供給不足規制
(§754.1-7)
§754.1 「緒 言」
(a)範 囲
本章で、輸出管理規則(EAR)の参照は15 CFR 第Z章、副章Cによる。本章は輸
出管理法(EAA)の7項の条項”供給不足規制”、並びに国家安全保障及び外交
政策の領域を基礎としないその他法律における類似条項の実施に係わる。
(b)内 容
具体的には、本章では次のものを取り扱う。
(1)通商管理リスト(EARの774章、補足No.1)上に規定する適用可能な輸出管
理分類番号(ECCN)の、”許可要件”項の”規制理由”部分に符号”SS”
を含む貨物に対する許可要件及び許可方針について述べる。適切と思われ
た場合には、本章に記述する供給不足許可要件から免除する許可例外も併
せて規定する。本章に記述する許可要件及び許可方針は、次のものに及ぶ。
(@)ECCN 1C981に記述された原油(本章の補足 No.1に一覧表示された再構
成原油、タールサンド、及び天然頁岩油を含む原油)。これらの品目
に特有の許可要件については、本章の§754.2を参照のこと。
(A)本章の補足No.1に一覧表示された原油以外の石油生成物であって、海
軍石油保留地(NPR)から生産され若しくはそこに由来するもの、又は
NPR生産若しくは由来貨物と交換することで輸出可能になったもの
うち、次のECCNに記述されるもの。これらの品目に特有の許可要件に
ついては、本章の§754.3を参照のこと。
(A)ECCN 1C980(無機化学物質);
(B)ECCN 1C982(その他の石油生成物);
(C)ECCN 1C983(天然ガス液及びその他の天然ガス派生物質); 及び
(D)ECCN 1C984(人造ガス及び合成天然ガス。但し、天然ガスを混合し、
従ってエネルギー省の輸出許可権限に属する場合を除く)。
(B)ECCN 1C988に記述された未処理のウェスタンレッドシーダー(本章の
補足No.2に一覧表示された、米杉、学名は(thuja plicata)の丸太及
び角材、並びに丸身の有る、荒板、又は飾り付け若しくは加工された
板材)。これらの品目に特有の許可要件については、本章の§754.4
を参照のこと。
(C)ECCN 0A980(船便で輸出する馬)に含まれる屠殺のために船便で輸出
される馬。これらの品目に特有の許可要件については、本章の§754.5
を参照のこと。
(2)輸出に係わる供給不足制限の免除のための合衆国農産物の登録についての
法令条項の組み込み(本章の§754.6を参照); 及び
(3)再利用可能な金属材料の監視又は規制の発動を要求する請願書の提出及び
審査についての法令条項、並びに関連する公開の聴聞会に対する手続きの
組み込み(本章の§754.7を参照)。
(c)再輸出
本章により規制される品目の再輸出には、もしそのような要件が具体的に本
章に述べられているか、若しくは合衆国から輸出を認められた許可証に述べ
られている場合に限り、許可証が要求される。
(d)通商を禁止された仕向け地に対する付加要件
通商を禁止された仕向け地に係わる輸出については、本章の要件、及び併せ
てEARの746章(通商禁止及びその他特別規制)の要件も満たさなければなら
ない。
§754.2 「原 油」
(a)許可要件
CCL(EARの774章の補足No.1)上のECCN 1C981の”許可要件”の項に記号SSで
示されている限り、許可証はカナダを含む全ての仕向け地向け原油の輸出に
ついて要求される。本項の(h)(i)(j)節には次の場合に適用できる許可例外を
示す。
(h):米国国家石油備蓄からの一定の原油の輸出;
(i):見本の一定の出荷;
(j):トランス-アラスカ-パイプライン権限法(43 U.S.C. 1652)の203項に
準拠して交付された通過権を得てパイプラインにより輸送される原油
の輸出。
”原油”とは次の如く定義される。
地下の油層内に存在する液状炭化水素の混合物であって、地上の分離施設
を通した後大気圧で液状に留まっているもののうち、原油の蒸留塔を通す
処理を未だしていないもの。
その中には、再構成原油、並びにタールサンド、ギルソナイト(uintaite:
天然アスファルトの商品名)及び油頁岩から生産されたリースコンデンセ
ート(lease condensate)油及び液状炭化水素を含む。ドリップガス(drip
gases)も併せて含むが、しかし、抜頭原油(topped crude oil)、残油、及
びその他の精製完了及び未完成石油は除外される。
(訳者注:lease condensate及びdrip gasesについて訳者補足を参照)
(b)許可方針
(1)もし、BISが当該輸出はその輸出に関係する特有の要件に合致すると決
定すれば、BISは次の種類の取引についての原油の輸出申請を承認する。
(@)アラスカ州のクック湾からの輸出(本項の(d)節を参照);
(A)カナダ向けの輸出であって、そこで消費若しくは使用するもの(本項の
(e)節を参照);
(B)米国国家石油備蓄原油の精製若しくは交換に関連する輸出(本項の(f)
節を参照);
(C)カリフォルニア産重質原油の輸出であって、最大でも平均取引量が1日
当たり25百万バレルを超えないもの(本項の(g)節を参照);
(訳者注:日量25百万バレルはほぼOPEC全体の産出量日量約30百万バレル
にも匹敵し、明らかに誤植である。正しい値が分かった時に訂正す
る。以下同様)
(X)本項の(c)節に一覧表示された法令に記述されたところの国際協定に合
致する輸出;
(E)本項の(c)節に記述された法令を含め、適用可能な法令に基づく大統領
裁定に合致する輸出; 及び
(F)BISを納得させることのできる書類に基づき、当該石油が合衆国原産
品でなく、かつ、合衆国原産の石油を混合していないことを輸出者が証
明できるところの外国産原油の輸出。米国国家石油備蓄からの一定の原
油輸出を許可する許可例外SPRの条項については、本項の(h)節を参
照のこと。
(2)もし、発議された輸出が国益並びにエネルギー政策及び保存法(EPCA)に合
致するとBISが決定すれば、BISは個々の事例に従って原油輸出のた
めのその他申請書を審査し、本項の(c)節に規定するものを除き、大抵係る
申請を承認する。BISは承認に向けて全ての申請書を考慮するけれど、
大抵、次の種類の取引は国益のためになりEPCAの目的に合致するとBIS
が決定するものの中に入る。
(@)輸出が取引全体の一環である次の(A)(B)(C)の全てに該当する取引
(A)輸出許可証を要求される原油の輸出が、合衆国への輸入に直結する取
引であって、当該輸出原油と量、質とも同等以上の輸入になる場合、
若しくは、当該輸出原油の精製により派生するはずの貨物の量及び質
より少なくない量及び質の、本章の補足No.1に一覧表示された石油生
成物の輸入になる場合;
(B)合衆国の石油供給が中止されるか、若しくは深刻な危機に瀕した時は
いつでも終了する契約条件でのみ行なわれる取引; 及び
(C)申請者の手に負えない抗しがたい経済的又は技術的理由で、当該原油
を合衆国内でどう見ても販売できないことを申請者が証明できる取引。
(A)本項の(c)節に一覧表示された幾つかの法令において、その制限を除外
するものとされている一時的な輸出又は交換に係わる輸出取引。
(c)追加の法令規制
(1)次の法令は原産地又は輸送の形態に基づく、国内産原油の輸出規制を規定
している。もし、この他の法的規制が適用されるなら、その適用される法
律により要求される大統領裁定がある場合に限って輸出は承認される。
(@)標題が”アラスカ州ノーススロープ原油の輸出”の公法104-58の201項
は、トランス-アラスカ-パイプライン権限法(43 U.S.C. 1652)の203項
に準拠して交付された通過権を得てパイプラインにより輸送された国内
産原油の輸出を規定している("TAPS原油")。大統領は1996.4.28に決定
した。
(A)1920年の鉱床開発のための公有地賃貸法(Mineral Leasing Act)は、同
法(30 U.S.C. 185(u))の28(u)項に準拠して交付された通過権を得てパ
イプラインにより輸送された国内産原油の輸出を制限している("MLA")。
(B)連邦大陸棚領域法(Outer Continental Shelf Lands Act)(43 U.S.C.
1354)は、大陸棚から産出された原油の輸出を制限している("OSCLA")。
(C)海軍石油保留地生産物法(10 U.S.C. 7430)は、海軍石油保留地から生産
された原油の輸出を制限している("NPRPA")。
(2)本章の補足No.3に関連する法令の条項を記述している。特定の法令が適用
される場合には、輸出承認に先だって大統領裁定が必要とされる。場合に
よっては、特定の原油輸出に適用される一つ以上の法令があり得ることに
注意しなければならない。
(d)アラスカ州のクック湾からの輸出
アラスカ州のクック湾にある海底の国有地に由来する原油であって、MLA
又はトランス-アラスカ-パイプライン権限法に属する連邦通過権を得て輸送
されていないもの、若しくはその予定のないものの輸出申請については承認
することを許可方針としている[1]。
(脚注[1]:1985.11.6 に商務長官は、アラスカ州のクック湾内の合衆国領海
に由来する原油の輸出は国益並びにエネルギー政策及び保存法の
目的に合致すると決定した)
(e)カナダ国内で消費又は使用するためのカナダ向け輸出
(1)TAPS原油を除き、カナダ国内で消費又は使用するためのカナダ向け原
油の輸出申請は、承認することを許可方針としている。
(2)TAPS原油については次の手続き及び条件を前提として、カナダ国内で
消費又は使用するための申請であって、平均出荷量が1日当たり50,000
バレルを超えないものは、承認することを許可方針としている。
(@)貨物の海上輸送は46 U.S.C. 12106に基づく合衆国沿岸貿易証明書の交
付を受けている船舶によりなされること。但し、ワシントン州とカナダ
のブリティッシュコロンビア州、バンクーバー間のはしけ航行及び合衆
国・カナダ間の海域を横断する類似のはしけ移動に限り、本要件から除
外される。また、産業安全保障局は海事管理局と協議の上、係る輸送が
"海上"輸送かどうかを決定する; 及び
(A)TAPS原油の輸出権限は四半期毎に付与される。BISは申請書を当
該暦四半期(the calendar quarter in question)の開始日に先立つ2ヶ
月を超さない日から受け付けるが、しかし、その暦四半期に先行する2
番目の月の25日目以前でなければならない。例えば、当該暦四半期は開
始日が4月1日、終了日が6月30日の場合、申請書の受け付け開始日
は2月1日、しかし2月25日以前でなければならない(2/26以降は受
取らない)。
(B)各申請書に表明された数量は当該四半期当たりの総バレル数でなければ
ならず、一日当たりの割合であってはならない。本数量は当該四半期に
おける暦日数に50,000を掛けた値を超えてはならない。
(C)各申請書には、その申請者が有する次のどちらかの証拠となる裏付け資
料を含めなければならない。
(A)申請書に表明されたバレル数に対する所有権; 又は
(B)申請書に表明されたバレル数の購入契約。
(X)当該暦四半期の期間中の各輸出許可証において権限を付与されるバレル
数は、BISが次の数量に基づき比例配分により決定する。
(A)各許可申請書上の申込数量; 及び
(B)全ての許可証保有者が当該四半期中に輸出して良いバレル数 の合計
(1日当たりの平均出荷量50,000バレルに当該四半期中の暦日数を掛け
た値)。
(E)申請者は四つもの連続した暦四半期に対する許可数量を一以上の船積み
に合体しても良い。但し、合体に使用されるいずれの許可証もその有効
期限が切れていないことを条件とする。
(F)BISは暦四半期の期間中に割当されなかった日量50,000バレルの残り
の部分を次期に繰り越しする。但し、如何なる未割当部分であろうとも
新しい暦年に繰り越すことはしない。一つの暦四半期に対する未割当量
は、消費されるまでずっと、当該暦年の末日に至るまで各四半期に利用
可能な割当に加算される。
(f)米国国家石油備蓄原油の精製又は交換
(1)もし、BISがエネルギー省と協議の上次のように決定したなら、米国国
家石油備蓄(SPR)から引き出された原油の輸出が承認される。その決定とは、
前述の輸出が精製された石油生成物の合衆国への輸入に直結するものであ
って、その生成物は合衆国において必要とされ、かつ、SPRからの原油を輸
出する以外に輸入できる方法がないと決めたことを言う。
(訳者注:米国国家石油備蓄(SPR)について訳者補足を参照)
(2)合衆国外で精製又は交換するためのSPR原油の輸出であって、SPRの放出と
配分(a drawdown and distribution)に準拠して販売され引渡される原油を、
合衆国に精製した石油生成物を輸入する契約と共に輸出する許可証は交付
される。
(3)BISは次の事項を条件とし、許可申請書を承認する。
(@)申請者は次のいずれかの証拠をBISに提供しなければならない。
(A)申請書に明記されたSPR原油のバレル数に対する所有権; 又は
(B)申請書に明記されたSPR原油のバレル数を、輸入して、合衆国内に獲得
するための契約。
(A)SPR原油の輸出と引替えに、精製された石油生成物が合衆国に輸入され
たその日から14日以内に次の全ての書類がBISに提出されなければ
ならない。
(A)SPR原油の輸出者が精製された石油生成物の所有権、又はそれを購入す
る契約を有する証拠;
(B)精製された石油生成物を特定する積み荷目録の写し; 及び
(C)米国税関により要求される通関書類であって、精製された石油生成物
が合衆国内に輸入されたことを示すものの写し、又は精製された石油
生成物が合衆国外の合衆国軍隊に配送される場合の納品受領書の写し。
(4)申請者は、輸出許可証発行の日から30日以内に、SPR原油の輸出と精製さ
れた石油生成物の輸入の両方を完了しなければならない。但し、合衆国外
の合衆国軍隊に配送する場合を除く、なお、この場合は精製された石油生
成物の配送が国防省との契約期間の最終日以前に完了しなければならない。
(g)一定のカリフォルニア産原油の輸出
比重がAPI度で20度以下のカリフォルニア産重質原油の輸出であって、平均取
引量が1日当たり25百万バレルを超えないものの承認については次の通り。
(1)申請者は様式BIS-748に記載した申請書を次の宛先に提出しなければなら
ない。
商務省 産業安全保障局、輸出者サービス事務所、私書箱 273
供給不足計画−石油 宛
20044 ワシントン、D.C.
(2)各申請書に表明された数量は、許可証に基づき輸出されるべく申込んだ総
バレル数でなければならず、一日当たりの割合であってはならない。本数
量は当該年次公認輸出割当量の25パーセントを超えてはならない。申請
をする可能性のある者は、BISに使用可能な当該年次公認輸出割当量の
総計に関し尋ねることが出来る。
(3)各申請書には、当該カリフォルニア産重質原油が次の全てに該当すること
の申請者による保証書を添付すべし。
(@)比重がAPI度で20度以下であること;
(A)海底の国有地を含め、カリフォルニア州内で産出していたこと;
(B)合衆国海軍石油保留地(NPR)から生産され若しくはそこに由来していな
かったこと; 及び
(C)合衆国の大陸棚の海底土地から産出されていなかったこと。
(4)各申請書は注文に基づかねばならず、かつ、前述の注文の文書による証拠
(例えば、売買同意書)を添付しなければならない。
(5)BISはカリフォルニア産重質原油の輸出許可について、次の手続きを遵
守する。
(@)BISは申請書を受取った順に(BISは受取り次第日付時刻を押印
する)承認した申請書について許可証を発行する。なお、どのような許
可証であれ、そこにはカリフォルニア産重質原油の当該年次公認割当量
の25パーセントを超えない認可総量が付されている。
(A)BISは各社及びその系列会社に対して(系列会社を含めた一社につき)
月当たり一つの申請書に限り承認する。
(B)BISは個々の許可申請書に関し如何なる措置を取るべきかを決定する
際に、(その他要因の中から)次の(A)〜(C)の要因について考慮する。
(A)申請時の暦年中に申請者又はその系列会社に発行されている、カリフ
ォルニア産重質原油の輸出許可証の数;
(B)申請時の暦年中にカリフォルニア産重質原油を輸出するための、本項
に基づく許可証をそれ以前に給付されていない申請者により提出され
ている、BISにおいて懸案となっている申請書の数; 及び
(C)本項に従い該申請者にそれ以前に給付されたその他輸出許可証に基づ
く認可されたカリフォルニア産重質原油の総量に対する、実際に該申
請者により輸出されている量の割合。
(C)BISは、被許可者が許可証に基づく輸出の前に本項の節(g)(5)(C)
(A)及び(B)の両方の要件を満たす書類を提供することを条件に申請書を
承認する。
(A)申請者が申請書に明記されたバレル数に対する所有権を有し、若しく
は取得することを示す書類。係る書類は次のどちらかである。
(1)申請書に明記されたバレル数について容認された契約書又は売買
証書; 又は
(2)申請書に明記されたバレル数の購入契約書であって、申請者に輸出
許可証が給付されることを条件としているもの。
(B)申請者が申請書に明記されたバレル数を輸出する契約をしていること
を示す書類。その契約は申請者に輸出許可証が給付さるたことを条件
としているもの。
(X)BISは許可されていない1日当たり25百万バレルの割当量の残りの
部分を次期に繰り越しする。但し、如何なる未割当部分であろうとも
90日を超えて新しい暦年に繰り越すことはしない。繰り越し分を引き
当てる輸出申請書は当該繰り越し年の1月15日までにBISに提出さ
れなければならない。
(E)BISは許可されているが、しかし、積出しされていない1日当たりの
割当量日量25百万バレルの残りの部分を、許可証の有効期間90日の
間はずっと、利用可能な公認輸出割当に戻す。
(F)BISは前年から懸案になっている申請書を次の暦年に持ち越さない。
(6)許可証保有者は次の権利及び義務を有する。
(@)許可証で認可されたカリフォルニア産重質原油の数量を輸出できる期間
は、許可証が発行された日から暦日で90日ある。許可証に基づく輸出
後30日以内に、輸出者はBISに輸出されたカリフォルニア産重質原
油の日付及び数量を裏付ける認証された申立て書を提供しなければなら
ない。
(A)許可証に基づく輸出の前に、本項の節(g)(5)(C)により要求される書類
をBISに提出しなければならない。
(B)認可された数量を一以上の船積みに合体しても良い。但し、合体に使用
されるいずれの許可証もその有効期限が切れていないことを条件とする。
(C)予めBISから文書による承認を得ないで、許可証を別の者に譲渡する
ことは禁止されている。
(7)BISは未出荷残量分に関し、認可しているバレル量に対する10パーセ
ントの許容差を認める。BISは許可証のドル価格の総計に関し、25パ
ーセントの積出し許容差を認める。積出し許容差の説明についてEARの
§750.11を参照のこと。
(h)米国国家石油備蓄(SPR)からの一定の出荷に適する許可例外
本節に述べる要件を条件として、許可例外SPRは合衆国政府又はその機関
との適切な協定に従い合衆国国家石油備蓄に貯蔵するために輸入され、そこ
に貯蔵されている外国産原油であって、外国政府又はその代表者により輸入
され、かつ、所有されているものを許可なしに輸出するために使用して良い。
もし、前述の外国産原油がSPRの中のその他原油と混合されているなら、係る
輸出は輸出せんとする原油がSPRに貯蔵するために輸入された外国産原油と同
一数量の及び類似品質のものであり、エネルギー省がこの事実をBISに証
明する場合に限り、許可例外SPRに基づき認可される。
(1)全ての許可例外に適用される、§740.1及び§740.2に記述された要件並び
に制限は許可例外SPRの使用にも併せて適用される。
(2)本許可例外に従い原油を輸出する者は要求される荷送人の輸出申告書(SED)
又は自動輸出システム(AES)記録に、文字符号”SS−SPR”又は15 CFR
30章の付録Cに述べられたところの同等の符号を記載しなければならない。
(i)一定の見本出荷に適する許可例外
本節に述べる要件を条件として、許可例外SS−SAMPLEは分析及び試
験を目的とする原油の輸出に使用して良い。
(1)輸出者は一最終需要者につき年間に最大10バレルまでの原油を積出しでき
る。但し、輸出者当たりの年間累積限度は最大100バレルまでとする。
(2)全ての許可例外に適用される、§740.1及び§740.2に記述された要件並び
に制限は許可例外SPRにも併せて適用される。
(3)本許可例外に従い原油を輸出する者は要求される荷送人の輸出申告書(SED)
又は自動輸出システム(AES)記録に、文字符号”SS−SAMPLE”又は
15 CFR 30章の付録Cに述べられたところの同等の符号を記載しなければな
らない。
(j)TAPS原油の輸出に適する許可例外
(1)許可例外TAPSは、次の全ての条件を満たすなら、トランス-アラスカ-
パイプライン権限法(TAPS)の203項に準拠して交付された通過権を得て輸送
された原油の輸出に使用して良い。
(@)当該TAPS原油は、合衆国の法律に基づく証明書の交付を受けており、か
つ、合衆国の市民により所有されている船舶、により輸送されている
(海商法 1916(46 U.S.C.app.802)の2項による);
(A)TAPS原油の輸出貿易に関係する全ての油槽船はいつも、ヒンチンブロー
ク岬灯台(アラスカ州コルドバ)の真南300マイルの地点に達するまで
は、ハワイ向け出荷の航路とし、それからアジア向け航路に向きを変え
る、同一航路を使用する。その地点に達した後、TAPS原油の輸出貿易に
関係する油槽船は16 U.S.C. 1802(6)に定義するところの、200海里の排
他的経済水域の外側に出ていなければならない。外国の港からアラスカ
州のバルディズに回帰する油槽船は、逆に、回帰航路について同一の制
限を固く守らなければならない。本条件は、TAPS原油の輸出貿易に関係
する油槽船に課せられ及び油槽船が享受している如何なる法令上の、条
約又は習慣法上の権利及び義務、これに限定されないが、抗し切れない
力並びに海洋捜索及び救助規則を含む、を制限すると解釈すべきでは
ない; 及び
(B)TAPS原油を輸出する油槽船の所有者又は運営者は次のことをすべし。
(A)強制的な深海水バラスト交換計画(即ち、少なくとも水深2,000メート
ル以上)を採用する。該船舶及び乗組員の安全を確保する目的に限り、
船長の裁量において行なわれる例外のみ認められる。本項の節(j)(3)
に従い、記録を維持しなければならない。
(B)沿岸警備隊が当該油槽船の位置を単独で決定できる衛生通信システム
を備える。
(C)TAPS原油の輸出貿易に関係する各油槽船について、合衆国沿岸警備隊
の’航法及び船舶検査回状(NVICs)’No.15-91、改正があれば改正され
たところの、に従い’危機的箇所の検査計画’を維持する。そして、
この計画には年1回の船舶の貨物油タンク(cargo block tanks)内部調
査を含めなければならない。
(訳者注:NVICs及びcargo block tanksについて訳者補足を参照)
(2)荷送人の輸出申告書又は自動輸出システム。本項の節(j)(1)の要件に加え、
許可例外TAPSに基づく各輸出について、輸出者はBISに輸出後21日
以内に当該輸出を包括している荷送人の輸出申告書(SED)又は自動輸出シス
テム(AES)記録を提出しなければならない。そのSED又はAES記録は次の宛先
に送付されなければならない。
商務省 産業安全保障局、戦略貿易及び海外政策規制事務所、
私書箱 273、 見なし輸出及び供給不足課課長 宛
20044 ワシントン、D.C.
(3)深海水バラスト交換に対する記録保存要件
(@)本項の節(j)(1)(B)(A)により要求される通り、本項の条項に基づき
TAPS原油を運搬する各船舶の責任者は次の情報を含む記録を保存し、
かつ、請求次第、前述の情報を合衆国沿岸警備隊の港湾長(COTP)に提供
しなければならない。
(訳者注:COTPについて訳者補足を参照)
(A)船舶の名称、船籍港、及び公認番号又はコールサイン;
(B)当該船舶の所有者の名称(複数);
(C)バラスト水運搬の有無;
(D)分かれば、交換前に積み込まれたバラストの最初の位置及び塩分;
(E)全てのバラスト水交換に関する、その位置、日付、及び時刻; 及び
(F)提供する情報の正確さを証言し、かつ、本節の要件遵守を保証する責
任者の署名。
(A)港湾長(COTP)若しくはその他適切な連邦機関の代表者は本項の節(j)(3)
(@)の要件の遵守、及びその有効性を査定するためにバラスト水の見本
を採取できる。
§754.3 「原油を含まない石油生成物」
(a)許可要件
CCL(EARの774章の補足No.1)上のECCN 1C980,1C982,1C983,及び1C984の”許可
要件”の項中の”規制理由”節に文字”SS”で示されている限り、許可証
はカナダを含む全ての仕向け地向け石油生成物の輸出について要求される。
但し、本章の補足No.1に一覧表示された原油であって、海軍石油保留地(NPR)
から生産され若しくはそこに由来するもの、又はNPR生産若しくは由来貨
物と交換することで輸出可能になったものを除く。
(b)許可方針
(1)本章の補足No.1に一覧表示された石油生成物であって、海軍石油保留地か
ら生産され若しくはそこに由来するもの、又は海軍石油保留地生産若しく
は由来貨物と交換することで輸出可能になったもののうち、原油以外のも
のの輸出申請は、大統領が海軍石油保留地生産物法(10 U.S.C. 7430)によ
り要求される裁定をしていない限り、拒絶される。
(2)上記法のもの以外の一時的な輸出又は交換に関連する申請は承認される。
(訳者注:本章の補足No.3海軍石油保留地生産物法(10USC7430(e))に、輸出管
理法に従い輸出される前にthe President must make and publish
an express finding that such exports are......と、その輸出が
....他、国益に沿うものである旨大統領が(明確に)裁定(finding)
し公表しなければならないとされている)
§754.4 「未処理のウェスタンレッドシーダー」
(a)許可要件
CCL(EARの774章の補足No.1)上のECCN 1C988の”許可要件”の項中の”規制理
由”節に文字”SS”で示されている限り、許可証はカナダを含む全ての仕
向け地向け、ECCN 1C988(本章の補足No.2に一覧表示された、米杉、学名は
(thuja plicata)の丸太及び角材、並びに丸身の有る、荒板、又は飾り付け
若しくは加工された板材)に含まれる未処理のウェスタンレッドシーダーの
輸出について要求される。アラスカ州に所属する公有地、私有地、又はイン
ディアンの土地から穫れた角材に適する許可例外について本項の節(c)を参照
のこと、並びに関連する用語の定義について本項の節(d)を参照のこと。
(b)許可方針
(1)BISは1979年9月30日の後に結ばれた刈り入れ契約に基づき連邦
又は州の所有地から収穫された未処理のウェスタンレッドシーダーの輸出
許可申請書を大抵拒絶する。
(2)BISは1979年10月1日より前に結ばれた刈り入れ契約に基づき連
邦又は州有地から収穫された未処理のウェスタンレッドシーダーの輸出許
可申請書について、個々の事例に従って、考慮する。
(3)BISはアラスカにある公有地、私有地、及びインディアンの土地から穫
れた未処理のウェスタンレッドシーダーの角材に対する許可申請書を承認
する。申請書は本項の節(a)に述べた手続きに従って提出されなければなら
ない。許可例外の有効性について本項の節(c)を参照のこと。
(c)ウェスタンレッドシーダーに適する許可例外(WRC)
(1)本項の節(c)に記述する要件を条件として、アラスカにある連邦、州及びそ
の他公共機関の公有地、全ての私有地、並びに公認のインディアンの部族
のために連邦又は州の機関により信託されている土地から収穫された未処
理のウェスタンレッドシーダーの角材を許可なしに輸出するために、許可
例外WRCが使用できる。
(2)許可例外WRCを使用する輸出者は次の証拠資料を取得し、かつ、それを
整理して保存しなければならない。
(@)輸出者による申立て書(又はその他の適切な書類)であって、本許可例
外に基づき輸出される未処理のウェスタンレッドシーダーの角材がアラ
スカ州外の州又は連邦の所有地から収穫されておらず、かつ、前述のよ
うに(アラスカから)収穫され又は生産された貨物の代替品として輸出
可能になったのではないことを示すもの。もし、その輸出者が角材を収
穫し、若しくは生産していないなら、その記録又は申立て書はその収穫
者又は生産者を特定するもので、かつ、それに収穫者又は生産者からの
同じ申立て書が添付されていなければならない。もし、単数又は複数の
仲介者が角材の収穫と購入との間に権利を所有するなら、輸出者は単数
又は複数の仲介者からの前述の申立て書、若しくは同等の書類も併せて
取得し、かつ、それを整理して保存しなければならない。
(A)第三者の丸太計量見積り及び格付け団体により発行された証明書であっ
て、合衆国林野部の承認を受けたもののうち、次の(A)及び(B)に該当す
るもの。
(A)輸出されるべき未処理のウェスタンレッドシーダーの角材の量をスク
リブナー法による、立方メートル又はボードフィートで明記したもの;
(B)輸出船積み品について、各種銘柄、荷札、及び/又はペンキ塗りの荷
印(paint marking)を一覧表示したものであって、荷印は全ての丸太
若しくは未処理の板材に表示されたもの、或いはそれに代えて、未処
理の角材が生産された母材の丸太に表示されたもの。
(3)全ての許可例外に適用される、EARの§740.1及び§740.2に記述された要
件並びに制限は許可例外WRCの使用にも併せて適用される。
(4)本許可例外に従い如何なる品目であれそれを輸出する者は要求される荷送
人の輸出申告書(SED)又は自動輸出システム(AES)記録に、文字符号”SS
−WRC”を記載しなければならない。
(d)許可申請書
(1)未処理のウェスタンレッドシーダーの輸出を要請する申請者は、適切に完
結された様式BIS-748Pの多目的許可申請書、BISより要求されるかも知
れないその他証拠資料、及び輸出者の正式代表者からの署名入り申立て書
であって、次のように記載したものを提出しなければならない。
1,(輸出者)の(肩書)(姓名)は、私の知り得る、かつ、信ずる限
り、(輸出者)が輸出する積もりのスクリブナー法による、(数量)
(立方メートル又はボードフィート)の未処理のウェスタンレッド
シーダーの角材は1979年10月1日の後に結ばれた契約に基づ
く州又は連邦の所有地からの収穫物でないことをここに証明する。
(日付)(署名)
(訳者注:( )内にはそこに記載されている項目に該当する、許可申請者
(ここでは輸出者)の肩書、姓名、輸出予定の数量、単位等を記
入する。許可申請が必要になる場合について訳者補足を参照)
(2)様式BIS-748Pの項目16及び18について、それぞれニ以上の購入者又は最終
荷受人がある場合にはそこに”種々の”("Various")と記入する。
(3)提出された様式BIS-748Pの各々について、及び許可証に基づき行った輸出
船積みの各々について、輸出者は次のものを集め、EARの762章に記述され
た期間保存しなければならず、かつ、それらを提示し、或いは検査できる
ようにしなければならない。
(@)収穫者又は生産者、及びその後続いて起る当該貨物の権利保有者の各々
による署名入りの単数若しくは複数の申立て書であって、問題の貨物が
1979年10月1日の前に結ばれた、州又は連邦の所有地から未処理
のウェスタンレッドシーダーを収穫する契約に基づき収穫されたことを
示すもの; 及び
(A)荷送人の輸出申告書(SED)又は自動輸出システム(AES)記録の写し。
(4)スクリブナー法による、立方フィート又はボードフィートで5パーセント
の積出し許容差が、許可証に一覧表示された一つの貨物の未出荷残量分に
ついて認められる。この許容差は、一つの許可証を引当に2回以上出荷さ
れる最終回の未出荷残量分の数量であって、前述の許可証により公認され
た数量に一致しない場合に限り適用される。積出し許容差の説明について
EARの§750.11を参照のこと。
(e)定義
本項において使用される時に、次の術語は以下のことを意味する。
(1)未処理のウェスタンレッドシーダーとは、米杉、学名は(thuja plicata)
の角材、丸太、割り材、フリッチ(丸太からひいた薄板)、並びに、ECCN
1C988に範囲を定めているところの、1以上の材面に丸身の有る加工された
板材であって、次のものに加工処理されていないものを言う。
(訳者注:ECCN 1C988に範囲を定めているところの板材とは、丸身の有る、
荒板、又は飾り付け若しくは加工された板材を言う)
(@)米国製材規格の3等級以上の寸法、又は太平洋木材検査機関、輸出Rリ
ストの3等級並み又はそれ以上の等級の板材で、等級の如何に係わらず、
輸出される加工されたウェスタンレッドシーダー(WRC)の各一枚毎の断
面積が2,000平方センチメートル(310平方インチ)を超えないもの;
(A)小片(chips)、パルプ、及びパルプ生成物;
(B)化粧張り及び合板:
(C)竿、柱、又は杭材であって、それとして使用するために切断され若しく
は防腐剤処理され、かつ、それ以上加工される予定のないもの; 及び
(D)下見板及び屋根板。
(訳者注:下見板とは家の外部の壁をおおう横板張で、各板が少しずつ重なり
合うように取り付けたもの)
(2)連邦所有地及び州所有地とは連邦及び州の所有地であって、アラスカ州内
の土地及び、公認のインディアンの部族のため又は前述の部族の一員のた
めに、連邦又は州の職員若しくは機関により信託されている土地を除いた
ものを言う。
(3)契約収穫者とは、1979年10月1日現在に州及び連邦の所有地からウ
ェスタンレッドシーダーの角材を収穫する未履行の委託契約を持っていた
者であって、その委託契約が収穫される貨物の全部又は一部を未処理の形
態で輸出し若しくは輸出して売却する意図で成されたものであったことを、
前の業務実績又はその他の手段により証明できる者を言う。
(4)生産者とは、始めから終りまで主として製材用大型鋸を用い、未処理のウ
ェスタンレッドシーダー貨物(例えば、ウェスタンレッドシーダーの角材)
を別の未処理のウェスタンレッドシーダー貨物(例えば、割り材)に変換
する工程に従事する者を言う。
§754.5 「船便で輸出する馬」
(a)許可要件
CCL(EARの774章の補足No.1)上のECCN 0A980の”許可要件”の項の”規制理由”
節に文字”SS”で示されている限り、許可証はカナダを含む全ての仕向け
地向け船便で輸出される馬の輸出について要求される。
(b)許可方針
(1)屠殺を目的とした船便による馬の輸出の許可申請書は拒絶される。
(2)その他の許可申請書は、もし、BISが農務省と協議の上、当該馬は屠殺
を目的とするものではないと決定すれば承認される。申請者は様式BIS-
748Pの付加情報欄に、出荷される馬は1頭たりとも屠殺目的で輸出される
ものはないことを保証する記述をしなければならない。
(3)各輸出申請書は1回分の馬の出荷に限定するものとする。
§754.6 「輸出に係わる供給不足制限の免除のための合衆国農産物の登録」
(a)範 囲
1979年の輸出管理法(EAA)の7(g)項の条項に基づき、外国における使用を通し
て又は使用のために購入される合衆国原産の農産物であって、後日輸出する
ために合衆国内に保管しているものは、その後で規制理由供給不足により
EAAの7項に基づき課されるかも知れない輸出に係わる数量制限を免除される
ようにBISに登録することができる。
(b)登録申請書
農産物の登録申請書は、外国の購入者の正当な公認代理人の役割を果たす、
合衆国の管轄権に従属する個人又は企業により提出されなければならない。
(c)郵送先住所
EAAの7(g)項の条項に従い申請書を次の宛先に提出すること。
合衆国 商務省 産業安全保障局
私書箱 273
20044 ワシントン、D.C.
§754.7 「再利用可能な金属材料の監視又は規制の発動を求める請願書;
公開の聴聞会」
(a)範 囲
1979年の輸出管理法(EAA)の7(c)項に、再利用可能な金属材料の監視又は規制
の発動を要求する請願書の提出及び審査について規定されている。
(b)請願書提出の適格性
事業者団体を含む法人、企業、或いは承認又は公認組合、若しくは労働者の
集団であって、そしてそれは、金属材料を再利用できるように処理する産業
又は産業のかなりの部分を代表する団体で、かつ、前記材料に関連する国内
価格の増大又は国内の供給不足が、どちらにしろ輸出の増大から生じたもの
であり、国家経済又はそれらの何らかの分野に重大な不利益を招き或いは招
くかも知れない前記産業等を代表するもの、そう言う団体は前述の金属に関
する輸出の監視、又は輸出規制の発動、若しくはその両方を要請する文書に
よる請願書をBISに提出することができる。
(c)公開の聴聞会
請願者は併せて公開の聴聞会も要請できる。公開の聴聞会については、事業
者団体を含む法人、企業、或いは承認又は公認組合、若しくは労働者の集団
であって、そしてそれは、請願の主題である金属材料を処理し、生産し、或
いは輸出する産業又は産業のかなりの部分を代表する団体、そう言うものも
併せて要請することができる。
(d)郵送先住所
EAAの7(c)項に従い請願書を次の宛先に提出すること。
合衆国 商務省 産業安全保障局
私書箱 273
20044 ワシントン、D.C.
以上
[訳者補足]
1.§754.2(a)の"crude oil"の定義部分の訳について
as a mixture以降にandで接続される2つの文節があり、いずれも主語が
省略されているが動詞は三人称単数現在形となっている。これより各文節
の主語はa mixtureであって、これにand条件を二重に付して規定している。
訳文は本文の通りである。他の資料による定義を次に示す。
[参考]JOGMEC 石油・天然ガス用語辞典より抜粋
油井から生産される天然のままの鉱油を原油という。
油層内では圧力、温度が高く、共存するメタンなどのガス状炭化水素が原
油である液状炭化水素に溶け込んでいるので、「原油」としては、より具
体的には油井の坑口から流出する流体をセパレーターに導き減圧して、天
然ガスと水とを分離した後、油田元の貯蔵タンク内に大気圧・常温の条件
下で静置されている状態での油というべきである。
2.上記の1項に含まれるもののうち、lease condensate及びdrip gas
について
(1)condensateとは
コンデンセートはもともと凝縮物という意味で、凝縮水を指すこともあ
るが、普通、地下で気体状で存在している炭化水素を地上で採取する際、
凝縮する液体(油)をコンデンセート油、または単にコンデンセートと
いう。一般に、コンデンセートを伴うガス田をコンデンセート・ガス田
というが、ガス層の分類上は地下のガス層内で液体分の凝縮がある場合
をガス・コンデンセート層と呼ぶ。
(2)leaseとは
概念:英米のコモン・ロー(慣習法)では、土地の所有権はその地下に
及ぶとしているので、地下の鉱物はその直上の土地所有者に帰属し、し
たがってその鉱物を採掘する権利も土地所有権という私権に依拠する。
このため、自らこれを採掘する資本も技術も備えていない土地所有者が、
資本や技術や意思を有する石油事業者にその採掘をゆだねるのは、私契
約によることになり、この契約がリース契約といわれるものである。英
米法の国のうち英国とオーストラリアは、第一次世界大戦後に欧州大陸
諸国と同様に、地下の鉱物は土地の所有に関係なく国に属することに切
り替えたので、現在このシステムを維持している国は米国とカナダで
ある。 −以下省略−
*(1)(2)はJOGMEC 石油・天然ガス用語辞典による
(3)drip gasとは
Ohio Oil and Gas Association のRegulatory and Environmental
Report - 2001より抜粋
(http://www.ooga.org/issues/operatingohio/rer_XII.htm)
Natural gas condensate and drip gas have long been used by oil
and gas producers as an effective substitute for commercially
available paraffin solvents. Given that producers have
customarily gathered their drip gas along their pipelines for
this purpose, and with the quantities of light-gravity crude and
condensate generated by the Rose Run play, the issue of the use
of condensate and drip gas as paraffin solvent has drawn scrutiny
from U.S. EPA and Ohio EPA.
これから、drip gasはパイプラインに沿って設けたガス発生器によって
収集されたものであつて、次の資料からoil と gas の中間くらいのもの
であることが分かる。
http://epp.eps.nagoya-u.ac.jp/~yoshida/japanese/books/2006/
deffeyes2006notes.htmlの専門用語辞典より
gas condensate, natural gas liquids, drip gas, "white gold"
炭素数 3 から 5 の炭化水素で、oil と gas の中間くらいのもの。
3.earlier than/later thanの意味(§754.2(e)(2)(A))
earlyには早い、初期の、大昔の意味があり、lateには遅い、近頃の意味
がある。本件のように暦上の早い/遅いは、ある基準時に対し古い(昔)/
新しい(近頃)の意味を表わす。(日本語でも早い/遅いは、時間的に前/
後を表わしほぼ同様の意味を持つ。しかし、「流行遅れの」と言う時は古
いものを指すように、日本語には時間的な曖昧さが残る)
例えば、the latest equipment は最新機器である。
4.§754.2(f)(1)の米国国家石油備蓄(SPR)について
JOGMEC 石油・天然ガス用語辞典より
米国における国家石油備蓄のこと。1973 年に起きた第四次中東戦争に伴
うアラブ産油国の対米禁輸措置は、米国に深刻な石油不足と国民経済への
打撃を与える結果となったことから、1975 年に「エネルギー政策・節約
法」(EPCA)が制定され、これに基づき国家による戦略石油備蓄(SPR)
が始められた。当初、1,000 百万バーレル(途中で 750 百万バーレルに
変更)の備蓄目標が設定された。メキシコ湾岸を中心に岩塩ドームを水溶
してつくった洞穴中に地下貯油方式により行われており、 1986 年 1 月
末現在 493 百万バーレルの備蓄量となっている。石油供給中断などの危
機が発生した場合、その程度に応じて、政府の判断でタイムリーに、かつ
適量の備蓄石油を放出するなど、弾力的な放出戦略により、量的不足に対
応するのみならず石油価格の急激な上昇を抑制するねらいがある。
5.§754.2(f)(2)のa drawdown and distributionの意味及び構文について
この名詞句に不定冠詞が付いているので、andで結合された二者一体とな
ったものを表わしている。JOGMECに問い合せたところ、drawdownは
「放出」、distributionは「配分」というような意味だそうである。(又、
SPRの放出と配分の具体的なイメージについて次のような説明を戴いた。
”SPRは米国へ石油供給途絶が生じたようなケースで、大統領が必要
と命令すれば、競争入札という価格競争メカニズムを通じて市場(石油
会社に)放出され、(石油会社の製油所)に配分(運ばれた結果)される、
というイメージです。”)
,for refining.....States,はその前のexportの理由を説明する挿入句で
あり、次のSPR crude oilがその目的語である。
そして,pursuant to...SPR,はその前のwill be sold and deliveredを修
飾し、次の,in connection ....States.はto export.....を修飾する。
6.§754.2(f)(3)(@)(B)のinto the United Statesについて
purchaseは他動詞だから上記のような前置詞句をとらず直接目的語をとる
はずである。従って、その目的語はthe quantity of.....であり、これに
後続すべき前記の前置詞句がそれを強調するために倒置したものと考える。
また、purchaseには購入するの他に獲得するの意味もあり、’合衆国内に’
それを獲得するための契約と訳すことにした。
7.§754.2(g)のAPI度について
API度はアメリカ石油協会(API:American Petroleum Institute)で制定し
た比重の表示法である。比重は試料の密度と水の密度の比で単位はない。
通常、試料と水の温度条件を示す記号を付けて15/4℃、60/60゚F等と表示
する。換算式を次に示す。
API比重=(141.5÷比重60/60°F)-131.5
なお、摂氏華氏の換算式は次の通り。
℃=(°F − 32) ×5/9
上式より 60°F=15.5℃
また、上記換算式により、API度=20.0は比重60/60°F=0.9340に換算さ
れる。
[参考]原油のAPI度による分類(JOGMEC 石油・天然ガス用語辞典より)
| 比重 | API度 |
特軽質原油 | 〜0.8016 | 〜39.00 |
軽質原油 | 0.8017〜0.829 | 38.99〜34.00 |
中質原油 | 0.830〜0.903 | 33.99〜30.00 |
重質原油 | 0.904〜0.965 | 29.99〜26.00 |
特重質原油 | 0.966〜 | 25.99〜 |
(訳者注:比重の項とAPI度の間には上記の換算式が成立しない。それぞれ分
類の基準値が異なる。API度の方はJISの分類と同様なのでこれ
を参照する)
8.§754.2(g)(5)(A)のfor each company and its affiliatesについて
ここで、問題は会社とその系列会社を纏めてなのか、或いはそれぞれ別々
になのかを判別することである。
例えば、each morning and nightは毎朝、毎晩の如く別々になっている。
しかし、eachは2物以上のものの各個について言うので通常単数名詞につ
く。従って、各社及びその系列会社の如く纏めて(一つ)になる。
それでもなお、別々にする場合にはforをandの後に挿入し(for each
company and for its affiliates)、各社に対し(一つ)及びその複数の
系列会社に対し(一つ)となるはずである。
9.§754.2(e)(2),(j)(1)のTAPSについて
JOGMEC 石油・天然ガス用語辞典より
Trans Alaskan Pipeline System の略称。アラスカの北極海沿岸のノース
・スロープで 1968 年に発見された北米最大の油田、プルドーベイ油田の
産油をアラスカ南部の太平洋岸の積出し港バルディズまで運ぶ、48 イン
チ、約 1,200km の長大なパイプライン。建設が計画されて以来、インディ
アンやエスキモーによる土地要求や、自然保護問題をめぐる提訴が相次ぎ、
着工が遅れ、1973 年 11 月にようやくアラスカ・パイプライン建設法が上
下両院で成立し、1974 年から着工し、1977 年に完成した。現在、約 2 百
万バーレル/日の原油がこのパイプラインによってバルディズに送られ、
そこから米国本土に積み出されている。
10.§754.2(j)(1)(B)(C)のCoast Guard's Navigation and Inspection
Circular No.15-91について
米国沿岸警備隊のホームページから抜粋
(http://www.uscg.mil/hq/g-m/nvic/15_91/n15-91.htm)
Critical Areas Inspection Plans (CAIP's)
・Critical inspection areas - areas that incorporate all present
and previous active repair areas including past active areas that
require continued monitoring. Other areas may be deemed critical
based on class problems or assessment of the structure through
appropriate calculations and analysis.
・Active repair areas - areas that continue to experience active
or recurring cracking in the oil/watertight envelope or that
affect the structural integrity of the vessel.
・NAVIGATION & VESSEL INSPECTION CIRCULARS (NVICs)について
A Navigation and Vessel Inspection Circular (NVIC) provides
detailed guidance about the enforcement or compliance with a
certain Federal marine safety regulations and Coast Guard marine
safety programs. While NVIC's are non-directive, meaning that
they do not have the force of law, they are important "tools" for
complying with the law. Non-compliance with a NVIC is not a
violation of the law in and of itself, however non-compliance with
a NVIC may be an indication that there is non-compliance with a
law, a regulation or a policy.
(要 点)
1)沿岸警備隊の「航法及び船舶検査回状(NVICs)」は海上保安規則の執行又
は遵守等についての詳細な指針を提供するものである。それらは拘束力
を有しないが、法令遵守のための重要なツールである。
2)「危機的な検査箇所」とは全ての現在及び過去の未だ活動中の(active)
修理箇所(油密又は水密外皮に繰り返し亀裂が生じている箇所等)を
合体させたものを言う。その他の箇所は適切な計算及び解析をして、構
造の等級又は査定に基づく基準を超えるものは’危機的’と見なされる。
11.§754.2(j)(1)(B)(C)のcargo block tanksについて
日本船主協会(JSA)のホームページから抜粋
かつてのタンカーは船側も船底も一層構造のいわゆるシングルハルで、空
船時には貨物タンクの一部にバラストとして海水を積んだ。
しかしシングルハルの船体は衝突などによる油流出事故を招きやすく、ま
た貨物タンクをバラストタンクとして兼用すれば、排出するバラスト水に
混じった油分が海洋汚染の原因になる。そこでIMO(国際海事機関)が義
務づけたのが分離バラストタンク(SBT/Segregated Ballast Tank)とそ
の防護的配置(PL/Protective Location)による安全対策だった。
(訳者注:その他の資料で、この貨物タンクを貨物油タンクと呼んでいるの
でここではcargo block tanksを貨物油タンクと訳すことにした)
12.§754.2(j)(3)(@)のCaptain of the Portについて
一般に港湾長のことを言うが、本文ではその後に,U.S. Coast Guardとあ
るので両者の関連について調べた。下記の記事から、この港湾長はその港
湾を防衛区域に含む沿岸警備隊の司令官により占められる肩書きであり、
その職務は港湾の安全保障、海洋の環境保護規則の執行等であることが分
かった。
Wikipediaより抜粋
In the United States of America, Captain of the Port (COTP) is a
title held by the Commander of a United States Coast Guard Sector,
usually a person with the rank of Captain (O-6).
Captain of the Port duties involve enforcing within their
respective areas port safety and security and marine environmental
protection regulations, including regulations for the protection
and security of vessels, harbors, and waterfront facilities;
anchorages;security zones; safety zones; regulated navigation
areas; deepwater ports;water pollution; and ports and waterways
safety.
13.§754.4(e)(1)未処理のウェスタンレッドシーダーの定義について
(1)未処理の意味
参考資料として16USC620eに次のように定義されている。
The term "unprocessed timber" means trees or portions of trees
or other roundwood not processed to standards and specifications
suitable for end product use.
これから用材としての最終製品になる前の、自然木、若しくはその他の
丸材の一部分を’未処理の’材木と呼ぶ。しかし、§754.4(e)(1)でECCN
1C988で定義するところの一定の処理した板材も’未処理の’(ウェスタンレッド
シーダー)に含めるとされているので、ここでは「製材しただけの」と解釈
することにした。
(2)§754.4と1C988の関係
1C988にはunprocessedは使われていないないが、その中にlisted in
Supplement No.2 to part 754と§754.4との関連性が示されている。
一方、§754には.1(b)(B)にdescribed by ECCN 1C988、また.4(a)に
covered by ECCN 1C988とあり、1C988と一体であることが示唆されてい
る。従って両者は一体となって規制対象のウェスタンレッドシーダーを
規定し、また、許可要件等を定めているものと考える。
即ち、unprocessedが使われていても、いなくても両者は同一の規制対象
について記述されたものと見なせる。
(3)timberとlumberの訳について
§754.4(c)(2)(A)(B)に次の記述がある。
on any log or unprocessed lumber in the export shipment or,
alternatively, on the logs from which the unprocessed timber was
produced.
これは荷印の表示に関する部分であるが、log又はlumberについては各個
に、timberの場合はそれが生産された母材の丸太(log)に、ペイントされ
たものを記載することになっている。
先ず、timberは丸太(log)から生産されたものでlumberに処理される前の
もののようである。辞書にtimberは〔製材された〕大角材ともあるので、
丸太から板を取るために丸み部を落とした1個の角材を切り出したもの
と考え「角材」と訳した。また、lumberは前記の角材及び丸み部から作
り出した「板材」と訳した。
(4)waneの訳について
waneは製材の分野では、丸身、耳〔角材・板材の、樹皮や丸太面が残っ
た欠陥(部)〕のことを言うので「丸身」と訳す。また、等級の高いもの
で丸身なしのものもあるが、低いものでは丸身が入っているものも認め
られている。
なお、測定方法については、針葉樹の構造用製材の日本農林規格に、
”丸身の存する材面の幅に対する丸身の幅の比とする”とされている。
丸身と言う欠陥の呼び方は、有り無し、或いは上記の比、例えば50パー
セント等である。そこで、本文中のlumber containing waneは’丸身の
有る板材’と訳すことにした。
14.§754.4未処理のウェスタンレッドシーダーの許可、許可例外について
規定内容が複雑で理解し難いので、両者の関係を自分なりに整理してみた。
1)許可及び許可方針
@ECCN 1C988に該当するものは全て許可を要する。
Aアラスカ及びその他の公有地について、契約収穫者以外は許可され
ない。
ここで、収穫地をアラスカ州内の公有地(州又は連邦の所有地)、
その他の公有地、私有地又はインディアンの土地に分類する。
また、公有地については委託契約日が1979.9.1以前か後により区別し、
以前の契約者を契約収穫者とした。
2)許可例外の適用可否
@公有地はアラスカ州内から収穫されたものに限り適用できる。
但し、契約収穫者に係わるものに限る。
A私有地又はインディアンの土地から収穫されたものは、地域及び申請
者の如何に係わらず適用できる。
B許可例外が適用できないのは、公有地であってアラスカ州外から収穫
されたものを契約収穫者が輸出する場合である。
従って上記の場合に輸出許可申請が必要になる。(なお、許可例外が
適用できるものはそれによる)