輸出又は輸入の申告及び許可

 

  関税法、関税法施行令に定める輸出入申告の時期、提出書類、申告事項及
 び申告方式等について記載した。

1.輸出申告又は輸入申告の時期
(1)原則
  輸出申告又は輸入申告の時期は、原則として、申告貨物の保税地域(又は
  他所蔵置場所)搬入後である。
(2)例外
  次の本船扱い、ふ中扱い、到着即時輸入申告扱い又は搬入前申告扱いの
  承認を税関長から受けたときは、保税搬入後でなくとも、申告することが
  できる。
   @本船扱い及びふ中扱い
  ・申告貨物を、他の貨物と混載することなく、本船又ははしけに積み込ん
   だ状態で輸出入の検査及び許可を受けようとする場合で、
  ・貨物の性質、形状等からみて税関の検査上支障がなく、かつ、
  ・その貨物を保税地域に入れることが不適当と認められる場合には、
   事前に税関長に申請して、承認を受けることができる。
  A到着即時輸入申告扱い
   航空機により運送された輸入貨物に係る輸入申告を電子情報処理組織を
   使用して行う場合で、当該輸入申告に係る当該輸入貨物が本邦に迅速に
   引き取られる必要があり、かつ、当該貨物の性質その他の事情を勘案し
   て、取締り上支障がないと認められる場合。
  B搬入前申告扱い
   上記@Aの場合の他、貨物を保税地域に入れる前に申告することにつき、
   やむを得ない事情がある場合には、税関長に申請して搬入前申告扱いの
   承認を受けることができる。
   例えば、
  a.製造の遅延その他の理由で、保税搬入後の輸出申告では、船積みに間に
   合わない恐れがある場合(輸出の場合)
  b.法令改正等が予定されており、保税搬入後の輸入申告では、改正前の
   法令の適用を受けられなくなる恐れがある場合(輸入の場合)
  C[注意!!]
   上記@ABの承認を受けた場合であっても、輸入の場合は、積荷目録の
   税関提出後でなければ、輸入申告はできない。

2.輸出申告又は輸入申告の手続き
(1)提出書類
  輸出申告又は輸入申告に際しては、仕入書を税関に提出しなければならな
  い。ただし、税関においてこれを提出することができない事由があると認
  める場合又はこれを提出する必要がない場合として政令で定める場合は、
  この限りでない。
  なお、前記仕入書により輸入貨物の課税標準を決定することが困難である
  と認められるとき、税関は、契約書その他課税標準の決定のために必要な
  書類の提出を要求できる。
  @仕入書の提出が不要のとき

輸入申告

 

−−→

   →
  |
税関が提出できない事由が
あるとして認める場合
輸出申告

−−

−−→

政令で定める場合
   ※輸入申告に関し、政令で定める仕入書不要の規定はない。

  A輸出申告に関し、政令で定める仕入書提出不要の場合
  a.他法令の規定による、証明又は確認が不要な貨物で、申告価格総額が
   100万円以下の場合。
  b.他法令の証明が必要な貨物であって、外為法の許可・承認を要しない、
   輸出令別表5(無償の救じゅつ品)に掲げるものの場合。
  c.その他(省略)
 [注意]上記に係らず、必ず現在の法令に基づき適切に処理すること。
  B仕入書は、当該申告に係る貨物の仕出国において作成され、仕出人が署
   名したものでなければならない。(注:仕入書には、有効期限はない。)
   仕入書の記載事項は次の通り。
  ・当該貨物の記号、番号、品名、品種、数量及び価格
  ・仕入書の作成地及び作成年月日並びに仕向地及び仕向人
  ・前記価格の決定に関係がある契約の条件
  C原産地証明書、非該当判定証等
   特恵関税の適用を受けようとするときの原産地証明書、輸出貨物が輸出
   規制に該当しないことを証明する非該当判定証等があるが、詳細は省略
   する。
(2)申告書記載事項
  下表の各事項を記載した申告書を税関長に提出し、許可を受けなければな
  らない。ただし、税関長において、当該貨物の種類又は価格を勘案し、記
  載の必要がないと認める事項の記載を省略させることができる。

輸出申告書
輸入申告書
1.貨物の記号、番号、品名、数量
  及び価格
2.貨物の仕向地
3.貨物を積込もうとする船舶又は
  航空機の名称又は登録番号
4.貨物の蔵地場所
5.その他参考となるべき事項
1.貨物の記号、番号、品名、数量
  及び価格
2.貨物の原産地及び積出地
3.貨物を積んでいた船舶又は航空
  機の名称又は登録番号
4.貨物の蔵地場所
5.その他参考となるべき事項

(3)申告方式
  輸出入申告は上記の事項を記載した輸出又は輸入申告書を税関に提出して
  行う。但し、当該貨物が旅客又は乗組員の携帯品であるときは、口頭での
  申告ができる。その他ATAカルネ(通関手帳)による一時輸入について
  も口頭申告ができる。
  口頭申告のできる場合を下表に纏めた。

 
携行品・別送品
郵便物
ATAカルネ
(一時輸入)
個人用
商業用
輸出入申告
口頭
申告書
不要
口頭
申告納税方式
賦課課税方式
   [注]・上表において、○は適用可、Xは適用不可を示す。
      ・個人用携行品の口頭申告による通関を旅具通関と呼ぶ。
      ・コンテナーの口頭申告はコンテナー特例法を参照のこと。

(4)税関検査
  @3項の検査は、税関が指定した場所で行うものとする。検査の立会いを
   求めるための通知は口頭又は文書のいずれかによる。
  A指定地外検査を受けようとする者は、税関長の許可を受けなければなら
   ない。
  B税関長は、貨物の性質又は数量により指定地での検査が不適当であり、
   かつ、検査を能率的に行うのに支障がないと認めるときは、Aの指定地
   外検査を許可しなければならない。

3.輸出又は輸入の許可
(1)許可(関税法67条)
  貨物を輸出し、又は輸入しようとする者は、政令で定めるところにより、
  当該貨物の品名並びに数量及び価格(輸入貨物については、課税標準とな
  るべき数量及び価格)その他必要事項を税関長に申告し、貨物につき必要
  な検査を経て、その許可を受けなければならない。
(2)他法令の証明又は確認(関税法70条)
  @他の法令の規定により輸出又は輸入に関して許可、承認その他行政機関
   の処分又はこれに準ずるものを必要とする貨物については、輸出申告又
   は輸入申告の際、当該許可、承認等を受けている旨を税関に証明しなけ
   ればならない。
  A他の法令の規定により輸出又は輸入に関して検査又は条件の具備を必要
   とする貨物については、第67条の検査その他輸出申告又は輸入申告に
   係る税関の審査の際、当該法令の規定による検査の完了又は条件の具備
   を税関に証明し、その確認を受けなければならない。
  Bこれらの証明又は確認を受けられない貨物については、輸出又は輸入が
   許可されない。
  C他法令の証明又は確認を税関が行う意義
  a.全ての輸出入について、貨物の現品に即してその実態を把握できるのは、
   諸官庁のうち税関だけであり、
  b.このため、税関が、通関という輸出入の最終段階で他法令の確認を行う
   のが他法令規制の実効性を確保するため、最も適当だからである。
(3)輸入許可がされない場合
  関税法の規定により、輸入の許可がされないこととなっている場合として
  は、次の3つの場合がある。
  @他法令の証明がされない場合
   他の法令の規定により、輸入に関して、許可、承認その他これに準ずる
   行政機関の処分を必要とする貨物、又は検査その他条件の具備を必要と
   する貨物については、輸入申告の際又は税関の検査、審査の際までに、
   これらの他法令の要件を充たしていることを税関に証明し、その確認を
   受けなければならず、これらの証明又は確認がされなければ、輸入の許
   可はされない。(注:輸出の場合も同様である。(2)参照)
  A原産地虚偽表示等の場合
   輸入申告された貨物について、直接又は間接に、原産地につき虚偽の表
   示又は誤認を生じさせる表示がされている場合には、輸入は許可されな
   い。この場合には、税関長は、その旨を輸入者に通知し期間を指定して
   輸入者の選択によりその表示を抹消又は訂正するか、又は積み戻させる
   ことになっている。指定期間内にこれらの措置がされないときは、貨物
   は留置される。
  B関税が納付されない場合
   関税又は内国消費税及び地方消費税を納付すべき貨物については、その
   納付がされた後でなければ、輸入は許可されない。
   但し、納期限延長の承認がされた場合は、その承認に係る輸入申告につ
   いてはこの例外とされており、納税前でも輸入が許可される。

以上