許可例外 ENC

                  (§740.17)                

§740.17 「暗号化貨物及びソフトウェア(ENC)」

 本項の(a),(b)及び(f)節に記述する適格性基準及び制限を満たすことを条件と

して、許可例外ENCは下記の貨物等の輸出及び再輸出、並びに技術援助に使用

できる。

  @通商管理リスト(EARの774章、補足No.1)のカテゴリー5,

  パート2(”情報セキュリティ”)の暗号処理注(注3)の”大量販売用”

  基準を満たさない ECCN 5A002.a.1,a.2,a.5,及びa.6、5B002,及び5D002で

  規制される貨物及びソフトウェア

 AECCN 5E002で規制される技術、 及び

 BEARの§744.9に記述されるところの一定の技術援助

(訳者注:上記@Aはリスト規制、Bはknow規制でありその根拠が異なる)

本項の(b)(2)又は(b)(3)節に基づく暗号化貨物若しくはソフトウェアの最初の

輸出又は再輸出は、本項の(d)(2)節に記述されるところの30日の待機期間規制

を受ける。それに加えて、本項の(a),(b)(2)又は(b)(3)節に基づき輸出若しくは

再輸出をする者は、本項の(e)節により要求される半年ごとの報告書を提出しな

ければならない。許可例外ENCを選択できる暗号化品目についての審査要請手

続きは、本項の(d)節に記述されている(例えば、前に審査されたことがない品

目について、或いは審査を受けているけれども、暗号処理機能が変更されている

品目について)。”大量販売用”暗号化貨物及びソフトウェアについては、類似

の審査手続きEARの§742.15(b)(2)を参照のこと。

(a)本章の補足No.3に一覧表示された国への輸出、再輸出及び技術援助 

  本節(a)は、EARの740章の補足No.3に一覧表示された国(許可例外

  ENCカントリーグループ23ヶ国)における最終需要者向けの、ECCN 5A002.a.1,a.2,

  a.5,又はa.6、5B002,5D002,又は5E002に基づき規制される品目の輸出又は再

  輸出,及びEARの§744.9に記述された技術援助の提供を認可する。本節は

  またカナダに或いはEAR740章、補足No.3に一覧表示された国に本拠

  を構える最終需要者の外国にある子会社及び事務所向けの輸出又は再輸出を

  認可する。その上、当該取引は本項の(a)(1),(a)(2),又は(a)(3)節の条件を

  満たさなければならない。

   (1) 新製品の内部開発

   本節(a)に基づき、カナダに或いはEAR740章、補足No.3に一覧表

   示された国に本拠を構える私企業の最終需要者へ、それらの最終需要者に

   よる新製品の開発の、及びそれら事務所又は子会社の 内部使用のために、

   合衆国原産の暗号化品目の輸出又は再輸出をし、若しくは関連する技術援

   助をするのに先立つ審査は要求されない。本節(a)(1)に基づき輸出又は再

   輸出された品目を用いて生産され、或いは開発された如何なる暗号化品目

   もEARの規制を受け、かつそれを開発した私企業の最終需要者の範囲外

   に販売し、又は再移転する前に審査及び承認を必要とする。本節(a)(1)に

   おいて、私企業の最終需要者とは、

  (i)如何なる外国の政府をも代表しない個人;或いは

  (A)外国の政府により完全に所有され、若しくはその他その政府により支配

    され、又はそれを代表する ことのない営利企業(その子会社及び親会社、

    及び同じ親会社のその他子会社を含む)

   を意味する。

   (2) 合衆国政府により前に審査を受けた品目

   暗号化貨物又はソフトウェア、又はそれについての部品或いは部分品であ

   って、2000年10月19日以前に、許可又は暗号化許可協定に基づく

   輸出又は再輸出の認可を受けたもの、又は許可例外ENCに基づく合衆国

   の子会社以外の法人への輸出及び再輸出について審査及び認可を受けたも

   の、の輸出又は再輸出については本節(a)に基づく合衆国政府の新たな審査

   を要しない。暗号化技術であって、2000年10月19日以前に、許可

   又は暗号化許可協定に基づく輸出又は再輸出の承認を受けたもの、の輸出

   又は再輸出については本節に基づく合衆国政府の新たな審査を要しない。

   (3) その他の取引

   本項の(a)(1)節に記述されていない使用については、合衆国政府により前

   に審査されておらず、また本節(a)に基づく認可を受けていない品目を輸

      出又は再輸出する前に、若しくは関連する技術援助の前に、本項の(d)節

   に従い審査要請書を提出しなければならない。

(b)本章の補足No.3に一覧表示されていない国への輸出及び再輸出

   (1) 合衆国の子会社向け暗号化品目

   本節の(b)(1)はECCN 5A002.a.1,a.2,a.5,又はa.6、5B002,5D002又は

   5E002で規制される品目の次の(i)及び(A)項向け輸出又は再輸出を認可

   する。

  (i)”合衆国の子会社”向け、及び

  (ii)もし、当該品目が新製品開発を含めて、会社の内部使用のためならば、

    合衆国の会社及びその子会社による、合衆国の会社又はその子会社の被

    雇用者、契約者又は見習いである外国の国民向け。

  (B)一般制限

    本節の(b)(1)に基づき輸出された貨物、ソフトウェア又は技術を用いて

       生産され、或いは開発された全ての品目はEARの規制を受け、合衆国

       の会社及びその子会社の範囲外に販売し、又は移転する前に審査及び承

       認を必要とする。

   (2) 非”政府最終需要者”向けに限定される暗号化貨物及びソフトウェア

   本節の(b)(2)は、”公開暗号処理インタフェース”を提供しないものであ

   って、ECCN 5A002.a.1,a.2,a.5,又はa.6、又は5D002により規制される、

   EARの§740.17(b)(2)(B)に記述される品目を非”政府最終需要者”で

   あって、本章の補足No.3に一覧表示された国に居住せず若しくは事務

   所を構えていない個人、営利企業、及びその他法人へ輸出及び再輸出する

   ことを認可する。その上、当該取引はEARの§740.17(b)(2)(@)又は

   (A)のいずれかの条項を満たさなければならない。

  (i)合衆国政府により前に審査を受けた貨物及びソフトウェア

    暗号化貨物若しくはソフトウェア、又はそれについての部品或いは部分

    品であって、2000年10月19日以前に、許可又は暗号化許可協定

    に基づく輸出又は再輸出の認可を受けたもの、又は許可例外ENCに基

    づく合衆国の子会社以外の法人への輸出及び再輸出について審査及び認

       可を受けたもの、の輸出又は再輸出については本節(b)(2)に基づく合衆

       国政府の新たな審査を要しない。

  (A)前に審査を受けていないその他の貨物及びソフトウェア

    合衆国政府による審査及び本節(b)(2)に基づく認可を受けていない品目

    を輸出又は再輸出する前に、本項の(d)節に従い審査要請書を提出しなけ

       ればならず、また要請書がBISにより登録(EARの§750.4(a)(2)に

       定義されるところの)されてから30日が経つまで待たなければならな

       い。審査要請が”処置なし一時保留”の状態にある期間の日数は30日

       の待機期間の中に算入されない。

  (B)本節(b)(2)に基づく輸出又は再輸出を選択できる暗号化貨物、ソフト

       ウェア及び部分品(本節(b)(2)(B)に一覧表示されていない貨物、ソフ

       トウェア及び部分品については本項の(b)(3)節を参照のこと)は以下の

       通り。

   (A)安全な広域ネットワーク(WAN)、都市圏ネットワーク(MAN)、

     仮想個人用ネットワーク(VPN)、衛星、セルラー又は長距離

         (trunked)通信手段を提供するネットワーク基盤整備貨物及びソフトウ

     ェア、及びそれについての部品及び部分品(ネットワーク基盤整備製

     品の暗号処理機能を作動させ、或いは動作可能にするのに必須の貨物

     及びソフトウェアを含む)であって、鍵長が64ビットを超える対称

     アルゴリズムを用いたもので次のいずれかに該当するもの。

     (1)集合暗号化WAN,MAN,VPN(ゲートウェイ、モバイル切換

      え器、制御器、等々のようなワイヤレス ネットワーク 要素を経

      由する通信手段を含む)であって、帰路処理能力(backhaul throu-

      ghput)が44Mbit/sを超えるもの

     (2)有線(線路)、ケーブル又は光ファイバーのWAN,MAN,VPN

      であって、単一チャネルの入力データ速度が4Mbit/sを超えるもの

     (3)並行暗号化データトンネル又はチャネルの最大数が250を超える

      もの

     (4)エアーインタフェースのサービス区域(例えば、ネットワークの網、

      ブリッジ等へのアクセスポイントである基地局まで)が1,000メー

      トルを超えるものであって、次のいずれかに該当するもの

      (@)最大データ速度が5Mbit/s(1,000メートルを超える動作範囲で)

        を超えるもの

      (A)並行全二重音声チャネルの最大数が30を超えるもの、 又は

      (B)据付又は使用について、実質的な支援を必要とするもの

   (B)許可例外TSUに基づく輸出又は再輸出が、EARの§740.13(e)

         (1)に使用されているのと同じ意味合いで世の中に公開されていないた

     めに、選択できない暗号化ソースコード

   (C)”公開暗号処理インタフェース”を提供しない暗号化貨物又はソフト

      ウェアであるが、次の特徴を有するもの

     (1)政府最終需要者又は政府最終需要に合わせて修正され、若しくは

      カスタマイズされているもの(例えば、部門の、警察の、国家の

      セキュリティ、又は緊急時の応答通信手段を確保するため)

     (2)顧客仕様にに合わせて修正され若しくはカスタマイズされている

      暗号処理機能を有するもの

     (3)利用者がたやすく利用でき、そして利用者により容易に変更される

      暗号処理機能若しくは”暗号部分品”(EARの§740.13(e)(1)に

      使用されているのと同じ意味合いで世の中に公開されていると見な

      されるべき暗号化ソフトウェアを除く)を有するもの

   (D)”暗号解析品目”

   (E)量子暗号に必要な機能を提供する暗号化貨物及びソフトウェア、又は

   (F)ECCN 4A003により規制されるコンピュータのために修正さ

     れ若しくはカスタマイズされている暗号化貨物及びソフトウェア。

   (3) ”政府最終需要者”と非 ”政府最終需要者”の両方に利用可能な暗号化

   貨物、ソフトウェア及び部分品

     本節は、ECCN 5A002.a.1,a.2,a.5,又はa.6、5B002,又は5D002により規制

   される貨物、ソフトウェア及び部分品の輸出及び再輸出を認可する。本節

   (b)(3)に基づく選択が可能になるには、(b)(3)(@)及び(b)(3)(A)節の要

   件が満たされなければならない。

  (i)当該貨物又はソフトウェアが次のものであってはならない。

   (A)”公開暗号処理インタフェース”を提供するもの、 或いは  

   (B)本項の(b)(2)節に一覧表示されているもの。

  (A)審査及び認可要件

   (A)合衆国政府により前に審査を受けた貨物及びソフトウェア

      暗号化貨物、ソフトウェア及び部分品であって、2004年12月

     9日以前に、本節(b)(3)に基づき”小売の”貨物又はソフトウェアと

     して輸出及び再輸出のBISによる審査及び認可を受けたものは、本

     節に基づく輸出又は再輸出の新たな審査又は認可を要しない。

   (B)前に審査を受けていないその他貨物及びソフトウェア

     合衆国政府による審査及び本節(b)(3)に基づく認可を受けていない品

     目を輸出又は再輸出する前に、本項の(d)節に従い審査要請書を提出し

     なければならず、また要請書がBISにより登録(EARの§750.4(a)

         (2)に定義されるところの)されてから30日が経つまで待たなければ

         ならない。審査要請が”処置なし一時保留”の状態にある期間の日数は

         30日の待機期間の中に算入されない。

   (4) 30日の待機期間及び審査要件の免除

  (i)30日の待機期間の免除

    本節(b)(4)(@)に一覧表示される品目は、もしよって立つ節に基づく輸

    出又は再輸出の全てのその他要件が満たされるなら、それらの節により

    要求される審査要請書を提出次第直ちに節(b)(2)又は(b)(3)を典拠とし

    て輸出又は再輸出できる。それら品目を次に示す。

   (A)暗号化貨物及びソフトウェア(鍵管理製品を含む)であって、鍵長が

     64ビットを超えない対象アルゴリズム、1024ビットを超えない

     非対称鍵交換アルゴリズム、及び160ビットを超えない楕円曲線ア

     ルゴリズムのもの

   (B)明らかに許可例外TSUに基づく輸出又は再輸出は無効と見なされて

     いる暗号化ソースコードであって、当該ソースコードの複写がBIS

     及びENC暗号化要請調整官への審査要請の中に含まれているもの。

  (A)審査要件の免除

    下記の製品は本許可例外に基づく審査を要しない。しかし、EARの規

    制を受けることに変わりはない(本許可例外の全ての条件及び条項、及

    び暗号以外の理由により個別の品目若しくは取引に適用される全ての許

    可要件を含めて)。

   (A)別途、通商管理リストのカテゴリー5(電気通信及び”情報セキュリ

     ティ”)に基づき規制されていないが、短距離ワイヤレス暗号化機能

    (例えば、100メートルを超えない公称動作範囲を持つ)を備える部

     分品又はソフトウェアを組込んだ場合に限り、ECCN 5A002又は5D002に

     基づき規制される、貨物及びソフトウェア

   (B)合衆国原産の暗号化ソースコード、部分品又はツールキットを用いて

     開発され、若しくはそれらを組込んだ外国産製品(または、例えば契

     約により合衆国製品で動作するように別途設計されたもの)。但し、

     当該合衆国原産暗号化品目(及びEARの§744.9に記述されている

     ところの、関連する技術援助)は、BISにより前に審査されており、

     かつ暗号処理機能が変更されていないものとする。

(c)再輸出及び移転

  暗号化貨物及びソフトウェアの最初の製造業者でない、合衆国の或いは外国

  の販売業者、転売者又はその他法人は、当該輸出又は再輸出が本項の適用で

  きる約定及び条件を満たす場合に限り、許可例外ENCを使用することを許

  可される。本項の(b)節に一覧表示された暗号化品目の政府最終需要者への、

  又は政府最終需要のための、同一国内での移転は禁止される。但し、別途許

  可若しくは許可例外により認可されている場合はこの限りではない。合衆国

  原産の暗号化ソースコード、部分品又はツールキットを用いて開発され、若

  しくはそれらを組込んだ外国製品はEARの規制を受けることに変わりはな

  いが、しかしBISによる(暗号を理由とする)審査を要しない。これらの

  製品は、届け出なしに及びBISによる(暗号を理由とする)さらなる認可

  なしに許可例外ENCに基づく輸出又は再輸出ができる。前述の製品には暗

  号処理インタフェースを通じて合衆国製品で動作するように設計された外国

  で開発された製品を含む。

(d)審査要請手続き

   許可例外ENCに基づき暗号化品目の審査を要請するために(例えば、前に

  審査を受けていない品目のために、又は審査を受けているが、その暗号処理

  機能が変更されている品目のために)、貴方はBISへ及びENC暗号化要

  請調整官へ本項の(d)(1)節に及びEARの742章、補足No.6の(a)から

  (e)節(暗号化品目の審査要請書提出指針)に記述された情報を提出しなけれ

  ばならない。

   (1) 審査を要請するための指示

   審査要請書は、様式 BIS-748P(多目的申請書)、又はEARの§748.3に

   記述されているところの、それと電子的に同等なもので提出されなければ

    ならない。確実に審査要請書が正しい部署に回送されるようにするために、

    紙又は電子申請書の区画9(特殊目的)に”許可例外ENC”の文句を書

   き入れること。併せて、様式 BIS-748Pの区画5(申請の種類)の”分類

   要請”となつているチェックボックスに”X”を記入するか、又は電子的

   に提出するのなら”貨物の分類”を選択すること。電子的でも紙の様式で

    も暗号化審査要請書の提出についてのチェック用の独立した区画を用意し

    ていない。これらの項目を正しく記入しなかった場合には、当該審査要請

   の検討に遅延を生ずることも有り得る。電子的にBISへ提出されない審

   査要請書はBIS-748P様式に示された宛先に郵送されなければならない。

   ENC暗号化要請調整官への郵送先住所については本項の(e)(5)(A)節を

   参照のこと。

   (2) BISによる措置

   BISは審査を完了次第、もしあれば、当該品目を輸出又は再輸出できる

   根拠となる本項の条項を記載した通知書を貴方に送付する。もし、BIS

   が貴方の完結した審査要請書を登録してから30日以内に、当該品目には

   許可例外ENCを適用できないと貴方に報知していないなら、貴方は許可

   例外ENCの適切な条項に基づき輸出又は再輸出して良い。もし必要なら、

   追加情報を入手するために、或いはENCの適格性に関する精密な決定を

   確保するために必要なその他理由のために、BISは何の措置もとらず貴

   方の審査要請を保留することがある。前述の”処置なし一時保留”状態の

   時間は、本節に及び本項の(b)(2)と(b)(3)に明記された30日の待機期間

   に算入してはならない。BISは貴方に、本節に及び本項の(b)(2)と

   (b)(3)に明記された30日の待機期間の満了日の前であれ、後であれ、何

    時でも当該暗号化品目についての追加の関連技術情報を、若しくは許可例

   外ENCに対するその適格性に付随する情報を提供するよう要求すること

   がある。もし、貴方がBISからその要請を受取ってから14日以内に前

   述の情報を提供しないなら、BISは何の措置もとらず審査要請書を返却

   し、或いはかの品目について許可例外ENCを使用する貴方の資格を別途

   停止し、又は取消しすることがある。貴方から要請があった時にはBIS

   は貴方に要求した情報を提供させるために14日を限度とする追加の期間

   を与えることがある。係る追加日数の要請は、その情報が別途その日まで

   にBISに提供されることになっている、その日より前に成されなければ

   ならず、そしてBISが追加期間が必要と結論するなら、承認される。

   (3) 鍵長の増加

   機密性保持又は鍵交換アルゴリズムのために使用された鍵長を増強するこ

   とに限定して修正された貨物及びソフトウェア(但し、BISにより審査

   を受けており、許可例外ENCの適用を認められた後とする)は、新たに

   審査を受けることなく前に認可された許可例外ENCの条項に基づき輸出

   又は再輸出できる。但し、次の条件を全て満たさなければならない。

  (i)輸出者又は再輸出者は、BIS及びENC暗号化要請調整官に暗号化機

    能の変更が機密性保持又は鍵交換アルゴリズムのための鍵長増強以外に

    成されていないことを証明する。

  (A)その証明書にはBISにより発行された最初の認可番号と発行日を含め

    る。

  (B)その増強された製品の輸出又は再輸出の前に、BIS及びENC暗号化

    要請調整官が証明書を受取っている。

  (C)証明書はe-メールでcrypt@bis.doc.gov及びenc@nsa.govに送付されている。

(e)報告要件

   (1) 半年毎の報告要件

   本許可例外に基づく、カナダ以外の全ての仕向け地への輸出及びカナダか

   らの再輸出について半年毎の報告を要する。一定の暗号化品目及び取引は

   本報告要件を除外されている(本項の(e)(4)節を参照のこと)。報告書の

   提出方法に関する指示については、本項の(e)(5)節を参照のこと。

   (2) 要求される一般情報

   輸出者はその報告書に下記の項目の内、該当する全ての情報を含めなけれ

   ばならない。

  (i)合衆国の企業の子会社を含む、販売業者へ又はその他転売者へ輸出され

    た(又はカナダから再輸出された)品目について、販売業者又は転売者

    の名称及び住所、品目と輸出又は再輸出された数量、そして、もし販売

    の過程で輸出者により収集されていれば、その最終需要者の名称及び住

    所

  (A)直接販売を通じて個人消費者へ輸出された(又はカナダから再輸出され

    た)品目について(但し、その取引は本項の(e)(4)(B)又は(e)(4)(C)

    節に基づき報告を免除されていないものとする)、受取人の名称及び住

    所、品目、及び輸出された数量

  (B)技術援助に使用される ECCN 5E002 品目の輸出であって、EARの

    §744.9により免除されていないものについて、最終需要者の名称及び

    住所、  及び

  (C)各品目について、認可番号及び輸出された(又はカナダから再輸出され

    た)品目の名称

   (3) 暗号化品目を使用する外国の製造業者及び製品に関する情報

   許可例外ENCに基づく、暗号化部分品、ソースコード、汎用ツールキッ

   ト、ECCN 5B002により規制される装置,技術,又は商用販売のために開発さ

   れた外国製品に使用する意図を持つ外国の開発者又は製造業者へ”公開暗

   号処理インタフェース”を提供する品目 の直接販売又は移転について、

   貴方はこれらの暗号化品目を使用する製造業者の名称及び住所を提出しな

   ければならない。そしてその製品が商用販売品として入手できるその時が

   分かれば、これらの暗号化品目が使われている外国製品の非専有の技術的

   な説明書(例えば、最終的な外国製品のパンフレット、その他文書、銘柄

   又はその他識別名;使用されているアルゴリズム及び鍵長;分かっていれ

   ば、その製品との一般的なプログラム インタフェース;その外国製品が

   準拠する基準又はプロトコル;及び入手できれば、ソースコード)を提供

   しなければならない。

   (4) 報告要件の除外

   下記の品目及び取引については報告を要しない。

  (i)本項の(a)(1)又は(b)(1)節に基づき輸出又は再輸出された暗号化品目

  (A)対称鍵長が64ビットを超えない暗号化貨物又はソフトウェア

  (B)本項の(b)(3)節に基づき認可され、個人消費者へ輸出された(又はカナ

    ダから再輸出された)暗号化貨物及びソフトウェア

  (C)無料及び匿名ダウンロード経由で輸出された(又はカナダから再輸出さ

    れた)暗号化品目

  (D)合衆国の銀行、金融機関、又はその子会社、系列会社、消費者又は契約

    者から、若しくは、そこへの銀行又は金融業務用の暗号化品目

  (E)近距離ワイヤレス暗号機能限定の部分品を組込んだ品目

  (F)本項の(b)(3)節に基づき認可された汎用オペレーティングシステム、又

    はデスクトップアプリケーション(例えば、E-メール,ブラウザ,ゲーム,文書処

       理,データベース,財務のアプリケーション,又はユーティリティ)

  (G)クライアント インターネット器具及びクライアント ワイヤレス LAN カード、  又は

  (H)ソースコードをセットにし、若しくは編集することにより開発された外

    国製品。

   (5) 提出要件

   貴方は、その他本(e)(5)節で規定されない限り、半年毎にBISへ及び

   ENC暗号化要請調整官へ本項に基づき要求される報告書を提出しなけれ

   ばならない。1月1日と6月30日の間に起こる輸出については、報告書

   が当年の8月1日より遅れないことを期限とする。7月1日と12月31

   日の間に起こる輸出については、報告書が翌年の2月1日より遅れないこ

   とを期限とする。これらの報告書は電子的な様式で提供されなければなら

   ない。電子的提出に対する推奨ファイルフォーマツトには表計算(spread-

      sheets)、表形式(tabular text)、構造体形式(structured text)を含む。

   輸出者はそのビジネスモデルをより上手く反映させるために、その他報告

   する取決めをBISに要請して良い。報告書は電子的にcrypt@bis.doc.gov

   のBISへ、及びenc@nsa.govのENC暗号化要請調整官へ送るか、或い

   は報告書の入っているディスク及びCDを下記の住所に送付して良い。

  (i)商務省 産業安全保障局、国家安全保障及び技術移転規制 事務所、

    2705 号室

    20230  ワシントン、D.C. 

    ペンシルバニア大通りN.W.14番街

    表書きに”注意:暗号化報告書”と明記する。

  (A)20755-6000 メリーランド州、フォート ミード市

    サベッジ通り 9800、  6940 号室

    ENC暗号化要請調整官 宛

(f)制限

  本項のどこか他の所での書き方に係わらず、許可例外ENCは下記のものを

  認可しない。

   (1) ”暗号解析品目”の(その定義が暗号化品目に適用されるところの)

    ”政府最終需要者”への輸出又は再輸出

   (2) ”公開暗号処理インタフェース”品目の、カナダに若しくはEARの

   740章、補足No.3に一覧表示される国に居住していないか、本拠地

   としていない最終需要者への輸出又は再輸出

   (3) EARの740章、補足No.1におけるカントリーグループE:1に一覧表示

   される国への輸出又は再輸出、又はそれらの国におけるサービスの提供

   (4) カントリーグループE:1に一覧表示される国の国民へのソースコード又は技術

   の提供     

                                 以上

[訳者補足]

1.§744.9「技術援助に関する制限」の要点

  米国人は外国人に暗号化品目(5A002又は5D002)に関する技術援助を提供して

  はならない。但し、BISに分類要請を提出し、承認を受ければ、許可例外

  ENCの規程に準拠し前記暗号化品目に関連する技術援助を提供できる。

2.技術援助を輸出又は再輸出(export or reexport)できるか?

  commodities / software / technology にはexport or reexportが使用され

  ている。技術援助 technical assistance には provisionが使われている。

  また、(a)節の表題においてexport,reexport and technical assistance の

  如く三者は等位の語句として扱われているのだから、技術援助を輸出又は再

  輸出すると言う表現はあり得ない。

  従って、(a)(3)節の ... before you export or reexport any item

                          or related technical assistance....

    を、”品目を輸出又は再輸出する前に、若しくは関連する技術援助の前に”

  と訳すことにした。

3.”政府最終需要者”及び”公開暗号処理インタフェース”の定義概要

  §772.1から

 ・”政府最終需要者”(Government end-user);

  これは暗号化品目について適用されるものであって、外国の中央、地方、

  地域の政府の省、機関等及び前記機関等の設立した企業等を表わす。但し、

  水道、ガスなどの公益事業、銀行、輸送、放送、娯楽、教育機関等を除く。

 ・”公開暗号処理インタフェース”(Open cryptographic interface);

    使用者又はその他の者が製造者又はその代理人の助けを借りずに暗号処理

  機能を挿入できるように設計された機構を言う。但し、その暗号アルゴリ

  ズム、鍵長、鍵交換管理システムの組合せが固定化されており、かつ変更

  できないもの等を除く。

4.”処置なし一時保留”の期間は「30日の待機期間」に算入しない

  暗号レビュー要請に関し、”処置なし一時保留”(hold without action)さ

  れるのは、定義§772.1から次の場合である。

   @許可例外ENCに定める手続きの時は§740.17(d)(2)の場合

   ACCLベースの暗号化品目レビューの時は§742.15(b)(2)の場合

  ここで、”処置なし一時保留”の期間を「30日の待機期間」に算入するか

  否かについては、それぞれ@Aの場合の規程の中に明記されている。

  先ずAの場合、下記の如く含まない、即ち算入しないとされている。

   The thirty days may not include any time that your review request

      was hold without action.

  @の場合、下記のように’30日の待機期間を満たすように’数えられては

  ならないとされている。数える者は要請者だから’満たすように’とはこれ

  を算入しようとすることである。それをしてはならないのだから、Aと同様

  に算入しないことになる。 

   Time on such "hold without action" status shall not be counted 

      towards fulfilling the 30 day waiting period