記録保存

 

§762.1 「適用範囲」

 本章で、EARの参照は15 CFR 第Z章、副章Cによる。

(a)本章の規制を受ける取引

  本章の記録保存条項は下記の取引に適用される。

 (1)EARの760章に記述された取引制限の実施又はボイコットを含む取引

 (2)米国からの貨物、ソフトウェア若しくは技術の輸出、及び米国から輸出さ

   た品目の認められている再輸出、積替え、又は転用

 (3)カナダ向けの輸出であって、米国又はカナダ以外の国の個人がそこに利害

   関係を有することが明らかになったか、或いは輸出品中の品目がカナダか

   ら他の外国へ再輸出、積替え輸送、若しくは転用されることが決まった場

   合。なお、これらは取引の段階の如何を問わない。

 (4)EARの規制を受けるその他全ての取引であって、これに限定するもので

   はないが、EARの§736.2(b)(7)及び§744.6に含まれる拡散懸念最終需

   要者向けの、若しくはその代理者への、サービス、運送及びその他の活動

   の禁止事項を含むもの。本章は又、これら取引と関連する全ての交渉に適

   用される。但し、輸出規制問題についての、単なる予備的照会、或いは商

   売をするための申し出であってそれに否定的応答をした場合は、それら照

   会又は申し出が適度に分別のある輸出者ならばEAA,EAR又はその他

   命令,若しくはそれらに基づき発行された許可証又は認可証に違反する糸

   口になると思えるような取引を含まない限り、それらを交渉とはみなさな

   い。

(b)本章の規制を受ける個人

  本節の(a)に記述されたあらゆる取引に関与する、本人又は代理人(混載貨

  物輸送業者を含む)としての米国の司法権の規制を受ける全ての個人、及び

  EARの条項に基づき記録の作成、維持を要求される米国在住若しくは海外

  にいる全ての個人は、前記個人により作成又は取得された本章§762.2に記

  述された全ての記録を保持し、かつ維持しなければならず、又、それらを本

  章§762.7に規定された方法で提示するものとする。



§762.2 「保存すべき記録」

(a)保存することを要求される記録

  本章762章に基づき保存することを要求される記録は、次のものを包含

  する。

 (1)EARの772章に定義するところの、輸出管理文書

 (2)覚書

 (3)備忘録

 (4)書簡

 (5)契約書

 (6)入札招待状

 (7)収支計算書(Books of account)

 (8)財務記録(Financial records)

 (9)取引制限の実施又はボイコット証拠資料及び報告書

 (10)本章の§762.1(a)に記述された取引の種類に属するその他記録であって、

   本章の§762.1(b)に記述された個人により作成、又は取得されたもの。

(b)記録保存に関する参照資料

  本節(a)は、保存することを要求される記録について記述している。記録保

  存を要求する、若しくは記録保存条項を含んでいるEARのその他の章、

  節、又は補足は、次のものに限定するものではないが以下の通り。

 (1)736章、一般禁止事項

 (2)§732.6、その他要件に関する手順

 (3)§740.1、序言(許可例外の)

 (4)§740.10(c)、部品及び装置の修理と交換(RPL)

 (5)§740.13(f)、限定なしの技術及びソフトウェア(TSU)

 (6)§742.12(a)(3)、高性能コンピュータ

 (7)742章の補足No.3 高性能コンピュータ;保障規約及び関連情報

 (8)§742.15、鍵供託暗号化品目

 (9)§740.12(b)(7)、人道的寄付(NEED)

 (10)§748.4(a)、許可申請に係る事実の開示及び実体化

 (11)§748.6、許可申請のための概要説明

 (12)§748.9、許可申請のための裏付け文書

 (13)§748.10、輸入及び最終需要者 証明書

 (14)§748.11、最終荷受け人及び購買者による陳述文

 (15)§748.13、通関証明書(DV)

 (16)§748.2(c)、様式の取得;メーリングアドレス

 (17)§750.7、許可証の発給及び条件の通知

 (18)§750.8、許可証の取消し又は停止

 (19)§750.9、許可証謄本

 (20)§750.10、輸出に関し許可証の移管

 (21)§752.7、顧客向け直接積出し

 (22)§752.9、SCL(Special Comprehensive License)申請に係る行為

 (23)§752.10、SCLの変更

 (24)§752.11、内部規制計画

 (25)§752.12、記録保存要件

 (26)§752.13、記録の点検

 (27)§752.14、システムレビュー

 (28)§752.15、輸出通関手続

 (29)§754.2(j)(3)、水深の大きい水バラスト交換のための記録保存要件

 (30)§754.4、未加工西部赤ヒマラヤスギ

 (31)§758.1(h)、代理人の権限の記録及び証明

 (32)§758.1及び758.2、荷送人の輸出申告書又は自動輸出システム記録

 (33)§758.6、用途規制文

 (34)§760.6、取引制限の実施及びボイコット

 (35)§762.2、保存すべき記録

 (36)§764.2、違反

 (37)§764.5、自発的自己開示

 (38)§766.10、召喚状

 (39)§743.1、ワッセナー報告

 (40)§748.14、小火器の輸出

 (41)§745.1、年次報告

 (42)§745.2、最終需要証明書

 (43)§758.2(c)、前提文書

 

§762.3   「記録保存要件免除記録」

(a)下記の種類の記録は、記録保存要件から免除されることが確定している。

  [訳者注:下記の(1)〜(36)の名称は自己流の訳によるものです。

       必ず原文により対処して下さい。]

 (1)輸出情報年史(Export information page)

 (2)特定の輸出に関するファイルリスト(Special export file list)

 (3)運送業者から入手した船舶運行日誌(Vessel log from freight 

                                                     forwarder)

 (4)検査証明書(Inspection certificate)

 (5)認可証明書(Warranty certificate)

 (6)品質保証書(Guarantee certificate)

 (7)梱包材料証明書(Packing material certificate)

 (8)商品品質証明書(Goods quality certificate)

 (9)事前面談についての顧客への通知書(Notification to customer

                                            of advance meeting)

 (10)補償契約書簡(Letter of indemnity)

 (11)財務譲渡証様式(Financial release form)

 (12)財務所有権保有様式(Financial hold form)

 (13)輸出部品船積み問題様式(Export parts shipping problem form)  

 (14)手形振出番号台帳(Draft number log)

 (15)経費明細請求書郵送台帳(Expense invoice mailing log)

 (16)財務状況報告書(Financial status report)

 (17)銀行の抵当権解除証明(Bank release of guarantees)

 (18)小切手帳(Cash sheet)

 (19)手数料納入控え(Commission payment back-up)

 (20)手数料納入精算表(Commission payable worksheet)

 (21)手数料支払い管理(Commission payable control)

 (22)照合依頼様式(Check request forms)

 (23)受取勘定訂正様式(Accounts receivable correction form)

 (24)照合依頼目録(Check request register)

 (25)手数料支払い印刷出力(Commission payment printout)

 (26)設計料明細請求書(Engineering fees invoice)

 (27)外国税領収書(Foreign tax receipt)

 (28)顧客別信用状況(Individual customer credit status)

 (29)輸出先顧客コード依頼様式(Request for export customers cord forms)

 (30)資金受領通知(Acknowledgement for receipt of funds)

 (31)エスカレーター方式による売買価格調整展開様式(Escalation 

                                                    development form)

 (32)概算見積り書(Summary quote)

 (33)注文書総覧様式(Purchase order review form)

 (34)増補提案書(Proposal extensions)

 (35)輸出顧客への資金提案(Financial proposal to export customers)

 (36)販売概要(Sales summeries)

(b)[予備]



§762.4   「要求される記録原本」

 被規制者(訳者注:本章§762.1(b)で規制される個人)は、記録の再生に関す

る本章§762.5の全ての条件を満たさない限り、その者が受取り若しくは創作し

た様式のままの記録原本を維持しなければならない。もし、記録原本が本章

§762.5に記述された識別及び判読基準を満たさないが、被規制者がEARの記

録保存要件を満たすその記録を証拠としたいならば、その者はその記録原本を保

存しなければならない。



§762.5   「記録原本の再生」

(a)本節(b)の全ての要件を満たすならば、被規制者は記録原本の代わりに再生版

  を維持して良い。

(b)本章762.2により要求される記録を維持するために、本章§762.1に定義され

  た被規制者は、完全に、正確に、読み易く、恒久的に記録原本を再生できる

  (紙面、マイクロフイルム上、或いはデジタル電子記憶装置を用いて)写真

  技術、写真複写機、小型カメラ写真術、微少縮刷技術、自動アーカイブ記憶

  装置、又はその他の方法を使用して良い。但し、それらの方法は下記の全て

  の要件を満たさなければならず、そしてこれは全てのシステムに適用される。

 (1)当該システムは全ての記録を紙面上に再生できるものでなければならない。

 (2)当該システムは、読み取り形式の紙の文書の表及び裏の両面を含めて、記

   録原本の全ての記号、情報、及びその他の特性を記録し、かつ再生できな

   ければならない。

 (3)ビューアー又はモニターに表示され、或いは紙面に再生された場合、当該

   記録は高度の識別性及び判読性を提示しなければならない。(本節では、

   読み易さ及び識別性とは、一つの文字又は数字がそれを観る者にとって、

   それ以外の全ての文字又は数字と違うことを肯定的、かつ迅速に認識でき

   るその文字又は数字の品質を言う。判読できる及び判読性とは、一群の文

   字又は数字が完全な語又は数字の列として認識されるその一群の文字又は

   数列の品質を言う。)

 (4)当該システムは当初のイメージを保存し(紙の文書の表及び裏の両面を含

   めて)、かつ全ての変更と誰がそれをしたのか、及び何時なされたかを記

   録しなければならない。この情報は、一度記録されると以後全く改変して

   はならないと言ったやり方で保管されなければならない。

 (5)被規制者は、システムの操作、使用及び保守の各責任者を確認できる文書

   による手順書を制定しなければならない。

 (6)被規制者は、当該システムにおける記録の点検及び品質保証のための文書

   による手順書を制定し、これら手順書に基づき履行できることを文書で証

   明しなければならない。

 (7)当該システムは、完結したものであって、かつ本章により保持すべく要求

   された全ての記録を包含しなければならない。若しくは、被規制者は、そ

   の他の記録保存システムに保持されている同一取引に関連する記録につい

   て、対応関係、同一性及び捜し方を示す方法を提供しなければならない。

 (8)被規制者は、当該記録及びその他情報がシステムの、どこに、何時、誰に

   よって、及びどの装置上に入れられたかを示す記録を保持しなければなら

   ない。

 (9)輸出執行事務所、反ボイコット遵守事務所、又は合法的管轄権を有するそ

   の他機関による請求があり次第、被規制者は、審査の現場に当該記録、装

   置及び、必要ならば、システム中の如何なる記録でも捜し出し、読み取り、

     そして再生することに熟知している者を提供しなければならない。

(c)デジタルイメージの記憶装置に基づくシステムに適用される要件

  デジタルイメージの記憶装置に基づくシステムについては、当該システムは

  システム中のデジタルイメージのどれでも利用できるものでなければならな

  い。取引の記録に関しては、取引制限の実施又はボイコット要件若しくは要

  請を包含したものを含む。当該システムは、下記のいずれかの選択条件に基

  づく個別の取引に関連するすべての記録を捜し出し、再生できるものでなけ

  ればならない。

 (1)取引の当事者の名前(複数名も可)

 (2)取引に関係のある国名(複数国も可)

 (3)全ての文書原本に付された文書参照番号

(d)写真技術方式に基づくシステムに適用される要件

  写真技術、写真複写機、又は小型カメラ写真術に基づくシステムについては、

  被規制者は、当該システム中の全ての個別の記録を直接位置選定できるよう

  に分類された詳細な索引を作成し、維持しなければならない。



§762.6   「保存期間」

(a)5年間の保存期間

  EARにより保持を要求される全ての記録は、下記の期日の内、最も新しい

  時点から5年間保存されなければならない。

 (1)当該記録が属する取引に含まれる品目を米国から輸出した期日、若しくは

   EARの§736.2(b)(7)及び§744.6に記述されているところの拡散懸念最

   終需要者向け、又はその代理者への融資、輸送或いはその他のサービスを

   提供した期日、

 (2)前述の品目の認められている再輸出、積替え、若しくは転用をした期日、

 (3)文書で公式に、若しくはその他何らかの方法で、当該取引を終了した期日、

 (4)EARの760章に記述された取引制限の実施又はボイコットを含む取引

   に属する記録の場合は、被規制者がボイコット関連の要請又は要件を受領

     した期日。

(b)記録の破棄又は処分

  産業安全保障局(BIS)又はその他政府機関が、公式に或いは非公式にあ

  る一定の記録(複数の場合を含む)の提出を請求するならば、係る記録を関

  係機関の文書による承認なしに、破棄若しくは処分してはならない。この禁

  止事項は、例え、前記記録が本節(a)により要求される期間を超えて保存さ

   れていたとしても、§764.5(c)(4)(A)に従うBISへの自発的開示に属す

  る記録、及びその他記録に適用される。



§762.7   「記録の提示及び点検」

(a)米国に居住する個人

  米国に居住する個人は、EAR条項により、或いはそれらの下に発行された

  許可証、命令書、又は認可証により保持するよう要求された記録を提示し、

  そして、権限を与えられた政府職員、官吏、又は産業安全保障局、米国税関、

   若しくはその他米国政府機関の従業員による点検及び複写に直ちに応じられ

   るようにし、それを無料・諸経費ゼロで前述の職員、官吏、又は従業員に提

   供するよう要請されることがある。

   輸出執行事務所及び反ボイコット遵守事務所は係る要請についての自発的協

   力を奨励する。自発的協力が得られそうにない時は、輸出執行事務所及び反

   ボイコット遵守事務所は、出頭し証言するか、或いは帳簿、記録、及びその

   他の書類を提示するよう個人に要求する召喚状を発行する権限を与えられて

   いる。そこで、個人が召喚状に従わない場合には、商務省は地方裁判所に申

   請して召喚状に強制力を持たせることができる。

(b)米国外に居住する個人

  EAR条項により、或いはそれらの下に発行された許可証、命令書、又は認

  可証により記録保持を要求された米国外に居住する個人は、保持するよう要

  求された全ての記録若しくは記録の再生版を提示し、そして、権限を与えら

   れた政府職員、官吏、又は産業安全保障局、米国税関、若しくは国際郵便取

   扱い郵便局(a Foreign Service post)の従業員による、又はその他公認の米

   国政府代理人による、請求があり次第、それら記録等を直ちに点検及び複写

   できるようにし、それを無料・諸経費ゼロで前述の職員、官吏、又は従業員

   に提供しなければならない。  

                                 以上

[訳者注]原文に明らかな誤植があったので下記の如く訂正の上、翻訳した。

  @§762.1(a)(4)の文中§§734.2(b)(7)→§§736.2(b)(7)に訂正

  A§762.1(b)の文中§762.6→§762.7に訂正

  B§762.6(b)の文中§765.5(c)(4)(A)→§764.5(c)(4)(A)に訂正

  C§762.2(b)(9)の文中§740.7→§740.12(b)(7)に訂正