輸出管理規則(EAR)の法的典拠

                   (partT.sec.12-21)           



第12項 「執行」

(a)一般的な権限

 (1)本法の執行又は1949年制定の輸出規制法若しくは1969年制定の輸出管理法か

   ら生起する刑罰、没収又は責任の賦課に必要若しくは適切な範囲で、それに

  従って職務を果たす省又は機関の長(及びその長により特別に指名された前

  述の省又は機関の担当官又は職員)は、合衆国内において当該調査を行なう

  ことができ、そして関税局長官(及び長官により特別に指名された合衆国税

  関の担当官又は職員)は、合衆国外において当該調査を行なうことができ、

  さらに、前述の省又は機関の長(及びこれらの担当官又は職員)は、如何な

  る人からでも当該情報を入手し、その者による当該報告若しくは当該記録の

  保管を要求し、その者の帳簿、記録及びその他の文書、家屋又は財産の検査

  を行ない、さらにその者の宣誓証言をとったりすることができる。それに加

  えて、前述の担当官又は職員は、宣誓証言若しくは無宣誓証言をさせ、さら

  に、召喚状によって如何なる者にも出頭し証言すること又は出頭し帳簿、記

  録及びその他の文書若しくはその両方を提示することを要求できる、そして、

  如何なる者でも命令に服従しないか、その者に出された召喚状に従うことを

  拒絶した場合、合衆国連邦地方裁判所は当該者への通知及び聴取の後、当該

  者に出頭し証言すること又は出頭し帳簿、記録及びその他の文書若しくはそ

  の両方を提示することを要求する命令を発行する権限を持つものとし、さら

  に、この法廷命令に従わなかった場合には、法定侮辱罪として前述の裁判所

  により処罰されることがある。本節により与えられた権限に加えて、商務長

  官(及び商務長官により指名された商務省の担当官若しくは職員)は、合衆

  国外において、許可前調査及び輸出が許可される品目の出荷後証明、及び本

  法の第8項の執行に関する調査を実施することができる。

 (2)(A)本節の副段落(B)を条件として、合衆国税関は、本法を実施するために、

   税関の担当官が法律によりその捜索、留置及び差し押さえする権限を有し

   ている合衆国から出港又は入港するそれらの港で、さらに、税関が他国と

   の協定若しくはその他取り決めに従って、執行業務を行なう権限が与えら

   れている合衆国外のそれらの場所で、貨物又は技術を捜索し、(捜索の後)

   留置し、及び差し押さえする権限が与えられている。

   (B)合衆国税関の担当官は、本法に基づく執行権限を遂行するために、以下の

   ことを行なうことができる。

     (@)本法に違反して、合衆国から輸出されたか、輸出中であるか、今まさ

     に輸出されようとしている貨物又は技術がそこにあると疑う妥当な根

     拠を当該担当官が持つ、車両、船舶、航空機又は人物を停止、捜索及

     び検査すること。

     (A)本法に違反して、合衆国から輸出されたか、輸出中であるか、今まさ

     に輸出されようとしている貨物又は技術がその中にあると疑う妥当な

     根拠を当該担当官が持つ包装物又はコンテナを捜索すること。

     (B)もし、担当官がその貨物又は技術は、本法に違反して、合衆国から輸

     出されたか、輸出中であるか、今まさに輸出されようとしていると信

     じる相当な理由を持つなら、当該車両、船舶、航空機又は人に搭載・

       携帯している若しくはそれに関する、又はその包装物若しくはコンテ

     ナにある貨物又は技術を、審理のために(捜索の後)留置し、又は差

     し押さえ獲得すること。

     (C)彼又は彼女の面前若しくは見える所で犯された本法の違反に対して、

     或いは担当官が逮捕されるべき者はその違反を犯したか又は犯してい

     ると信じる相当な理由を持つ場合に、令状がなくても逮捕すること。

   本副段落の(iv)箇条により与えられる逮捕の権限は、他の法律に基づく逮

   捕の権限に付加される。税関は、第4項(a)(3)節に基づく一般使用許可証

   のもとでの輸出適格貨物又は技術の積荷を、20日を超えて留置することは

   できない。前述の留置が、当該貨物又は技術の輸出許可要件に関係するそ

   の他法律の条項のもとに輸出許可の権限を有するその他の省又は機関の長

   と商務長官との間の不一致が理由である場合に、その不一致はかの20日の

   期間内に解決されなければならない。かの20日の期間の終わりに、税関は

   その貨物又は技術の留置を解除するか、その他法律の条項により認可され

   る通り貨物又は技術を差し押さえなければならない。

 (3)(A)本節の副段落(B)を条件として、商務長官は、本法の第8項の執行責任を

   有しており、さらに本法の他の条項を実施するために、商務長官は、本副

   項目の節(2)(A)に明記されるそれらの港以外の合衆国内の場所で、貨物又

   は技術を捜索し、(捜索の後)留置し、及び差し押さえする権限が与えら

   れている。節(2)(A)に明記されるそれらの港及び場所での、貨物又は技術

   の捜索、(捜索の後での)留置又は差し押さえは、関税局長官又は関税局

   長官により指名された者の同意を得て、商務長官により指名された商務省

   の担当官又は職員により実施できる。

   (B)商務長官は、本法に基づく執行権限を遂行するために、以下のことを行な

   う商務省の輸出執行局の職員を指名することができる。

     (@)本法の条項の執行に関して、法廷又は合法的管轄権のある担当官によ

     り発行された令状又はその他の召喚状を実行する。

     (A)彼又は彼女の面前若しくは見える所で犯された本法の違反に対して、

     或いは担当官又は職員が逮捕されるべき者がその違反を犯したか又は

     犯していると信じる相当な理由を持つ場合に、令状がなくても逮捕す

     ること。

     (B)(i)又は(ii)箇条に記述される活動を遂行するために、小火器を携帯す

     ること。

 (4)1985年制定の輸出管理改正法により最初に与えられた節(3)に基づく権限は、

  司法長官によって承認された指針に従って行使されるものとする。この指針

  は、1985年制定の輸出管理改正法の制定日から120日後以内に発行されるも

  のとする。

 (5)本法の違反に関する全ての事案は、本法の第11(c)項に基づく民事罰及び行

  政制裁を決定するためには商務長官に、本法に従った刑事措置のためには司

  法長官に付託されるものとする。

 (6)その他法律の条項にも係わらず、合衆国税関は本法に基づく輸出規制の執行

  のために、1985会計年度では1200万ドル以下、1986会計年度では1400万ドル

  以下の費用をかけることができる。

 (7)1985年制定の輸出管理改正法の制定日から90日後以内に、商務長官は、財務

  長官の同意を得て、本法の執行における商務省及び合衆国税関の責務につい

  て本副項目に従って述べた手順を、官報で公表しなければならない。それに

  加えて、商務長官は、財務長官の同意を得て、本項の副項目(c)(3)に従う情

  報共有の手順、並びに私人によるしかるべき省及び機関への本法の執行に関

  する情報の提出についての手順を公表することができる。

 (8)本項では、本法の執行又は本法の違反への言及には、本法に基づき公布され

  る規則、命令又は輸出許可の執行又は違反への言及を含んでいる。

(b)免責

  如何なる人も、自ら罪を負う証言は忌避できる特権(黙秘権等)を理由に、

  本項に基づく要件の遵守を免除されるものではないが、合衆国法典第18編の

  6002項の免責条項が、係る特権を特別に主張する個人に適用されるものと

  する。

(c)機密性

 (1)本法の第8項(b)(2)の第3の文及び第11項(c)(2)(C)で別途規定されている

  場合を除き、1980年6月30日以前に本法に基づき入手した情報であって、荷

  送人の輸出申告書を含め機密とみなされる情報、又は当該情報の提供者が機

  密扱いの要請を行なった情報は、合衆国法典の第5編の552項に基づく開示

  を免除されるものとし、さらに当該情報は、商務長官がそれについて差し控

  えることが国益に反すると決定しない限り、公表されたり、開示されないも

  のとする。1980年6月30日以後に本法に基づき入手された情報は、法令によ

  り許可された範囲に限り差し控えることができる。但し、本法に基づく輸出

  許可申請の検討のために得られた、若しくはこの申請に関連する情報につい

  ては、その情報の公開が国益のためになると商務長官が決定しない限り、一

  般公開を差し控えるものとする。本副項目の制定は、1976年10月31日以前に

  提出されたボイコット報告書へ接近(アクセス)するために、合衆国法典の

  第5編の552項に基づき開始された司法手続きであって、1979年5月15日時点

  で未決定であったものには影響を及ぼさないものとする。しかし、そのよう

  な司法手続きは、恰も本法が制定されていなかったように継続されるものと

  する。

 (2)本法の如何なる内容も、議会へ又は会計検査院へ情報を与えない権限を授け

  ていると解釈してはならない。本法又は以前の本法に基づき、それがいつで

  あれ入手された輸出規制に関する全ての情報は、本法に基づき要求される報

  告書又は輸出許可申請書を含め、適切な管轄権をもつ議会の委員会又は小委

  員会の委員長又は少数党の有力メンバーの要請があり次第、当該委員会又は

  小委員会が利用できるようにしなければならない。前述のどんな委員会若し

  くは小委員会又はそれらの委員も、その情報を差し控えることが国益に反す

  ると全員出席の委員会で決定しない限り、本法又は以前の本法に基づき入手

  された輸出規制に関する情報であって、機密扱いで提出されたものを開示し

  てはならない。本副項目の節(1)にも係わらず、本節の第2の文で言及され

  る情報は、諜報、対敵諜報、及び捜査に関する情報源(諜報源等)、方法

  (諜報方法等)、及び活動(諜報活動等)であって、最初にその情報を入手

  した機関により(前記項目内容が)決定されるところのもの、の保護に合せ

  て、並びに1921年制定の予算・会計法(31 U.S.C. 716)の3l3項の条項に合

  せて、かの(最初に入手た)機関に限りかつそれにより、要請に応じて、合

  衆国会計検査院長官若しくはそのような情報を入手できる権限を会計検査院

  長官により与えられた会計検査院の担当官又は職員が利用できるようにされ

  なければならない。どんな会計検査院の担当官又は職員も、本節に従って議

  会に開示する場合を除き、機密扱いで提出された当該情報及びその情報から

  個人が特定できるような情報を開示してはならない。

 (3)調査に関する情報を含む、本法の執行に関連する情報を入手した省又は機関

  は、諜報、対敵諜報、及び捜査に関する情報源、方法、及び活動の保護に整

    合する範囲で、そのような情報を本法に基づき執行責任を持つ各省又は機関

  に提供しなければならない。本節の条項は、合衆国法典の第13編の9項に述

  べる制限を受ける情報には適用されないものとする;そして、1986年制定の

  内国歳入法の6103項の副項目(b)(26 U.S.C. 6103(b))で定義されるところ

  の納税情報(return information)は、あくまでも前述の項で認められる通り

  に開示される。商務長官及び関税局長官は、要請があり次第、執行努力及び

  効果的な輸出許可決定を容易にするために必要な審査・執行情報を、相互に

  交換するものとする。商務長官、司法長官及び関税局長官は、このような情

  報の交換を容易にするために、ずっと継続する形態で、お互いに、及び本節

  の規制を受ける情報を入手するその他の省及び機関の長と協議を行うものと

  する。

(d)報告要件 

   本法の執行において、報告要件は、効果的な執行と有用な貿易統計の編集に

  調和する実行可能な範囲で、本法に基づき要求される報告、記録保存及び輸

  出文書の提出費用を縮小するよう設計されなければならない。報告、記録保

  存及び輸出文書の提出要件は、情報技術分野における発展の見地から定期的

  に見直され、かつ、改訂されなければならない。

(e)規則の簡素化

  商務長官は、適切な合衆国政府の省及び機関並びに第5(h)項に基づき設立さ

   れた適切な技術諮問委員会と協議して、この規則の簡素化により、貨物規制

  リストの簡素化若しくは明確化により、又はその他の手段により、本法の条

  項の遵守がいかに容易になるかを決定するために、本法に基づき発行される

  規則及び貨物規制リストを見直さなければならない。





第13項 「行政訴訟手続き及び司法審査」

(a)免除

  第11(c)(2)項及び本項の副項目(c)に規定されている場合を除き、本法に基

  づき果たされる職務は、合衆国法典第5編の551項、553から559項まで及び

  701から706項までの効力から除外される。

(b)国民参加

  本法に基づき輸出に規制を課する全ての規則は、実行可能な範囲で、実施さ

  れる前に公衆の意見を聞く有意義な機会を持つ提案された形態で発行される

  ようにと言うのが議会の意向である。本法に基づき規制を課する規則が即時

  実施で発行される場合も、併せて公衆の意見を聞く有意義な機会が提供され

  るように並びに公衆の意見が充分に考慮された後、その規則が最終的な形で

  再発行されるようにと言うのが議会の意向である。

(c)民事罰及び制裁に関する手続き

 (1)民事罰又はその他の民事制裁(暫定拒絶命令又は第8項の違反に対する処罰

  若しくは制裁を除く)が本法の第11項に基づき求められる場合はいつでも、

  告発された当事者は、罪状を明細に述べた公式の訴状を受けとり、かつ、当

  事者の要請により、行政法審判官の前の審問においてその告発に異議を唱え

  る権利が与えられる。本副項目の条項を条件として、そのような審問は、合

  衆国法典第5編の556及び557項に従って、実施されるものとする。行政法審

  判官の承認を受けて、政府は告発された当事者又は当事者の代理人の面前に

  おいて、証拠を非公開で提出することができる。審問の後に、行政法審判官

    は裁決書において事実認定及び法律による判定をしなければならず、そして

  その裁決書は商務長官に付託されるものとする。商務長官は裁決書を受け取

  ってから30日後以内に、命令書において行政法審判官の裁決を支持するか、

  修正するか無効にしなければならない。商務長官の命令は、節(3)で規定さ

  れる場合を除いて、最終的なものとし、司法審査の対象とはならない。

 (2)節(1)に記述する訴訟手続きは、告訴が提出されてから1年以内に終局され

  るものとする。但し、正当な理由が示されたことにより行政法審判官が当該

  期間を延長する場合はこの限りでない。

 (3)節(1)に基づく商務長官の命令は最終的なものとする。但し、告発された当

  事者が、その命令が発行されてから15日後以内に、上訴を管轄する合衆国コ

  ロンビア特別区控訴裁判所において、その命令に対し上訴できる場合を除く。

  上訴が係争中の間は、裁判所は商務長官の命令を停止することができる。裁

  判所は、関与する民事罰又はその他の制裁に関する法的責任を決定するため

  に必要なそれらの争点に限り審理することができる。本節に基づく上訴の場

  において、裁判所は、それについて記録された実質的証拠がないと裁判所が

  認めた事実認定、並びにそれは恣意的、気まぐれ、及び裁量権の濫用である

  か若しくは他の方法で法律に従っていないと裁判所が認めた法律による判定

  を破棄しなければならない。

 (4)本副項目の中で言及される行政法審判官は、合衆国法典第5編の3105項に基

  づく選抜及び任命の資格があると考えられる者の中から商務長官により指名

  されるものとする。1985年制定の輸出管理改正法の制定日直前の10年の内少

  なくとも2年間、商務省の審問委員を努めていた者は、前述の地位に選抜及

  び任命される資格があるものと考えられる者の中に含まれるものとする。

(d)暫定拒絶命令の賦課

 (1)公衆の利益のために、本法又は本法に基づき公布された規則、命令若しくは

  輸出許可の差し迫った違反を防止するために必要な場合はいつでも、商務長

  官は、審問を行なうことなく、人に対して合衆国の輸出特権を一時的に拒絶

  する命令(これ以降、本副項目では"暫定拒絶命令"と呼ぶ)を出すことがで

  きる。暫定拒絶命令は、そのような差し迫った違反を防止するため商務長官

  が文書でさらに追加の180日間の延長・更新をしない限り、長くとも180日間

  有効とする。但し、暫定拒絶命令は審問の通知と機会が提供された後に限り

  更新することができる。

 (2)暫定拒絶命令は差し迫った違反を定義し、かつ、暫定拒絶命令が審問を行な

  うことなく交付された理由を述べなければならない。暫定拒絶命令の発行又

  は更新を受けた者(単数又は複数)は、行政法審判官にその暫定拒絶命令の

  発行又は更新について異議を申し立てることができ、そしてその行政法審判

  官が、異議が申し立てられてから10就業日以内に、当該暫定拒絶命令を支持

  するか、修正するか、又は無効にするかを勧告するものとする。当事者は訴

  訟事件摘要書及びその他の資料を審判官に提出することができる。行政法審

  判官の勧告は商務長官に提出するものとし、商務長官は勧告を受けてから5

  就業日以内に、文書による命令で勧告を受理するか、退けるか、修正するか

  のいずれかを行なうものとする。前文に基づく商務長官の文書による命令は、

  節(3)で規定されている場合を除き、最終的なものとし、司法審査の対象に

  はならないものとする。暫定拒絶命令は、その命令が本法又は本法に基づき

  公布された規則、命令若しくは輸出許可の差し迫った違反を防止するために

  公衆の利益にとって必要であると信ずるに値する場合に限り、支持されるも

  のとする。行政法審判官及び商務長官に提出された全ての資料が、裁判所に

  よる審理のための行政上の記録になるものとする。

 (3)暫定拒絶命令の発行を全部又は部分的に支持する商務長官の命令について、

  その命令が発行されてから15日後以内に、その命令を受けた人は上訴を管轄

  する合衆国コロンビア特別区控訴裁判所に上訴することができる。裁判所は

  暫定拒絶命令を出す基準が満たされているか否かを決定する必要のあるそれ

  らの争点に限り審理することができる。もし、裁判所が商務長官の命令は恣

  意的、気まぐれ、裁量権の濫用であるか若しくは他の方法で法律に従ってい

  ないと認めるなら、裁判所は商務長官の命令を無効にしなければならない。

(e)輸出許可の拒絶をもととする上訴

  本法の第10(f)項に基づき輸出許可を拒絶する商務長官の決定について、当該

  申請者は輸出を求める品目が実際に規制リスト上にあるか否かに限り決定す

  る、訴訟手続きを実施する権限を有する行政法審判官に上訴することができ

  る。この訴訟手続きは、上訴が提出されてから90日後以内に実施されなけれ

  ばならない。この訴訟手続きにおいて前述の審判官の面前に提出されたあれ

  やこれや全ての資料に基づく行政法審判官による決定は、商務長官により審

  理されるものとし、商務長官はその決定を受けてから30日後以内に、裁決書

  でその決定を支持し又は無効にするかのいずれかを行なうものとする。商務

  長官の裁決書は最終的なものとし、司法審査の対象にはならないものとする。

  本法の第12(c)項で規定される制限を条件として、商務長官の裁決は官報で公

   表されるものとする。





第14項 「年次報告書」

(a)内容

  毎年12月31日までに、商務長官は前会計年度[10月1日から9月30日]の間の本

  法の執行に関する報告書を議会に提出しなければならない。全ての機関はこ

  の報告書のための情報提供において商務長官に充分に協力しなければならな

  い。前述の報告書には次の事項に関する詳細な情報を含めなければならない。

 (1)第3項に述べる政策の実施状況;

 (2)第5,6及び7項に基づく一般輸出許可活動並びに第5(a),6(a)及び7(a)項

  に入っている権限行使における変更;

 (3)個々の国向けの合衆国の政策の第5(b)項に従う見直し結果;

 (4)国家安全保障上の目的で維持されている輸出規制の見直し及び改正を含む、

  第5(c)(3)項により要求される措置の結果であって、国家安全保障と機密情

  報の機密性維持の必要性に合わせ含められるだけ詳細に収録したもの;

 (5)第5(d)項を遂行するために講じられた措置;

 (6)第5(e)項で言及される輸出規制を受ける品目のカテゴリーの変更;

 (7)第5(f)項に基づき行なわれる海外利用(外国製品の入手可能性)の決定、そ

  の決定を行なうのに用いられた基準、前述の項に基づく輸出規制の除去、及

  び海外利用があるにも係わらず国家安全保障上の目的で輸出規制を課する必

  要性を示す証拠;

 (8)第5(f)(6)項に応じて講じられた措置;

 (9)第5(g)項に基づくインデクセーション制度の運用;

 (10)第5(h)項に従って設立された技術諮問委員会との協議、前述の委員会より

  提出された助言の利用、及び本法に述べる政策の実施に向けての前述の委員

  会の貢献;

 (11)合衆国の外交政策を推進するために、第6項に基づき課せられる輸出規制

  の有効性;

 (12)第7項に基づく輸出規制及び監視;

 (13)以下の分析結果と一緒に、第7(b)(2)項により要求される報告書に含まれる

  情報:

   (A)本法又は1970年制定の農業法の812項(7 U.S.C. 612c-3)に基づき監視の対

   象となる貨物に対する品不足又は価格高騰が経済及び世界貿易に与える

   影響;

   (B)前述の貨物の世界的な供給;並びに

   (C)前述の品不足又は価格高騰に応じてその他の国によって講じられた措置;

 (14)本法の第3(5)項に述べる反不買同盟政策を遂行するために大統領及び商務

  長官によって講じられた措置;

 (15)本法に述べる政策の促進のために取られた組織的な及び手続き上の変更、

  輸出許可の手続きの効率を高めるための及び第10項の要件を満たすための変

  更を含み、さらに、受け取られた上訴、発行された裁判所の命令及び前述の

  項の副項目(j)に基づきそれに従って講じられた措置の説明を含む;

 (16)本法の第4(e)項で規定される大統領による権限委譲;

 (17)本法に基づき採択された政策及び手続きに関して事情に通じている合衆国

  の事業部門を保持するための努力;

 (18)本法の政策の促進のために取られた見直しであって、第12(d)項により要求

  される見直しの結果、及び第12(e)項により要求される見直しを基礎として、

  本法に基づき公布された規則を簡素化するために講じられた措置を含む;

 (19)第11項に基づく違反及び第12項に基づく執行活動;並びに

 (20)本法の権限に基づく規則の発行であって、規則が第13(b)項の最初の文に従

  って発行されなかったそれぞれの場合の説明を含む。

(b)特定の輸出規制に関する報告

  本法の第3項に述べる政策が、多国間規制を受けるもの以外の貨物及び技術

  の輸出規制を必要とする、若しくは他国間規制よりも厳重な規制を必要とす

  ると大統領が決定した範囲内で、大統領は各年次報告書に、そのような規制

  を課したり、課することを継続することが必要な理由及びそのような規制に

  より影響を受ける種々の産業に基づき予測される国内経済への影響を含めな

   ければならない。

(c)交渉に関する報告

  大統領は各年次報告書に、第5(i)項により要求される交渉の経過に関する詳

  細な報告を、その交渉が終わるまで含めなければならない。

(d)規制国向け輸出に関する報告

  商務長官は各年次報告書に、前会計年度中に本法に基づき承認された規制国

  向け輸出のあらゆる許可を一覧表示する詳細な報告を含めなければならない。

  前述の報告には、誰に輸出許可が与えられたか、輸出された貨物又は技術の

  種類、及びその貨物又は技術を受け取った国を明記しなければならない。本

  副項目により要求される情報は、本法の第12(c)項の条項の規制を受けるもの

  とする。

(e)規制国向け輸出の国内経済への影響に関する報告

  商務長官は各年次報告書に、規制国向け貨物及び技術の合衆国による輸出に

  よって引き起こされた合衆国産業への被害の範囲及び仕事の配置転換の範囲

   の詳細な内容を含めなければならない。年次報告書には併せて、規制国向け

   完成品引渡し契約のプラント及び製造施設であって、前述の国が合衆国に輸

   出する貨物を製造するため若しくは輸出市場において合衆国製品と競争する

   ために使用するもの、の輸出結果の完全な分析も含めなければならない。

(f)大統領の年次報告

  大統領は議会に次の年次報告書を提出しなければならない。それらは、違法

  な技術移転から生じる合衆国の国防費の追加費用を見積ったもの、違法な技

  術移転から生じる国防費用の見積り額に焦点を合わせたもの、結果として戦

  力の戦略的均衡に重大な悪影響を与えた違法な技術移転から生じる防衛費用

   の見積り額に焦点を合わせたもの。これらの見積り額は、結果として前述の

  重大な悪影響を与えた技術移転の諜報機関による査定に基づくものとする。

  この報告書にある種の機密情報を包含する機密扱いの付属文書をつけること

  ができる。





第15項 「行政上の及び規制上の権限」

(a)商務次官

  大統領は、上院の助言と同意により、次の職務を遂行する輸出管理担当の商

  務次官を指名しなければならない。その職務は、本法及び国家安全保障に関

  連するその他の法令に基づく商務長官の全ての職務であって、1985年制定の

   輸出管理改正法の制定日 [1985年7月12日]以前に通商管理担当の商務次官補

  事務所に委任されていたもの、並びに、前述の制定日以前に前述の事務所に

  委任されていた本法に基づくその他の職務であって、商務長官が委任できる

  もの。大統領は、上院の助言と同意により、前述の職務を遂行するために商

  務次官を補佐する2名の商務次官補を指名しなければならない。

(b)規則の発行

  大統領及び商務長官は、本法の条項を遂行するに必要な規則を発行すること

  ができる。 第5(a),6(a),7(a)又は8(b)項の条項を遂行するために発行される

  何かそんな規則は、金融、輸送又はその他の輸出サービス及び如何なる人の

  それへの関与にも適用することができる。その目的が第5項の、若しくは第

  5項の条項を執行するための第4(a)項の条項を遂行することになっている何

  かそんな規則は、それらの規則が見直しのために国防長官、国務長官、商務

  長官が適切と考えるその他の省又は機関、及び適切な技術諮問委員会に提出

  された後に限り発行することができる。前の文は、前述の規則が提出された

  職員、省又は機関の同意若しくは承認を必要としない。

(c)規則の改正

  もし、商務長官が本法に基づき発行された規則を改正するよう提案するなら、

  商務長官は、上院の銀行住宅都市委員会及び下院の国際関係委員会に、その

   改正の意図及び理論的根拠について報告しなければならない。前述の報告は、

  輸出許可目的の強化と関連して、改正案による合衆国の輸出者にとっての費

  用及び負担(増)を評価しなければならない。商務長官は、本法に基づき発

  行される規則を策定又は改正するために、本法の第5(h)項に基づき権限を与

  えられた技術諮問委員会と協議しなければならない。1984年1月1日に発効し

  た規則により定義された本法の第4及び5項に関する手続きは、引き続き効

  力を有するものとする。但し、商務長官が実質的で信頼できる証拠に基づい

  て、合衆国の国家安全保障に有害となる輸出品の転用防止を強化するため、

  又は輸出者及びそれら物品の販売業者への輸出許可及び事務処理の負担を軽

   減するために、具体的な変更が必要であると決定した場合はこの限りでない。





第16項 「定義」本法で使用される次のもの

 (1)術語”人”には単独の者及び複数の者及び個人、合名会社、株式会社、又は

  政府若しくはその機関を含めその他の形態の協会を含む;

 (2)術語"米国人"は、合衆国に居住する者又は国民(合衆国外に居住し米国人以

  外の者により雇用されている個人を除く)、国内企業(外国企業の常設の国

  内にある施設を含む)、並びに前述の国内企業により事実上支配されている

  国内企業の外国にある子会社又は系列会社(常設の外国にある施設を含む)

  であって、大統領規則で決定されているものを言う;

 (3)術語"貨物"は、品物、天然若しくは人工の物質、素材、貯蔵物又は工業製品

  であって、検査及び試験の装置を含み、技術データを除くものを言う;

 (4)術語"技術"は、情報及びノウハウ(有形なものとして、例えば模型(models)、

    原型(prototypes)、図面、下絵(skethes)、図表(diagrams)、青写真、若し

    くは手引き(manuals)など、或いは無形のものとして、例えば訓練若しくは

  技術業務など)の内、貨物を設計、生産、製造、利用若しくは復元するため

  に用いることができるものであって、計算機ソフトウェア及び技術データを

  含み、貨物自体を含まないものを言う;

 (5)術語"輸出"は、以下のものを言う

   (A)合衆国外へ貨物若しくは技術を現実に出荷、移転、若しくは伝達すること;

  (B)合衆国内にある貨物若しくは技術を規制国の大使館若しくは関連機関に移

   転すること; 又は

  (C)合衆国内或いは合衆国外にある貨物若しくは技術を、これらの貨物又は技

   術が無許可の受取人に出荷、移転若しくは伝達されることを知っていて或

   いはその意図をもってある者に移転すること。

 (6)術語"規制国"は、本法の第5(b)(1)項に基づき規制される国を言う;

 (7)術語"合衆国"は、合衆国の各州、コロンビア特別区及び合衆国の連邦区、領

  土、保護領及び領地を言い、連邦大陸棚領域法の2(a)項(43 U.S.C.1331(a))

  に定義されるところの連邦大陸棚を含む; 並びに

 (8)術語"長官"は、商務長官を言う。





第17項 「その他法律に及ぼす影響」

(a)総論として

  本法で別途規定される場合を除き、本法に含まれる如何なる内容も、貨物の

  輸出規制を認可するその他法律の条項を、修正し、廃止し、に取って代わり

  又はその他の形で影響を及ぼすと解釈してはならない。

(b)規制の調整

  本法に基づき大統領に与えられる権限は、武器輸出規正法(22 U.S.C. 2778)

  の38項に基づき行使される権限との有効な調整を成し遂げるようなそんな方

  法で行使されなければならない。

(c)民間航空機の装備品

  その他どんな法律の条項にも係わらず、次の(1),(2)の両方に該当する製品は、

  専ら本法に基づく輸出規制を受けるものとする:

 (1)民間航空機に用いられる、連邦航空局により認定された標準装備品であって、

  そのような航空機の切り離すことのできない一部となっている製品、 かつ

 (2)規制国以外の国に輸出されることになっている製品;

  そのような製品は、武器輸出規制法の38(b)(2)項 (22 U.S.C. 2778(b)(2))に

  基づく規制を受けないものとする。

(d)拡散防止規制

 (1)本法の第5又は第6項における如何なる内容も、1978年制定の核拡散防止法

  の309(c)項 (42 U.S.C. 2139a(c))に従い大統領により公表される手続きに

  取って代わると解釈してはならない。

 (2)1978年制定の核拡散防止法の309(c)項 (42 U.S.C. 2139a(c))に従い大統領

  により公表される手続きに基づき、核輸出調整サブグループ(SNEC)又はその

  他の政府省庁間で構成されるグループに付託される輸出許可申請に関して、

  本法の第10項の条項は、その公表された手続きに整合する範囲に限り、その

  輸出許可申請に関して適用されるものとする。但し、もし前述の手続きに基

  づく何かそんな申請の処理が、商務長官による申請書の受理後180日以内に

  完了しないなら、申請者は本法の第10(j)項に規定する上訴及び法廷訴訟を

  起こす権利を有するものとする。

(e)その他典拠の終結

  1979年10月1日に、1951年制定の相互防衛援助統制法(22U.S.C.1611-1613(d))

  が廃された。

(f)1970年制定の農業法

   本法の如何なる内容も、1970年制定の農業法の812項(7 U.S.C. 612c-3)の

  最後の文の条項には影響を及ぼさないものとする。





第18項 「歳出予算の認可」

(a)授権法の要件

 (1)その他法律のどんな条項にも係わらず、本法の目的を遂行するための費用と

  して商務省に割り当てられた金銭は、以下に該当する場合に限り、支払いに

  あてたり又は使うことができる。

   (A)それについての歳出予算が、1985年制定の輸出管理改正法の制定日[1985

   年7月12日]以降に制定された法律により予め認可されている場合; 又は

   (B)このような全ての債務及び支出の総額が、上記の日以降に制定された法律

   により予め規定された総額を超えない場合。

 (2)本法の目的を遂行するための歳出予算作成後に制定された法律がそれの債務

  又は支出を認可する限り、節(1)に含まれる制限は効力がないものとする。

 (3)本副項目の条項は、1985年制定の輸出管理改正法の制定日[1985年7月12日]

  後に制定された法律の条項であって、本副項目の条項を明確に廃止し、修正

  し若しくは、に取って代わるものによらない限り取って代えられないものと

  する。

(b)認可

  本法の目的を遂行するために商務省に割り当てられた以下の費用が認可され

  ている。

 (1)1993会計年度について42,813,000ドル;

 (2)1994会計年度のために必要なそう言う合計額; 及び

 (3)各会計年度については、給与、賃金、退職金、その他法律で認可される従業

  員手当て及びその他の非裁量的費用の増加のために必要なそう言う追加分

  合計。





第19項 「施行日」

 本法は1969年制定の輸出管理法の満了時に実施されるものとする。





第20項 「終了日」

 本法により与えられる権限は、2001年8月20日に終了する(注9)(注9)公法106-508(2000年11月3日) により、"1994年8月20日"は"2001年8月20日"

 に置き換えられた。本法は2001年8月20日に失効し、そして、2001年8月17日の

  大統領令13222(66 Fed. Reg.44025(2001年8月22日))により、大統領はこの規

 則[輸出管理規則]を国際緊急事態経済権限法のもとに引き続いて効力を有する

 ものとした。





第21項 「留保条項」

(a)総論として

  1949年制定の輸出規制法若しくは1969年制定の輸出管理法に基づき有効とな

  るように作成され、発行され、行われ若しくは許可された、かつ、本法が実

  施された時点で有効であった、全ての委任、原則、規則、決定、輸出許可又

  はその他の行政措置の形態は、本法に基づき修正され、取って代わられ、破

  棄され或いは廃止されるまでは、これらの条件に従って引き続き有効である。

(b)行政手続き

  本法が実施される時点[1979年9月30日]で未決定であって、1969年制定の輸出

  管理法に基づき、開始された行政手続き若しくは輸出許可申請に本法は適用

  されないものとする。 





[訳者補足]

 1.第12項(a)(2)(B)(B)のfor trialの後ifの前までの文においてorで等値す

   る句とそれらの関係

   前から順に区切った各句に番号を付しその間の修飾関係を次に示す。

  @any goods or technology       Aon or about 

  Bsuch vehiecle,・・・・,or person,  Cor in such package or container

   Bの区切りは同等の語句が三つ以上ある場合、最後の語句前のみorを置く

   ことから、このように区分される。Aの前置詞句の目的語はBであり、一

   体となってCに等値される前置詞句を形成する。その両者が@を修飾する。

   従って、訳文は次のようになる。

   ’当該車両、・・・・又は人’’に搭載・携帯する若しくはに関する’(B+A)

   或いは’包装物若しくはコンテナにある’’貨物又は技術’(C+@)

 2.第12項(a)(2)(B)(C)の後段におけるas authorized byの意味

   これを含む文節は次の通り。

   seize the goods or technology as authorized by other provisions

   of law

   [用例]John Gosney,Arco Staff著-24HRs to the law enforcement exams 

      They can arrest suspects and seize evidence and contraband as au-

   thorized by appropriate legal warrants.

   ”彼らは容疑者を逮捕し、適切な正当な令状により認可される通り証拠と

   密売品を差し押さえすることができる。”と訳せる。

   従って、首記の句を’により認可される通り’と訳した。 

 3.第12項(b)におけるhis privilege against self-incriminationの意味

   辞書を見るとself-incriminationとは’自己負罪’(自ら刑事訴追を招く

   証拠を与えること)とある。また、against〜は〜に反対してだから、こ

   れは’自己負罪に反対する彼の特権’となる。具体的には、証言により自

   分が有罪になる可能性があるとき自分を守るために行使できる権利(黙秘

   権など)を指す。

   そして、この特権を主張する個人には次の18USC6002の条項が適用される。

   TITLE 18-CRIMES AND CRIMINAL PROCEDURE

   Sec. 6002. Immunity generally

     Whenever a witness refuses, on the basis of his privilege against 

   self-incrimination, to testify or provide other information in a 

   proceeding before or ancillary to--

        (1) a court or grand jury of the United States,

        (2) an agency of the United States, or

        (3) either House of Congress, a joint committee of the two 

        Houses, or a committee or a subcommittee of either House,

   and the person presiding over the proceeding communicates to the

   witness an order issued under this title, the witness may not 

      refuse to comply with the order on the basis of his privilege 

      against self-incrimination; but no testimony or other information

      compelled under the order (or any information directly or indirec-

      tly derived from such testimony or other information) may be used

      against the witness in any criminal case, except a prosecution for

      perjury, giving a false statement, or otherwise failing to comply 

      with the order.

   その要旨は、自ら罪を負う証言は忌避できる特権を基に証言を拒否しても、

   訴訟を司る者が証人に命令を伝達すれば、前記特権を基に命令に従うこと

   を拒否することはできない。 

   このように、その特権は自己防衛に限定され自己告発による取引材料等は

   含まれないと思う。

 4.第12項(c)(1)における句読点、コンマとセミコロンの用例

  @最後から2つ目の文、・・・consideration of,or concerning,license・・・

   上記のof及びconcerning(prep)の目的語は共にlicense・・・であることは容

   易に分かるが、concerningが修飾する先は何か。それはorの前にコンマが

   あるのでofとconcerningは等値されなから、concerningはconsideration

   を修飾せず、obtainedの前のinformationを修飾する。(concerningは名

   詞を修飾するか、自動詞に続けて用いられる(ex.happened concerning〜)

   が、obtainedに続けて用いられることはないと思う)

  A最後の文、・・・1979;but such・・・

   セミコロンは何を意味するのか。セミコロンはコンマより長い休止に使い、

   文中、セミコロンで区切られる部分は、重要な区切りであるが両者は一体

   となって、一単位を形成するものとされている。もし、セミコロンがなけ

   れば両者は密接な関係を持つが、セミコロンにより両者の関係は比較的緩

   くなっている。従って、ここでは両者を2つの独立した文として訳した。

 5.第12項(c)(2)中のwithholding of information from the Congressの意味

   本副項目(c)の文脈から情報公開を差し控える者は商務省等の行政機関で

   あって、議会ではない。そうすると’議会からの情報’と訳すわけにはい

   かない。辞書にwithholdの訳語として’与えない(from)’がある。また、

   アルクの英辞郎に次の用例がある。

    (ex) withhold food from 〜 ;〜に食物を与えないでおく

   従って、これは’議会に情報を与えないでおくこと’を意味する。

   なお、上記(ex)において動詞を現在分詞化する時は次のようになる。

    withholding of food from 〜 

      このように分詞の後にof+直接目的語を取り、続けて前置詞+間接目的語を

   取るのは他動詞の如何に係わらず一般的であるように思う。

 6.第12項(c)(2)中の構文に付いて

  @下記の文におけるregardingの修飾先について

   All information obtained at any time under this Act or previous 

      Acts regarding the control of exports, 

      ここでActは一般的な法ではなく’本法’を意味する。本法とは輸出管理

   法なのだから、これ(Act)をわざわざ’輸出規制に関する’法のように修

   飾することはない。また、obtained以下Actsまでは一つの句をなし、前の

   informationを修飾するので、これに続くregarding以下exportsまでの句

   も同じくinformationを修飾しそれを重ねて限定している。

  A下記の文におけるprotection ofの目的語について

   protection of intelligence, counterintelligence, and law enforce-

      ment sources, methods, and activities,

   一般にandで結ばれる同等の語句が三つ以上ある場合、最後の語句の前の

   みandを置く。enforcementとsourcesの間で区切ればその前後において各

   語句間の関連性が見えてくる。前の三つは情報のカテゴリーを後の三つは

   具体的な対象物を表す。http://www.soumu.go.jp/gyoukan/kanri/の参考

   文献、大統領命令の中の秘密指定が可能な情報(13292 Sec1.4)の邦訳と原

   文の対比から

   c)諜報活動、諜報源、諜報方法、暗号

   c)intelligence activities (including special activities), intelli-

        gence sources or methods, or cryptology,

   前記(本文)のsources, methods, and activitiesは情報源、方法、活動

   を意味し、それらが三つのカテゴリー(諜報、対敵諜報、捜査)に対応す

   るものであることが分かる。訳文は本文に示す通りである。

 7.第13項(c)(1)における(other than a temporary 〜)の構文について

   a temporary denial order or a penaltiy ・・・はorの前後の句に冠詞が付

   されているのでそれらは一体を成すものではない。次にもし、・・・中のfor

   a violation of Section 8がこれ以外のorで区切られた前の句を修飾する

   なら、forを前の句のorderの後にも付けるべきと考える。従って、これは

   後の句のみ修飾するはずである。

 8.第13項(c)(1)の3番目の文におけるpresent evidence in cameraについて

   辞書にin cameraは【法】非公開で、とある。従って、これは’証拠を非

   公開で提出する’を意味する。ここでcameraを写真機の意味に取ることが

   できるか素人考えをしてみる。写真機なら複数形か冠詞が付くはずだが、

   そうでないから別の意味になる。cameraには’判事の私室’の意味がある。

   そして、これが単に場所を表すのではなく本来の目的や用途を表すので、

   inの後の冠詞が省略されているものと思う。

 9.第14項(a)(17)及び(b)における構文解釈

  @(a)(17)におけるinformedの意味の取り方が解釈の鍵になる。informの過

   去分詞形として’通知された’の意味とすれば、with respect to以下の

   政策や手続きに関して通知された者となるが、具体的に何を指すのか理解

   できないから採用できない。次に形容詞として’知識のある’の意味があ

   り、前のbusiness sector of the Nationを修飾するものとすれば意味が

   通じる。

  A(b)のthe estimated domestic economic impact on the various・・・にお

   けるonを・・・ impact on 〜’〜に及ぼす影響’と取る場合、通常・・・はbig

      やdirectのような影響の程度を表す形容詞が使われる。ここでは、そうで

   はないから、estimated・・・on 〜の如く’〜に基づき予測される・・・’のよ

   うに訳した。

 10.第16項(2)におけるregulations of the Presidentの意味

   e-CFRのTitle 19: Customs Duties(19 CFR Part 204)に次の文がある。

   Regulations of the President are set forth in Executive Order 7233

   of November 23, 1935.

   この文は農業調整法22項の改訂版(7 U.S.C. 624)から抜粋したものの後に

   付けられた注釈であって、(a)の最後の文節中の(Such investigation)

      shall be conducted subject to such regulations as the President 

      shall specify.に対応するものと考えられる。即ち調査は大統領が明記し

   た規則に従って行われなければならない。となるから、これは’大統領規

   則’の意味である。regulationには調整の意味もあるが、その場合は不加

   算名詞だからこのような複数形をとらない。

 11.第16項(7)におけるcommonwealthについて

   EARの§734.2(b)(8)に、文脈上からも本文に対応する次の記載がある。

   the states of the United States, the Commonwealth of Puerto Rico,

      or the Commonwealth of the Northern Mariana Islands or any terri-

      tory, dependency, or possession of the United States

   従って、本文のcommonwealthはプエルトリコ又は北マリアナ諸島を指すも

   のと考える。これら国名の日本語訳としてウィキペディアにプエルトリコ米国

   自治連邦区、北マリアナ諸島米国自治連邦区があるので、ここでは単に

   ’連邦区’と訳した。

 12.第18項(a)のAuthorizing Legislationについて

   経済企画庁:H7年 年次世界経済報告より抜粋 

   アメリカ連邦政府の歳出は,裁量的支出(Discretionary spending)と義務

   的支出(Mandatory spending)に大別できる。裁量的支出は,毎年の歳出予

   算法によって支出が定められるものであり,義務的支出は,社会保険年金

   支払いや国債の利払いなどのように,一度,授権法(Authorizing legisla-

      tion)で定められれば,毎年自動的に支出が認められるものである。・・・ 

   従って、訳語は’授権法’(直訳も’権限を授ける法律’)となる。   

 13.第18項(b)(3)におけるnondiscretionary costsについて

   Essentials of Cost Management, by Catherine/Joe Stengelより抜粋

   Nondiscretionary cost is a no-choice cost type. Nondicretionary 

      costs must be spent; the manager has no choice - either in theory

      or in practice.

      他の日本語文献に’非裁量的費用’があったのでそれを採用した。

 14.第21項(b)における,which is ・・・の先行詞について

   whichの前の,under the Export・・・1969,はその前のcommencedとmadeの両

   方を修飾する。両方に掛かることを明確にするためにコンマで区切られて

   いるのであつて、関係代名詞の非制限的用法のためのコンマではないと考

   える。先行詞は文脈上からもany administrative proceedings or any

      applicationである。

                                 以上





[改訂来歴]

 REV1 '09.08.06  第14項(b)の訳において’必要な理由、それらの規制’とあ

         るが、それらの規制は誤りなのでこれを削除した。