非該当証明及び非該当判定書
輸出令別表第1に該当する貨物の通関手続きには輸出許可が必要で
ある。一方、前記に非該当な貨物の場合でも、税関に許可不要である
ことを証明しなければならない。
ここでは、許可不要の証明方法、具体的な様式の例等について述べる。
1.非該当証明の必要性(法的根拠)
下記の根拠に基づき非該当証明が必要になるものと考える。
(1)法的根拠;輸出令第5条
税関は、経済産業大臣の指示に従い、貨物を輸出しようとする者が法第
48条第1項の規定による許可若しくは第2条第1項の規定による承認を
受けていること又は当該許可若しくは承認を受けることを要しないことを
確認しなければならない。
(2)参考法令;関税法第70条抜粋
他の法令の規定により輸出又は輸入に関して許可、承認その他の行政機関
の処分又はこれに準ずるもの(以下この項において「許可、承認等」という)
を必要とする貨物については、輸出申告又は輸入申告の際、当該許可、承認
等を受けている旨を税関に証明しなければならない。
2.非該当証明の方法
(1)証明の方法及び証明者等
A.証明の方法
次の三種類の方法に大別できる。
(イ) 経済産業省の非該当証明
(ロ) CISTEC の「公表リスト」
(ハ) 一般の非該当判定書
B.証明すべき者とその相手方
前記1.項から証明すべき者は、当該貨物の輸出者であり相手方は税関で
あることが分かる。しかし、当該貨物の該当非該当の判定を輸出者が行な
うことは一般に困難であり、通常輸出者はメーカーに依頼し判定結果を入
手する。輸出者はこれを基に非該当判定書(表紙)を作成し、メーカーの
判定結果を添付して税関に提出する。
(2)非該当証明と非該当判定書
運用通達(輸出注意事項62第11号)で、輸出しようとする貨物が輸出令別表
第1の1の項の中欄に掲げる貨物(以下「特定貨物」という。)に該当する
か否かに疑問が生じたときは、申請して「特定貨物非該当証明」を受けるこ
とがてきるとしている。(この特定貨物は「武器」である。)
これが、経済産業省の非該当証明である。
なお、その他一般貨物についても疑義が生じた場合は事前に相談し、該非の
判定を受けることができる。(但し、条文の規定のみでは貨物の該当非該当
の判断が困難な場合に限る。)
このように、経済産業省の非該当証明を受けられるのは極く限られた場合で
あり、通常は(ロ),(ハ)の方法による。
前述の如く、(ハ)の非該当判定書(表紙)は輸出者が作成し、これも同じく非
該当を証明するものであるが、輸出者が当該貨物のメーカーの場合、当事者が
証明するというのは一寸おかしいこと、又、前記のものと紛らわしいことから
判定書と呼称している。
(3)CISTEC の「公表リスト」
「公表リスト」とは、企業(製造者等)が輸出令別表第1(16の項を除く。)
に非該当であると判定し、CISTECの「自主判定公表規約」に基づき、
CISTECに公表依頼を行なった貨物の「型及び銘柄」をCISTECが製造者別・
JISコード順に整理し、発行するものである。
3.非該当判定書の様式
規定の様式はないので、輸出者が前記1.項の趣旨に則して任意に作成する。
但し、これは行政機関に提出する公式文書なので、その判定及び証明に責任を
負える者が作成しなければならない。さらに、輸出申告時に適用される最新の
法令に基づき判定しなければならない。
また、メーカーの判定結果はCISTEC の該非判定用パラメータシートにより提供
されるのが普通である。(これについても規定の様式はない。)
ここでは、下記の例について説明する。
(1)非該当判定書及びパラメータシートの例
これらのデータ等は説明を容易にするために作成した架空のものである。

(2)非該当判定書作成の要領
@宛先は当該貨物の通関手続きを行なう税関長とする。
A申告日は作成日。(但し、最新の法令に基づき申告日前であれば可)
B作成者は輸出者。但し、企業の場合は当該貨物の判定に責任を負う部門の
代表者でなければならない。(この代表者は必ずしも部門長に限るのでは
なく、組織上代表する者であれば良いようである。)
C作成者印は認め、社印はその部門之印(角印)で朱印でなければならない。
従って、コピーではなく原本を提出する。
Dパラメータシートにより判定したものは、別紙としこれを添付する。
また、型式、名称は原則としてShipping Invoice の記載と一致させる。
(3)パラメータシート記載上の注意事項
@当該貨物の該非判定に必要な様式を選択する。また、必要があれば複数の
様式を使用して判定する。必ず最新の法令に準拠したものを使用する。
(また、最新の法令で判定するために輸出案件毎に作成すると良い。)
A貨物名、メーカー名、型及び銘柄は必ず記入すると共に、同一内容を各
シートに記載する。型及び銘柄は機種を特定できる記号を必ず記入する。
B作成責任者は判定に責任を負える者でなければならない。当該貨物の設計
部門の管理織が一般的なようである。
設計・製造部門と製品化部門が別会社であるOEM品のような場合は、
OEM 供給先からパラメータシートを取り寄せこれを基に製品化部門で作成する。
(型名、メーカー名と作成責任者の会社名との整合性をとるため。)
C作成日は作成した日。(但し、最新の法令に基づき申告日前であれば可)
有効期限は特にないが、常に最新の法令で判定しなければならないので、
同一貨物であっても輸出案件毎に作成、若しくは確認しなければならない。
D作成者氏名印は認めで可、又、非該当判定の場合はコピーを提出して良い。
但し、輸出許可申請の場合は朱印の原本を提出しなければならない。
[注意!!]
本項は一例について説明したものであり、これにとらわれる必要はない。
各輸出者及び判定者の状況に合致した方法をとれば良い。
4.その他
(1)パラメータシートの型及び銘柄に複数の型式を記入しても良い。但し、各
型式に対する記載内容が同一の場合に限る。
また、複数の型式を別紙に記載し、添付することもできる。
(2)輸出貨物が規制対象外品目のみの場合はパラメータシートのない該非判定
書(表紙)を作成せず、規制対象外品目である旨、Shipping Invoiceに記
載すれば良いと考える。また、「公表リスト」による場合も、同様に公表
番号をShipping Invoiceに記載すれば良いと思うが、現場で確認の上実施
して戴きたい。
(3)前記法的根拠を見ると税関は貨物の輸出における該非確認を行なうが、役
務取引については明記されていない。しかし、外為令別表に該当する技術
を提供する場合、許可を要することに変わりはない。
以上
[改訂来歴]
REV1 '01.4.17:3.(1)判定書及びパラメータシート例を.doc→.gifに変更。