海外利用決定手続きと基準(続き)

 

§768.8 「非規制国対応の迅速化された許可手続きの適格性」

(a)BISは当該品目の海外利用評価に基づき、当該品目の迅速化された許可手

  続き適格性を決定する。適格性は利用が認められる品目と国に特定される。

(b)BISは次の時点で適格性評価を開始する。

 (1)自己発議した時、

 (2)FASを受領した時、  或いは

 (3)TAC証明を受領した時。

(c)FAS又はTAC証明のいずれかの受領に続く適格性評価の開始時に、BI

  Sは請求者又はTACに受領と評価の開始を通知し、そして評価の開始を官

  報告示で公表する。

(d)迅速化された許可手続きの適格性決定基準を次に示す。

 (1)当該品目は米国以外の供給源より、明記された非規制国で実際利用できな

   ければならない、

 (2)当該品目は米国規制品目のそれと類似の品質でなければならない、 及び

 (3)当該品目は明記された非規制国で有効な制限なしに実際利用できなければ

   ならない。

(e)評価の開始から30日以内に、商務長官は、国防、国務、及びその他関係す

  る機関の長官がBISに提供した証拠及び長官が関連すると見なすその他一

  切の情報を考慮して、BIS評価及び勧告に基づき海外利用の決定を行う。

(f)FAS又はTAC証明の受領から30日以内に、BISが、当該品目は指定

  された国に対し迅速化された許可手続きを適用できる、若しくはできない旨

   の長官決定を官報に公表し、しかるべき場合に768章補足No.2を改正する。

(g)自己発議評価が完結すると、BISは長官決定を通知され、しかるべき場合

  に、768章補足No.2が改正される。

(h)迅速化された許可手続き評価を開始するための海外利用提示案及びTAC証

  明は、紙面上に迅速化された許可手続きを要求する旨明確に指定されなけれ

  ばならず、又品目、量及び申立て資格のある国を明記しなければならない。

  提示案及び証明は次のところに送付されなければならない。

    商務省,産業安全保障局,3877号室

    ワシントン,DC20230,NW,ペンシルバニア大通り,第14番街



§768.9 「否定的な海外利用決定の上訴」

 否定的な海外利用決定の上訴は、EARの756章に記述された標準及び手続

きに従い執り行われる。海外利用の決定にも係わらず、許可を拒絶し、若しくは

規制を継続するための大統領裁決(NSO)は上訴の対象にならない。



§768.10 「非高性能品目に関する規制の除去」

 長官が海外利用の故に或る品目の国家安全保障規制を解除している場合、長官

は国家安全保障のために規制され、かつ、国家安全保障輸出規制の根拠となるそ

の機能、技術的手法、動作閾値、及びその他の属性が、BISが海外利用の故に

統制解除している品目の技術的な要素を凌駕しない類似の品目に関する規制も又

同様に解除する。





(EAR 768章補足No.1)

      海外利用の証拠

 



 本補足は産業安全保障局(BIS)が海外利用の査定を執り行う中で役立つと

認めた証拠の例の一覧表を提供する。海外利用の主張を裏付ける証拠を提出する

請求者は、証拠集めに際しヒントを与える本一覧表を見直さなければならない。

海外利用の可能性のある受け入れられる証拠は、これらの例に限定されることな

く、またこれら例のどれか一つだけでは、通常、それだけでは、海外利用基準を

満たすのに充分ではない。各基準について、幾く種類かの証拠の組合せが通常要

求される。海外利用提示案(FAS)は以下に掲載された四つの基準の全てにつ

いて、出来るだけ多くの証拠を含まなければならない。BISは提出された証拠

とBISがその他供給源から収集した証拠とを組合せる。BISは、これに限定す

るものではないが、次のものに含まれる要因を考慮しながら、全ての証拠を評価

する。

それらは、証拠の供給源に関する情報、確証的又は否定的な指標、及び前述の証

拠信頼性若しくは合理性に関する経験である。BISは、四つの基準の各々が満

たされてかどうかを決定するために全ての関連証拠を査定する。可能な限り、全

ての情報は文書によらなければならない。情報が第三者の文書による証明に基づ

くならば、提出者は前述の文書による証明をBISに提供しなければならない。

もし、情報が第三者の音声陳述に基づくならば、提出者は供給源から文書による

覚書を得られない時は会話の覚書をBISに提供しなければならない。BISは

新しい証拠の例を認知した時、本情報一覧表を改正する。



(a)海外利用の証拠の例

  次のものは、BISが海外利用を評価する際に考察する証拠の例を意図した

  ものである。BISはそれが海外利用決定の裏付けに使用されるために、本章

  §768.7(c)の条項に従い全ての証拠を評価する。本一覧表は説明用に限定する。

 (1)実際利用できる

  (@)外国での品目の売買の証拠(例えば、当該品目がそこで売り出されてい

    る外国のメディアに於ける公告);

  (A)外国への販売を証明する販売領収書の写し;

  (B)それに基づき当該品目が外国へ販売され、或いは販売されようとしてい

    る契約書の約定; 

  (C)外国の政府がある品目の販売を拒絶しない旨の適切な外国政府職員から

    の、なるべくは文書による情報であって、その国の法律及び規則に従い

    他の国に呈示されたもの;

  (D)その会社がある品目を合法的に販売でき、それを行う旨の某会社職員か

    らの、なるべくは文書による情報であって、それが外国に呈示されたも

    の;

  (E)当該品目の外国向け実際の積み出し証拠(例えば、船積み文書、写真、

    ニュース報告);

  (F)外国で動作中の前述の品目の目撃者報告であって、出来るだけ多くの有

    用な情報を提供し、可能な限り当該品目の製造元及び型式及びその観察

    された動作特性を含むもの; 

  (G)外国における販売員若しくは技術サービス員の存在の証拠;

  (H)外国内での生産の証拠;

  (I)外国における見本市で、とりわけその品目の外国向け販売勧誘の目的で

    展覧されている当該品目の証拠;

  (11)当該品目が規制されていないことを示す、供給国の輸出規制法又は規則

    の写し;  或いは

  (12)当該品目が特定の国で販売されていることを示すカタログ又はパンフレ

    ット。

 (2)米国以外の供給源

  (@)出来れば、住所及び電話番号を含む、当該品目の製造者名;

  (A)外国の製造者が米国の会社と財政上若しくは経営上の繋がりがないとい

    う商業関係に関する情報の信頼できる筋からの報告;

  (B)型式番号及びそれらの供給源を示す、米国品目及び外国品目中の部分品

    の一覧表;

  (C)その部分品及び供給源を識別できる外国品目の概略図;

  (D)当該品目が外国技術の直接製品であることの証拠(例えば、特許法上米

    国の生産者により遺失されたものや、外国特許);

  (E)土着の技術、生産施設であることの証拠、及びそれら施設の能力;

    或いは

  (F)当該品目の部品及び部分品が外国原産のものであるか、若しくはEAR

    の§732.4の部品及び部分品条項により米国許可要件を免除されてい

    ることの証明。

 (3)充分な量

  (@)外国の供給源が当該品目を連続生産していることの証拠;

  (A)当該品目若しくはその製品が外国で民生用途に使用されていることの

    証拠;

  (B)ある外国がその土地固有の製造の品目を特定の国の市場で取引してい

    ることの証拠;

  (C)当該品目についての外国商品目録の証拠;

  (D)外国の生産施設の過剰生産能力を示す証拠;

  (E)外国が当該品目をねらっていなかった、若しくはそれを西側から

    購入しようとしていないことの証拠;

  (F)知識を備えた情報源による外国のニーズの見積り; 或いは

  (G)世界市場の権威ある分析(即ち、需用、種々の製造者毎の当該品目の

    生産比率、工場設備生産能力、設備投資、毎月の生産比率、受注、売

    上高及び5〜6年間の累積売上高)。

 (4)匹敵する品質

  (@)外国品目の見本;

  (A)米国及び外国品目の操作又は保守マニュアル;

  (B)外国品目の使用者からの証言又は陳述;

  (C)例えば、当該品目の西側の生産者又は購買者、認知されている専門家、

    信頼できる貿易関連刊行物、又は独立の研究所による、米国及び外国

    品目の、なるべくは文書による比較評価;

  (D)米国及び外国品目の動作に質的影響を及ぼす、当該品目に使用されてい

    るキーとなる動作部分品及び材料を、製造者及び型式番号により確認す

    る比較表;

  (E)米国及び外国品目間の互換性の証拠;

  (F)米国及び外国品目の特許明細書; 

  (G)米国及び外国品目が公表されている産業、国内、又は国際基準を満たす

    ことの証拠;

  (H)調書又はその他の方法による、外国品目の動作報告若しくは目撃者の

    説明;

  (I)外国の製造者の企業評判に係わる証拠;

  (11)特定の貨物、道具、装置、又は技術データから成る米国及び海外向け品

    目の比較;  或いは

  (12)出来れば、保守、修理、動作、及びその他妥当な要因に関する情報を含

    む外国品目の世評の証拠。

  (訳者注:本節(a)(4)(11)において、the U.S. and foreign end item を

              米国及び海外向け品目と訳した。ここで、end は'ねらい'と解

       し、米国内向け品目及び海外向け品目の如く解釈した。)





(EAR 768章補足No.2)

   迅速化された手続きの適格品目





[予   備]        

                         (最初の項へ戻る) 

                                 以上

[改訂来歴]

  REV1 '03.7.12 「海外利用の証拠」頭書きにおいて、通常、’それ自体は’を

         通常、’それだけでは’に訂正した。