輸出管理規則(EAR)の法的典拠 (partT.sec.8-10) 第8項 「海外のボイコット」 (a)禁止及び例外 (1)本法の第3項、節(5)の副段落(A)又は(B)に述べる政策を実施するために、 大統領は如何なる米国人も、合衆国の州際通商又は外国貿易における取るべ き行動に関し、或る外国の国により合衆国に友好的であって、合衆国の法律 又は規則に準じそれ自体は何らボイコットの対象でない国に不利益になるよ う醸成され若しくは課されたボイコットを遵守し、推進し、支持する意図を 持って次の(A)〜(F)のいずれかの行動を起こし、或いは知っていながらそう することに同意するのを禁止する規則を公布しなければならない。 (A)排斥国との協定、或いは排斥国の要求、又は排斥国若しくはその代理者か らの要請に従って、被排斥国の法律に基づき設立された一般企業と、被排 斥国の国民若しくは居住者と、その他如何なる者とも、被排斥国との又は その国での商取引を拒絶し、或いはその他誰であれ拒絶するよう要求する こと。被排斥国の法律に基づき設立されたあらゆる一般企業との、被排斥 国のあらゆる国民又は居住者との、若しくはその他あらゆる者との、被排 斥国との又はその国での取引関係がないだけでは、本副段落を遂行するた めに公布された規則の違反を立証するのに必須の意図が存在しないことを 明らかにするものではない。 (B)米国人(法人を含む)について、本人の或いはその法人の所有者、役員、 理事、又は従業員の人種、宗教、性別、又は血統・出自を根拠として雇用 を拒絶し、或いはその他誰であれ拒絶するよう要求し、又はそれを根拠と してその他差別をすること。 (C)如何なる米国人(法人を含む)本人の或いはその法人の所有者、役員、理 事、又は従業員の人種、宗教、性別、又は血統・出自に関する情報を提供 すること。 (D)それが誰であれその者が、被排斥国の法律に基づき設立されたあらゆる企 業との、被排斥国のあらゆる国民又は居住者との、若しくは被排斥国との 又はその国での取引関係を制限されていることが知られているか、或いは そう信じられているその他全ての者との、被排斥国との又はその国での取 引関係(販売、購入、法律上の又は商業上の説明、積出し又はその他輸送、 保険、投資、若しくは供給の過程を通しての関係を含む)を、有し、有し ていた、或いは持とうとしているか否かについて情報を提供すること。本 節は商務長官が定義するところの商取引をする上での通常の企業情報の提 供を禁止するものではない。 (E)それが誰であれその者が、被排斥国を支援する慈善又は友愛団体の一員で あるか、それに貢献しているか、或いはそれとは別にその活動に係わり又 は関係しているか否かについて情報を提供すること。 (F)本節に従い公布された規則により服従が禁止されている条件又は要件を含 む信用状の支払い、引き受け、確認又はその他履行すること、及び如何な る米国人も、本節の適用を受けて、係る信用状を支払い又はその他引き受 け若しくは履行する義務を負わないものとする。 (2)節(1)に従い公布された規則には次の(A)〜(F)の例外規定を設けなければな らない。(即ち、次の禁止条項・要件(A〜D)、又は次の遵守事項(E,F)に従 い或いは従うことに同意して良い) (A)次の(@)(A)の禁止条項 (@)被排斥国からの貨物又は役務、若しくは被排斥国の法律に基づき設立 された一般企業により又は被排斥国の国民又は居住者により製造され た貨物又は提供された役務の輸入を禁止すること。 又は (A)被排斥国の輸送体での、若しくは排斥国又は積荷の受取人により指示 された以外の経路による被排斥国向け貨物の船積みを禁止すること; (B)輸入及び積出し資料要件 前述の要件に応じて知っていながら提供され若しくは伝達された情報が、 戦争の危険性及び没収から守る予防要件に従うために前述の規則により許 可されている輸送体又は積み荷の経路に関するもの以外について、否定的 に、ブラックリスト関係の、又は類似の排他的な言い回しで述べられては ならないことの他(それを前提に)、貨物の原産地、輸送体の名称及び積 み荷の経路、積み荷の供給者の名称又はその他役務の提供者の名称の情報 を提供すること; (C)一方的かつ特定の選抜 取引のごく自然な成り行きで排斥国、若しくはその国民又は居住者による 運送業者、保険業者、排斥国内で実施される役務の供給者、又は取引のご く自然な成り行きで排斥国に輸入された時に出所に関し確認できる特定の 貨物の一方的かつ特定の選抜; (D)排斥国の輸出要件 被排斥国向け、被排斥国の或いは被排斥国の法律に基づき設立された一般 企業向け、若しくは被排斥国の国民又は居住者向け輸出品の船積み又は積 み替えに関する排斥国の輸出要件; (E)出入国管理又は旅券要件 個人又はその家族の誰であれその者に関する如何なる国の出入国管理又は 旅券要件、若しくは排斥国内での前述の個人の雇用要件に係わる情報提供 の要請;及び (F)現地の法律遵守 外国に居住する米国人が専らその国における自身の行為に関し現地の法律 を遵守すること、及び前述の米国人居住者が自己使用目的のために輸入す る際に現地の法律又は規則を遵守して良い例外の設定。これは節(1)によ り公布される規則に、その規則により定義されるべき、契約上のサービス の現地国内での実施を含め、自己使用目的につては、商標登録された、商 標名を付けた、若しくは同様に具体的に確認できる製品又は製品の部分品 の現地国への輸入を抑制するその外国の法律又は規則を前述の居住者が遵 守して良い例外を含めなければならない。 (3)節(2)(C)及び(2)(F)に従い公布される規則は節(1)(B)及び(1)(C)の観点から 例外を規定してはならない。 (4)本副項目の如何なる内容も合衆国の独占禁止の又は公民権の法律の実施に取 って代わり、或いはそれを制限するものと解釈してはならない。 (5)本項(第8項)は、本副項目(a)に従い公布される規則によって実施される ところの、本項の条項をくぐり抜ける意図を持って、米国人又はその他の者 により或いは彼らを通じて企てられた取引又は行為にも適用されなければな らず、節(2)に述べる例外は別途禁止されるものであって前述の例外の意図 する範囲外の行為若しくは同意(応答様式を含め、振る舞いの有り様から明 白に又は暗黙になされるもの)を許可してはならないと、前述の規則で明白 に規定しなければならない。 (b)外交政策規制 (1)本項の副項目(a)に従い公布される規則に加えて、本法の第6項に基づき公 布される規則は第3項、節(5)に述べる政策を実施しなければならない。 (2)第3項、節(5)で言及された、情報の提供、協定の締結又は実施、若しくは その他の措置を取るよう要請を受けた米国人は、商務長官がかの項の政策を 遂行するために適切と考える措置を商務長官が講ずるに必要な前述の要請に 関するその他情報と一緒に、その事実を商務長官に報告しなければならない と、前述の規則で要求しなければならない。前述の者は併せて、前述の者が 承諾する積りであるか否か、及び前述の者が前述の要請に従っているか否か を商務長官に報告しなければならない。本節に従って提出された報告書は全 て迅速に縦覧に供せられ、かつ複写できるようにしなければならない。但し、 商務長官がその開示は当該米国人を競争面で不利な立場に置くことになると 決定しているなら、前述の報告書に関連し数量、銘柄、及び貨物又は技術の 価格に係わる情報等機密扱いにしておかなければならない情報を除く。商務 長官と協議の上、国務長官が本法の第3項、節(5)に述べる政策を遂行する ために適切と考える措置を取れるように、商務長官は前述の報告書に含む情 報の要約を国務長官に定期的に伝達しなければならない。 (c)優先権 本項の条項及びそれに従い公布された規則は、幾つかの州又はコロンビア特 別区のいずれか、又は合衆国の領土又は属領のいずれかの、又はそれらの政 府の部局のいずれかの、法律、ルール、規則に優先する。但し、その法律、 ルール、規則はその他の国に対し外国から奨励され若しくは課された制限的 取引慣行又はボイコットに関する情報、への関与、の遵守、の実施、又はそ の提供に関係するものに限る。 第9項 「輸出規制の苦難軽減のための手続き」 (a)請願書の提出 その者が国内で製造する過程又は国内でその他営業活動をするにおいて、合 衆国から歴史的に入手される物品だが輸出規制を受けるようになっているも のから、全部又は部分的に外国で生産される製品を利用するものは誰でも、 若しくは前述の物品を歴史的に輸出しているものは誰でも、前述の規制の賦 課から生ずる特有の困難を軽減するために前述の規制の免除を要請する苦境 請願書を商務長官に送ることができる。本項に基づく請願書は、商務長官が 規定するような様式であって、かつ要請のあった軽減の必要性を証明する情 報を含まなければならない。 (b)商務長官の決定 副項目(a)に基づく請願書を受領後30日以内に、商務長官は要請のあった 軽減を授与し又は拒絶する裁決書を請願者に伝達しなければならない。前述 の裁決には授与又は拒絶する商務長官の根拠を述べた説明を含まなければな らない。授与された如何なる免除も商務長官が適切と考える条件に従うもの とする。 (c)考慮すべき要因 本項では、輸出規制の賦課から直接的又は間接的に生ずる特有の困難の軽減 の授与又は拒絶に関する商務長官の裁決には、商務長官の例えば次のような 要因の考察結果を反映させなければならない。 (1)拒絶すれば請願者に特有の困難を引き起こすことになり、適用される規則の 例外を授与することによってのみ軽減できるものか否か。軽減が授与される べきか否かを決定するにおいて、商務長官は次のことを考慮しなければなら ない。 (A)その材料の所在地又は性質によりそれに対する実際的な国内市場が存在し ない当該材料の所有権; (B)もし例外を授与されなければ、申請者に重大な財務上の損失が出る可能性; (C)輸入による以外に、規制される物品から海外で生産される国内使用に不可 欠な品目を入手できないこと; (D)申請者の固有の損害に比べて、合衆国が参加する国際協定に反映されるも のを含むその他の国家政策との、拒絶により生ずる矛盾の程度; (E)合衆国の全ての場所又は地域における(失業率を含む)経済に及ぼす悪影 響の可能性; 及び (F)個々の物品毎の輸出割当に関し設定されるどの基準期間中にも申請者の輸 出履歴がないことを含め、その他関連する要因。 (2)申請者のための裁定が供給不足規制計画の基本目的を結果的に達成すること になるか否か。 全ての場合において、より高い価格で売りそれによってより大きな利潤を得よ うとする願望が特有の困難の証と見なされてはならず、又その困難が請願者の 軽率な行為若しくは役割を怠ったことによる場合も同様である。 《輸出許可申請書の処理手続き》 第10項 「その他審理」 (a)商務長官の責務 (1)本法に基づき要求される全ての輸出許可申請について、申請者はそれを商務 長官に提出しなければならない。商務長官は前述の申請に関するあらゆる決 定を本項に規定する手続きに従って行わなければならない。 (2)商務長官が輸出許可申請に関する決定を、最大限可能な範囲で政府のその他 の省又は機関への前述の申請の照会なしにされることが議会の意図するとこ ろである。 (3)必要な範囲で、商務長官は輸出に重要な関係を有する合衆国の国内及び外交 の政策と実施面で関係する政府の省及び機関から情報及び勧告を求めなけれ ばならない。前述の省及び機関は前述の情報及び勧告の提出に充分な協力を しなければならない。 (b)一次審査 副項目(a)(1)に準じ輸出許可申請書が提出された日から10日以内に、商務 長官は次の(1)〜(5)の全てを実行しなければならない。 (1)申請者に申請書の受領及び受領日の通知を送付する; (2)申請者に本項により要求される手続き、当該申請書に関する商務長官の及び その他省又は機関の責務、並びに申請者の権利の文書による説明を提示する; (3)それによって申請書の再提起が適切に行えるに充分な情報がありながら、も し当該申請書が適切に仕上がっていないなら、若しくはもし付加情報が必要 なら、何の措置も取らず当該申請書を戻す。そしてその場合に、もし前述の 申請書が再提起されるなら、本項に規定する期間の計算の目的上それは新規 の申請として扱われるべきである; (4)当該申請書をその他省又は機関に照会する必要があるか否かを決定し、そし てもし前述の照会が必要と決定するなら、申請者に当該申請書が照会される 上記の省又は機関を通知する; 及び (5)合衆国がそのメンバー(参加国)である、公式又は非公式の多国間協定に従 い当該申請書を他国間再検討プロセスに提出する必要があるか否かを決定し、 そしてもし必要なら、申請者にこの要件を通知する。 (c)確かな申請書に関する措置 副項目(o)に規定されている場合を除き、その他省又は機関に情報及び勧告を 求め申請書を照会する必要はないと商務長官が決定する時はその都度、適切 に仕上がっている申請書が本項に従い提出されてから60日以内に、許可証 が正式に発行され若しくは拒絶されなければならない。 (d)その他省及び機関への照会 副項目(o)に記述する報告書の場合を除き、その他省又は機関に情報及び勧告 を求め申請書を照会する必要があると商務長官が決定する時はその都度、適 切に仕上がっている申請書が提出されてから20日以内に、商務長官は次の ことをしなければならない。 (1)商務省の必要な全ての分析及び勧告と一緒に、申請書を上記省又は機関の全 てに同時に照会する;及び (2)当該申請者が要請するなら、上記省又は機関に照会されるものであって、論 議中の輸出を説明するための上記申請書に関する証拠書類を、前述の書類は 提案された輸出を正確に説明しているか否かを決定するために、申請者に正 確を期して再検討する機会を与える。 副項目(b)に述べる10日間に係わらず、副項目(o)に記述する輸出の場合で、 その他省又は機関に情報及び勧告を求め申請書を照会する必要があると商務 長官が決定する時はその都度、商務長官は適切に仕上がっている申請書を受 取り次第直ちに、前述の省又は機関に再検討を求め申請書を照会しなければ ならない。前述の再検討は商務省のそれと並行して行われなければならない。 (e)その他省及び機関による措置 (1)副項目(d)に従い申請書が照会される省又は機関は、当該申請書に関し要請 された情報又は勧告を商務長官に提出しなければならない。その情報又は勧 告は省又は機関が当該申請書を受取ってから20日以内に、又は副項目(o) に記述する場合はかの副項目により許される期間の満了日前に、提出されな ければならない。節(2)に規定されている場合を除き、前の文に規定する期 間内にその勧告を提出しない何かそんな省又は機関は前述の申請書の承認に 異議なしと、商務長官は見なさなければならない。 (2)(A)副項目(o)に記述する輸出の場合を除き、もし、何かそんな省又は機関の 長が節(1)にその勧告の提出を規定している期間の満了日前に、前述の省 又は機関が見直しを行うためさらに時間を要すると商務長官に通知するな ら、前記の省又は機関はその勧告を商務長官に提出するための20日間の 延長を新たに受けられる。もし、上記の省又は機関が前の文で規定する期 間内に勧告を提出しないなら、商務長官はそれを前述の申請書の承認に異 議なしと見なさなければならない。 (B)副項目(o)に記述する輸出の場合に、もし、何かそんな省又は機関の長が 副項目(o)(1)に規定する15日の期間満了日前に、前述の省又は機関が見 直しを行うためさらに時間を要すると商務長官に通知するなら、商務長官 は副項目(o)(1)(C)に従い申請者に当該申請書の検討期間を延長する必要 がある事を通知しなければならず、また前述の省又は機関は副項目(o)(2) により許される限度内で当該申請書を検討する時間の延長を受ける。もし、 前述の省又は機関が副項目(o)に基づき許される期間内にその勧告を提出 しないなら、商務長官はそれを前述の申請書の承認に異議なしと見なさな ければならない。 (f)商務長官による措置 (1)上記の副項目(e)に規定される通り、許可申請書に関するその他省及び機関 の勧告を受領してから60日以内に、商務長官は許可証を正式に発行若しく は拒絶しなければならない。許可証を発行するか又は拒絶するかを決定する において、商務長官は論議中の申請書に関する省又は機関の勧告を考慮しな ければならない。商務長官が相いれない勧告を受取った場合に、商務長官は 本副項目に規定する60日の期間内に前述の相いれない勧告を解決するに必 要な措置を講じなければならない。本節の条項は副項目(o)に記述する輸出 の場合に適用されない。 (2)商務長官が申請書に関しその他省又は機関から疑問若しくは否定的な考察又 は勧告を受取った場合に、商務長官は最大限国家安全保障及び合衆国の外交 政策に一致する範囲で、申請者に文書で提起された疑問及び何かそんな否定 的な考察又は勧告を通知しなければならない。当該申請書に関する最終決定 がなされる前に、申請者に次の権利が与えられなければならない。 (A)商務長官から上記情報を受領後30日以内に、前述の疑問、考察、又は勧 告に文書で応答すること; 及び (B)上記情報を受領後15日以内に請願書を商務長官に提出した上で、本人自 ら前述の疑問、考察、又は勧告を提起する省又は機関に応答すること。 本節の条項は副項目(o)に記述する輸出の場合に適用されない。 (3)商務長官がその申請書を拒絶すると決定している場合には、申請者に文書で 前述の決定をしてから5日以内に次の(A)〜(G)を通知しなければならない。 (A)審査終了 (B)拒絶案の法的根拠 (C)拒絶案により推進されることになる本法の第3項に述べる政策 (D)もしあれば、許可を求める貨物又は技術に修正若しくは制限を加えればそ のような輸出に対し本法に基づき課された輸出規制に匹敵するものと認め られるところのもの (E)もし適切ならば、前述の修正若しくは制限に関する考慮すべき事柄につい て、当該申請に精通している商務省のどちらの担当官又は従業員が申請者 にとって正当に利用できるか (F)合衆国の国家安全保障及び外交政策に一致する範囲で、申請書の拒絶決定 に至った考慮すべき具体的な問題点、 及び (G)上訴手続きが利用できること。 商務長官は許可申請を拒絶する前に、申請者がその商務長官決定に応答する ための期間を少なくとも30日は与えなければならない。もし許可申請に関 する裁決が本項の条項に相反して延期されると言う時には、申請者に前述の 延期が始まってから5日以内に文書でそのように通知しなければならない。 (4)もし、商務長官が特定の申請書又は一連の申請書は格別重要かつ複雑であり、 申請書又は一連の申請書を修正するための交渉に時間延長が必要と決定する なら、商務長官は本項に規定する任意の期間を延長することができる。商務 長官は前述の延長及びそのための理由を議会と申請者に通知しなければなら ない。本節の条項は副項目(o)に記述する輸出の場合に適用されない。 (g)国防長官のための特別手続き (1)本項のその他条項にも係わらず、国防長官は国家安全保障目的のために輸出 が規制される仕向け国への貨物又は技術の提案された輸出を見直し、かつ、 前述の貨物又は技術の輸出が合衆国の国家安全保障にとって致命傷となるも のであって、前述の国の軍事的潜在力に重大な貢献をすることになると国防 長官が決定する時はいつでも、大統領に前述の輸出が認められないよう勧告 する権限が付与されている。 (2)如何なる法律のその他条項にも係わらず、国防長官は商務長官と協議して、 節(1)の中で言及された決定をするために国防長官が見直すべき取引の種類 と部類(categories)を決定し、文書で確認しなければならない。前述の種類 又は部類に入る貨物又は技術の、輸出が国家安全保障目的で規制されている 国向け輸出について許可又はその他権限が要請される時はいつでも、商務長 官は国防長官に前記要請を通知しなければならず、及び商務長官は大統領が 前述の輸出を認めていない期間の期限が切れる前にその要請に従い許可又は その他権限を与えてはならない。国防長官は本節に従い商務長官により提出 された通知書を慎重に考察しなければならず、かつ、その要請通知があって から20日以内に次の(A)〜(C)のいずれかをしなければならない。 (A)大統領及び商務長官に、もし国防長官が前述の貨物又は技術の輸出が合衆 国の国家安全保障にとって致命傷となるものであって、前述の国若しくは その他如何なる国の軍事的潜在力に重大な貢献をすることになると決定す るなら、当該貨物又は技術のそれら特定の国向け輸出に対する要請を国防 長官は認めたくないと勧告する; (B)商務長官に国防長官は特定条件に従った承認を推奨すると通知する; 又は (C)商務長官に貨物又は技術の輸出が承認されるよう勧告する。 国防長官が節(2)(A)に従って大統領に勧告する時はいつでも、商務長官が国 務長官と意見を異にするなら、商務長官もまた当該輸出要請に関し大統領に 彼の勧告を提出しなければならない。もし、国防長官からの勧告を受取って から20日以内に、大統領が商務長官に大統領は前述の輸出を認めないと通 知するなら、前述の貨物又は技術の前述の国向け輸出について許可若しくは その他権限が与えられてはならない。もし、国防長官が本節(2)に指定する 20日の期間内に本節に基づく勧告又は通知をしないなら、若しくは、大統 領が国防長官からの輸出に関する勧告を受取ってから20日以内に、大統領 は当該輸出を承認又は不可とすることを商務長官に通知しないなら、商務長 官は前記勧告又は通知なしに輸出の許可若しくはその他権限についての要請 を承認又は拒絶しなければならない。 (3)本副項目の条項の通りに、及び適用できる限り、その他本項に述べる期間及 び手続きに合わせて、商務長官は許可申請を承認若しくは不可とし、かつ、 許可証を発行又は拒絶しなければならない。 (h)多国間規制 本項の副項目(c),(f)又は(g)に基づき最終的に承認されている申請が、公式 又は非公式に合衆国がそのメンバーである多国間協定に準じて、多国間審査 過程に提示されるよう要求される場合はいつでも、前述の副項目に規定する 通り許可証を発行してはならないが、商務長官は申請者に前述の多国間審査 を条件とする商務長官による申請書の承認(及び承認の日付)を通知しなけ ればならない。許可証は前述の多国間審査に基づく申請書の承認があり次第 発行されなければならない。もし、多国間審査が前述の日付から40日以内 に申請書に関する結論を得るに至っていなければ、商務長官が許可証の発行 は合衆国の国家安全保障にとって有害になると決定していない限り、商務長 官の許可承認が最終決定となり許可証が発行されなければならない。商務長 官が係る決定(期限切れ承認又は拒絶)をしたその時点で、商務長官は申請 者にその決定を通知し、かつ、議会にその決定、決定理由、多国間審査が前 述の40日の期間内に結論を得られなかった理由、及び多国間審査の結論を 得るために合衆国が計画し又は講じている措置を通知しなければならない。 前述の通知を議会にしてから40日間毎その末日に、商務長官は申請書の状 況を申請者及び議会に知らせなければならず、かつ、議会にさらなる遅延の 理由と多国間審査の結論を得るために合衆国政府が講じているさらなる措置 について詳細に報告しなければならない。それに加えて、商務長官が多国間 審査の結論に基づいて許可証を発行若しくは拒絶したその時点で、商務長官 は議会に前記の発行又は拒絶を及びその多国間審査に要した総所要時間を通 知しなければならない。 (i)記録 商務長官及び本項に基づき申請書が照会された省又は機関は、商務長官若し くは前述の省又は機関が検討した全ての申請書に関する正確な記録、商務長 官の場合には前述の省又は機関から受取った意見の異なる勧告を含む、を保 持しなければならない。 (j)上訴及び法廷訴訟 (1)商務長官は如何なる申請者でも当人の輸出許可申請の拒絶を不服とする商務 長官への上訴ができる適切な手続きを確立しなければならない。 (2)本項に規定される措置が当該許可申請に関し本項により確立された期間内に 講じられない場合はいつでも(申請者に通知されている副項目(f)(4)に基づ く延長期間の場合を除く)、申請者は商務長官に本項の要件の遵守を要請す る請願書を提出できる。前述の請願書が提出された時、商務長官は請願書が 起こされている状況を正すために即座に措置を講じなければならず、かつ、 直ちに前述の措置を申請者に通知しなければならない。 (3)もし、請願書が節(2)に基づき提出されてから20日以内に、申請書の処理 が本項の要件に未だ適合されていないか、又は申請書が前述の要件に適合し ているが、商務長官が未だ申請者にそのように通知していないなら、申請者 は本項の要件の遵守を要求するために、禁止命令、仮又は終局差し止め命令、 若しくはその他適切な救済を求め適切な合衆国連邦地方裁判所に提訴できる。 合衆国連邦地方裁判所は、適宜、前述の救済を与える権限を有する。 (k)申請要件の変更 本項の副項目(b)(3)に規定されている場合を除き、許可申請書が提出された 後、商務長官が係る許可申請要件を変更する場合はいつでも、商務長官は申 請者に適切な付加情報を要請できるが、しかし、商務長官はそれが変更され た要件を満たさないと言う理由で、何の措置も取らずその申請書を申請者に 返却してはならない。 (l)その他の問い合わせ (1)商務長官が或る物品又は技術の規制リストに基づいた適正な分類を求める文 書による要請を受け付けた場合はいつでも、商務長官はその要請を受取って から10就業日以内に、その要請をした者に適正な分類を通知しなければな らない。 (2)本法に基づく輸出許可要件の提議する輸出の取引又は一連の取引への適用性 についての情報の文書による請求を商務長官が受け付けた場合はいつでも、 商務長官はその請求文を受取ってから30日以内に、その請求をした者にそ の情報で応じなければならない。 (m)小企業援助 本副項目の制定日から120日以内に、商務長官は小企業が本法に基づく輸出許 可の申請手続きをするのを援助する計画を作成し議会に伝達しなければなら ない。その計画には、とりわけ、申請書の提出及び貨物又は技術の規制リス トに基づいた特定について小企業に助言する取り決め、輸出規制及び許可手 続きについて小企業を教育するための研究集会と協議の提案、並びに情報提 供パンフレットの作成を含まなければならない。商務長官は、1988年の輸出 拡大法制定日[1988年8月23日]から120日以内に、小企業が輸出許可の申請 手続きをするのを援助するために本副項目に基づき作成された計画の実施に 講じた措置について議会に報告しなければならない。 (n)許可申請に関する報告書 (1)本副項目の制定日[1985年7月12日]から180日以内であって、その(制定日) 後各3ヵ月間の終わりまでに、商務長官は下院の国際関係委員会へ及び上院 の銀行住宅都市委員会へ次のことを掲載する報告書を提出しなければなら ない。 (A)先行する3ヵ月間の間に処置が完了した全ての申請書で、かつ、本項の副 項目(c),(f)(1)又は(h)に基づき許可された期間を超える期間を要したも のであって、場合によっては、当該申請を承認又は拒絶する決定通知を申 請者に送付する前の申請書; 及び (B)独立した項で、場合によって、本項の副項目(c),(f)(1)又は(h)に基づき 許可された期間を超える期間に渡り現在処理中の全ての申請書であって、 それについて最終指令が出されていない申請書。 (2)各申請書に関し、各記載項目毎に次の事項が識別できなければならない。 (A)申請書事例番号; (B)申請書に関連する貨物又は技術の価格; (C)貨物又は技術の仕向け国; (D)商務長官が申請書を受け付けた日付; (E)商務長官が申請書を承認又は拒絶した日付; (F)申請書の承認又は拒絶の通知が申請者に送付された日付; 及び (G)その適切に完結された書式での申請書を受領した時点と、その報告書に関 連する3ヵ月間の末日又は申請書の承認又は拒絶の通知が申請者に送付さ れた日付のどちらか早い(古い)方との間に経過した日の総数。 (3)その他省又は機関に照会された申請書に関し、記載項目に次の事項もまた含 まなければならない。 (A)申請書が照会された省又は機関の名称; (B)前述の照会がされた日付(単数又は複数); 及び (C)それらの省又は機関から勧告書を受け付けた日付(単数又は複数)。 (4)その他省又は機関に照会された申請であって、前記の省又は機関が本項の副 項目(e)に基づき勧告を提出して良い期間内に、当該申請に関する勧告を提 出していなかった或いは未だに提出していないものに関し、記載項目に次の 事項もまた含まなければならない。 (A)申請書の処理に責任を有する事務所の名称及びその事務所の責任者の 地位; 及び (B)勧告書が提出されるまでに経過した期間又は、場合によっては、申請書の 照会以来現在まで経過している期間。 (5)各報告書には次の(A)及び(B)を含む緒言もまた設けなければならない。 (A)次の(@),(A)に基づきグループ分けされた、本副項目の節(1)の(A),(B) に記述した申請書の数、及びその申請書に関係する貨物又は技術の価格の 一覧 (@)申請書に関する措置が完了するまでに経過した日数であって、次の 通り(5区分) 61〜75日,76〜90日,91〜105日,106〜120日,120日〜 (A)申請書の処理のために本項の副項目(c),(f)(1)又は(h)に基づき許可さ れた期間を超えて、申請書に関する措置が完了するまでに経過した日 数、若しくは申請書の完了のために何の措置も取らず経過している日 数であって、次の通り(5区分) 〜15日,16〜30日,31〜45日,40〜60日,61日〜 (B)本副項目の節(1)の(A),(B)に記述した申請書の数、及びその申請書に関係 する貨物又は技術の価格の仕向け国別の一覧。但し対象とする申請書はそ の措置が60日以内に完了しなかったものに限る。 (o)調整委員会加盟国向け輸出 (1)調整委員会として知られるグループに参加する政府間の協定に従ってその貨 物又は技術に関する輸出規制を維持している国向けの前記貨物又は技術の輸 出について、個別の公認された許可の申請書を商務長官に正式に提出した日 付から15就業日後に、次の(A)〜(C)のいずれかに該当しない限り、申請書 に明記された取引についての許可が有効になり実施されることとなり、その 貨物又は技術の輸出が前記許可に従い認可される。 (A)その申請書が別途商務長官により承認されており、そしてその場合それは 承認の約定によって有効になり実施されることとなる; (B)その申請書が本項に従い商務長官により拒絶されており、かつ、申請者に そのように通知されているか、或いは申請者に本項の副項目(f)(3)に従い その申請書は拒絶されると通知されている; 又は (C)商務長官がその申請書を検討するために時間延長を必要としており、かつ、 申請者にそのように通知している。 (2)もしも商務長官が節(1)(C)に従い申請者に、個別の公認された許可の申請書 を検討するためにさらに時間を必要とする旨通知する時には、次の(A),(B) のいずれかに該当しない限り、前述の許可申請書が正式に商務長官に提出さ れた日付から30就業日後に、申請書に明記された取引についての許可が有 効になり実施されることとなり、その貨物又は技術の輸出が前記許可に従い 認可される。 (A)その申請書が別途商務長官により承認されており、そしてその場合それは 承認の約定によって有効になり実施されることとなる; 又は (B)その申請書が本項に従い商務長官により拒絶されており、かつ、申請者に そのように通知されているか、或いは申請者に本項の副項目(f)(3)に従い その申請書は拒絶されると通知されている。 (3)本副項目に属する個別の公認された許可の申請書を見直すにおいて、商務長 官は申請書に述べられた情報並びに最終需要者の信頼性を評価しなければな らない。 (4)本副項目の如何なる内容も本法の第4項、節(a)(2)に述べる複合的な輸出を 認可する許可証の範囲又は有効性に影響を及ぼすものではない。 (5)本副項目の条項は1985年の輸出管理改正法の制定日[1985年7月12日]から 4ヵ月後に実施される。 [訳者補足] 1.第9項の見出しのhardship relief from export controlsについて hardship reliefは苦難軽減を意味するので、’輸出規制の苦難軽減’の 如く訳した。 2.第9項(a)中のa good historically ・・・・ but whichにおけるbutの意味 butの用法には否定的構文に続いて、下記のようにbut (that) 〜の従属節 を導くことがある。(リーダーズ英和辞典p349) He is not such a fool but (that) he can tell that. それくらいのことが分からないほどの馬鹿ではない。 しかし、このbut whichにおけるwhichはa goodを先行詞とする関係代名詞 であり上記のような従属節を導くものではない。そこで、このbutはwhich 以下の関係節全体を修飾する副詞とみなし’だが’と訳した。訳文は本文 に示す通りである。 3.第10項(c)中のrefer an application ・・・・ for its informationについて referには’照会する’の他に委託する、言及する等の意味があるが、ここ では前記の照会するの意味に取った。 4.第10項(j)中のappealについて appealは上訴[控訴・上告・抗告]を意味する。ここでは、司法と行政訴 訟との違いを示すために、行政訴訟では上級審への審査申立てを全て上訴、 司法の場合はこれを第二審への上訴を控訴、最高裁への上訴を上告、決定 又は命令に対して、その決定又は命令をした裁判所(原裁判所)の上級裁 判所への不服申し立てを抗告とした。 5.第10項(n)(1)(B)のfinal actionについて これは下記の知的財産大辞典(http://www.chizai-word.com/cat36/)の用 語説明に準じ’最終指令’と訳した。 final actionとは、米国出願におけるoffice action(庁指令:拒絶理由 通知)に対して、応答書や補正書を提出して対応しても、拒絶理由が解消 されない場合に通知される最終指令のことです。 6.第10項(n)(5)(B)のa summary by country of destination of 〜の訳 a summary of 〜は〜の一覧[概要、要約、集計]であり、by country of destinationは仕向け国別にを意味する。従って、〜の仕向け国別一覧と 訳した。 [改訂来歴] REV1 '09.08.06 @第9項見出しのhardship reliefの訳を’困難な救済’→ ’苦難軽減’に訂正し、これに合せ本文見出し及び[訳者 補足]1項を訂正した。 参考のため改訂前の訳を次に示す。 見出し;「輸出規制の軽減が難しい場合の手続き」 [訳者補足]1項;第9項の見出しのhardship relief from export controlsについてこれは輸出規制からの困難な救済を意味するので、 ’輸出規制の軽減が難しい場合’の如く訳した。 A第10項(n)(1)(B)中の,as the case may be,をその後のand 以下の文節に含めて訳していたが、これを前の文節に含め るように本文を訂正した。 参考のため改訂前の訳を次に示す。 (B)独立した項で、本項の副項目(c),(f)(1)又は(h)に基づき許可された 期間を超える期間に渡り現在処理中の全ての申請書であって、場合によ っては、それについて最終指令が出されていない申請書。 B第10項(j)見出しのcourt actionの訳語を’裁判所の措置’ →’法廷訴訟’に訂正した。