制限的取引慣行又はボイコット

                       (§760.1-1/2)

§760.1 「定 義」

 本章で、EARの参照は15 CFR 第Z章、副章Cによる。

(a)”者(person)”の定義

  本章で術語”者”とは、個人(又は個体)或いは公共若しくは私用の如何を

  問わず連合又は団体であって、合衆国又は外国において組織され、恒久的に

  設立され、居住し、若しくは商売するために登録されたものを言う。この

   ”者”の定義には、単数及び複数両方のものを含み、その上次のものを含む。

 (1)営利又は非営利目的のために組織されたものであろうと、有らゆる組合、

   法人、会社、支店、或いはその他の形式の連合又は団体

 (2)有らゆる政府若しくはその政府の省、機関、又は委員会

 (3)有らゆる同業組合、商工会議所、又は労働組合

 (4)有らゆる慈善若しくは友愛団体、 及び

 (5)本節(a)(1)から(4)に特に掲載されていない、有らゆるその他の連合又は

   団体

(b)”米国人(United States person)”の定義

 (1)本章は米国人に適用する。本章で術語”米国人”とは、米国に居住し、若

   しくは合衆国の国籍を有する”者”を言い、個人、国内企業、及び国内企

   業に”事実上支配された”外国にある子会社、系列会社、又はその他常設

   の外国にある施設を含む。この”米国人”の定義には、単数及び複数両方

   のものを含み、その上次のものを含む。

    (@)合衆国政府又はその有らゆる省、機関、或いは委員会

    (A)合衆国の有らゆる州、コロンビア特別区、プェルトリコ連邦、合衆国

    の有らゆる領土若しくは領地の政府、又は前述の政府の分署、省、機

    関、或いは委員会

    (B)本節の(b)(1)(@)又は(A)の法律に基づき組織された、有らゆる組合、

    法人、会社、若しくはその他のもの

  (C)合衆国の有らゆる州、コロンビア特別区、プェルトリコ連邦、又は合

    衆国の有らゆる領土若しくは領地における、有らゆる外国企業の子会

    社、組合、系列会社、支店、事務所、又はその他常設の施設、 及び

  (X)有らゆる国内企業の外国にある、前述の国内企業により事実上支配さ

     れた子会社、組合、系列会社、支店、事務所、又はその他常設の外国

    にある施設("’事実上支配された’の定義"は本節(c)を参照)

 (2)術語”国内企業”とは、本節の(b)(1)(@)又は(A)に指定された行政管轄

   組織、の或いはその法律に基づき組織された、有らゆる組合、法人、会社、

   連合、又はその他のもの(other entity)、若しくは外国企業の常設の国内

   施設を言う。

 (3)術語”外国企業”とは、本節の(b)(1)(@)又は(A)に指定されたもの以外

     の行政管轄組織、の或いはその法律に基づ組織された、有らゆる組合、法

   人、会社、連合、又はその他のものを言う。

 (4)術語”米国人”には、合衆国の国外に居住し、恒久的或いは一時的とを問

   わず非米国人により雇用されるか、若しくはそのために被雇用者として働

   くよう配属された者であって、かつ非米国人の指揮及び支配下にある米国

   籍の各個人を含まない。

     《”米国人”の例》

   下記の例は、或る者が”米国人”かどうかを決定する際の指針を与えんと

   するためのものである。これらの例は説明のためのものであって、全ての

   場合を網羅しているものではない。

   (@)合衆国の銀行Aは外国Pに支店を持っている。係る支店は米国人である。

    何故なら、それは国内企業の常設の外国にある施設だから。

   (A)10人の外国籍の者が合衆国内に製造プラントAを設立し、ニューヨー

    ク州法に基づき同プラントを法人組織にした。

    Aは米国人である。何故なら、それは合衆国の一つの州の法律に基づき

    組織された法人だから。

   (B)外国の法人Aが合衆国から注文を取るために合衆国に事務所を開設した。

    この事務所は別法人となっていない。

    Aの合衆国事務所は米国人である。何故なら、それは外国企業の合衆国

    内における常設の施設だから。

   (C)合衆国の個人であるAは外国の法人Bに貯蔵品を所有している。Aは米

    国人である。しかしながら、Aは”国内企業”ではない。何故なら、術

    語”国内企業”には個人を含まないから。

   (D)合衆国に居住する外国籍のAは外国の法人であるBに雇用されている。

    Aは米国人である。何故なら、彼は合衆国に居住しているから。

   (E)外国籍のAは、外国に居住し、外国の法人に雇用されているが、商売の

       機会を探るために時々米国を訪れている。

       Aは米国人ではない。何故なら、彼は米国居住者若しくは米国籍者でな

    いから。

   (F)Aは貿易振興を目的とするペンシルバニア州法に基づき組織された、合

    衆国企業の連合である。

    Aは米国人である。何故なら、それは合衆国の一つの州の法律に基づき

    組織された連合だから。

   (G)Y国の要請で、米国の会社Bに雇用されている個人AがC社へ移籍させ

    られた。CはY国により所有及び支配される外国の会社である。Yに居

    住する予定の米国籍の個人Aは、彼の保険、年金、及びその他恩典が保

    持されることを条件に、移籍に同意している。それ故、B社は彼の雇用

    者としての恩典を保護するためにAを被雇用者として保有することに同

    意し、そしてC社はAの給与支払いに同意した。彼がCのために働いて

    いる間は何時も、AはCの指示と支配下に入ることになる。

    Cの指示及び支配下にある間は、Aは米国人ではない。何故なら、彼は

    合衆国の国外に居住し、かつ被雇用者として非米国人の指揮下に置かれ

    ることになるから。彼がCの指示と支配下にある限り、Aの保険、年金、

    及びその他恩典を保護するための取決めがあっても、Cの被雇用者とし

    ての彼の立場は損なわれない。

   (H)米国市民であるAは三年間ヨーロッパに居住し、そこで彼は通信産業関

    連の合衆国及び外国の会社のための自家営業コンサルタントをしている。

    Aは米国人である。何故なら、彼は米国籍を有していること、及び彼は

    米国人以外の者により雇用される合衆国の国外居住者ではないから。

(c)"事実上支配された"の定義

 (1)本章は国内企業の外国にある、前述の国内企業により”事実上支配された”

   子会社、組合、系列会社、支店、事務所、又はその他常設の外国にある施

   設に適用される。”事実上支配された”とは、国内企業が外国にある子会

   社、組合、系列会社、支店、事務所、又はその他常設の外国にある施設の

   全般的方針を確立するか、或いは日々の運営を管理する権限又は能力から

   成る。

 (2)国内企業の外国にある子会社又は系列会社は、下記の場合に、但し、法的

   根拠のある証拠による反証がない限り、かの国内企業により事実上支配さ

   れていると見なす。

   (@)国内企業が外国にある子会社又は系列会社の重要な議決権付き有価証券

    の50%超を(直接又は間接に)収益目的で所有し若しくは支配してい

    る。

   (A)もし、他に同等以上の割合の(直接又は間接的)所有者若しくは支配者

    がいないならば、国内企業が外国にある子会社又は系列会社の重要な議

    決権付き有価証券の25%以上を(直接又は間接に)収益目的で所有し

    若しくは支配している。

   (B)外国にある子会社又は系列会社が独占的経営契約の条項に従い、国内企

    業により運営されている。

   (C)外国にある子会社又は系列会社の取締役会の構成員の過半数が、同時に

    それに匹敵する国内企業の理事会の構成員である。

   (D)国内企業が外国にある子会社又は系列会社の取締役会の構成員の過半数

    を任命する権限を持っている。

   (E)国内企業が外国にある子会社又は系列会社の最高業務責任者を任命する

    権限を持っている。

 (3)顧客の便宜のために有価証券の単なる名義上の所有権を保有する証券会社

   又はその他の者は、当該有価証券を支配していると見なさない。

 (4)保有者又は所有者がいつでも、直ちに議決権のある有価証券に転換できる

   有価証券を直接又は間接に所有する国内企業は、それら議決権のある有価

   証券を所有し若しくは支配していると見なす。

 (5)国内企業の海外にある支店事務所又はその他法人化されていない常設の外

   国にある施設は、どんな場合でも前述の国内企業により事実上支配されて

   いると見なす。

     《”事実上支配された”の例》

   下記の例は、国内企業の外国にある子会社、系列会社、又はその他常設の

   外国にある施設が”事実上支配されている”場合を決定する際の指針を与

   えんとするためのものである。これらの例は説明のためのものであって、

   全ての場合を網羅しているものではない。

   (@)A社は外国で法人化されている。A社の議決権付き株式の51パーセン

    トを合衆国の会社であるB社が所有している。

    A社はB社により事実上支配されていると見なされる。但し、この推定

    は前記支配がB社について、事実上存在しないことを示す法的根拠のあ

    る証拠をもって反証できる。

   (A)A社は外国で法人化されている。A社の議決権付き株式の10パーセン

    トを合衆国の会社であるB社が所有している。AはBにより運営される

    とする独占的経営契約を、AはBと結んでいる。

    前述の契約が有効な限り、AはBにより事実上支配されていると見なさ

    れる。但し、この推定は前記支配がBについて、事実上存在しないこと

    を示す法的根拠のある証拠をもって反証できる。

   (B)A社は外国で法人化されている。A社の議決権付き株式の10パーセン

    トを合衆国の会社であるB社が所有している。A社の取締役会には10

    名の役員がいる。その内の6名は合衆国の会社であるB社の取締役会の

    役員でもある。

    AはBにより事実上支配されていると見なされる。但し、この推定は前

    記支配がBについて、事実上存在しないことを示す法的根拠のある証拠

       をもって反証できる。

   (C)A社は外国で法人化されている。A社の議決権付き有価証券の30パー

    セントを合衆国の会社であるB社が所有し、そしてそれ以上の証券を所

    有若しくは支配する者は他にいない。

    AはBにより事実上支配されていると見なされる。但し、この推定は前

    記支配がBについて、事実上存在しないことを示す法的根拠のある証拠

    をもって反証できる。

   (D)A社は外国で法人化されている。A社の定款で、合衆国の会社であるB

    社がA社の取締役を任命する権限を与えられている。

    AはBにより事実上支配されていると見なされる。但し、この推定は前

    記支配がBについて、事実上存在しないことを示す法的根拠のある証拠

    をもって反証できる。

   (E)A社は、合衆国の会社であるB社と外国の会社であるC社が出資比率を

    同率として外国で設立された合弁事業である。合衆国の会社であるB社

    はA社の最高業務責任者を任命する権限を与えられている。

    AはBにより事実上支配されていると見なされる。但し、この推定は前

       記支配がBについて、事実上存在しないことを示す法的根拠のある証拠

       をもって反証できる。

   (F)(E)と同じ。但し、B社はA社の最高業務責任者を任命する権限を有し

    ないことを除く。

    BはAを支配していると見なされない。何故なら、支配していると推定

    できるようなその他事実がないから。

   (G)A社は外国で法人化されている。合衆国の会社であるB,C,及びD社

    は各々A社の議決権付き有価証券の20パーセントづつを所有し、いつ

    も3社が協調して議決権を行使している。

    AはB,C,及びDにより事実上支配されていると見なされる。何故な

       ら、これらの会社は協調してAを支配するように行動をしているから。

   (H)合衆国内に店舗を有する合衆国の銀行Bは外国に支店事務所Aを所有し

    ている。Aは別法人になっていない。

    AはBにより事実上支配されていると見なされる。何故なら、Aは国内

    企業の支店事務所だから。

   (I)A社は外国で法人化されている。A社の議決権付き株式の51パーセン

    トをB社が所有しているが、B社はA社とは別の外国で法人化されてい

    る。B社の議決権付き株式の51パーセントを合衆国の会社であるC社

    が所有している。

    A及びB共にCにより事実上支配されていると見なされる。CによるB

    支配の推定は、係るB支配がCについて事実上存在しないことを示す法

    的根拠のある証拠をもって反証できる。BによるA支配(及びこのよう

    にしてCによるA支配)の推定は、係るA支配がBについて事実上存在

    しないことを示す法的根拠のある証拠をもって反証できる。

   (I@)合衆国の個人であるBはA社の議決権付き有価証券の51パーセント

    を所有している。A社は外国で法人化され、外国に店舗を有する製造会

    社である。

    本章では、Aは”事実上支配さた”ではない。何故なら、それが”国内

    企業”により支配されていないから。

(d)"合衆国の州際通商又は外国貿易に属する行為"の定義

   『合衆国に居住する米国人に係わる行為』

 (1)本章では、合衆国に居住する米国人の行為は、もしそれらが下記各項目中

   の2者間で行われる貨物又は役務(情報を含む)の販売、購入、若しくは

   移転に係わるならば、合衆国の州際通商又は外国貿易の範囲内に入る。

   (@)2以上の別々の州(コロンビア特別区を含む)

   (A)合衆国の有らゆる州(コロンビア特別区を含む)と有らゆる領土

    若しくは領地

   (B)2以上の合衆国の領土若しくは領地

   (C)合衆国の一つの州(コロンビア特別区を含む)、領土若しくは領地

    と有らゆる外国

 (2)本章では、合衆国からの貨物又は役務の輸出及び合衆国への貨物又は役務

   の輸入は合衆国国内通商に属する行為とする。さらに、国内企業の事実上

   支配された外国にある子会社、系列会社、又はその他常設の外国にある施

   設の行為を具体的に指導する国内企業の活動も合衆国国内通商に属する行

   為である。

 (3)合衆国に居住する米国人の行為は、例え、それが合衆国国内通商の範囲外

   の行為の一部又はその付随的なものであっても、合衆国内通商の範囲に入

   ることがある。しかしながら、付随的な行為が合衆国国内通商に入ること

   になっても、それ自体では、そこに潜在し若しくは関連する行為まで合衆

   国国内通商に入ることを意味するものではない。

 (4)それ故に、合衆国に店舗を有する合衆国の銀行が、合衆国国内通商に入ら

   ない対外取引のために合衆国から融資を提供する活動は、それでもなお、

   合衆国国内通商としての行為そのものである。しかしながら、融資が合衆

   国国内通商に入ることになっても、それ自体では、例え、そこに潜在する

   取引が本章で言うところの”米国人”である外国にある会社に係わるもの

   であっても、そこに潜在する対外取引が合衆国国内通商としての行為にな

   ることを意味するものではない。

 (5)同様に、合衆国に居住する米国人が、対外取引に関してその事実上支配さ

   れた外国にある子会社、系列会社、又はその他常設の外国にある施設に、

   融資、課金、弁護士支援、輸送、又はその他付随的なサービスを提供する

   活動は合衆国国内通商の範囲内である。しかし、前述の付随的なサービス

   の提供は、それ自体では、係る子会社、系列会社、又はその他常設の外国

   にある施設の対外取引を合衆国国内通商とするものではない。

  『事実上支配された外国にある子会社、系列会社、及びその他常設の

    外国にある施設の行為』

 (6)国内企業により事実上支配された外国にある子会社、系列会社、又はその

   他常設の外国にある施設と合衆国に居住する者との間の有らゆる取引は、

   合衆国国内通商に属する行為である。

 (7)前述の外国にある子会社、系列会社、又はその他常設の外国にある施設と

   合衆国外に居住する者との間の取引が合衆国国内通商に属する行為かどう

   かは、下記の法則により決定される。

       《合衆国国内通商に属する行為》

 (8)国内企業の事実上支配された外国にある子会社、系列会社、又はその他常

   設の外国にある施設と合衆国国外の者との間の取引であって、合衆国内に

     いる者から取得した貨物又は役務(情報を含む、但し、付随的なサービス

     を含まない)に係わるものは、下記のいずれかの事情ならば合衆国国内通

     商に入る。

   (@)もし、当該貨物又は役務が合衆国外の者からの注文に応ずるために取得

    されたものならば;

   (A)もし、当該貨物又は役務が合衆国外の者からの注文に応ずるために、別

    の製品に組込み、改良し、再加工し、若しくはそれを製造するために取

    得されたものならば;

   (B)もし、当該貨物又は役務が合衆国外の者とのその他取引を履行し、又は

    それに従事するために取得されたものならば;  又は

   (C)もし、当該貨物が合衆国外の者からの注文に応じ、又はその者とのその

    他取引の履行若しくはそれに従事する際に、実質的な変更又は修正なし

    に、取得され、かつ最終的に使用されるならば(当該貨物が最初から前

    述の目的のために取得されたもので有ろうと無かろうと)。もし、当該

    貨物が類似の対外貿易貨物と一緒に貯蔵若しくは在庫され、貿易貨物と

    原産地の区別ができないならば、当該貨物に係わるその後の取引は合衆

    国国内通商と見なされる。但し、注文に応ずる時、持ち合わせの外国原

    産品の在庫が注文に応ずるに充分な場合はこの限りではない。

 (9)本節では、貨物又は役務は下記の場合に合衆国国外の者とのその他取引に

   よる注文に応じ、或いはそれに従事するために取得されるものと見なされ

   る。その場合とは、

   (@)当該貨物又は役務が顧客に届けられることになっているとの趣旨で顧客

    による注文を受け次第、又は顧客に代わって、それらが外国にある子会

    社、系列会社、又はその他常設の外国にある施設により購入される場合、

   (A)即日配達ではないけれど、顧客の了解に従い特定の顧客の必要を満たす

    ために、それらが外国にある子会社、系列会社、又はその他常設の外国

    にある施設により購入される場合、  または

   (B)特定の顧客の予想需要に基づき、それらが外国にある子会社、系列会社、

    又はその他常設の外国にある施設により購入される場合。

 (10)もし、国内企業の支配された外国にある子会社、系列会社、又はその他常

   設の外国にある施設と合衆国国外の者との間の取引の付随的でない部分が

   合衆国国内通商の範囲に入るならば、取引全体は合衆国国内通商の範囲内

   である。例えば、もし、前述の外国にある子会社が合衆国から取得した貨

   物及び何処か別の所で取得した貨物の両方についての合衆国以外の顧客か

   らの注文に応ずる契約をするならば、かの顧客との取引全体が合衆国国内

   通商の範囲に入る。

       《合衆国国内通商の範囲外の行為》

 (11)国内企業の支配された外国にある子会社、系列会社、又はその他常設の外

    国にある施設と合衆国国外の者との間の取引であって、合衆国内にいる者

    へ又はその者からの役務(情報を含む)の購入、販売、又は移転に係わら

    いものは、合衆国国内通商に属する行為ではない。

 (12)合衆国内にいる者から取得した貨物に関する、国内企業の支配された外国

   にある子会社、系列会社、又はその他常設の外国にある施設の行為は、次

    の場合には合衆国国内通商の範囲に入らない。

   (@)当該貨物が合衆国外の者からの特定の注文、又はその者との取引に関係

    なく取得され、  かつ

   (A)当該貨物が追加工され、別の製品に組込まれ、改良され、又は再加工さ

    れるならば。

 (13)合衆国内にいる者から取得した役務に関する、国内企業の支配された外国

   にある子会社、系列会社、又はその他常設の外国にある施設の行為は、次

    の場合には合衆国国内通商の範囲に入らない。

   (@)当該役務が合衆国外の者からの特定の注文、又はその者との取引に関係

    なく取得され、  または

   (A)当該役務が合衆国外の者との取引に付随的なものならば。

 (14)本節では、もし、それらが第三者が使用するためでなく、主として支配さ

   れた外国にある子会社、系列会社、又はその他常設の外国にある施設の、

   その者自身が使用するために前記の者に提供されるならば、その役務は

   ”付随的な役務”である。それが国内企業により提供されようと、無関係

   のものにより提供されようとも、一般的に融資、課金、弁護士支援、輸送、

   及びその他役務を含む。

 (15)このように、合衆国内にある合衆国の銀行によるその銀行とは無関係の支

   配された外国にある子会社への融資計画の提供は、合衆国国内通商の範囲

   に入るべき潜在的取引の原因とならない付随的役務である。対照的に国内

   企業がその支配された外国にある子会社に代わって、外国の顧客に実施保

   証を与える場合、それは顧客に提供された役務であり、それ自体が、顧客

   とかの子会社との取引を合衆国国内通商とするものである。同様に、第三

   国におけるその支配された外国にある子会社の建設事業に関連して、国内

   企業により提供された建築又は工学的技術は、子会社の顧客に渡された役

   務であり、それ自体、かの子会社の対外取引を合衆国国内通商とするもの

   である。

  『通  則』

 (16)合衆国から出た貨物又は役務のその後の処分が合衆国国内通商の範囲内に

   入るかどうかに係わらず、合衆国内の者からの貨物又は役務の最初の取得

   は本章の規制を受ける合衆国国内通商に属する行為である。だから、もし、

   国内企業の支配された外国にある子会社がその在庫を合衆国から出た貨物

   で補充する際に、取引拒絶禁止事項に携わるならば、その後その在庫品を

   販売しようとすまいと、その活動は本章の規制を受ける。

 (17)上記の全ての場合において、貨物及び役務は、それらが直接であれ間接的

   であれ、第三者を経由して取得され、また、その場合に貨物又は役務を取

   得する者が注文を出した時に、それらが合衆国から納入されることを知っ

   ていようと、予期していようと、合衆国在住者から取得されていたものと

   見なされる。

  『信用状』

 (18)外国企業の常設の合衆国内にある施設を含め、合衆国内に居住する米国人

   による合衆国内での信用状の履行は、合衆国国内通商に属する行為である。

 (19)合衆国外に居住する米国人による合衆国外での信用状の履行は、次のいず

   れかの場合に合衆国国内通商の範囲内に入る。その信用状は、

      (a)受取り人の合衆国内住所が明記してある

      (b)合衆国からの船積みを指示する証拠資料を要求している

      (c)貨物が合衆国原産のものであることを指示する証拠資料を

      要求している

 (20)信用状の支払い、引き受け、確認又はその他履行が本章に規定される条件

   の範囲内かどうかを決定するために、本章の§760.2(f)”信用状”を参照

   のこと。

       《合衆国の州際通商又は外国貿易に属する行為の例》

   下記の例は、ある行為が合衆国の州際通商又は外国貿易の範囲内に入る場

   合を決定する際の指針を与えんとするためのものである。これらの例は説

   明のためのものであって、全ての場合を網羅しているものではない。

         〔合衆国に居住する米国人〕

   (@)合衆国の会社Aは貨物を合衆国から外国に輸出している。Aの行為は合

    衆国国内通商の範囲内である。何故なら、Aは貨物を合衆国から輸出し

    ているから。

   (A)合衆国の会社Aは貨物を外国から合衆国に輸入している。Aの行為は合

    衆国国内通商の範囲内である。何故なら、Aは貨物を合衆国に輸入して

    いるから。

   (B)合衆国の機械設計会社Aはその管理する(cotrolled)外国にある子会社B

    に技術相談サービスを与えている。Aの行為は合衆国国内通商の範囲内

    である。何故なら、Aは合衆国から役務(services)を輸出しているから。

   (訳者注:ここで、’管理する(cotrolled)’と訳したものは、前出の

        ’支配された’と同じものである。)

   (C)合衆国の会社Aは外国の会社Bに技術相談サービスを与えている。Bは

    A又はその他の米国人と無関係である。

    例え、合衆国外に設けられた外資系の会社Bが本章の規制を受けなくと

    も、Aの行為は合衆国国内通商の範囲内である。何故なら、Aは合衆国

    から役務を輸出しているから。

   (D)(C)と同じ。但し、Aは合衆国内に設けられた銀行で、建築融資をBに

    供給していることを除く。

    例え、Bが本章の規制を受けなくとも、Aの行為は合衆国国内通商の範

    囲内である。何故なら、Aは合衆国から融資(役務)を輸出しているから。

   (E)合衆国の会社Aは、その管理する外国にある子会社Bの排斥国に対する

    行為を管理するために、時々Bに施策指示を発している。

    その外国にある子会社Bの行為の指示におけるAの行為は合衆国国内通

    商に属する行為である。

         〔国内企業の外国にある子会社、系列会社

                及びその他常設の外国にある施設〕

   (@)合衆国の会社Bの管理する外国にある子会社Aは、合衆国から貨物を購

    入している。

    Aの合衆国からの貨物の購入は合衆国国内通商の範囲内である。何故な

    ら、Aは貨物を合衆国から輸入しているから。Aのその後の貨物の処分

    が合衆国国内通商の範囲内かどうかはここでは問題としない。同様に、

    Aが貨物を合衆国から購入した事実、それ自体はそれら貨物のその後の

    処分を合衆国国内通商に属する行為とするものではない。

   (A)合衆国の会社Bの管理する外国にある子会社Aは、排斥国Yから建設資

    材の注文を受けている。Aは合衆国の会社Bにその資材の注文を出して

    いる。AのYとの取引は合衆国国内通商の範囲内である。何故なら、そ

    の資材はYの注文に応ずるために合衆国から購入されるから。

   (B)合衆国の会社Bの管理する外国にある子会社Aは、排斥国Yから建設資

    材の注文を受けている。Aは合衆国の会社Bにその資材の幾らかを、又

    関係のない合衆国の会社Cに前記資材の残りを注文している。AのYと

    の取引は合衆国国内通商に属する行為である。何故なら、その資材はY

    の注文に応ずるために合衆国から購入されるから。その資材の注文先が

    BであろうとCであろうと相違を生じない。

   (C)合衆国の会社Bの管理する外国にある子会社Aは、卸及び小売の器具販

    売会社の範囲に入る。Aは時々その在庫品を蓄えるために合衆国から完

    成品の空気調和装置を購入している。Aの在庫品はその上合衆国外から

    購入した空気調和装置で補充されている。Aは排斥国Yから空気調和装

    置の注文を受けている。その注文には、Aの在庫品の中の合衆国原産の

    装置で応じている。AのYとの取引は合衆国国内通商の範囲内である。

    何故なら、その合衆国原産貨物は実質的な変更なしに再販されるから。

   (D)(C)と同じ。但し、Aが化学製品販売会社の範囲に入ることを除く。そ

    の合衆国原産貨物は、外国原産貨物と共に在庫品に加えられる。

    Aが、販売のその時に手持ちの外国原産品在庫がY向けの積出し分を賄

    うに充分であると示せない限り、その汎用在庫品をそのまま(無変更)出

    荷するAのY向け販売は、合衆国国内通商の範囲内と見なされる。

   (E)合衆国の会社Bの外国にある子会社Aは、排斥国Yからコンピュータの

    注文を受けている。Aは合衆国の会社Bにその部分品の幾つかを、関係

    のない合衆国の会社Cにその他部分品を、そして外国の会社Dに残りの

    部分品を注文している。Aはそれからコンピュータを組立て、それらを

    Yに向けて積出す。

    AのYとの取引は合衆国国内通商に属する行為である。何故なら、部分

    品の幾つかはYの注文に応ずるために合衆国から取得されるから。

   (F)(E)と同じ。但し、Aが全ての部分品を合衆国以外の国から購入するこ

    とを除く。

    AのYとの取引は合衆国国内通商に属する行為ではない。何故なら、そ

    れは合衆国からの貨物の輸出を伴わないから。Aがコンピュータを製造

    するために使用する技術が元々その合衆国の親会社から取得したもので

    あろうとなかろうと相違を生じない。

   (G)合衆国の会社Bの管理する外国にある子会社Aは、コンピュータを製造

    している。Aはその汎用部分品及び部品在庫を時々は合衆国から購入し、

    また時々は外国から購入して補充している。Aは排斥国Yからコンピュ

    ータの注文を受けている。Aはその汎用在庫品を材料として使用するコ

    ンピュータを製造してかの注文に応じている。

    AのYとの取引は合衆国国内通商の範囲内ではない。何故なら、合衆国

    原産部分品はYにおける特定顧客の予想される需要に合わせるために取

    得されていないから。Aの生産工程が合衆国原産技術であったとしても

    ここでは関係ない。

   (H)(G)と同じ。但し、Yの注文を見越してAは注文し、必要な資材を合衆

    国から受取っていることを除く。

    AのYとの取引は合衆国国内通商の範囲内である。何故なら、合衆国原

    産貨物はYの予想される注文に応ずるために取得されたから。

   (I)合衆国の会社Bの管理する外国にある子会社Aは、タイプライターを製

    造している。Aは合衆国から及び外国からその両方からタイプライター

    の部分品を買っている。Aはその生産品を、排斥国Yを含め世界中の様

    々な場所で販売している。Y向けの売上げ高は毎年変化しているが、し

    かし、過去5年間平均して大体全販売高の20パーセントに達している。

    手元に持ち合わせの契約若しくは注文はないけれど、Aはその売上げ高

    がこの先何年もの間およそこの水準を保つものと期待している。

    AのY向けタイプライターの販売は合衆国国内通商の範囲内ではない。

    何故なら、その合衆国の部分品はYの注文に応ずるために取得されてい

    ないから。一般的な将来の販売予想は本節で言うところの”注文”では

    ない。

   (I@)合衆国の会社Aの顧問弁護士は、その管理する外国にある子会社Bに

    Bの取引に対する本章の適用可能性に関する法律上の助言を与えている。

    この法律上の助言の提供はそれ自体は合衆国国内通商に属する行為であ

    るが、それだけでBの行為が合衆国国内通商となるものではない。

   (IA)合衆国の会社Bの管理する外国にある子会社Aは、総合建設企業の範

    囲内に入る。Aは排斥国YとYに発電所を建設する契約を結んでいる。

    工事図面及び仕様書を作成する際に、AはBの助言と援助を受けている。

    AのYとの取引は合衆国国内通商の範囲内である。何故なら、Bの役務

    (services)はYとの契約に応ずるために使用されているから。Bの役務

    は付随的な役務ではない。何故なら、発電所建設に関連する技術支援は

    Aにより最終的にYに与えられる役務の一部だから。

   (IB)(IA)と同じ。但し、AがBの技術的助言又は援助を得ていないこと

   を除く。しかしながら、Bの顧問弁護士は取引の構成に関し、Aに法律上

   の助言を与える。その上、Bの顧問弁護士は契約書を作成している。

   AのYとの取引は合衆国国内通商の範囲内ではない。Aに提供された弁護

   士支援は付随的役務である。何故なら、それらはYとのその契約を遂行す

   る際にAによりYに提供される役務の一部ではないから。

   (IC)合衆国の会社Bの管理する外国にある子会社Aは、排斥国Yにおける

   団地建設の契約を結んでいる。Aは全て合衆国外の貨物及び役務でもって

   その契約を遂行しようとしている。契約の条項に従い、BはAの契約実行

   を保証する。

   AのYとの取引は合衆国国内通商の範囲内である。何故なら、BがAの実

   行を保証することは、Yとの取引を遂行するために合衆国からの役務の取

   得を伴い、かつそれら役務が最終的にYに提供される役務の一部であるか

   ら。

   (ID)(IC)と同じ。但し、Aの実行保証が合衆国外に居住する非米国人C

   により供与されることを除く。しかしながら、如何なる個別取引にも無関

   係にBは時々一般的な融資、弁護士支援及び技術支援をAに与えている。

   AのYとの取引は合衆国国内通商の範囲内ではない。何故なら、合衆国か

   ら取得された役務はYとの取引を遂行するために取得されていないから。

   (IE)合衆国の会社Bの外国にある子会社Aは、排斥国Yとその国内での石

   油掘削操作指導の契約をしている。これら操作を指導する際、Aは時々掘

   削装置の操作に関しBから一定の技術的助言を求めている。

   AのYとの取引は合衆国国内通商の範囲内である。何故なら、Bの役務は

   Yとの契約を遂行するために求められており、かつそれらがYに最終的に

   供与される役務の一部だから。

   (IF)合衆国の会社Bの管理する外国にある子会社Aは、排斥国Yにタイプ

   ライターを販売する契約を結んでいる。Aは非排斥国Pに設置されている。

   部分品は一つも合衆国から取得されていない。AはタイプライターをPか

   らYに輸送するため合衆国の運送会社Cを雇っている。

   AのYへの販売は合衆国国内通商の範囲内ではない。何故なら、Aの貨物

   の運搬に際し、CはAに付随的役務を与えるが、Yには役務を提供してい

   ないから。

   (IG)(IF)と同じ。但し、AのYとの契約においてP国内でYに権利が渡

   ることを要求している点を除く。その上、その契約はAにYへ配達するた

   め運送会社を雇うよう要求している。

   AのYへの販売は合衆国国内通商の範囲内である。何故なら、Yの貨物の

   運搬に際し、Cは最終的にYに提供されるAへの役務を供与しているから。

   (IH)合衆国の会社Bの管理する外国にある子会社Aは、米国の会社Cの総

   合製造物責任保険に入っている。時々Aにより排斥国Y向けに販売される

   外国原産貨物は、その保険証券により補償が確保されている。

   AのY向け販売は合衆国国内通商の範囲内ではない。何故なら、Cにより

   提供される保険は最終的にYに供与されないAへの付随的役務であるから。

   (II)合衆国の会社Bの管理する外国にある子会社Aは、Bとのライセンス

   契約のもとに海外で自動車を製造している。時々、Aは前述の貨物を排斥

   国Y向けに販売している。

   AのYへの販売は合衆国国内通商の範囲内ではない。何故なら、ライセン

   スにより譲渡された権利はYとの取引に従事する特定の目的のために取得

   されていないから。

                            (次項へ続く)