第1種一般包括許可の適用範囲







  これは「一般包括輸出許可等について」(輸出注意事項8第21号)に

  規定されている。そこでは貨物又は技術の種類と適用できる仕向け地

  の関係を規定している。その内容を把握するため、ここでは一例とし

  て対象の貨物又は技術を輸出令別表第1又は外為令別表の8及び9の

  項の中欄に掲げるものに限定し、以下の如く纏めた。

  なお、以下の貨物又は技術、仕向け地等は屡改正されるので必ず最新

  の法令に基づき適切に対処すること。 

                             

1.概  要

  本稿の説明は対象の貨物又は技術を上記の如く8の項及び9の項に限定した

  場合であり、その他の貨物、技術については前記輸出注意事項による。

(1)許可の対象は輸出令別表第1又は外為令別表の8,9の項の中覧に掲げる

  貨物又は技術とする。

  前記の貨物又は技術の下記「適用除外地域」を除く全地域への輸出又は提供

  に第1種一般包括許可を適用できる。但し、(3)の限定条件を含む。

(2)前記貨物又は技術の如何に係らず、特定の仕向け地経由の輸出又は提供に

  は第1種一般包括許可を適用できない。ここで、この特定の仕向け地を「適

  用除外地域」と呼ぶことにする。

(3)特定の貨物又は技術の特定地域への輸出又は提供には第1種一般包括許可

  を適用できない。ここで、この特定の貨物又は技術を「限定貨物又は技術」

  また、この特定地域を「限定地域」と呼ぶことにする。

  (但し、限定地域にその他地域を含む。)

(4)上記限定条件に係らず、特定の地域については前記の全ての貨物又は技術

  の輸出又は提供に限定条件なしに適用できる。ここで、この特定地域を

  「適用地域」と呼ぶことにする。

[注]@第1種一般包括許可は「非該当品」には適用できない。

    (また、個別許可を受けている場合はそれを優先適用する。)

   A第1種一般包括許可は貨物に対する第1種一般包括輸出許可と技術に対

    する第1種一般包括役務取引許可に区分される。

   B本ホームページの「許可等の税関確認と輸出者の対応」を参照のこと。



2.許可対象の貨物又は技術及び「限定貨物又は技術」の品目

  許可対象の技術は、対象貨物に関連して規定されるのが一般的である。

  題記の貨物及び技術について、規定される品目の概要を下表に纏めた。詳細

  は前記輸出注意事項による。

項  目
NO
貨   物
技  術
許可対象品目
1

輸出令別表第1の8の項の中欄に
掲げる貨物。
    (コンピュータ)

外為令別表の8の項の中欄に掲げる
技術。
    (コンピュータ関連技術)

2

輸出令別表第1の9の項の中欄に
掲げる貨物。
    (通信関連貨物)

外為令別表の9の項の中欄に掲げる
技術。
    (通信関連技術)

限定品目

(注2)

1

上記のコンピュータであって、

@放射線による影響を防止するよ
 うに設計したもの。

A28,000Mtops超、150,000Mtops
 以下のコンピュータ又は計算要素
 (部分品)。

@左欄NO.1の@及びA中75,000Mtops
 超もの若しくは左欄NO.2の設計又は
 製造に必要な技術(注1)。
A前記貨物を設計若しくは製造するた
 めに設計したプログラム又はその
 プログラムの設計若しくは製造に
 必要な技術。
B前記プログラムの使用等に必要な
 技術若しくはこれを支援するため
 に設計したプログラムのうち左欄
 NO.2(暗号機能を有するもの)に
  該当するもの。

2

下記NO.4から7の機能(暗号機能)

と同等の機能を有するコンピ

ュータ。

 

@左欄NO.2と同等の機能を有するプロ
 グラム又は当該機能のシミュレーショ
 ンを行なうことができるプログラム。
A上記@のプログラムを検定するため
 のプログラム。
B上記@Aのいずれかに該当するも
 のの設計、製造又は使用のために
 設計したプログラム。
C上記@ABのいずれかに該当する
 ものの設計、製造若しくは使用に
 必要な技術又はこれを支援するた
 めに設計したプログラム。

3

@スペクトル拡散技術を用いた無
 線送信機又は無線受信機。
A上記装置の設計、製造等のた
 めの装置。

@左欄の@Aの設計又は製造に必要
 な技術。
A左欄の@Aを設計又は製造するた
 めに設計したプログラム。

4
暗号装置。

@左欄のNO4から8までのいずれかの
 貨物の設計、製造又は使用に必要な
 技術。
A左欄のNO4から8までのいずれかの
 貨物を設計又は製造するために設計
 したプログラム。
B左欄のNO4から8までのいずれかの
 貨物の機能を実現するめのプログラ
 ム又は当該機能のシミュレーション
 を行なうことができるプログラム。
C前記Bに該当するものを検定するた
 めのプログラム。
D上記NO.3A、NO.4ABCのプログラ
 ムの設計又は製造に必要な技術。
E前記AからCまでのプログラムの使
 用に必要な技術。
F上記NO.3@前記@DEの技術を支
 援するために設計したプログラム。

5
信号の漏洩を防止するように設計
し た装置。
6
多段階の秘密保護機能を有する
装置。
7
盗聴の検知機能を有する通信
ケーブルシステム。
8

上記NO4から7までのいずれかの

貨物の設計用、製造用等の装置。

   (注1)限定品目欄における技術にはプログラムを含まない。
       (但し、許可対象品目欄ではこれを含む。)    (注2)上表の限定品目は同表の許可対象品目の中から選定し        たもので、許可対象品目に含まれる。    (注3)上表の品目の中には仕様等を省略して記載したものがある。詳細は        前記輸出注意事項による。        3.規制地域の区分   本稿の貨物又は技術に対する規制地域を下表の如く区分し、各区分毎に   
1.項で定めた呼称を付けた。
NO
地   域
呼  称
1

アルゼンティン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、
フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、
ルクセンブルグ、オランダ、ニュー・ジーランド、ノールウェー、ポルトガル、
スペイン、スウェーデン、スイス、連合王国、アメリカ合衆国、大韓民国

 適用地域
2
イラン、イラク、朝鮮(大韓民国政府の支配する地域を除く。)、
リビア
 適用除外地域
3
   上記以外の地域  限定地域


4.第1種一般包括許可の適用可否判定フロー

  下図による。



                                  以上