進むが、これを静止した観察者の時計で測 ると逆に非常に長くなる。 4.光速に近い乗り物の中では質量が非常に大きくなること。 乗り物の中であれどこでも、運動中の物に力を加えれば加速度を生じ速度が増す。 しかし、どんな物でも光速を超えることはできない訳だから、この場合は力を加えて も速度を殆ど増すことができない。これはその物の質量が非常に大きくなっているか らである。このように、乗り物の速度が増せば増すほど、その中にある物の質量は 静止状態のそれより大きくなる。 5.光速に近い乗り物の中では空間が非常に圧縮されること。 空間の大きさは距離で表わす。この乗り物の中で光の速度を測定してみる。例えば、 光が乗り物の壁に当たって返ってくる時間で、その間の距離を割って速度を算出する。 乗り物の速度が光速に近くなると所要時間は静止時に比べ少なくなるが、光速は常に 一定なのだから距離が短くならなければならない。すなわち空間が圧縮されることに なる。 (補足) 乗り物の速度が光速に一致した場合には、質量/時間が無限大、空間は無限小になる ことが分かった。速度Vの時は、ローレンツの式で静止時と光速の間を補間すれば次の アインシュタインの公式が得られる。但し、光の速度をCとする。 2 時間 T=T0/(√(1-(V/C))) 2 質量 M=M0/(√(1-(V/C))) 2 空間 L=L0X(√(1-(V/C))) ここで添字0は静止時の値、時間は事件と事件の時間経過を観察する時間。 以上