輸出管理規則(EAR)の適用範囲 §734.1 「序 言」 (a)本章で、輸出管理規則(EAR)の参照は15 CFR 第Z章、副章Cによる。 本章では輸出管理規則(EAR)の適用範囲を記述し、またEARで使用され る特定の鍵となる熟語及び原則について説明する。本章は、品目及び行為 がEARの規制を受けるか否かの決定に使用する法則を与える。本章が EARに基づく責務を決定する第一歩になる。当該品目又は行為がEAR の規制を受けないならば、その時はEARに基づく如何なる責務も有せず、 EARのその他の章を再検討する必要はない。もし、当該品目若しくは行 為がEARの規制を受けることを既に知っているならば、本章を再検討す る必要はなく、必要な責務を決定するためEARの他の章の検討を続ける ことができる。本章は又EARで使用される、鍵となる熟語及び原則を記 述している。殊に、次の熟語を含む。それは、”EARの規制を受ける”、 ”EARの規制を受ける品目”、”輸出”、及び”再輸出”である。これ らとその他の熟語は、EARの772章、熟語の定義にも含まれており、 EARで使用される熟語の意味についてはEARの772章を参考にすべき である。最後に、本章は、EARを遵守してもそれにより外国の法律に基 づき課せられる如何なる責務も軽減されるものではないことを明確にして いる。 (b)本章では、EARの760章、取引制限の実施又はボイコット、に述べられ た条項について一切記載していない。 (c)本章は、輸出管理法及びその他法令に見られる再輸出を含む輸出、又は行 為、を統制する法的権限の適用範囲を定義していない。本章でなすべきこ とは、係る法的権限がEARにより行使される範囲を示すことである。 §734.2 「重要なEARの熟語及び原則」 (a)EARの規制を受ける−−定義 (1)”EARの規制を受ける”は、BXAがEARに基づき取締り権限を行 使する対象のそれら品目及び行為を記述するために、EARの中で使用 される熟語である。逆に言えば、EARの規制を受けない品目及び行為 は、EARの取締り権限外であり、これら規則により影響されない。 EARの規制を受ける品目及び行為は、本章の§734.2から§734.5迄に 記述されている。品目又は行為がEARの規制を受けるか否かを決定す るために、通商管理リスト(CCL)及びEARの適切な部分を調査しなけれ ばならない。しかしながら、もし品目又は行為がEARの規制を受ける か否かを決定する際に助けが必要ならば、本章の§734.6を参照のこと。 EARの規制を受けない、誰でも自由に入手可能な技術及びソフトウェ アは、§734.7から§734.11迄と本章の補足No.1に記述されている。 (2)EARの規制を受ける品目及び行為は、またその他機関により執行され る輸出関連制度に基づき規制されることがある。EARの規制を受ける 品目及び行為は、必ず他の機関の規制を免除されると言うことはない。 国家安全保障及び海外政策遂行のための規制を維持するBXA及びその 他機関は、重複する管轄権限を最小化するよう努めているが、幾つかの 例で、一つ以上の取締り制度を遵守しなければならないことがあるので 注意すること。 (3)”EARの規制を受ける”と言う熟語は、EARのその他箇所で課せら れる許可若しくはその他要件と混同されるべきではない。品目若しくは 行為がEARの規制を受けると言うだけで、許可又はその他要件が自動 的に当てはまるわけではない。許可又はその他要件は、EARのその他 箇所で係る品目又は行為に許可若しくはその他要件が課せられる、そう 言う場合のみ当てはまる。 (b)輸出及び再輸出 (1)輸出の定義 ”輸出”とは、米国からEARの規制を受ける品目を実際に積出し、又 は伝達すること、或いはEARの規制を受ける技術若しくはソフトウェ アを本節の(b)(2)(A)に記述の如く、米国内の外国人に譲渡することを 言う。EARの規制を受ける暗号化ソースコード及びオブジェクトコー ドのソフトウェアの輸出に適用する定義について、本節の(b)(9)を参照 のこと。 (2)技術若しくはソフトウェアの輸出 (暗号化ソースコード及びオブジェクトコードのソフトウェアに適用する条項について(b) (9)を参照のこと)”EI”規制を受ける暗号化ソフトウェアを除く、 技術又はソフトウェアの”輸出”には次を含む。 (@)EARの規制を受ける技術又はソフトウェアの、外国における一切の 譲渡。 或いは (A)EARの規制を受ける技術又はソースコードの、外国人に対する一切 の譲渡。係る譲渡は、当該外国人の故国、複数ある場合はその国々へ の輸出と見なされる。このみなし輸出規定は、米国永住が合法的に認 められた人々には適用されず、また移民及び帰化法(8 U.S.C.1324b (a)(3))に基づき保護される個人には適用されない。違反がまさに起 きようとしていることを知っている場合は、如何なる当事者への如何 なる品目の譲渡もEARの§736.2(b)(10)により禁止されていること に注意すること。 (3)技術若しくはソフトウェアの”譲渡”の定義 技術若しくはソフトウェアは、下記を通して”譲渡され”輸出される。 (@)外国人による米国原産装置及び設備の目視点検 (A)米国内又は外国での口頭による情報交換。 或いは (B)米国内で得た個人的な知識又は技術的経験の海外での適用 (4)再輸出の定義 ”再輸出”とは、外国から別の外国へEARの規制を受ける品目を実際 に積出し、又は伝達すること、或いはEARの規制を受ける技術若しく はソフトウェアを本節の(b)(5)に記述の如く、米国外で外国人に譲渡す ることを言う。 (5)技術若しくはソフトウェアの再輸出 EARの規制を受ける技術又はソースコードを他国において、その国の 人でない外国人に譲渡すれば、それは全て当該外国人の故国、複数ある 場合はその国々への再輸出と見なされる。しかしながら、このみなし再 輸出定義は、米国永住が合法的に認められた人々には適用されない。熟 語”譲渡”は、本節の(b)(3)で定義されている。違反がまさに起きよう としていることを知るべき理由があり、或いは知っている場合は、如何 なる当事者への如何なる品目の譲渡もEARの§736.2(b)(10)により禁 止されていることに注意すること。 (6)EARの目的に照らし、EARの規制を受ける品目の輸出又は再輸出で あって、一つの国若しくは複数の国を通過し、一つの国又は複数の国で 新しい国向けに積み替えられ、或いは新しい国向けに再輸出されんとす るものは、その新しい国向けの輸出と見なされる。 (7)或る外国の領土、領地又は領域が、EARの738章の補足No.1のカントリーチャ ートに記載されていないならば、EARの規制を受ける品目の係る仕向け 地向け輸出若しくは再輸出は、EARの下ではその外国向け輸出と見な される。例えば、英国の属領、ケイマン諸島向けの積出しは、英国向け 積出しと見なされる。 (8)EARの規制を受ける品目の輸出若しくは再輸出に、米国の州、プェル トリコ連邦、北マリアナ諸島連邦、即ち米国の如何なる領土、保護領、 或いは領地、のいずれか相互間の積出しを含まない。これらの仕向け地 は、国勢調査局発行の米国輸出統計用の国及び領土の分類、別表C及び Eに記載されている。 (9)暗号化ソースコード及びオブジェクトコードのソフトウェアの輸出 (@)EARの目的に照らして、暗号化ソースコード及びオブジェクトコー ドのソフトウェアの輸出とは、次のことを言う。 (A)米国から、実際に積出し、移転し、或いは伝達すること(本節の(b) (9)(A)も併せて参照)。 或いは (B)係るソフトウェアの外国大使館又は関係団体への米国内での移転。 (A)規制理由”EI”で通商管理リストのECCN 5D002に該当する暗号化ソ ースコード及びオブジェクトコードのソフトウェア(EARの774章、 補足No.1参照)の輸出には、次のものを含む。但し§740.13(e)及び §740.17(a)(5)(@)に基づく適格なソースコードの輸出を除く。 有線、ケーブル、無線、電磁気的、光学的、光電子的或いは米国外の 者にもアクセス可能なその他前記に匹敵する通信設備、なおこれには、 該ソフトウェアを利用できるようにする者が係るコードの未承認移転 を適切に防止する予防措置を講じないならば、電子掲示板、インター ネットのファイル転送プロトコル及びWWWサイトからの移転を含む、これら手 段により、係るソフトウェアを米国外の場所(電子掲示板、インター ネットのファイル転送プロトコル、及びWWWサイトを含む)にダウンロードし、 又はそのダウンロードを引き起こすこと、或いは係るソフトウェアを 米国外に移転できるようにすること。 (B)EARの736章に記述された一般禁止事項に照らして、許可例外§ §740.17(a)(2)(暗号化ソフトウェア製品)、(a)(5)(A)(特定の暗 号化ソースコード)及び(a)(5)(B)(暗号化ツールキット)に基づく輸出の 適格製品がインターネットにより移転されることの予防措置には、次 のような手段を含む。 (A)アクセス管理システムが、自動的又は人手を介してのどちらでも、 米国若しくはカナダ以外のシステムから移転の要求又は受信のあっ た各システムのアドレスをチェックし、かつ係るシステムにより最 終需用者が外国政府のドメイン名若しくはインターネット・アドレ スを有しないことを検証する(例えば、".gov",".gouv",".mil"或 いは類似のアドレス)。 (B)アクセス管理システムが、要求者若しくは受信者の各々に、その移 転には輸出管理規則に基づく輸出規制を受ける暗号化ソフトウェア を含み若しくは将来含み、係る移転を受ける者は誰でも許可又はそ の他承認なしに該ソフトウェアを輸出できない旨の注意を与える。 及び (C)係るソフトウェアの移転を要求若しくは受信する者は全て、次のこ とを無条件に容認しなければならない。即ち、 該ソフトウェアを、772章に定義されている如く、最終需用者が政 府の用途に供しない、彼又は彼女は、暗号ソフトウェアは輸出管理 規則に基づく輸出規制を受けることを理解し、かつ該移転を受ける 者は誰でも許可又はその他承認なしに該ソフトウェアを輸出できな い、ことを認めなければならない。 BXAは、もし文書による承諾書と同じ法律上の保証を確保できる ならば、電子的様式の承諾書を今後考慮するであろう。 §734.3 「EARの規制を受ける品目」 (a)本節(b)で除外される品目を除き、下記の品目がEARの規制を受ける。 (1)米国の外国貿易地域にあるもの又は米国を通って外国から他の国へ輸送 中のものを含め、米国内にある全ての品目 (2)所在の如何を問わず、米国原産の全ての品目 (3)外国で外国製品に組み込まれた米国原産の部品、部分品、材料若しくは その他貨物。外国のソフトウェアに混合された米国原産のソフトウェア 及び、外国の技術に混合された米国原産の技術。但し、これらの量が §734.4及び本章の補足No.2に記述されたde minimisルール適用水準を超 える場合に限る。 (4)EARの§736.2(b)(3)に記述の如く、外国で生産された米国原産技術若 しくはソフトウェアの特定の直接製品。熟語”直接製品”とは、技術又 はソフトウェアの使用により直接生産される直接の製品(プロセス及び サービスを含む)。 及び (5)EARの§736.2(b)(3)に記述の如く、米国原産技術又はソフトウェアの 直接製品である米国外の如何なるプラント若しくはプラントの主要部分 品により生産された特定の貨物 (b)下記の品目はEARの規制を受けない。 (1)国家安全保障若しくは海外政策遂行のため輸出又は再輸出を統制する米 国政府の次の省及び機関により、輸出又は再輸出が排他的に規制される 品目。 (@)国務省 国防貿易管理事務所により執行される武器の国際取引規則(22 CFR 121章)で、武器輸出管理法(22U.S.C.2778)の38節、米国軍需品リスト 上の国防品及び国防業務について述べている。 (A)財務省、外国資産管理局(OFAC) OFACにより執行される規則は、特定の外国に関し幅広い規制及び通商 禁止取引を遂行する。これらの規則には、特定の国向けの輸出及び再 輸出の規制を含む(31 CFR X部)。敵国との貿易法(50U.S.C.付録1節 及び次を参照)、及び国際緊急経済体制法(50U.S.C.1701及び次を参照)。 (B)米国核管理委員会(NRC) NRCにより執行される規則は、原子炉容器に関連する貨物の輸出及び 再輸出を規制する(10 CFR 110章)。1954年の原子力エネルギー法、但 し改正後のものによる(42U.S.C.2011節及び次を参照)。 (C)エネルギー省(DOE) DOEにより執行される規則は、特別な核物質の生産に関連する技術の 輸出及び再輸出を規制する(10 CFR 810章)。1954年の原子力エネルギ ー法、但し改正後のものによる(42U.S.C.2011節及び次を参照)。 (X)特許及び商標事務所(PTO) PTOにより執行される規則は、特許出願書又は改正、修正、或いはそ こへの補充又はその分割の様式での、分類してない技術の外国への輸 出を規定する(37 CFR 5章)。BXAは、このようなEARの規制を受 ける技術の輸出及び再輸出を承認する、輸出管理法に基づく権限を PTOに委任している。PTO規則に基づき承認されなかった、係る 技術の輸出及び再輸出はEARを遵守しなければならない。 (2)印刷された書物、小冊子、及び新聞と雑誌を含む種々雑多な出版物の内 容を、全部又は一部再生する録音されたプレーヤー用レコード。印刷さ れた書物、小冊子、及び製本された新聞と雑誌を含む種々雑多な出版物。 子供の絵本及び塗り絵帳。未製本の、見返しのない新聞と雑誌。音楽書。 シートミュージック。一冊に綴じた又は一枚刷りのカレンダー。地図、 水路図、地図帳、地名辞典、地球の遮蔽物、及び地球儀(地上及び天体 の)。前記のいずれかのものの内容の全部又は一部を再生する露光され、 現像されたマイクロフイルム。露光され、現像された映画フイルム及び サウンドトラック。及び専ら宣伝用に作成された印刷物。 (3)規制理由”EI”で通商管理リストのECCN 5D002に該当するソフトウェ アを除き、誰でも自由に入手可能な技術及びソフトウェアであって、次 のもの。 (@)本章§734.7に記述の如く、既に出版され、或いはこれから出版され るもの (A)本章§734.8に記述の如く、基礎研究の最中に出現し、或いはその結 果として生じたもの (B)本章§734.9に記述の如く、教育的なもの (C)本章§734.10に記述の如く、特定の特許出願書に含まれるもの [本節の(b)(2)及び(b)(3)に関する注] 暗号化ソースコードを公開している印刷された書物又はその他印刷物は、 それ自体はEARの規制を受けない(§734.3(b)(2)参照)。しかしなが ら、§734.3(b)(2)の規定に係わらず、電子的様式若しくは媒体(例え ば、電子計算機のディスク或いはCDROM)の暗号化ソースコードは 依然としてEARの規制を受ける(§734.3(b)(3)参照)。 (4)本章§734.4に記述された原則に基づくde minimisな米国成分以上のもの を含む外国産品目。 (c)”EARの規制を受ける品目”は、EARの774章の通商管理リスト(CCL) に記載された品目及びその熟語の定義に合致するその他全ての品目から成る。 参照と分類を容易にするため、CCLに記載されていないEARの規制を受 ける品目をEAR99と呼ぶ。 §734.4 「de minimisな米国成分」 (a)米国原産の規制品目であって、ECCN 3A001に分類される半導体(但し記憶 回路以外)又は高速の相互接続装置(ECCN 4A003.g)を含む28,000Mtops 超の外国産の電子計算機を、外国からEARの§742.12に記述されている コンピュータ階層3及び4の国に輸出する場合はde minimisルールを適用 しない。 (b)BXAから文書による承認のない、規制理由EIでECCNが 5A002,5D002 及び5E002の品目には de minimisルールを適用しない。輸出者は、分類要 求の一部として、ECCN 5D002で規制されるソフトウェアであって、許可例 外ENCの”小売の”或いは”ソースコード”の条項が適用できるもの、 又ECCN 5A002で規制される部品及び部分品に、de minimisルールを適用す べきか尋ねることができる。de minimisルール適用可否の審査には、国家 安全保障上の利害関係が考慮される。 (c)本節(a)の特定の電子計算機に対する規定を除き、EARの746章に記載さ れた通商禁止国向け、又はEARの742章に記述されたテロリスト支援国 向けになされた下記の再輸出はEARの規制を受けない。 (1)外国産貨物に組み込まれた、規制された米国原産貨物の価格の、総価格 に占める割合が10%以下の外国産貨物の再輸出 (2)外国産ソフトウェアに組み込まれた、規制された米国原産ソフトウェア の価格の、総価格に占める割合が10%以下の外国産ソフトウェアの再 輸出。 或いは (3)外国技術に混合され、又は引き入れられた、規制された米国原産技術の 価格の、総価格に占める割合が10%以下の外国技術の再輸出 (d)本節(a)の特定の電子計算機に対する規定を除き、本節(c)に含まれない その他全ての国向けの、下記の再輸出はEARの規制を受けない。 (1)外国産貨物に組み込まれた、規制された米国原産貨物の価格の、総価格 に占める割合が25%以下の外国産貨物の再輸出 (2)外国産ソフトウェアに組み込まれた、規制された米国原産ソフトウェア の価格の、総価格に占める割合が25%以下の外国産ソフトウェアの再 輸出。 或いは (3)外国技術に混合され、又は引き入れられた、規制された米国原産技術の 価格の、総価格に占める割合が25%以下の外国技術の再輸出 (e)de minimisな成分計算の際、外国産貨物又はソフトウェアの設計、製造に 使用された技術及びソースコードは、係る外国産貨物又はソフトウェアに 組み込まれたものとは見なされない。供給不足規制のみ受ける貨物は、 米国成分の計算に含めない。 (f)de minimis条項を、各々の場合に適用できるか否かを決定するために必要 な計算をする責任は当該個人にある。規制された米国成分の計算に関する 指針について、734章の補足No.2を参照のこと。 (g)混合された米国原産技術及びソフトウェアへの適用原則について、EAR の§770.3を参照のこと。 (h)本節の(c)及び(d)条項にも係わらず、米国原産の、ECCN 9E003a.1から a.12までと.f、及び関連する規制、により規制される技術、及び規制理由 ”EI”のECCN 5D002に該当する暗号化ソフトウェア、又は規制理由 ”EI”のECCN 5E002に該当する暗号化技術は、如何なるその他原産のそ の他ソフトウェア又は技術に、どのような点であれ外国で再抽出され、使 用され、参考にされ、或いはその他混合されれば、米国原産の性質を失わ ず、米国原産の技術又はソフトウェアとみなされる。それ故、プラント又 は装置、若しくはそれらの部品の、設計、工事、操作又は保守のために外 国で用意され、作られた、それに伴う或いは類似のソフトウェア又は技術 が、それらが係る米国原産のソフトウェア又は技術を基礎とし若しくは使 用したものであれば、EARの規制を受ける。 §734.5 「EARの規制を受ける米国及び外国の個人の行為」 下記の種類の行為はEARの規制を受ける。 (a)EARの§744.6に記述された核爆発装置、化学又は生物兵器、ミサイル 技術の拡散、及びEARの745章に記述された化学兵器の拡散に関連する 米国の個人の特定の行為。 (b)EARに基づき発行された命令により禁止された米国又は外国の個人の行 為であって、EARの766章に準じ発行された拒否命令を含む。 (c)EARの§744.9に記述された暗号化貨物若しくはソフトウェアに関する 米国の個人による技術的援助。 §734.6 「許可証及びその他要件の決定に役立つBXAの援助」 (a)もしも、貨物、ソフトウェア、技術又は行為がEARの規制を受け、或い は又、EARに基づき許可又はその他要件を必要とするのか、自信がない ならば、BXAに助言、分類又は特定品目若しくは行為がEARの規制を 受けるか否かの決定を求めることができる。品目が軍用に特別に設計され、 開発され、形成され、適合させられ、又は修正されたところのものを含む 多くの場合、その品目は国務省の許可権限に入り、武器の国際取引規則の 規制を受ける(22 CFR 120章から130章まで)(ITAR)。当該品目に関し、 国務省が許可権限を持つか否かを決定するために、貨物の管轄決定要求を 国務省、国防貿易管理事務所に提出すべきである。輸出者は、極く限られ た幾つかの事例で、品目のカテゴリーがITARとEARの両方の規制を 受けることがあるので注意すべきである。関連した局間で残っている不必 要な重複を削除するよう努めている。 (b)EARを執行する責任機関として、BXAは、品目又は行為がEARの規 制を受けるか否か、もしそうなら、どのような許可或いはその他要件が EARに基づき適用されるのかを決定する責任を有する唯一の機関である。 このような決定はEAR要件に限り影響を及ぼし、その他如何なる規制に も適用されない。 (c)BXAの許可又はその他要件決定に助けを必要とするならば、BXAに EARの§748.3に記述された手順に従い、助けを求めることができる。 §734.7 「出版された情報及びソフトウェア」 (a)情報は、下記の場合を含み、如何なる様式であれ、関心のある大衆に広く 利用可能となれば、”出版された”ことになる。 (1)無料若しくは有料、但し再生産及び配布に掛かる費用を超えない価格で、 大衆の如何なる人にも、或いは科学又は工学分野におけるテーマのよう に、そのテーマに関心のある人々の共同体に、一般配布可能な、雑誌、 書物、印刷物、電子機器、又はその他一切の媒体による出版(本章の補 足No.1、質問A(1)からA(6)迄を参照)。 (2)大衆に公開された図書館で、又は大学の図書館で既に利用可能になって いるもの(本章の補足No.1、質問A(6)を参照)。 (3)如何なる特許事務所でも利用可能な、特許及び公開(出版された)特許 出願書。 及び (4)公開の会議、会合、セミナー、貿易展示会、或いはその他公開の集会で の譲渡。 (@)会議又は集会は、もし大衆の中から専門的に選ばれた者全員が出席資 格を有し、かつ出席者が議事及び説明のメモを取り、或いはその他個 人的記録(必ずしも記録は必要ない)を取ることを許可されるならば、 ”公開”になる。 (A)出席者が、応募順に決まるか、或いは関連する科学的若しくは技術的 適性、経験又は責任に基づき選択される限り、掛かる費用を合理的に 反映し、かつ、関心があり、専門的に選ばれた全ての人が出席できる ようにすると言う意図を反映した登録料の徴収、若しくは事実上の出 席制限があっても、大衆の中から専門的に選ばれた者全員が、会議又 はその他集会に出席する資格を有すると見なされる(本章の補足No.1、 質問B(1)からB(6)迄を参照)。 (B)”出版”には、もし好意的に受け取られるならば、その文書が世の中 に公開されることを承知の上で、国内若しくは外国の雑誌編集者又は 校閲者に、或いは公開の会議又はその他公開の集会の組織者へ、文書 を提出することを含む(本章の補足No.1、質問A(1)及びA(3)を参照)。 (b)ソフトウエア及び情報は、無料若しくは有料、但し再生産及び配布に掛か る費用を超えない価格で一般配布可能な時、出版されたことになる。本章 の補足No.1、質問G(1)からG(3)迄を参照。 (c)本節の(a)及び(b)にも係わらず、規制理由”EI”で通商管理リストの ECCN 5D002に該当する暗号化ソフトウェア(EARの774章の補足No.1を 参照)は、なおEARの規制を受け続ける(許可例外に基づく譲渡につい て、EARの§§740.13(e)及び740.17(a)(5)(@)を参照)。 §734.8 「基礎研究の結果得られた情報」 (a)基礎研究 本節の(b)から(d)迄、及び本章の§734.11は、特定のいわゆる施設におけ る研究に”基礎研究”の資格を与えられるか否かを決定するのに使用され る特定の法則を提供する。これらの法則の裏には、結果的に得られた情報 は通常出版され、かつ科学界で幅広く共有されている、科学と工学の基本 及び応用研究を”基礎研究”として同一視すべきとの考えがある。係る研 究は、その結果が専有権を理由に又は本章の§734.11(b)に定義された特定 の国家安全保障を理由に通常制限される、専有権付きの研究と区別され、 また産業の開発、設計、生産、及び製品利用、と区別することができる。 (本章の補足No.1、質問D(8)を参照)。本節の条項は規制理由”EI”で 通商管理リストのECCN 5D002に該当する暗号化ソフトウェアに適用しない ので注意のこと(許可例外に基づく譲渡について、EARの§§740.13(e) 及び740.17(a)(5)(@)を参照)。 (b)大学の研究 (1)科学者、工学者、又は学生により行われた大学での研究は、本節の(b) (2)から(6)迄に記述された如く、基礎研究と通常見なされるであろう。 (”大学”とは、米国内に所在する大学として認可された高等教育機関 の全てを言う。) (2)大学研究の後援者による出版前の校閲は、後援者が研究者に提供した情 報が出版により不注意に漏らされないことを、ただ確認するためであれ ば、基礎研究としての研究の状況を変化させない。しかしながら、出版 前の校閲を条件とする研究成果・情報を企業の後援者から大学の研究者 に譲渡することはEARの規制を受ける。(本章の補足No.1、質問D(7), D(9)及びD(10)を参照)。 (3)大学研究の後援者による出版前の校閲は、出版により特許権を侵害され ないことを、ただ確保するためであり、かつ校閲により研究成果の出版 に一時的な遅れを生ずる以外の何物も引き起こさない限り、基礎研究と しての研究の状況を変化させない。 (4)後援者は、規定通り情報の一部若しくは全部の出版を取り止めることが できることを当事者間で合意している、産業の後援者から大学の研究者 への情報の最初の移転は、EARの規制を受ける。(本章の補足No.1、 質問D(2)を参照)。 (5)もし、大学又はその研究者が(要求により、例えば、産業の後援者から) その計画若しくは行為の結果として得られる科学的及び技術的情報の出 版についてのその他制限を容認するならば、大学の研究を”基礎研究” とは見なさない。研究の結果として得られる情報は、それにも係わらず 係る制限の全てが期限切れになるか、取り除かれている時は、基礎研究 としての資格が与えられる。(本章の補足No.1、質問D(7)及びD(9)を 参照)。 (6)もし、大学又はその研究者が米国政府により後援された研究計画若しく は行為について、特定の国家安全保障管理(本章の§734.11に定義の通 り)を受け入れるならば、本章の§734.11の条項が適用される。(本章 の補足No.1、質問E(1)及びE(2)を参照)。 (c)連邦機関又はFFRDCsにおける研究 連邦機関又は連邦政府資金による研究・開発センター(FFRDC)のために働 く科学者若しくは工学者により行われた研究は、係る科学者及び工学者 による情報の譲渡を規制するために、機関又はFFRDCにより考案された何 らかの適切なシステムの範囲内で(それ以上規制なし)、”基礎研究” と呼べる。(本章の補足No.1、質問D(8)及びD(11)を参照)。 (d)企業の研究 (1)企業体のために働く科学者若しくは工学者により行われた研究は、所有 権問題或いは本章の§734.11(b)に定義された特定の国家安全保障規制 に基づく制限又は遅延なしに、研究者が研究の結果得られた科学的及び 技術的情報を自由に公開できる場合に、その時、又それを限度とし、 ”基礎研究”と見なされる。 (2)会社による出版前の校閲は、会社が研究者に提供した自社の情報が出版 により漏れないことを、ただ確認するためであれば、本節(d)(1)の所有 権の制限とは見なされない。しかしながら、本節(d)(1)は、出版前の校 閲を条件とする研究成果・情報を大学の研究者に譲渡することを是認す るものではない。(本章の補足No.1、質問D(8),D(9)及びD(10)を参照)。 (3)会社による出版前の校閲は、出版により特許権を侵害されないことを、 ただ確認するためであり、かつ校閲により研究成果の出版に一時的な遅 れを生ずる以外の何物も引き起こさない限り、ここで言う所有権の制限 とは見なされない。 (4)しかしながら、企業体が規定通り情報の一部若しくは全部の出版を取り 止めることができることを当事者間で合意している、企業体から研究者 への情報の最初の移転は、”基礎研究”条項に基づくものとしては認め られない。 (e)その他どこかでの研究 本節の(b)から(d)迄に記述されたいずれの施設でも働いていない科学者若 しくは工学者により行われた研究は、本節(d)に記述された如く、企業の 研究として取り扱われる。(本章の補足No.1、質問D(8)参照)。 §734.9 「教育的情報」 本章の§734.3(b)(3)(B)で言及された”教育的情報”は、もしそれが学術 施設の各学科及び関連教育機関における授業により譲渡されるならば、 EARの規制を受けない。研究論文は、本章§734.8(b)で検討されている。 (本章の補足No.1質問C(1)からC(6)を参照のこと)。本節の条項は、規制理 由”EI”で通商管理リストのECCN 5D002に該当する暗号化ソフトウェアに は適用されないので注意のこと。(許可例外に基づく譲渡について、EAR の§§740.13(e)及び740.17(a)(5)(@)を参照)。 §734.10 「特許出願書」 本章の§734.3(b)(3)(C)で言及された情報は次の通り。 (a)完成させるため外国の発明者に送っており、その後米国の特許及び商標事 務所に出願するために戻される、完全に外国原産の技術データから作成さ れた特許出願書に含まれる情報。 (b)特許出願書又は改正、修正、出願書の補充又は分割に含まれ、37 CFR 5章 に記載の特許及び商標事務所の規則に基づき外国出願が認められた情報。 或いは (c)発明がなされた時米国在住だった、又は米国在住の者と共同発明者である 発明者の署名を得る目的で、米国特許出願の前、或いは出願後6ヵ月以内 に外国に送付した特許出願書に含まれる情報。 §734.11 「契約規制で守られた政府後援研究」 (a)研究が米国政府により投資され、特定の国家安全保障規制により、その研 究から生ずる情報を保護すべきとなっているならば、本章§734.3(b)(3) は係る規制に違反するそのような情報の一切の輸出若しくは再輸出に適用 しない。しかしながら、特定の規制に矛盾しない研究から生ずる一切の情 報の輸出若しくは再輸出は、それにも係わらずこの条項により行える。 (b)”特定の国家安全保障規制”の例は、出版許可を保留する権限を持つ、政 府による出版前検閲要件、非米国市民或いはその他範疇の個人への情報の 出版前流布に関する制限、又は研究における非米国市民或いはその他範疇 の個人の関与に関する制限などを含む。政府が分類する権限を保持する、 一以上の輸出規制法律又は規則、或いは一般的な注意事項の一般的参照は、 ”特定の国家安全保障規制”に当たらない。(本章の補足No.1 質問E(1) 及びE(2)を参照。) §734.12 「外国の法律及び規則の効果」 EARの如何なる許可又はその他要件を遵守する者も、適用される外国の法 律及び規則を遵守する責務を免れるものではない。逆に、外国の法律又は規 則の許可若しくはその他要件を遵守する何人も、EARを含む米国の法律及 び規則を遵守する責務を免れるものではない。 以上 [改訂来歴] REV1 '09.10.16 §734.3(b)(1)(A)におけるOffice of Foreign Assets Controlの訳語を海外資産管理事務所→外国資産管理局に訂 正した。