1.暗号化貨物及びソフトウェア(ENC;§740.17 )の概要

   2000.1.14付けFederal Register/Vol.65,No.10/Rules and Regulations/

         のBackground 4.bより訳出

 「”暗号化貨物及びソフトウェア”(ENC)と言う新しい項が作られた。これは昨年9月16日

   発表の暗号化に関する輸出の広範囲な改訂を実施するものである。本項に基づき、ECCN

         5A002及び5D002に分類される如何なる鍵長の如何なる暗号化貨物、ソフトウェア或い

   は部分品も、個人、企業その他非政府機関の最終需要者向けに輸出及び再輸出ができる。

   先の特定部門向けの自由化、即ち銀行及び財務機関、健康及び医療目的の最終需要者及び

   オンライン取り引き者に対する自由化は、この新しい項に包摂される。本項により外国の

   企業内専用使用に限られていた輸出制限は除かれ、その上に、暗号化部分品を用いて開発

   された外国の製品は、EARに準拠するが、再輸出の前にレビューや分類を必要としない。

   政府が最終需要者の場合の輸出及び再輸出には許可が必要である。」

  (注)2000.1.14の改正で、許可例外TSUのGeneral Software Noteの"マスマーケット"ソフト

     ウェアから暗号ソフトが除かれ、新たに設けられたカテゴリー5、パート2の注3-暗号ノートで取り

     扱われることになった。

    

 2.ENC条文(§740.17)の構成及び各項の概要

   §740.17  Encryption commodities and software(ENC)

     (a)Exports and reexports of certain encryption commodities and software.

         (1)Encryption commodities, software, and technology for U.S. subsidiaries.

         (2)Encryption commodities and software.

         (3)Retail encryption commodities and software. (i)〜(vii)

         (4)Internet and Telecommunications service providers.

         (5)Commercial encryption source code and general purpose toolkits. (i)〜(iv)

    本項は「3.ENCの抄訳」を参照のこと。

     (b)Ineligible destinations.

   許可例外ENCはイラン、イラク等7っのテロリズム支援国家向け輸出及び再輸出に

   は適用できない。 

     (c)Transfers.

     上記(a)項にリストアップした暗号化品目の政府が最終需要者となる場合の移転は原則

   禁止とする。

     (d)Exports and reexports of foreign products incorporating U.S. encryption source

         code, components or general purpose encryption toolkits.

   米国原産の暗号化ソースコード、部分品等を組込み或いは用いて開発された外国の製品

   は、なおEARの対象であるが、BXAによるレビューや分類を必要とせず輸出及び再

   輸出できる。    BXA:輸出管理局(Bureau of Export Administration)

     (e)Eligibility for License Exception ENC.

         (1)Review and classification.

         (2)Grandfathering.

         (3)Key Length Increases. (i)〜(ii)

          許可例外ENCを適用するには、製造者が所定様式の申請書を作成しBXAに提出する。

   BXAは問題がなければ受領後30日以内に許可する。許可後、鍵長を増やしてもBXA

   のレビューを受ける必要はない。但し、変更品を輸出する前に当該企業の役員名で文書で

   本変更が鍵長のみでありアルゴリズム等暗号機能の変更は含まないことをBXAに証明

   しなければならない。

     (f)Open cryptographic interfaces.

   公開暗号インタフェース(part772に定義)を与える製品には(下記3.(a)(3)の場合を除き)

   、原則として許可例外ENCを適用しない。

     (g)Reporting requirements. 

         (1)No reporting is required for exports of: (i)〜(vi)

         (2)Exporters must provide all available information as follows: (i)〜(ii)

         (3)For direct sales or transfers of encryption components,----. 

         (4)Exporters of encryption commodities,software and components which---

         (5)Beginning January 14,2000,you must submit reports---  (i)〜(ii) 

   対称鍵長が64ビットを超える製品の非米国機関向け輸出について輸出後報告が必要に

   なる。しかしながら、財務仕様の製品、或いは個人顧客向けに輸出された小売り製品、

   製品が自由に又は匿名のダウンロードにより輸出され、或いは米国の銀行から銀行業務

   又は財務操作のために財務機関或いはそれらの子会社、関連会社、顧客又は契約者に

   輸出した場合は報告の必要はない。その他報告事項は (2)〜(5)に記載の通りとする。

     (h)Distributers and resellers.

   暗号化貨物及びソフトウェアの本来の製造者でない、米国又は外国の卸、再販その他

   機関は、その輸出又は再輸出が適用可能品目でかつ本節§740.17 の条件に合致する

   場合に限り許可例外ENCを使用できる。 



 3.ENCの 抄訳 

   (§740.17  (a)の翻訳)

    (a)特定の暗号化貨物やソフトウェアの輸出及び再輸出 

   本節に列挙する如く、暗号化貨物、ソフトウェア及び部分品(EARpart772に定義)

  を許可例外ENCに基づき輸出又は再輸出できる。暗号化貨物或いはソフトウェアが

  公開暗号インタフェース(part772に定義)を与える場合は、本節の(a)(1)項に記載の通り

  当該輸出が米国企業の子会社向けの場合を除き、許可例外ENCを使ってはならない。

   

    (1) 米国の子会社向け暗号化貨物、ソフトウェア及び技術

   ECCNが5A002,5D002及び5E002の全ての暗号品目は鍵長の如何に係わらず、米国

   企業の外国の子会社(part772に定義)にレビュー及び分類を受けることなく輸出又は

   再輸出できる。これには新製品の開発等、企業内で使用する場合のソースコード及び

   技術を含む。米国企業はまた許可例外ENCに基づき、新製品の開発を含み企業内

   使用のために、当該企業の米国在住外国人従業員(但し、キューバ、イラン、イラク、リビア、北朝鮮、

   スーダン或いはシリア国民を除く)に暗号化技術(5E002)を移転できる。 

   本項に基づき輸出された暗号化貨物、ソフトウェア及び技術を用いて米国の子会社に

   より製造又は開発された全ての品目はEARに準拠し、米国企業の外側に販売或いは

   再移転する前にレビュー及び分類を受ける必要がある。

    (2) 暗号化貨物及びソフトウェア

   ECCNが5A002及び5D002であって、BXAによるレビュー及び分類を受けたものは、

   如何なる暗号化貨物、ソフトウェア及び部分品でも個人、企業或いはその他非政府

   最終需要者向けに輸出及び再輸出できる。本項で分類される暗号製品を輸出及び再輸出

   する場合、最終需要者が政府(part772に定義)であれば許可が必要になる。

   本項(2)によれば、輸出或いは再輸出を企業内の専用使用に限定していた上記(1)の制限

   はなくなる。

    (3) 小売りの暗号化貨物及びソフトウェア       

   ECCNが5A002及び5D002であって、レビュー及び分類を受けた結果”小売り”と

   された暗号化貨物、ソフトウェア及び部分品は、如何なる最終需要者向けにも輸出及

   び再輸出できる。小売りの暗号化貨物、ソフトウェア及び部分品とは次の製品を言う。

  (i)下記のいずれかの手段により誰もが自由に入手できるもの

   (A)製造者に従属しない小売り店経由で有形の販売がされたもの

   (B)個人消費者用に特別に設計され、有形、無形の手段により販売或いは

    移転されたもの

   (C)郵便での注文、電子取り引き若くは電話取り引きにより無制限、大量

    販売されたもの

  (ii)次の全てに該当するもの

   (A)暗号機能が使用者によって容易に変更できない

   (B)据え付け、使用に際し実質的な支援が不要

   (C)暗号機能が顧客仕様に合わせ修正或いは特化されていない

   (D)大容量通信のために設計されたハイエンド・ルータ或はスイッチのような

    ネットワーク基盤製品ではない

  (iii)本節の(a)(3)(i)及び(ii)項の判断基準によれば、小売りの暗号製品は(限定するもの

    ではないが)ネットワークやサーバに組み込まれた汎用のオペレーティシグ・システム及びこれ

    に関連するユーザ・インターフェースのクライアント・ソフトウェア又は汎用OSを含む。具体的には

    非プログラマブルな暗号チップで小売り製品限定使用に設計されたチップ;小規模  

    事務所用又は家庭用に設計されたローエンド ルータ、ファイヤウォール及びネットワーク又はケーブル装置;

    プログラマブルなデータベース管理システム及び関連するアプリケーションサーバ;ユーザとの直接

    インターフェースを有するローエンド・サーバ及び特定アプリケーション用サーバ(クライアント・サーバ アプリケーション、

            例えばSSL(Secure Socket Layer)を基本とするアプリケーションを含む);及び無料で

    或いは自由又は匿名のダウンロードにより配布される暗号製品

  (iV)”小売り”に分類されたその他暗号製品と等価な機能を有する暗号の製品及びネット

    ワークベースのアプリケーションは”小売り”と看做す。

  (V)本節の(a)(3)項に基づき輸出或いは再輸出された暗号製品は如何なる機関向けの

    サービス提供にも使用できる。

  (Vi)財務特定仕様に設計された(例えば、妥当性検査手順付きの高度に定型化された

    様式で簡単に他の最終用途に転用されない) 暗号化貨物及びソフトウェアで、

    鍵長に関係なく電子商取り引きのような財務通信を保障するために使用されるもの

    は小売りの暗号製品と看做す。

  (Vii)56ビット製品で鍵交換機構が512ビットを超え1024ビット以下のもの

    或いはこれと等価で「大量販売用」に分類されない製品は”小売り”と看做す。

    (4) インターネット及び電気通信サービスプロバイダー       

   インターネット及び電気通信サービスプロバイダーには一定の制限が適用される。

   如何なるインターネット或いは電気通信サービスプロバイダーも許可例外ENCに基づ

   き小売り製品を手に入れることができ、それらを如何なる機関に、如何なるサービスを

   提供するためにも使用できる。インターネット及び電気通信サービスプロバイダーは

   内部使用目的であれば、如何なるサービスを提供するためにも、許可例外ENCに基づ

   き如何なる暗号製品をも手に入れ使用することができる。

   しかしながら、小売りに分類されない如何なる製品も政府機関向け特定サービスを提供

   するために使用する場合は許可が必要である。例えば、WAN,LAN,VPN.音声及び専用

   リンク サービス;政府機関向け専用の特別仕様の、特定のアプリケーション、電子取り引きサービス及び

   PKI暗号サービス;を提供する場合には許可が必要である。    

    (5) 商用暗号ソースコード及び汎用ツールキット       

   §740.13 (e)(TSU)が使えない暗号ソースコード或いは汎用ツールキット(ツールキット特有

   のアプリケーションはパート772の定義における部分品に含む)を輸出及び再輸出できる。この

   場合次の条項に従うこと。

  (i)暗号ソースコードあって、EARの§734.3 (b)(3)に規定するように誰もが自由に入手

   でき、かつソースコードを使用し或いはこれを用いて開発した商品の使用料又は権利

   使用料の支払に同意することを必要とするものは、輸出の時までにインターネット・ロケーション

   (例えば、URL又はインターネット・アドレス)を記載した文書又はソースコードのコピーをBXAに提出して

   いれば、許可例外ENCを使用しレビュー及び分類を受けることなく、如何なる最終需要

   者向けにも輸出或いは再輸出ができる。ソースコード又はこのソースコードを用いて

   開発された製品を、キューバ、イラン、イラク、リビア、北朝鮮、スーダン又はシリア向けに、知っていて輸出   

   或いは再輸出してはならない。ソースコードが誰にでもダウンロードできるインターネット上

   (例えば、FTP或いはWWWのサイト)にソースコードを乗せても、輸出或いは再輸出の禁止

   条項を”知っていた”ことを確定しない。その上、これはEARのパート732補足No.3に

   おける”顧客を知る”KNOW規制指針の必須義務における"レッドフラク""とする必要がない。

  (ii)自由に入手できるものでもなく、又コンパイルした時公開暗号インタフェース(§740.17

     (f)参照)を与えるソースコードを含むものでもない暗号ソースコードは、BXAによるレビュー

   と分類を受ければ許可例外ENCを使用し、如何なる非政府機関の最終需要者向けにも輸出

   又は再輸出ができる。

  (iii)汎用ツールキットは、BXAによるレビューと分類を受ければ許可例外ENCに基づき、

   如何なる非政府機関の最終需要者向けにも輸出又は再輸出ができる。

  (iv)本節の(a)(5)項に基づき輸出された暗号ソースコード又は汎用ツールキットを使用して

   販売用に開発された如何なる外国製品も、本節の(g)(3)項に示す報告要件を必要とする。

   ソースコードを束ねたり或いはコンパイルすることにより開発された外国製品は、この報告

   要件を必要としない。

   

                                        以上