質問と回答(Q&A) EARの規制を受ける技術及びソフトウェア (EAR 734章補足No.1) 本補足No.1は、EARの規制を受ける技術及びソフトウェアに関する説明のた めの質問と回答を含む。BXAが本章を如何に解釈するかを理解して貰うための 公式の案内書の提供を意図するものであるが、あくまでも説明のためのものであ って、適用範囲は広くない。それに加えて、質問或いは回答に記載されたそれと、 少しでも実質的に異なる事実又は事情がある場合は、EARの該当する条項に基 づき考慮されなければならない。輸出者は、本補足の条項が米国軍需品リストか ら通商管理リスト(CCL)に転載され、1996.11.15の大統領令(E.O.)1306(61FR58767) に一致し、同日付けの大統領覚書に準ずる暗号化ソフトウェア(ソースコードを 含む)に適用できないことに注意すべきである。EARの§742.15を参照のこと。 本補足は、下記の題目に従い九つの節に分割される。 節A:技術の出版及び、既に出版され、若しくはこれから出版予定の 技術の輸出と再輸出 節B:会議における技術の譲渡 節C:教育的授業 節D:研究、文通、及び非公式な科学的交流 節E:連邦契約に基づく規制 節F:商業上の技術相談 節G:ソフトウェア 節H:公共図書館で利用可能なもの 節I:その他 節A:出版 質問A(1):私は外国の雑誌に、私の研究結果を記述した科学的論文を出版 (公表)することを計画している。そして、それはカナダを除く全て の国に対し許可を必要とするとEARに記載された分野におけるも のである。私は、海外の発行者にコピーを送るために許可証を必要 とするでしょうか? 回答:否。本輸出取引はEARの規制を受けない。EARは、既に世の 中に公開されている技術、同様に質問の取引により公開される技 術を対象としない(本章の§§734.3及び734.7参照)。貴方の研 究結果は、計画された出版により公開されることになろう。貴方 は、許可証を必要としない。 質問A(2):私が働く場所又は私が研究を行った場所により、回答が異なるので しょうか? 回答:否。もし貴方の雇主又は貴方の研究の別の後援者が、その出版に 制限を課すならば、勿論、結果は異なる(本章の§734.8参照)。 質問A(3):それが出版できるかどうかを決定する審査を受けるため、その論文 を外国雑誌の編集者に送付するのに、私は許可証を必要とするでし ょうか? 回答:否。貴方は、もしそれが好意的に受け取られるならば、その論文 が出版されるつもりで、その論文を編集者に提出したのだから、 本輸出取引はEARの規制を受けない(本章の§734.7(a)(4)(B) 参照)。 質問A(4):私が私の論文の中で報告しようとしている研究は、エネルギー省 (DOE)からの助成金を受けている。助成金を受けるとDOEによる秘 密情報の出版前許可が必要になる。そうすると輸出管理規則に基づ き何か違いを生ずるでしょうか? 回答:否。その取引はEARの規制を受けない。しかし、もし貴方がそ の助成金を受けた際、受け入れたエネルギー省の如何なる規制に 違反し出版しても、貴方は他の法律に基づき、適切な行政、民生、 又は刑事上の制裁を受けることになる。 質問A(5):我々は集積回路プラント及び生産ラインの設計、配置、及び建設に 関する技術相談業務を提供する。我々の営業の主要部分は、設計及 び製造過程における鍵となる問題に関する詳細便覧及び参照手順書 を顧客に販売するための出版である。係る便覧及び手順書を出版す るのに要する典型的な費用が500ドルとしたら、典型的な販売価 格は約15,000ドルである。係る便覧又は手順書の出版及び販 売はEARの規制を受けますか? 回答:その通り。価格が再生産及び配布の費用を超えている(本章の §734.7(a)(1)参照)。だから、貴方は貴方がこれらの便覧若し くは手順書のいずれかを輸出又は再輸出する前に、許可証を取 得するか又は許可例外の資格をとる必要がある。 [訳者注:再生産には技術又は情報本来の価値を含まない。] 質問A(6):私の博士論文は、カナダを除く全ての仕向け地に対し許可を要する ものとして、EARに掲載されている技術に関するものであり、そ してそれは未だ一般配布用に出版されていない。しかしながら、そ の論文は、私がそこから博士号を取った機関では入手可能である。 私が海外の同僚に別の写しを送るのに許可証を必要としますか? 回答:それは、その論文が入手可能な機関がどこなのかに依存する。も し、それが大学の図書館でたやすく入手できないならば(例えば、 開放型書架に置かれた図書目録に参照文献として整理収蔵してあ る場合)、それは”世の中に公開”されておらず、輸出又は再輸 出はそれ故にEARの規制を受ける。輸出又は再輸出は、もし貴 方の博士研究が本章の§734.8に基づく”基礎研究”に当て嵌ま るならば、EARの規制を受けない。もしそうでなければ、しか しながら、貴方が写しを国外に送る前に、貴方は許可証を取得す るか或いは許可例外の資格をとる必要がある。 質問A(7):我々は、ソフトウェア及びデータベースを含む電子的に記録された 情報を、卸売りと小売で販売している。我々の製品は、種々の分野 における専門家を対象としているが、一般の如何なる人も通信販売 により入手可能である。それらの価格は、それら分野における人へ の売上高が最大となるように決めてある。我々は、外国の顧客に我 々の製品を販売するのに許可証を必要としますか? 回答:もし、技術及びソフトウェアが技術共同体へ生産及び配布の代価 を超えない価格で、公開されているならば、貴方は価格以外で規 制されている技術又はソフトウェアについても許可を必要としな い。例え、その価格がより高価であっても、図書館で不特定多数 の者が自由に入手できる技術又はソフトウェアソースコードの輸 出若しくは再輸出は、EARの規制を受けない(本章の§734.7 (a)参照)。 節B:会議 質問B(1):私は、カナダを除く全ての国に対しEARに基づく許可を要するも のとして、掲載されている主題に関する著名な国際科学会議に論文 を提出するために招待されている。この分野の科学者たちは出席申 込書提出の機会を与えられている。招待状は、この分野の指導的研 究者と判断された者に与えられ、出席できるのは招待者に限る。出 席者は自由にメモを取れるが、しかし発表又は討論の電子的、即ち 逐語的な記録を取ってはならない。出席者の幾人かは外国人であろ う。私は私の論文を提出するのに許可を必要としますか? 回答:否。公開の会議における情報及び公開の会議で発表済みの情報 の譲渡はEARの規制を受けない。貴方が記述している会議は、 公開会議の定義に適合する(本章の§734.7(a)参照)。 質問B(2):もし、その会議で明らかになった事をメモし、又はその他個人的記 録を取ることが禁止されているならば、何か違いがあるでしょうか? 回答:その通り。”公開の”会議に当て嵌まるには、出席者がメモを 取り、又はその他個人的記録を取ることが許されねばならない (必ずしも記録の必要はないけれど)。もし、メモを取る又は は個人記録を取ることが、共に禁止されているならば、その会 議は”公開の”ものとは見なされない。 質問B(3):もし、登録料も又あるとすれば,何か違いがあるでしょうか? 回答:それは、その料金が掛かる費用に対し妥当な値であり、かつ関 心があり、技術的に適格な者の全てが出席できるようにすべき との意図を反映しているか否かによる(本章の§734.7(a)(4) (A)参照)。 質問B(4):もし、その会議が別の国で行われることになっていたなら,何か違 いがあるでしょうか? 回答:否。 質問B(5):私が係る外国の会議に提出することを提案する論文を会議主催者に、 点検のため送付するには許可証を取得しなければならないでしょう か? 回答:否。その論文が、もし好意的に受け取られるならば、それが会議 で配布され、そうして世の中に公開されるとの意図を持って、公 開の会議又は公開の集会の外国の主催者に論文を提出するために、 EARの許可を必要としない。その論文の提出は、EARの規制 を受けない(本章の§734.7(a)(4)(B)参照)。 質問B(6):もし、私の仕事が連邦政府の支援を受けているならば、前述の質問 のいずれかに対する回答に違いがあるでしょうか? 回答:否。貴方は、例え論文の譲渡が貴方を後援する政府と結んだ如何 なる協定に違反するとしても、その論文を輸出若しくは再輸出し て良い。しかしながら、EARは、貴方が連邦認可又は協定にお いて同意している規制に従うべき如何なる責任からも、貴方を解 放するものではない。 節C:教育的授業 質問C(1):私は大学の修士過程で超高速集積回路要素の設計及び製造について 教えている。多くの学生が外国人である。私は、この講座で教える ために許可証を必要とするでしょうか? 回答:否。学術施設の各学科及び関連教育機関における授業による情報 の譲渡は、EARの規制を受けない(本章の§734.9参照)。 質問C(2):もし、学生の幾人かが輸出許可を要する国から来ているならば、何 か違いがあるでしょうか? 回答:否。 質問C(3):もし、私が私の研究室における研究から最近の未だ出版されていな い成果について話すならば、何か違いがあるでしょうか? 回答:否。 質問C(4):例え、その研究資金が政府より出されていたとしても、違いはない でしょうか? 回答:しかし、その場合でも、貴方が認可又は協定において受け入れて いる個々の如何なる責務からも、貴方は免除されない。 質問C(5):もし、私が外国の大学で教えているならば、何か違いがあるでしょ うか? 回答:否。 質問C(6):我々は、高性能機械工具の設計及び製造について個人経営の講座で 教えている。我々の学級における授業はEARの規制を受けますか? 回答:その通り。貴方の個人経営事業は、本章§734.9で言う意味での ”学術施設”に当たらないから、その授業は本章§734.9の”教 育的情報の譲渡”に当て嵌まらない。考えられるところでは、し かしながら、その授業は、本章§734.7(a)に基づく”公開セミナ ー又は他の公開の集会での譲渡”に当たるであろう。但し、係る セミナー又は集会が”公開”に当て嵌まる条件が、料金が”(デ ータを作成するためでなく、会議に)掛かる費用に対し妥当な値 であり、かつ全ての関心があり、技術的に適格な者が出席できる ようにするとの意図を反映している”ことを含め、満たされねば ならない。 節D:研究、文通、及び非公式な科学的交流 質問D(1):私は私の研究室で働く外国の大学院生のために許可証を必要とする でしょうか? 回答:もし、その外国の学生が係っている研究が、本章§734.8に基づ く”基礎研究”に当て嵌まるならば、不要である。その場合、 その研究はEARの規制を受けない。 質問D(2):我々の会社は、大学の研究グループと協同研究協定を結んでいる。 そのグループの研究者の一人は中国国籍である。我々は、我々専有 の情報の幾つかをその大学の研究グループと共有したい。我々は、 この情報が中国の科学者の手に入らないと、保証はできない。我々 はその可能性を防ぐために許可証を取得する必要があるでしょうか? 回答:否。EARは、企業と大学の間の特定の協定に基づく産業−大学 共同研究の講座で、米国の大学において如何なる科学者、工学者 又は学生に情報を開示しても、それを規制の対象としない。但し、 これらの協定書において、後援者が研究者に提供した如何なる情 報も出版(公表)を差し止めてはならない旨明記されていること を条件とする。しかしながら、もし貴方の会社と研究者が出版禁 止について同意しているならば、そのとき貴方は、情報を大学に 移転する前に許可証を取得するか又は許可例外の資格をとらねば ならない。後援企業者としての貴方と大学は、外国籍の者がその 情報に接近するかどうかを討議するために集まることが重要であ り、その結果、情報を研究チームに移転する前に何らかの必要な 認定を取得すれば良い。 質問D(3):私の大学は、工業用セラミックス及び複合材料の研究に関する専門 家である著名な科学者を中国から迎える。私は、我々の訪問者に私 の最近の未だ出版されていないその分野における研究成果について 話す前に、許可証を必要とするでしょうか? 回答:恐らく必要としない。もし、貴方が貴方の研究を大学で実施し、 かつ、研究の譲渡に関する契約上の規制を受けないならば、貴方 の研究は”基礎研究”(本章の§734.8(a))に当て嵌まるであろ う。係る研究中に惹起し又は結果として生ずる情報は、EARの 規制を受けない(本章§734.3(b)(3)参照)。 しかしながら、貴方の訪問者が貴方から学んだ潜在的軍事価値の ある何事かについて帰国後報告させられるであろうことを、貴方 は多分想定すべきである。もし、貴方が係る情報を彼に与えるこ とが、例えそれが許可されるものであっても、米国の安全保障権 益を危険にさらすのではないかと心配するならば、商務省は貴方 が、貴方に助言を与えることのできる適切な政府の科学者と連絡 をとれるようにすることができる。ワシントンDC20044、私書 箱273、商務省、輸出管理局へ手紙を出すこと。 質問D(4):もし、私が中国で中国の専門家と話すことを提案するならば、何か 違いがあるでしょうか? 回答:いいえ、もし質問の情報が同じ”基礎研究”中に惹起し又は結果 として生ずるものならば。 質問D(5):私は中国内の彼の研究室で彼と共に何らかの仕事を合法的にできる でしょうか? 回答:米国で習得した個人的知識若しくは経験の海外での適用は、その 知識及び経験の輸出となり、係る輸出はEARの規制を受けるこ とになる。もし貴方がこの方法で輸出する知識若しくは経験のい ずれかがEARの許可を必要とするならば、貴方は係る許可証を 取得するか又は許可例外の資格をとらねばならない。 質問D(6):私は私の分野におけるイランの専門家と文通し、研究結果を分担し たい。そしてそれは、カナダを除く全ての仕向け地向けに許可を要 する技術を取り扱う。私は、そうするために許可を必要とするでし ょうか? 回答:いいえ、それらがなお前述の、本章§734.8(a)にはっきり説明さ れた法則に基づく”基礎”に当て嵌まる研究中に惹起し又は結果 として生じた情報である限りは。 質問D(7):もし質問の研究が企業の後援者により投資され、私が研究から生ず る如何なる論文の出版前審査にも同意していたならどうでしょうか? 回答:貴方の研究がなお”基礎”に当て嵌まるかどうかは、出版前審査 の性質及び目的に依存する。もしその審査が、貴方の出版により 特許権を侵害されず、後援者が貴方に提供した情報を不注意に漏 らされるないことを唯確認しようとするためならば、その研究は なお”基礎”に当て嵌まる。しかし、もし後援者が、貴方の新し い研究結果を商業秘密として、又はその他独占的情報として保持 したいか否かの判定を、出版前審査の一部と考えているならば (例え、貴方の自発的協力からそうすべきとしても)、もはや貴 方の研究は”基礎”に当て嵌まらない。これらの規則に用いられ ている如く、その研究が”基礎”とみなされ、そうすればEAR の規制を受けないが、それを決定する根本的な要因は現実的又意 図的な研究結果の公開性にある。 質問D(8):研究がこういう風に公開され、それ故”基礎”とみなされるかどう かを決定する際、どこで或いはどのような施設で、研究が行われた かが問題なのでしょうか? 回答:原則的には、否。”基礎研究”は、大学におけるのと同様に、産 業界、連邦研究所、又はその他の種類の施設でも行われる。規則 には、規則を遵守すべき者と彼らを管理する者の双方が、特定の 研究活動がそれに含まれるかどうかをかなり正確に決定するため に使用できる、幾つかの実効的な推定及び手順が取り入れられて いる。異なる種類の施設においても、共通の予測できる規範が働 いていることを認め、規則では研究施設の所在地をこれら推定及 び手順の出発点として使用する。それにも係らず、”基礎研究” の確認は、依然として研究の種類と、殊にその出版の意図及び自 由度による。施設の所在地ではない(本章の§734.8(a)参照)。 質問D(9):私は或る産業法人の中央基礎研究所で、高電力レーザの研究をして いる。私の研究成果を出版若しくはその他公開する前に、出版前審 査のためにそれを提出するよう要求されている。私はベトナム出身 の同僚の科学者が米国を訪問した時、研究成果を彼女と比較し、研 究の結果について彼女と討論したい。私は、そうするために許可証 を必要とするでしょうか? 回答:貴方は恐らく許可証を必要とする(本章の§734.8(d)参照)。 しかしながら、もしその情報のいずれかの出版に関する唯一の制 限が、出版により特許権若しくは会社により研究者に提供された 専有情報が侵害されないことを、ただ確認するための出版前審査 ならば、貴方の研究は”基礎研究”とみなされ、その場合はそれ がEARの規制を受けないから、貴方は情報を分配できるかも知 れない。もし出版前審査が研究の結果の出版を差し止めるためな らば、その情報はEARの規制を受けることになるので注意する こと。 質問D(10):もし私が既に会社の審査過程を終えており、私の同僚と分担したい 全ての情報を自由に出版できるとすれば、但し私は未だ出版してい ないけれど、何か違いがあるでしょうか? 回答:もし貴方の会社手続きを終えた言うのが、貴方が全ての情報を制 限若しくは遅れなしに自由に公開できることを意味するならば、 その情報はEARの規制を受けない(本章の§734.8(d)参照)。 質問D(11):私は研究者として政府所有、契約者運営研究センタで働いている。 私は私の未だ出版されていない研究の成果を外国籍の者と、EAR に基づく輸出規制に関係なく共有して良いでしょうか? 回答:それは後援する機関及びセンタの運営次第である。もし貴方の研 究が、センタの科学者及び工学者による情報の譲渡を規制するた めに工夫された何らかの適切なシステムの中で、”基礎研究”で あることが明らかにされるならば、それは商務省によりそのよう に取り扱われ、その研究はEARの規制を受けないことになろう。 もしそうでなければ、貴方は許可証を取得するか又は許可例外の 資格をとる必要がある。但し、出版若しくはその他情報を公開す る場合を除く(本章の§734.8(c)参照)。 節E:連邦契約に基づく規制 質問E(1):国防省(DOD)と結んだ研究の実行契約において、我々は特定の国家安 全保障規制の遵守に同意している。DODは、それらが出版され前 に我々が申し出た如何なる論文も、90日掛けて審査することにな っており、又、如何なる外国籍の者でもその事業へ割当る場合にそ の承認をしなければならない。質問の職場は、別途本章の§734.8に 基づく”基礎研究”部門として資格があるものとされている。この DOD後援研究の最中に、或いはその結果として惹起する情報は、 EARの規制を受けるでしょうか? 回答:本章の§734.11に示す通り、貴方が同意している契約に基づく規 制に反する政府後援研究の結果としての情報の、如何なる輸出若 しくは再輸出も”基礎研究に当て嵌まらず、係る輸出又は再輸出 は何であれEARの規制を受けることになる。規制に反しない係 る輸出若しくは再輸出は何であれ、本章の§734.8(a)に記載の ”基礎研究”法則に基づき、輸出及び再輸出する資格を引き続き 有する。このように、もし貴方が同意している特定の規制を守る ならば、貴方はEAR違反について心配する必要がない。もし貴 方がそれらの規制に違反し、そして本章の§734.8(a)に基づく ”基礎研究”として情報を輸出若しくは再輸出するならば、貴方 はその他法律に基づき契約不履行に対する行政上及び民生上の処 罰に加えて、刑事上の制裁を含め、EARに基づく制裁を被るか も知れない。 質問E(2):輸出管理規則は、私の研究成果を出版する私の能力を制限するでし ょうか? 回答:輸出管理規則は、貴方が同意している国家安全保障規制を施行す る手段ではない。もし係る出版が契約に反するならば、貴方はそ の他法律に基づく行政上、民生上、及び起り得る刑事上の処罰を 受けることになろう。 節F:商業上の技術相談 質問F(1):私は米国で大学教授をしており、ミクロン以下の素子の設計及び生 成に専門的知識を有する。私は係る素子の製造を望む”第三世界” の会社の技術顧問になるよう要請されている。私はそうするために 許可証を必要とするでしょうか? 回答:その通り。出来る限りそうして欲しい。米国で取得した個人的知 識又は技術的経験を海外で適用することは、輸出管理規則の規制 を受けるその知識及び経験の輸出になる。もし貴方の輸出若しく は再輸出である、知識又は経験の何らかの部分が、EARの許可 を必要とする技術を扱うならば、貴方は許可証を取得するか或い は許可例外の資格をとる必要がある。 節G:ソフトウェア[暗号化ソフトウェアを除く] 質問G(1):機械が読み取り可能な符号でのソフトウェアの輸出若しくは再輸出 は、係るソフトウエアのソースコードが世の中に公開されている時、 EARの規制を受けるでしょうか? 回答:もしソフトウェアプログラムのソースコードが世の中に公開され ているならば、その時、ソースコードから翻訳された機械が読み 取り可能な符合は、世の中に公開されたソフトウェアであり、そ れ故EARの規制を受けない。 質問G(2):再生産及び配布の代価を超えない価格で販売されたソフトウェアの 輸出若しくは再輸出は、EARの規制を受けるでしょうか? 回答:もし、それが或る共同体で、再生産及び配布の代価を超えない価 格で入手可能ならば、機械が読み取り可能な符号でのソフトウェ アは、世の中に公開されていることになる。係る再生産及び配布 の代価には、諸経費の変動分及び固定分、及び再生産並びに貴方 の会社又は第三者の配布システムにおける配布機能に対する通常 の利益を含む。貴方の会社で、係る代価に、開発、設計、又は習 得費の回収を含まないかも知れない。この場合には、ソフトウェ アの提供者は、ソフトウェアの本来の価値に対する料金を受け取 っていない。 [訳者注:再生産にはソフトウェア本来の価値を含まない。] 質問G(3):もし、BXAが分類書簡で、それはEARの規制を受けないために 充分な低価格である、と決定した価格でそれを販売するならば、係る ソフトウエアの輸出若しくは再輸出が、EARの規制を受けるでしょ うか? 回答:分類依頼への返答で、BXAは、例えそれが再生産及び配布の代 価を超える価格で販売されていても、それにも係らず、その価格 がBXAの判定における係る分類に当て嵌まるに充分な低価格で ある限り、BXAは特定のソフトウェアをEARの規制を受けな いものとして分類しようと決心することがある。 節H:公共図書館で利用可能なもの 質問H(1):もしそれが図書館で利用可能、かつ電子的提供物又は印刷物として 販売されるならば、係る情報の輸出若しくは再輸出はEARの規制 を受けるでしょうか? 回答:情報を配布するための電子的提供物及び印刷物は、情報を役立つ ように訂正及び纏める際に、売り手が付け加えた価値の故に市場 で比較的高価になることがある。もし、係る情報も又図書館で利 用可能--それ自体を不特定多数の者が自由に見れる--或いは、ど んな方法にしろ出版されているならば、その情報はそう言った理 由で”世の中に公開”されており、例え、貴方若しくは貴方の雇 い主がそのために実質的な料金を支払った電子的提供物又は印刷 物を通して、貴方がその情報を入手したとしても、その情報自体 は従来通りEARの規制を受けない。 質問H(2):もしその情報が、電子的形式で図書館において利用者に無料で利用 できるならば、係る情報の輸出若しくは再輸出はEARの規制を受 けるでしょうか? 回答:例え、図書館が電子的検索サービスの実質的加入料を支払ったと しても、不特定多数の者が自由に利用できる図書館において、利 用者に無料で利用できる電子的形式の情報は、世の中に公開され た情報である。 質問H(3):もしその情報が図書館で利用でき、かつ再生産及び配布の代価以上 で販売されるならば、係る情報の輸出若しくは再輸出はEARの規 制を受けるでしょうか? 回答:書籍、雑誌、論文、書類、電子データベースからの情報、及び不 特定多数の者が自由に利用できる図書館で利用可能なその他情報 は、EARの規制を受けない。例え貴方が係る書籍を再生産及び 配布の代価以上で購入しても、この通りである。換言すれば、例 え著者が貴方の特定の購入に関し、情報の本来の価値に対する利 益を得るとしても、係る情報は”世の中に公開”されている。 節I:その他 質問I(1):私がそこで働いている製造プラントは、一般大衆の団体のプラント 設備見学の受け入れ開始を計画中である。もし見学団体に外国籍の 者が含まれるならば、許可証が必要になるのではないかと、我々は 心配している。係る見学は輸出になるのでしょうか? もしそうな らば、その輸出はEARの規制を受けるでしょうか? 回答:EARは技術の輸出及び再輸出を、米国原産の装置並びに設備の 外国籍の者による目視検査を通しての譲渡を含むものと定義して いる。その見学が貴方の競争相手を含め全ての者に真に開放され、 又貴方が見学案内に掛かる代価に相応しくない料金を徴収しない 限り、係る輸出若しくは再輸出は”世の中に公開”された条項に 当て嵌まり、EARの規制を受けないことになる。もしそうでな ければ、外国籍の者が貴方の設備を見学することを許可する前に、 貴方は許可証を取得するか、或いは許可例外の資格をとらねばな らない(本章の§734.7参照)。 質問I(2):もし、その情報が図書館になく、或いは出版されていないが、再生 産及び配布の代価を超えない価格で販売されるならば、係る情報の 輸出若しくは再輸出は、EARの規制を受けるでしょうか? 回答:もし、貴方がそれを両方とも或る共同体に対し可能とし、又、も し貴方がそれを再生産及び配布の代価を超えない価格で販売する ならば、不特定多数の者が自由に利用できる図書館になく、また 如何なる方法でも未だ出版されていない情報が、それにも係らず ”世の中に公開”されたことになる。係る再生産及び配布の代価 には、諸経費の変動分及び固定分、及び再生産並びに貴方の会社 又は第三者の配布システムにおける配布機能に対する通常の利益 を含む。貴方の会社で、係る代価に技術又はソフトウェアの開発、 設計、又は習得費の回収を含まないかも知れない。このように推 断する理由は、情報の提供者が情報の本来の価値について何も受 け取っていないからである。 [訳者注:再生産には情報本来の価値を含まない。] 質問I(3):電子掲示板に寄稿された情報の輸出若しくは再輸出は、EARの規 制を受けるでしょうか? 回答:次の各々を仮定する: 1.情報が、その情報の所有者若しくは創作者である個人により 電子掲示板にアップロードされた; 2.その者は、掲示板管理者又は掲示板の参加者から料金を徴収 しない; 及び 3.その掲示板は、加入費の如何を問わず、与えられた共同体に おける如何なる加入者にも参加可能である。 係る情報は、例え、それが何処からも出版されず、図書館にもな いとしても、それは”世の中に公開”されたのであり、それ故 EARの規制を受けない。このように推断する理由は、掲示板の 加入費又は回線料は専ら配布の費用であり、その情報の提供者は、 その情報の本来の価値について何も受け取っていないからである。 質問I(4):世の中に充分に開示された特許情報の輸出若しくは再輸出は、EAR の規制を受けるでしょうか? 回答:例え貴方が、再生産及び配布の代価を超える料金を支払った後で のみ、係る情報を使用できるとしても、世の中に公開された特許 情報は、その範囲内でEARの規制を受けない。この場合、売り 手は技術データの本来の価値に対する料金を受け取っている。し かしながら、その情報の輸出若しくは再輸出は、それにも係らず、 EARの規制を受けない。何故ならば、誰でも公開された記録か ら技術を取得し、さらに開示し、又はその情報を出版できるのだ から。そう言うわけで、その情報の利用を拒絶する輸出規制を課 すことは不可能である。 [訳者注:再生産には特許本来の価値を含まない。] 以上