制限的取引慣行又はボイコット (§760.3-1/3) §760.3 「禁止事項の例外」 (a)排斥国の輸入要件 『排斥国の輸入要件遵守』 (1)米国人は、排斥国への、若しくは排斥国の国民又は居住者への貨物又は役 務の提供において、次のものの輸入を禁止している前述の排斥国の要件に 従い、或いは従うことに同意して良い。 (@)被排斥国からの貨物又は役務の輸入禁止 (A)被排斥国の法律に基づき設立された一般企業(a business concern)によ り製造された貨物又は提供された役務の輸入禁止、 或いは (B)被排斥国の国民又は居住者により製造された貨物又は提供された役務の 輸入禁止。 (2)米国人は、それに従うよう明確な要請を受けているか否かに係わらず、前 述の輸入要件に従い、又は従うことに同意して良い。その要件により、こ の例外は排斥国への輸入に係わる取引に限り適用される。米国人は、この 例外に基づき、被排斥国との若しくは被排斥国の国民又は居住者との商取 引を全面的に拒否してはならない。 (3)この例外の範囲内で取れる措置について、米国人が提供できる不買同盟関 連情報の種類に制限がある。(本章の§760.2(d),"被排斥国若しくはブラ ックリストに掲載された者との業務関係に関する情報提供"及び本節の(C), "輸入及び積出し資料要件"を参照) 《排斥国の輸入要件遵守の例》 下記の例は、排斥国の輸入要件の遵守が許される場合を決定する際の指針 を与えんとするためのものである。これらの例は説明のためのものであっ て全ての場合を網羅しているものではない。 (@)合衆国の製造業者であるAは、排斥国YからAの製品の注文を受けてい る。X国はY国により排斥されており、Yの輸入法はXで生産若しくは 製造された貨物の輸入を禁止している。この種類の注文に応ずる際に、 Aは通常Xで生産された幾つかの部分品を組込んでいる。 この注文に応ずるために、AはXで生産された部品の代わりに匹敵する 部分品を代用して良い。何故なら、Yの輸入法はXで製造された貨物の 輸入を禁止しているから。 (A)(@)と同じ。但し、YとのAの契約書で、契約を遂行するに際しAは ”被排斥国で生産若しくは製造された部品又は部分品を組込んではなら ない”と明白に規定されていることを除く。 Aはこの契約条項に同意し、これに従って良い。何故なら、YはXから 貨物を輸入することを禁止しているから。しかしながら、Aは輸入及び 積出し資料要件に応じて部分品の原産地に関する否定的な証明を提供し てはならない。 (B)合衆国の建設業者Aは、排斥国Yに工場を建設する契約を受けている。 Aは契約書に基づき必要とされる貨物の入札を受付けている。最低の付 け値をした者は、Yにより排斥された国Xの法律に基づき設立された一 般企業Bである。YはXの法律に基づき設立された会社により生産され た貨物の輸入を禁止している。 本契約書のために、AはBの入札を斥け、別の者を受け入れて良い。何 故なら、Bの貨物はYのXに対する不買同盟のために、Yへの持ち込み が拒否されることになっているのだから。 (C)(B)と同じ。但し、AもまたYによる被排斥国ではないM国における建 設事業に関する仕事振りのためにBによる低い付け値を拒否する。 この例外は適用されない。何故なら、Aの措置は被排斥国Xからの製品 輸入を禁止するYの要件に従うために取られたのではないから。 (D)合衆国の経営診断会社Aは、排斥国Yに役務を提供する契約をしている。 YはAがこれらの役務を提供するために被排斥国Xの居住者又は国民を 雇用しないよう要請している。 Aは契約の一条件として、役務をXの国民又は居住者より提供して貰わ ないことに同意して良い。何故なら、係る役務の輸入がYにより禁止さ れているから。 (E)合衆国の会社Aは、排斥国Yへ工作機械を供給する契約を取り決めるべ く交渉中である。その契約書には、当該工作機械は一つも被排斥国Xの 国民により所有される一般企業、それが例え被排斥国以外の法律に基づ き設立されたものであっても、により生産されていないことに同意する 旨の条項を含めるようYは強く主張している。 Aはこの条項に同意してはならない。何故なら、例え一般企業自身が被 排斥国以外の法律に基づき設立されたとしても、それは被排斥国の国民 により所有される一般企業により生産された貨物の輸入に関する制限に なるから。 (b)排斥国向け貨物の船積み 『排斥国向け貨物の船積みに関する要件遵守』 (1)米国人は、排斥国向け貨物の積出しにおいて、貨物の船積みを禁止してい るその国の要件に従い、又は従うことに同意して良い。その要件は、 (@)被排斥国の輸送体への搭載禁止、 若しくは (A)排斥国又は積荷の受取人により指示された以外の経路の禁止。 (2)もし、米国人が排斥国向け貨物の積出しに前述の輸送体を使用することが 排斥国の要件により禁止されていることを、知っているか若しくは知るべ き理由を有するならば、米国人が被排斥国の輸送体使用に係わる要件に従 い又は従うことに同意するよう明確な要請を必要としない。この例外は排 斥国又は積み荷の購入者が以下の如く述べている場合に適用される。 (@)積み荷が被排斥国の港を経由してはならない、とはっきり述べている。 又は (A)被排斥国の港を含まない積み荷の経路を断定的に記述している。 (3)本例外において、術語”被排斥国の輸送体”とは被排斥国の旗を揚げてい るもの、若しくは被排斥国により、又は被排斥国の国民或いは居住者によ り所有され、貸し切られ、賃貸され、または運営される輸送体を言う。 《排斥国の積出し要件遵守の例》 下記の例は、排斥国の輸入及び積出し資料要件の遵守が許される場合を決 定する際の指針を与えんとするためのものである。これらの例は説明のた めのものであって全ての場合を網羅しているものではない。 (@)Aは排斥国Yがそこから貨物を輸入する合衆国の輸出業者である。Yは 当該貨物が被排斥国Xの港を経由しないよう指図する。 AはYの船積指図書に従って良い。何故なら、指図書はY向け出荷貨物 の船積みの経路要件に属するから。 (A)合衆国の肥料製造業者Aは、排斥国Yから肥料の注文を受けている。Y は注文書に、Aは当該肥料を被排斥国Xの輸送体により輸送してはなら ないと明記している。 Aはこの要請に従って良い。何故なら、それは被排斥国の輸送体要件に 属するから。 (B)排斥国Yの居住者であるBは、織物を合衆国の販売業者Aに注文し、そ こで当該物件の被排斥国Xの国民により所有若しくは賃貸された輸送体 への搭載を禁止し、また前記輸送体がYに向かう途中でX国の港を経由 することを禁止する旨明記している。 Aはこれらの要請に従い、又は従うことに同意して良い。何故なら、こ れらのことは、Y向け貨物を被排斥国の輸送体に搭載して出荷する要件 及び前述の出荷品のとる経路要件に属するから。 (訳者注:本節の(b)(1)(@)及び(A)参照) (C)排斥国Yは貨物を合衆国の小売商Aに注文している。注文書には、Aに より積出される当該貨物は”被排斥国Xに登録され、又はXにより所有 された輸送体に搭載して積出されてはならない。”と明記されている。 Aはこの契約条項に同意して良い。何故なら、それは被排斥国の輸送体 要件に属するから。 (D)排斥国Yは貨物を合衆国の製薬会社Aに注文し、その出荷品はP国の港 を経由しないよう要請している。しかし、PはYにより排斥されていな い国である。 この例外は不買同盟に無関係な事柄に適用されない。AはYの船積指図 書に従って良い。何故なら、そうしても本章の禁止事項に違反すること はないから。 (E)排斥国Yは貨物を合衆国の製造業者Aに注文している。注文書には、A により積出される貨物は”Y国によりブラックリストに載せられた船舶 又は航空機に搭載して積出されることを禁止する。”と明記されている。 Aはこの条件に従うことに同意してはならない。何故なら、それは被排 斥国の輸送体の使用に限定した制限ではないから。 (c)輸入及び積出し資料要件 『排斥国の輸入及び積出し資料要件遵守』 (1)米国人は、排斥国向け貨物の積出しにおいて、下記の項目に関するその国 の輸入及び積出し資料要件に従い又は従うことに同意して良い。 (@)貨物の所属する国又は原産地 (A)輸送体の名称及び国籍 (B)積み荷の経路 (C)積み荷の供給者の名称、居住地、又は住所 (C)その他役務の提供者の名称、居住地、又は住所 (2)前述の情報は肯定的な、ブラックリストに関係のない、排他的ではない言 い回しで述べられなければならない。但し、輸送体の名称又は国籍、或い は積み荷の経路情報については、戦争の危険性又は没収を防ぐ警戒要件に 従うために、排斥国向け積み荷に関し、引き続き否定的な言い回しで述べ て良いのでこれらを除く。 《輸入及び積出し資料要件遵守の例》 下記の例は、排斥国の輸入要件の遵守が許される場合を決定する際の指針 を与えんとするためのものである。これらの例は説明のためのものであっ て全ての場合を網羅しているものではない。 (@)排斥国Yは、合衆国の石油掘削装置製造業者であるAと或る装置につい て契約を結んでいる。Yに輸入される貨物には、供給される当該貨物が 被排斥国Xで作られていないとする証明書を添付しなければならないと Yは要求している。 Aは否定的な言い回しでの係る証明書を提供してはならないが、代わり に貨物の原産国を肯定的な言い回しのみで特定して良い。 (A)(@)と同じ。但し、Yが貨物に添付する積出し資料には貨物の原産国を 明記するよう要求していることを除く。 Aはその情報を提供して良い。 (B)予 備 (C)合衆国の衣料品製造業者Aは、排斥国の国民Bに幾つかのA社製品を販 売する契約を結んでいる。Yの税関職員に提出すべき用紙には、積み荷 に含まれる貨物は”ブラックリストに掲載された”者により供給されて いないことを荷送り人が証明するよう要求している。 Aは否定的な言い回しでその情報を提供してはならないが、肯定的な言 い回しでのみ、貨物の供給者の名称を証明して良い。 (D)(C)と同じ。但し、税関の用紙には、使用する保険業者及び運送業者は ”ブラックリストに載せられて”いないとする証明書を要求しているこ とを除く。 Aはその要請に従ってはならないが、肯定的な言い回しでのみ、保険業 者及び運送業者の名称を述べた証明書を提供して良い。 (E)合衆国の石油化学製品の製造業者Aは、排斥国Yの居住者Bとの販売契 約を実行する。AのBとの契約書の条項には、船荷証券及びその他積出 し資料に当該貨物が”ブラックリストに載せられた”輸送体に搭載して 積出されていないことの証明書を含むよう要求している。 Aは輸送体が”ブラックリストに載せられて”いないことの証明書を提 供することに同意してはならないが、肯定的な言い回しのみで輸送体の 名称を証明して良い。 (F)(E)と同じ。但し、契約書には当該貨物が被排斥国X、又はXの国民或 いは居住者の旗を掲げ、若しくはこれらの者により所有され、貸し切ら れ、賃貸され、または運営される輸送体に搭載されて積出されないこと を証明するよう要求していることを除く。 係る証明は、それは戦争の危険又は没収を防ぐためにもっともな要件で あり、いつでも提供して良い。 (G)(E)と同じ。但し、契約書には積出し資料で使用される輸送体の名称を 挙げ、それが適正なものであることを証明するよう要求していることを 除く。 Aは否定的或いは肯定的言い回しのいずれでも、また何時でも、輸送体 の名称に関する要請された書類を提供し、又は提供することに同意して 良い。 (H)(E)と同じ。但し、契約書にはY国で配達をする前に輸送体が被排斥国 Xの港に寄港しないことを証明するよう要求していることを除く。 係る証明は、それは戦争の危険又は没収を防ぐためにもっともな要件で あり、いつでも提供して良い。 (I)(E)と同じ。但し、契約書には積出し資料で保険業者及び運送業者の名 称を明らかにするよう要求していることを除く。 Aは何時でもこれに従って良い。何故なら、この申立ては否定的な或い はブラックリスト掲載に係わる言い回しでなされるよう要求されていな いから。 (I@)合衆国の輸出業者Aは、自転車を排斥国Yに販売する契約について交 渉している。YはAが当該貨物はかって被排斥国Xの港に寄港したこと のない船舶に搭載して積出されることを保証することに同意するよう強 く主張している。 貨物が、途中で被排斥国Xの港に寄港する船舶に搭載され積み出されな いことの証明と区別されるべきであり、係る保証は戦争の危険又は没収 を防ぐためにもっともな要件ではなく、それ故に提供してはならない。 (IA)(I@)と同じ。但し、YはAが当該貨物はYの領海に入る資格のない 輸送体に搭載して積出されないことを保証することに同意するよう強く 主張していることを除く。 係る保証、それは戦争の危険又は没収を防ぐためにもっともな要件では ないから、それを提供してはならない。 (d)一方的、かつ特定の選抜 『一方的、かつ特定の選抜の遵守』 (1)米国人は、取引のごく自然な成り行きで排斥国、排斥国の国民、若しくは 排斥国の居住者(排斥国の善意の居住者である米国人を含む)による運送 業者、保険業者、排斥国内で実施される役務の供給者、又は特定の貨物の 一方的、かつ特定の選抜に従い、又は従うことに同意して良い。但し、役 務については、役務の重要でなくもない部分が排斥国内で実施されるとす れば、それが不可避であり、かつ慣例となっていることを条件とする。貨 物については、品目は取引のごく自然な成り行きで排斥国に入る時はいつ でも、それら貨物の出所又は原産地に関し次のいずれかの方法により確認 できなければならない。 (a)意匠又は外観の独自性により、 或いは (b)商標、商品名、又は包装を含めて品目自体を正常に識別できるその他 のものによる。 (2)この例外は、第三者より(本来の注文主に)提供されるべき貨物又は役務 について、一方的、かつ特定の選抜を受けた米国人(recipient)に許容され る事柄に関係する。それは係る選抜をする行為が許可されるかどうかには 関係しない。その問題は、米国人に関し、本節(g)の”現地の法律の遵守” において取り扱う。また、それは米国人自身が、その貨物又は役務を提供 する注文を受けた者(recipient)である場合には関係しない。米国人自身が 本章により禁止された措置を取らない限り、例え不買同盟を根拠として買 い手によって米国人が選抜された(例えば、その者がブラックリストに載 せられていないから)としても、本章はその米国人自身が注文に応ずるこ とを何ら禁止し、或いはそれを制限するものではない。 《選抜における一方的、かつ特定の性格》 (3)この例外が適用されるためには、米国人がそれに従いたいと願う選抜が一 方的、かつ特定のものでなければならない。 (4)”特定の”選抜とは、断定的に述べられ、かつ貨物又は役務の個別の供給 者を明記しているものを言う。 (5)”一方的”選抜とは、それを選抜する際に排斥国の買い手の自由裁量が行 使されているものを言う。もし、一方的選抜を受ける米国人が買い手に何 らかの不買同盟を根拠とする援助(買い手が不買同盟を根拠とする選抜を 行うことを手助けするための情報を含む)を与えているならば、それは買 い手の選抜が一方的ではなく、米国人によるこの選抜遵守はこの例外の範 囲内に入らない。 (6)資格のある供給者、下請け会社、又は入札者のリスト提供のような所謂、 ”事前選抜”或いは”事前の”役務の提供は、それ自体は、係る役務が不 買同盟を根拠としない限り、選抜における一方的と言う性格を消滅させる ものではない。例えば、資格のある供給者のリストは、ブラックリストに 載せられていることを理由に、誰も排除してはならない。その上、係る役 務は、排斥国におけるのと同様に排斥国でない国における実施実績により 慎重に選ばれたところの企業(或いはその企業の属する業界)により、類 似の取引において習慣的に提供される類のものでなければならない。もし、 係る役務が類似の取引において習慣的に提供されないものならば、又は係 る役務がブラックリストに載せられた者を取引に参加させないようにする か、或いは参加の機会を減らすようなやり方で提供されるならば、その時 その役務はその後の選抜における一方的な性格を消滅しないで(一方的な ものとして)提供されてはならない。 『排斥国の居住者によりなされた選抜』 (7)この例外が適用されるためには、この一方的、かつ特定の選抜が排斥国又 は排斥国の国民若しくは居住者により成されていなければならない。前述 の居住者は米国人であるかも知れない。本例外では、米国人はその者が善 意の居住者の場合に限るが、排斥国の居住者と見なされる。例え、前述の 者の居住が一時的なものであっても、米国人は排斥国の善意の居住者とな り得る。 (8)米国人が排斥国における善意の居住者かどうかを決定する際に考慮される 要因には次のものが含まれる。 (@)当該国における物理的存在(physical presence)の有無 (A)居住が法律上正当な業務のために必要か否か (B)居住の連続性の有無 (C)居住を続ける意図 (D)今回より前の当該国における居住の有無 (E)当該国における存在(presence)の規模及び特質 (F)その者は当該国において、取引登録又は法人化がなされているか否か (G)その者が有効な就労ビザを所有しているか否か 及び (H)その者は類似の業務を行うことに関連して、不買同盟の及びそうでない 外国の両方に類似の存在を所有しているか否か [本節(d)(8)の注]:上記要因のどれも決定的なものではない。事実上、善意 の居住にあたるか否かを確かめるために、全ての状況が 綿密に調べられる。法律上正当な業務の必要性に関係の ない、唯、本章の適用を回避する目的で設立された居住 は善意の居住にならない。 (9)排斥国の居住者は実際に選抜をしたその者でなければならない。もし、選 抜が排斥国における居住者の、そこに居住していない代理人、親、子会社、 系列会社、本店又は支店により成されるなら、それはこの例外の意味の範 囲内での居住者による選抜ではない。 (10)全く善意の居住者によって成された選抜であって、それを遂行するために 相手方(another person)により単に米国人に伝えられただけのものは、こ の例外の意味の範囲内での善意の居住者による選抜である。 《問い合わせ義務》 (11)もし、米国人が合衆国に居住する相手方から、排斥国の顧客による一方的 選抜であって、その選抜が不買同盟を理由に成されたことを知っているか、 又は知るべき理由を有するものを受けるなら、彼は誰が実際に選抜したか を決定するために、(その選抜の)伝達者に尋ねる義務がある。もし、彼は 選抜が排斥国又は排斥国の国民或いは居住者 以外により成されたことを 知っているか、或いは知るべき理由を有するなら、彼は従ってはならない。 米国人ならそれが不買同盟制限に一致すると分かり、又はそう認識すべき 行動の仕方又はやり方をする時は問い合わせ義務を生ずる。 (12)もし、米国人が受けた選抜が不買同盟を根拠とすることを知らないか、又 は知るべき理由を有しないなら、その者が係る選抜に従うことは如何なる 禁止事項も犯さず、本例外も必要とされない。 《役務の選抜》 (13)本例外は、輸送便の供給者(suppliers of services-carriers)、保険業者、 及び”排斥国国内”で実施される役務の供給者の、一定の種類の選抜遵守 に限り適用される。完全に合衆国国内で実施されるか、或いは完全に排斥 国以外の国の国内で実施される役務は適用対象に入れない。 (14)本章では、役務はそれがその役務の受取人の国内で当該役務の供給者によ り習慣的に実施されるもので、また、排斥国国内で実施された役務の部分 が必要かつ、実施される全役務の内の重要でなくもない部分である場合に 限り、”排斥国国内”で実施されることになっている。 (15)ここで、”習慣的であって、かつ必要な”ところのものは、排斥国におけ るのと同様に排斥国でない国における実施実績により慎重に選ばれたとこ ろの役務供給者(或いはその者の属する業界)の通常の実施実績に依存す る。但し、前述の実施実績は本章に適応するために開始されたところのも のを除く。 《貨物の選抜》 (16)本例外は、それら貨物が排斥国に入る時に、取引のごく自然な成り行きで それらの出所又は原産地に関し確認できる物品である貨物の一定の種類の 選抜の遵守に限り適用される。”具体的に確認できる物品”の定義は、本 節の中(§760.3)では本節(g)の”現地の法律の遵守”におけるものと同一 である。 (17)取引のごく自然な成り行きで”具体的に確認できる”物品は、それらが排 斥国に入る時に、包装を含めて商標、商品名、又はその他品目自体に普通 は付けられている識別子、或いは意匠又は外観の独自性により出所又は原 産地に関し確認できるそれらの品目である。検査が実施されるか否かに係 らず、もしそれら物品の出所又は原産地が、包装を含めて品目自体の検査 により確かめられるなら、物品は取引のごく自然な成り行きで”具体的に 確認できる”。もし、普通は存在しない商標、商品名、又はその他識別用 紙が、本章に適応するために包装を含めて品目自体に付加されるなら、物 品は取引のごく自然な成り行きで”具体的に確認できる”と見なされない。 『通 則』 (18)もし、一方的な選抜が本節(d)に記述された条件を満たすなら、一方的な 選抜を受ける米国人は、その選抜が不買同盟を根拠とすることを例え知っ ていても、或いは知るべき理由を有していても、それに従い、若しくは従 うことに同意して良い。しかしながら、もし、選抜の目的が人種、宗教、 性別、又は血統・出自を根拠とする米国人への差別を齎すことに成ること を知っているか、若しくは知るべき理由を有するなら、米国人は誰も如何 なる一方的な選抜にも従ってはならず、或いは従うことに同意してはなら ない。 《一方的な選抜遵守の例》 下記の例は、一方的な選抜になるもの及び係る選抜に従うことが許される 場合を決定する際の指針を与えんとするためのものである。これらの例は 説明のためのものであって全ての場合を網羅しているものではない。 [特定、かつ一方的な選抜] (@)合衆国の道路整地設備の製造業者Aは、排斥国YからYのブラックリス トに載せられていない輸送体である合衆国の船舶Bに搭載して、Y向け の貨物を輸送するよう頼まれている。 AはYの要請に従い、又は契約条件として従うことに同意して良い。何 故なら、その選抜は特定、かつ一方的なものだから。 (A)排斥国Yに工業施設を建設中の合衆国の建設業者Aは、Yの居住者Bよ りその施設で使用する空調設備の供給者としてCを使うよう頼まれてい る。CはY国によりブラックリストに載せられていない。AはBの要請 が不買同盟を根拠とするものであることを知っているか、又は知るべき 理由を有する。 Aは、Bの要請に従って良く、或いは契約の条件として従うことに同意 して良い。何故なら、Cの選抜は特定、かつ一方的なものだから。 (B)合衆国の自動車設備の製造業者Aは、排斥国Yより合衆国の輸送体、B, C,又はDに搭載してそのY向け貨物を輸送しないよう頼まれている。 輸送体、B,C,及びDは排斥国Yによりブラックリストに載せられて いる。AはYの要請が不買同盟を根拠とするものであることを知ってい るか、又は知るべき理由を有する。 AはYの要請に従い、又は従うことに同意してはならない。何故なら、 個別の輸送体についての特定の選抜が成されていないから。 (C)排斥国Yより注文のあった物品を出荷する合衆国の輸出業者Aは、その 物品の出荷に保険を掛ける際に、そこから選択して良い適格な合衆国の 保険業者一覧表をYより提供されている。Aはその一覧表が不買同盟に 基づき編集されたことを知っているか、又は知るべき理由を有する。 選ばれた保険業者の中からAが選択するようにとのYの要請に、Aは従 ってはならず、又は従うことに同意してはならない。何故なら、個別の 保険業者についての特定の選抜が成されていないから。 (D)合衆国の航空機製造業者Aは、排斥国Yに航空機を販売するために交渉 をしている。交渉期間中ずっと、YはAにその航空機用エンジンを通常 製造している会社を明らかにするよう要求した。Aはそれは通常合衆国 のエンジン製造業者Bにより製造されると応えた。BはYによりブラッ クリストに載せられている。購入に際し、Yはその航空機用エンジンは 合衆国のエンジン製造業者Cにより供給されるべきであると指定した。 AはYによるCの選抜に従い、又は従うことに同意して良い。何故なら、 Yの選抜は一方的、かつ特定のものだから。 (E)合衆国の建設企業Aは、パイプラインを建設するために排斥国Yの機関 に雇われている。YはAにパイプライン建設現場で使用する資格のある 工事会社を示唆するよう要請している。Aの顧客自身が契約すべき会社 を選抜するために、Aは操業する場所の如何に係らず、Aがその顧客に 資格のある工事会社はどこかを明らかにすることは慣例となっている。 工事会社の選択は習慣的に顧客の特権とされている。Aはそこがブラッ クリストに載せられているかも知らないと言う理由では一社も除外して ないB〜Fの工事会社5社のリストを提供し、それから協議し、そして Yに推奨案を与えた。AはCを推奨する。何故なら、Cが最も適格だか ら。Yはその後Bを選抜した。何故なら、Cはブラックリストに載せら れているから。 AはYによるBの選抜に従って良い。何故なら、不買同盟を根拠とする 決定はYにより成され、そして一方的、かつ特定のものだから。Aの事 前の役務は、このような場合に習慣的に提供されるので、またそれらは 不買同盟に関係なく提供されるものだから、この役務提供はYの選抜の 一方的と言う性格を消滅させるものではない。 (F)合衆国の航空機製造業者Aは、幾つかの飛行機を排斥国Yに供給する注 文を受けている。その注文に関連して、YはAに資格のある航空機タイ ヤ製造業者のリストを提供し、Yがその飛行機に取り付けるタイヤを選 抜できるようにすることを頼んでいる。これは極めて珍しい要請である。 Aの世界的な事業展開において、タイヤの選択をするのは製造業者であ って、顧客によらないのが慣例となっているから。それにも係らず、A はタイヤ製造業者,B,C,D,及びEのリストを提供する。YはBが ブラックリストに載せられていないので、タイヤ製造業者Bを選択する。 もし、Aが慣例に従い、タイヤを選抜していたなら、C社が選択されて いるであろう。Cはたまたまブラックリストに載せられていた、そして AはYがBを選抜する理由はCがブラックリストに載せられているため であることを知る。 Yがそこから選択するためのタイヤ製造業者のリストのAによる提供は、 Yの選抜における一方的と言う性格を消滅させる。何故なら、係る事前 選抜サービスはAの世界的事業展開において慣例になっていないから。 (G)合衆国の航空機製造業者Aは、合衆国に事務所を構える合衆国の会社C 社から、Cに所属する合衆国の系列会社D社に航空機を販売するための 注文を受ている。Dは排斥国Yの善意の居住者である。CはAに、”不 買同盟問題を避けるために”AはYによりブラックリストに載せられて いない会社、B社により製造されたエンジンを使用しなければならない と指示している。Bにより組立てられたエンジンは設計が独特なもので あって、又Bの商標が見られる。 Aはその選抜が不買同盟を根拠とすることを知る理由を有するので、そ の選抜が実際にDにより成されたかどうかをCに問い合わせなければな らない。もし、CがAにその選抜はDにより成されたことを報知するな ら、Aはそれに従って良い。 (H)(G)と同じ。但し、Cが最初にその指名が一方的、かつ具体的にDによ り成されたと述べていることを除く。 Aは何も調べることなくCの言うところを受入れ、その選抜に従って良 い。何故なら、Cは単にDの一方的、かつ特定の選抜を伝達しただけだ から。 (I)(H)と同じ。但し、CがAに排斥国に居住するCの系列の会社に代わっ て、又はその代理人としてBを選抜していると報知していることを除く。 Aはこの選抜に従ってはならない。何故なら、この決定は排斥国の居住 者によって成されたものでないから。 (I@)合衆国の経営診断会社Aは、農薬製造工場建設のために契約する会社 の選抜について排斥国Yに助言を与えている。Aの事業における慣例に 従い、Aは各候補のその仕事を遂行する能力を評価し、それを基に可能 性のある建設業者のリストを編集する。AはB社がブラックリストに載 せられていることを知っているが、しかし、B,C,D,及びE社の名 前を、その能力順に掲載してYに提供する。YはAにCと交渉し取り決 めるよう指示する。 AはYの指示に従って良い。何故なら、Yの選抜は一方的、かつ特定の ものだから。 (IA)合衆国の輸出業者Aは、排斥国Yより貨物を輸送体B,C,又はDに 搭載して出荷しないよう頼まれている。そして、それらはYにより排斥 されていない国Pの国民が所有し、P国に登録されている。 Aは、例えその選抜が特定のものでなくても、Yの要請に従い、又は従 うことに同意して良い。何故なら、Aはその要請が不買同盟を根拠とす ることを知らないし、或いは知るべき理由を有しないから。(注: 例(IA)において、Aは禁止事項に違反していない。何故なら、AはY の指示が不買同盟を根拠とすることを知らないし、或いは知るべき理由 を有しないから。それ故、Aの行為は必要不可欠な意図をもって、不買 同盟に従ったものではない。) (IB)合衆国の建設会社Aは、排斥国Yにホテルを建設する契約を受けてい る。契約の一部として、Aは種々の具体的に確認できる品目の有資格供 給者リストをYに提供するよう要求されている。Aは不買同盟に全く関 係なく、種々の有資格供給者リストを編集し、その後YはAに、Yが指 定する各供給者と交渉して取決め、契約し、そしてそこから配送する手 配をするよう指示する。AはYの選択が不買同盟を根拠に成されたこと を知っている。 AはYの選抜に従い、そしてYのためにこれらの事後の役務(services) を遂行して良い。何故なら、Yの選抜は一方的、かつ特定のものであり、 またAの事前の役務はYの不買同盟に関係なく提供されたから。 (次項へ続く)