電子情報処理組織による税関手続の概要
                             「電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律」(法律第54号) (NACCS特例法と略称する)により、書面による輸出入申告等に代わる電子情報 処理組織による申告等が認められている。ここでは、電子情報処理組織を使用 して行うことができる申告等及びその手続き等について纏めた。なお、この特 例法は関税法、消費税法等の特例を設けたもので、強制的なものではなく、従 来どおりの書面による申告等の手続きも可能とされている。 1.用語の意義   ここで使用する用語の意義は次の通りである。 (1) 電子情報処理組織   通関情報処理センターの使用に係る電子計算機と、税関及び通関業者その他   の国際貨物業務を行う者の事務所その他の事業場に設置される入出力装置と   を電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。   この組織は、通常NACCS(Nippon Automated Cargo System)と呼ばれ、   現在、航空貨物通関システムと海上貨物通関システムの2つの組織で運営さ   れている。   (注意)外為法第69条の2第1項に規定する電子情報処理組織は、主務大臣の       指定する電子計算機と外為法の適用を受ける取引等を行うものの使       用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続したものをいい、前記       とは異なる。 (2)通関情報処理センター   財務大臣の許可を受けて設立された法人で、国際貨物業務を迅速かつ的確に   処理するため、これに必要な電子情報処理組織の運営に関する業務を行う。 (3)入出力装置   次項の手続きを電子情報処理組織を使用して行おうとする者は、その使用し   ようとする入出力装置につき、次に掲げる事項を記載した書面を税関長に提   出しなければならない。手続き等につき規定された入力は前記の予め税関長   に届け出た入出力装置を使用して行わなければならない。     一 入出力装置の設置場所     ニ 入出力装置の番号     三 入出力装置を使用して行おうとする手続き     四 その他参考となるべき事項 2.電子情報処理組織を使用して行うことができる申告等   主な項目を次に示す。詳細はNACCS特例法施行令による。     ・輸出申告/輸入申告/輸入許可前貨物引取承認申請     ・積戻し申告     ・関税の納付に関する申告/関税の修正申告     ・蔵入/移入/総保入 承認申請     ・臨時開庁承認申請      等々   従って、上記以外の手続きについては、電子情報処理組織を使用して行うこ   とはできない。行うことのできない業務の例を次に示す。     ・更正の請求     ・船(機)用品積込承認申請     ・証明書類の交付申請      等々 3.申告等の入力事項及び事後提出書類等 (1)電子情報処理組織を使用して、上記の申告等を行う者は、これらの申告等   の手続きを定めた法令の規定によって、それらの手続き上の書面に記載すべ   きとされている事項を入出力装置から入力しなければならない。   但し、既に記録済みのデータ等から明らかにすることができる事項、貨物の   記号その他税関長が入力の必要がないと認める事項については、入力を省略   させることができることになっている。 (2)これらの申告等の入力後税関長が定める期間(原則として輸入申告の日か   ら3日以内)までに、書面によるその申告等に際して税関に提出すべきもの   とされている仕入書その他書類、及び前記入力後直ちにその入出力装置に出   力される申告等の内容を示す書面を併せて税関に提出しなければならない。 (3)電子情報処理組織を使用して行った申告等は、その入力内容が通関情報処   理センターの電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に税関に   到達したものとみなす。 (4)通関業者は、通関士に審査をさせなければならない申告等を行う場合には、   その申告等の入力の内容を審査した通関士に、予め配布された識別カード   (IDカード)を使用させて申告等の入力をさせる必要がある。 (5)入出力装置を設置する税関は、官報で告示され、東京税関・横浜税関・神   戸税関・大阪税関・名古屋税関などの本関のほか、各税関の支署など90ヶ   所ある。前記以外の税関官署に対しては、電子情報処理組織を使用して申告   等を行えない。                                   以上 [改訂来歴] REV1 '01.11.10  まえがきにおいて(法律第18号)→(法律第54号)に訂正。