物品の所属決定の原則

 

 関税定率法・別表の関税率表の中に「関税率表の解釈に関する通則」が
あり、”この表における物品の所属は、次の原則により決定する。”と記載
されている。ここでは、その要点及び適用例並びに憶えておきたい所属の
決定要因・要素等を纏めた。


1.物品の所属決定の原則

 大部分の分類は通則1で決定されるが、それでも決定できないときは
通則2以下に従って分類する。
分類は通則1→通則2→通則3→通則4→通則5の順に行う。

関税率表の解釈に関する通則(要点)
通則1
項の規定及びこれに関係する部又は類の注の規定に従う。
通則2
(未完成品、分解品の場合)
(a)完成した部品として重要
 な特性を有するものは完成
 品に含める。
 →(決定) 
 (混合品、結合品の場合)
(b)特定の材料や物質の項には
 他のものを混合し又は結合し
 たものを含み次の通則3の原
 則
により決定する。
通則3
(a)最も特殊な限定をして記載した項が優先する。
 但し、混合物や結合物、小売用のセットで2以上の項から
 できている場合は、これらの項は等しく特殊な限定をして
 いるものとみなし、次項以降により決定する。

(b)当該物品に重要な特性を与えている材料又は構成要素か
 ら成るものとする。         

(c)等しく考慮に値する項のうち数字上の配列において、
 最後となる項に属するものとする。
 →(決定(上記により決定できない場合は、下記の通則
       4〜5のいずれかによる。)
                  

通則4
 当該物品に最も類似する物品が属する項に属する。
通則5
(a)特製のケース、容器は
 当該物品に含める。但し
 重要な特性を全体に与え
 るものは除く。
(b)通常使用される包装材、包
 装容器は当該物品に含める。
 
通則6
 通則1〜5は号の決定に準用される。  

 

2.通則の適用例又は説明

 [通則1]
   関税率表の類の注の規定に関する例を次に示す。
 ・革製の野球用グローブは革製の衣類及びその附属品として分類する。
 ・空気を入れて使用するゴム製の枕はゴム製品として分類する。
 ・コンクリート製の軌条用まくら木はコンクリート製品として分類する。

 [通則2]
  (a)未完成品や分解品とは、簡単な組み立て操作のみを伴うもので、例え
   ば、簡単な締付具(ねじ、ナット、ボルト等)又は鋲接若しくは溶接
   により構成要素を組み立てれば完成品になるものをいう。完成した部
   品として重要な特性を有するものは、組み立てた物品として分類する。

  (b)特定の材料や物質の項には、他のものが結合したり、混合している
   ものを含めて分類して良いという規定である。

 [通則3]
  (a)最も特殊な限定をして記載した項が優先する例を次に示す。
  ・自動車専用のじゅうたんは第87類の自動車の附属品には属さないで、
   より特殊な限定をしている第57類のじゅうたんに分類する。
  (b)当該物品に重要な特性を与えている材料又は構成要素から成るもの
   とする例。

  ・生スパゲッティ(第19.02項)、すりおろしチーズ(第04.06項)及びトマト
   ソース(第21.03項)をスパゲッティ料理に使用するためのセットとし
   て、小売用の紙箱に入れたものは、第19.02項に分類する。

  (c)等しく考慮に値する項のうち数字上の配列において、最後となる項に
   属する例。
  ・テレビジョン受像機(第85.28項)を自蔵する録音機(第85.20項)は、
   テレビジョン受像機として分類する。

 [通則4]
   分類表の各部または各類の末尾に、その部または類のいずれの項にも
  当てはまらないものを分類する項(所謂バスケット項)があるが、それら
  はいずれも部注、類注によって制約を受けるため特殊なものは当てはま
  らない場合も生ずる。これを救うために設けた規定である。
   basket:(一般に同類のものの)集まり

 [通則5]
  (a)楽器とともに輸入し、かつ、通常ともに販売されるケースは、特製の
   ケース、容器として当該楽器に含まれる。
  (b)物品を包装するために通常使用される包装材料及び包装容器はその
   物品に含めて分類する。但し、明らかに反復利用に適するような容器
   等には適用されない。通則5(a)が5(b)に優先する。

 [通則6]
   通則1から通則5までの規定は、同一項中の号レベルの所属の決定に
  ついても準用される。

 

3.所属類の決定要素

品  名
決定要素
品  名
決定要素
重 油
引火点、比重
はかり
感 量
揮発油
留出温度
スパークリングワイン
密閉容器内のゲージ圧力
無煙炭
揮発分
合 板
外面の単板の種類及び厚さ
骨 董
製作後の年数
ミルク
脂肪分の含有量
鉄 鋼
炭素含有量
大豆油
酸 価
銑 鉄
成 分
重量/M2
生鮮バナナ
輸入の時期
潤滑油
比 重
鉛の塊
課税価格/Kg
肥 料
成 分
生鮮玉葱
課税価格/Kg
金の一次製品
形状(指輪、延板等)
乗用車
シリンダ容積
マッチ
本 数
貨物自動車
車輛総重量
発電機
出 力

 

4.その他の決定要因

 (1)繊維
   a.2っ以上の紡織用繊維で構成される物品の分類は、構成する紡織
     用繊維のうち最大の重量を占めるものから成るものとみなして
     分類する。但し、同種のものは合算し、50%を超えること。
   [例]当該繊維の重量の構成比を次に示す。
         合成繊維の短繊維    40%
         羊   毛       35%
         その他の繊獣毛     25%
      羊毛と繊獣毛の重量は合計して60%となるので、梳毛織物
      (羊毛製または繊獣毛製)に分類される。
   b.レーヨン、ベンベルグ、人絹、スフは合成繊維ではなく、半合成
     繊維に属する。人造繊維はプラスチックスではなく繊維に属する。
 (2)貴金属

     卑金属と貴金属から成る合金は、貴金属のいずれか一つの含有量が
    全重量の2%以上であれば、貴金属の合金として、第71類に分類
    される。
 (3)調整食料品
   a.関税率表第16類の注2により、調整品のうち、肉魚または甲殻
     類、軟体動物等が全重量の20%を超えて含まれているものは第
     16類に分類されることになっており、これらの物品が2以上含
     まれている場合は最大の重量を占める成分が属する項に属するこ
     ととされている。
    [注]20%以上含まれていても、スープ、混合調味料等第21類
       に分類されるものもある。
   b.通則2(a)の考え方は全ての類に適用されるのではなく、味付け
     前、調理前の食料品は味付けされた食料品、調理された食料品と
     は別の分類になる。

                                以上