EAR取扱い手順(続き)
 
(g) 手順12:輸出特権を拒絶された者
 (1)当該取引の譲り受け人、最終需用者、中間の荷受け人、その他取引当事者
   の中に、一人でも輸出特権を拒絶された者が含まれていないか決定のこと。
   (EARの764章参照)移転に先立つ拒絶者名簿の照合を怠っても、一
   般禁止事項4(拒絶命令)(EARの§736.2(b)(4))に違反しないけれど、そ
   れにも係らず、拒絶命令の約定又は条件に違反する行為に参加することは
   EARに違反する。一般禁止事項4(拒絶命令)は、EARの規制を受け
   る全ての品目に適用される。即ち、CCL上に記載された品目及びEAR
   99の中の品目の両方に適用される。
 (2)一般禁止事項4(拒絶命令)に対する許可例外は存在しない。輸出特権を
    拒絶された者に関する禁止は、滅多に認められないことであるが、BXA
  による特定の承認がある場合に限り解除される。
(h) 手順13:禁止された最終需用及び最終需用者
 (1)一般禁止事項5(最終需用、最終需用者)(EARの§736.2(b)(5))に基づき
     禁止された最終需用及び最終需用者はEARの744章に記述されている
   ので、これを検討すること。EARの744章には全ての最終需用及び最
   終需用者許可要件を含み、これらが一般禁止事項1(輸出及び再輸出)、
   2(部品及び部分品再輸出)、及び3(外国産直接製品再輸出)に基づく
   許可要件の上に付加される。その他特に指示のない限り、EARの744
   章に記述された一般禁止事項5(最終需用、最終需用者)に基づく許可要
   件はEARの規制を受ける全ての品目、即ちCCL上に記載された品目及
   びEAR99の中の品目の両方に、適用される。その上、一般禁止事項5
    (最終需用及び最終需用者)の許可要件が一定の許可例外にかけられた種
   々の最終需用及び最終需用者制限の上に付加される。
 (2)もし輸出者又は再輸出者が所定の条項の約定及び条件の全てを満たすなら
   ば、許可例外TSU(EARの§740.13)に基づき、操作技術及びソフトウ
   ェア(OTS)、販売技術(STS)、及びソフトウェアの更新(SUD)を、一般禁止
   事項5(最終需用及び最終需用者)(EARの§736.2(b)(5))にも係らず、
   輸出若しくは再輸出できる。
(i) 手順14:通商禁止国及び特別な仕向け地
  如何なる品目でも、仕向け地がボスニヤヘルツゴビナ、クロアチア、キューバ、イラン、イラク、
  リビア、ルワンダ、又はセルビア及びモンテネグロであれば、EARの746章の要件を
  検討しなければならない。その他特に指示のない限り、一般禁止事項6
  (通商禁止)は、EARの規制を受ける全ての品目、即ちCCL上に記載さ
  れた品目及びEAR99の中の品目の両方に、適用される。貴方は下記の場
  合を除き、許可なしにEARの746章の条項に反する輸出若しくは再輸出
  を行ってはならない。
 (1)世の中に公開された技術又はソフトウェア、或いはEARの適用範囲外の
   その他品目だけを輸出若しくは再輸出しようとする場合、或いは
 (2)EARの746章で参照符を付けた、通商禁止仕向け地に関する許可例外
   の適用資格がある場合。但し、EARの746章で特別に承認されない限
   り、EARの740章の許可例外を用いて一般禁止事項6(通商禁止)
   (EARの§736.2(b)(6))で禁止される輸出若しくは再輸出を行なってはなら
   ない。供給不足規制に係るEARの754章は自己完結型であり、供給不
   足規制に適用される禁止事項と許可例外を併せ持つEAR中唯一のもので
   あるので注意すること。
(j) 手順15:輸出及び再輸出に関連しない米国人の拡散行為
 (1)EARの§744.6に記述されているところの、一般禁止事項7(米国人の
   拡散行為)(EARの§736.2(b)(7))で禁止される行為の範囲を検討のこと。
   係る行為は輸出及び再輸出に限定されず、また一般禁止事項1(輸出及び
   再輸出)、2(部品及び部分品再輸出)、及び3(外国産の直接製品再輸
   出)の規制を受ける品目に限定されないことを憶えておくこと。さらに、
   係る行為は明記された拡散行為に基づくサービスや完全な外国原産品目の
   取扱いをも含め、かつ、CCL上に記載された品目又はEAR99に含ま
   れるものに限定されない。
 (2)EARの744章の米国人の定義を検討のこと。
(k) 手順16:輸送中
  荷主及び船舶又は航空機の運営者は、輸送中に一定の品目を荷降ろし又は積
  載してはならない国を決定するため、一般禁止事項8(輸送中)を検討しな
  ければならない。一般禁止事項8はEARの規制を受ける全ての品目、即ち
  CCL上に記載された品目及びEAR99の中の品目の両方に適用される。
(l) 手順17:命令、約定、及び条件の検討
  当該取引に適用される命令、約定、及び条件を検討のこと。一般禁止事項9
  (命令、約定、及び条件)は、EARに基づき課せられた一切の命令、約定、
  及び条件の違反を禁止している。約定及び条件は、しばしば許可証に含まれ
  ている。その上、10個条の一般禁止事項(EARの736章)及び許可例
  外(EARの740章)により、貴方が提示した取引及び許可例外の使用に
  関し、約定及び条件又は制限が課せられることがある。与えられた許可証又
  は許可例外は、各々関連する約定若しくは条件が合致しない限り使用しては
  ならない。
(m) 手順18:指針”貴方の顧客を知れ”及び一般禁止事項10(起るべき違反
  の認識)の検討
    EARに基づく許可要件は、ひとえに分類、最終需用、最終需用者、最終仕
  向け地、及び米国人の行為により決定される。EARの732章補足No.3は
  顧客、最終需用、及び最終需用者についての情報を評価する際に役立つ指針
  を提供せんとするものである。一般禁止事項10(起るべき違反の認識)は、
  どんな人でも、EAR違反が起っている、或いはまさに起ろうとしているこ
  とを知っていて取引することを禁止している。それは又、関連する船積み、
  融資、及びその他サービスを禁止している。一般禁止事項10はEARの規
  制を受ける全ての品目、即ちCCL上に記載された品目及びEAR99の中
  の品目の両方に適用される。
(n) 手順19:一般禁止事項検討の仕上げ
    本節に記述された手順を仕上げ、EAR中の相互参照規則を含めて、EAR
  の736章の10個条の一般禁止事項の全てを検討した後、もしあるならば、
  EARの10個条の一般禁止事項の内のどれが貴方及び貴方のもくろむ取引
  又は行為に当て嵌まるか分かるであろう。
 (1)もし、10個条の一般禁止事項の内一つも貴方の米国からの輸出に適用さ
   れないならば、BXAによる許可証を要しないから、EARの740章に
   基づく許可例外の資格とる必要はない。本章の許可例外に関する§732.4の
   手順を飛ばし、本章の記録保存、適切な荷送り人の輸出申告書を用いた米
   国税関への通関手続き、及び要求される用途規制文に関する§732.5の手順
   に直接進めば良い。
 (2)もし、10個条の一般禁止事項の内一つも貴方の再輸出又は海外からの輸
   出に適用されないならば、許可証は不要であって、残りの全ての手順を飛
   ばして良い。
 (3)もし、10個条の一般禁止事項の内一つ以上が適用されるならば、残りの
   手順を続けること。

§732.4   「許可例外に関する手順」
(a) 許可例外に関する手順はしがき
  もし、当該輸出又は再輸出がEARの規制を受け、かつ、一般禁止事項1
  (輸出及び再輸出)、2(部品及び部分品の再輸出)、又は3(外国産直接
  製品再輸出)の規制を受けるならば、本節(b)に掲載した手順を考察のこと。
  もし、当該輸出又は再輸出が一般禁止事項4(拒絶命令)、7(米国人の拡
  散行為)、8(輸送中)、9(命令、約定、及び条件)、又は10(起るべ
  き違反の認識)の規制を受けるならば、当該輸出又は再輸出に適用される許
  可例外は存在しない。もし、当該輸出が一般禁止事項5(最終需用、最終需
  用者)の規制を受けるならば、EARの744章を見ること。もし、当該輸
  出又は再輸出が一般禁止事項6(通商禁止)の規制を受けるならば、適用可
  能な許可例外がないかEARの746章を見ること。
(b) 許可例外についての手順
 (1)手順20:一般禁止事項の適用可否
   EARの§736.2(b)に記述された一般禁止事項のいずれか一つ以上の一般
   禁止事項が当該輸出又は再輸出に適用されるか否かを決定のこと。もし、
   一般禁止事項の一つも当該輸出または再輸出に適用されなければ、その時
   は当該輸出又は再輸出の手続きを進めて良く、許可例外に関するEARの
   740章の検討は不要である。この場合にも、EARの762と758章
   に規定された米国税関の通関手続きに関連する記録保存の責務があること
   を憶えておいて欲しい。
 (2)手順21:全ての許可例外に関する制限の適用可否
   EARの§740.2のいずれか一つ以上の制限が当該輸出又は再輸出に適用
   されるか否かを決定のこと。もし、これら制限のいずれか一つ以上が適用
   されるならば、如何なる許可例外も適用できないから、許可証を取得する
   か、或いはその輸出又は再輸出を止めるかどちらかをしなければならない。
 (3)手順22:許可例外の約定及び条件
  (@)もし、EARの§740.2の制限が一つも適用されないならば、その時、
    各許可例外について検討し、当該輸出又は再輸出を承認するいずれか
    一つの許可例外があるか否かを決定すること。許可例外適用資格は、
    その品目、最終仕向け地の国、最終需用、及び最終需用者、それに加
    えて特定の許可例外中に課せられた特別な条件に基づき決まる。
  (A)一つ以上の許可例外に対する条件を満たしても良いし、さらに、幾つ
    かの許可例外は適用できなくとも、その他のものが適用できれば良い。
    先ず、最も適用範囲の広い許可例外を検討し、それから適用可能な許
    可例外を使用する。適用可能な許可例外の内、最も制限的なものを使
    用する必要はない。もし、最初に考えた許可例外が適用できなかった
    としても、適用すべき許可例外が存在しないと決まるまで、それ以外
    のその他許可例外を検討して良い。
  (B)許可例外TMP,RPL,BAG,AVS,GOV,及びTSUによ
    れば、CCLの条項に係らず、輸出が認められる。リスト規制を対象
    とする許可例外(LVS,GBS,CIV,TSR,及びCTP)は、
    CCL上に明記された範囲に限り有効である。EARの740章は、
    各許可例外において明白に再輸出を承認している範囲内に限って、再
    輸出の承認を与えることを規定している。許可例外APRは、再輸出
    に限り承認する。
  (C)もし、許可例外GBS,CIV,LVS,CTP,TSR,或いは
    GOVに基づき輸出しようとするならば、一定の報告要件の適用可否
    を決定するために、EARの§743.1を見直さなければならない。
 (4)手順23:許可例外の適用範囲
   幾つかの許可例外は、国又は品目の種類により制限される。
  (@)参照し易いように国々を幾つかのカントリーグループに分けて整理している。
    カントリーグループ一覧表は、EARの740章補足No.1を参照下さい。
    許可例外中で特に指示のない限り、許可例外は通商禁止国向けの如何
    なる輸出若しくは再輸出にも適用できない。もし、当該輸出若しくは
    再輸出が通商禁止国向けのために、一般禁止事項6(通商禁止)の規
    制を受けるならば、許可例外は通商禁止国向けに関するEARの74
    6章で特別に規定された範囲に限り適用できる。
  (A)供給不足品目には特別な貨物規制が適用される。EARの740章に
    記述された許可例外は、CCL上で規制理由・供給不足として規制さ
    れる品目には一切適用できない。供給不足品目に対する許可例外は、
    EARの754章にある。
 (5)手順24:全ての約定及び条件の受け入れ
   もし、許可例外が適用できるならば、当該輸出若しくは再輸出の手続き
   を進めて良い。しかしながら、当該輸出若しくは再輸出が承認されるこ
   とを決定したその許可例外により要求される全ての約定及び条件を満た
   さなければならない。そして又、記録保存及び文書作成要件を決定する
   ために、EARの758及び762章を見なければならない。
 (6)手順25:許可要件
   もし、許可例外が適用できないならば、その時は当該輸出若しくは再輸
   出の手続きを進める前に許可証を取得しなければならないか、或いは提
   案された輸出若しくは再輸出を取り止めなければならないかのいずれか
   である。
 (7)手順26:許可証の申請
   もし、BXAに許可証の申請をしようとするならば、まず最初にEAR
   の748章の要件を見直ししなければならない。輸出者、再輸出者、及
   び海外からの輸出者は、許可申請書を提出する前に申請及び要求される
   裏付け文書に関する指示書を見直さなければならない。

§732.5  「荷送り人の輸出申告書、用途規制文、及び記録保存に関する手順」
(a) 手順27:荷送り人の輸出申告書(SED)又は自動輸出システム(AES)記録
  輸出者又は、荷送り人の輸出申告書(SED)を書き上げ、或いは自動輸出シ
  ステム(AES)を使用してSED情報を電子的に提出することを認められた
  代理人は、SEDがいつ要求され、また、SED若しくはAES記録に
  どのような輸出規制情報を記載すべきかを決定するためにEARの
  §758.1を見直さなければならない。SEDの書き方又はAESを使用し
  てSED情報を電子的に提出する方法についてさらに詳しく知りたい場
  合は、国勢調査局外国貿易統計規則(FTSR) 15 CFR 30を見ると良い。再
  輸出者及び外国から輸出する企業は手順27から29を飛ばして、直接
  §732.6に進んで良い。
 (1)許可典拠の記載
   当該輸出について正しい許可典拠をSED又はAES記録上に(許可証
   番号、許可例外記号、或いは許可不要識別子”NLR”)適切に記載し
   なければならない。EARの§758.1(g)及びFTSRの15 CFR 30.7(m)を参
   照のこと。
  (@)許可証番号及び有効期限;もし、許可証に基づき輸出しようとする
    ならば、SED又はAES記録上に許可証番号を記載しなければなら
    ない。有効期限満了日を記載しなければならないのは、SEDの紙の
    版のみである。
  (A)許可例外;もし、許可例外に基づき輸出しようとするならば、SED
    又はAES記録上に正しい許可例外記号(例えば、LVS,GBS,
    CIV)を記載しなければならない。EARの§740.1及び§740.2を
    参照のこと。
  (B)NLR;もし、許可を要しない品目を輸出しようとするならば、識別
    子NLRを記載しなければならない。NLR識別子は次の二つの場合
    に使用する。一つは、輸出すべき品目がEARの規制を受けるが、通
    商管理リスト(CCL)に掲載されていない場合(即ち、EAR99
    に分類される品目)、そして二つ目は、輸出すべき品目がCCL上に
    掲載されているが、許可を要しない場合である。NLR識別子を使用
    することは、EARの736章に述べられた一般禁止事項に基づく一
    切の許可を要しないと言う申立てでもある。
 (2)品目明細
   許可を要する時は、許可証に記載された品目明細と同一の品目明細を記載
   しなければならない。或いは、許可例外による積出し又は許可不要の積出
   し(NLR)の場合は、米国政府による審査と別表B番号(又は実行関税
   率表番号)の検証ができるよう充分詳細に品目明細を記載しなければなら
   ない。EARの§758.1(g)及びFTSRの 15 CFR 30.7(1)を参照のこと。
 (3)ECCNの記載
   許可証及び許可例外による積出し、並びに規制理由がテロ防止(AT)以外
   の品目の”許可不要”(NLR)による積出しの場合は全て、SED若し
   くはAES記録に正しい輸出管理分類番号(ECCN)を記載しなければならな
   い。本要件に対する唯一の例外は、§740.9(b)(3)に基づく許可例外TMP
   の条項に合致する、不要外国産品目の返送のみである。EARの§758.1
     (g)を参照のこと。
(b) 手順28:用途規制文
  用途規制文(DCS)をインボイス及び船荷証券(B/L)、航空貨物運送状(AWB)又
  は米国内の起点から外国の最終荷受け人、若しくは最終需用者宛の積出しに
  添付する輸出管理文書に記載しなければならない。前記文書の作成責任者に
  は、DCS記載責任がある。当該輸出が許可例外BAG又はGFT(EAR
  の740章参照)に基づくものでない限り、DCSは通商管理リスト上の品
  目を米国から輸出する際は全て必要であり、またEAR99に分類される品
  目については必要がない。特定包括許可証を用いる場合、再輸出者はDCS
  要件に関するEARの§752.15節を検討しなければならない。それ以外、
  DCS要件が再輸出に適用されることはない。EARの§758.6節を参照の
  こと。
(c) 手順29:記録保存
  EARの規制を受ける取引の記録は、EARの762章記録保存条項に従い
  5年間保存されなければならない。

§732.6  「その他要件に関する手順」
  貴方に適用される許可要件の決定には、本章の732.1から732.4節が役立つ。
  EARのその他部分でその他の責務及び要件を課している。それらの幾つか
  を以下に示す。
  (a) EARの§758.4における許可証の使用に関連する要件
  (b) EARの規制を受ける品目が、許可例外或いはEARの§758.1から
    §758.6に規定する幾つかのその他条項により、許可又は承認された仕
    向け地に輸送されるのであることを保証するために、特定の手順を取り、
    一定の文書を作成し交付すべき運送業者、混載貨物運送業者、輸出者及
    びその他の者の責務
  (c) 米国政府職員の指示での積荷の返送又は荷降ろしの義務(EARの
    §758.8参照)
  (d) EARの752章の特定包括許可証に対し、当事者に課せられた特定の
    責務
  (e) EARの762章で課せられた記録保存要件
  (f) EARの規制を受ける取引又は取引の計画に関し、許可申請又は政府に
    その他申立てをした後の関心事である情報開示のためのEARの764
    章の要件
  (g) 外国のボイコットに関連した行動をとり、又それらのボイコットに関連
    する一定の行動を禁止するよう要求された当事者に、EARの760章
    により課せられた一定の責務
                                  以上    
                                  (最初の項に戻る)



    EAR取扱い手順・補足
                        (EAR 732章補足No.1,2,3)
補足No.1

補足No.2
補足No.3 BXAの指針”貴方の顧客を知れ”及び危険な兆候(レッドフラグ) 「指針”貴方の顧客を知れ”」 EARの種々の要件は、最終需用、最終需用者、最終仕向け地、又は取引若しく は行為に関連するその他情報についての個人の認識に依存する。これらの条項に は、不拡散関連の”キャッチオール”規制の項及びEAR違反が起っている、或 いはまさに起ろうとしていることを認識して(知って)いて取引を続けることの 禁止を含んでいる。 (a)BXAは、個人及び企業がこの認識基準に基づき如何に振る舞うべきかにつ   いて下記の指針を規定している。  (1)”危険な兆候”があるか否かを決定せよ    当該輸出が不適当な最終需用、最終需用者、又は仕向け地向けとなりそう    なことを示す取引中の異常なできごとは全て良く検討せよ。係るできごと は”危険な兆候”と言われる。危険な兆候の例に含まれるのは、購買者の 必要物とは思えない品目の注文、販売価格に含まれているか或いは通常は 要求される据付及び試験を断る顧客、又は指定された仕向け地と相反する 装置構成の要求(例えば、220ボルトの国に120ボルト仕様のもの)等である。 全てを含んでいる訳ではないが、取引がEAR違反となるはずの合理的な 嫌疑を引き起こすべき種々のできごとを説明せんとする「危険な兆候リス ト」を商務省が公開している。  (2)もし、”危険な兆候”があれば、照会せよ    もし、貴方の会社に達する情報に”危険な兆候”がなければ、貴方は受け    取った情報を信頼して取引の手続きを進めることができる。即ち、”危険    な兆候”(又はEARでは明白な要件)がなければ、輸出者が顧客説明を    必ずしも照会したり、検証したり、或いはその他”隠された理由を調べる”    義務はない。しかしながら、”危険な兆候”が貴方の会社に達した情報の    中に提起された時は、貴方はその疑わしいできごとを確かめ、そして最終    需用、最終需用者、又は最終仕向け地国について尋ねるべき義務を有する。 ”危険な兆候”を確かめるべき義務は、EARの中で”知る”又は”知る    べき理由”と言う術語が使われている許可例外の使用に限定されない。許    可申請者はEARの748章により、当該取引に関し文書によるエビダン    スを取得するよう要求される。そして、許可手続きにおいて、又全ての輸    出管理文書において、共に偽りの陳述或いは重要な事実の隠蔽は禁止され    ている。危険な兆候があって、余儀なく検証手順を取らなければならない    場合を除き、顧客から得た資料を信頼し、提出する文書にそれらをそのま    ま載せることができる。  (3)自ら目を塞ぐな    いつもの仕事の中で、貴方の会社に達する情報の流れを断ち切るな。例え    ば、脈の有りそうな顧客に、貴方の会社が販売しようと試みている製品の    実際の最終需用、最終需用者、及び最終仕向け国について話すことを止め    させるような販売努力をさせてはならない。関連情報を知ることを妨げる    ような目隠しを着けるな。”悪い”情報を意識的に避けるような手順・方    針を採っても、会社の責務を免れることはなく、それは通常本法律の実施    手続きにおいて罪を重くする要因と見なされる。  (4)従業員は”危険な兆候”の取扱い方を知る必要がある    会社内の一従業員が’認識’しているだけで、違反があった場合の責任を    会社に転嫁させることができる。このことから、取引についての係る    ’認識’を責任ある上級職員が必ず評価できるよう、明白な方針と効果    的な承認手続きを企業内で確立することの重要性が明らかになる。それを    怠れば一種の自ら目を塞ぐ行為とみなされる。  (5)照会後の全ての情報を再評価せよ    この照会と再評価の目的は、”危険な兆候”を説明でき、かつ正当化でき    るか否かを決定するためである。もし、それができれば当該取引の手続き を進めて良い。もし、”危険な兆候”を説明できず、或いは正当化できな いで進めるならば、貴方は貴方の活動がEARに違反するものと知ってい たと見なされる危険を冒すことになる。  (6)当該取引を中止せよ、或いはBXAに知らせて待て もし、問い合わせ後も依然として懸念すべき理由があるならば、その時は    当該取引を中止するか、或いは全ての関連情報をBXAに許可申請の形式    で、又はBXAが規定するその他の形式で提出するか、いずれかをしなけ    ればならない。 (b)産業界は、米国の国家安全保障及び海外政策の権益に反する輸出及び再輸出   を防止するのに重要な役割を演ずる。BXAは、この防衛の最前線が有効な   ものとなるよう、引き続き産業界と協力すると共に、輸出者の規制上の負担   軽減に努力して行く所存である。もし、貴方が”危険な兆候”に直面してい   るかどうかについて少しでも疑問があれば、1-800-424-2980の輸出執行事務   所又は(202)482-4532の輸出者支援事務所に連絡して下さい。 「危険な兆候」 貴方の顧客が不法な転用を計画していたならば、それを知らせる次のような兆候 があり得る。 1.顧客又は購入代理人が製品の最終需用に関する情報を出し渋る。 2.製品の能力が購入者の事業の系列に適合しない。例えば、小さなパン屋が幾   つかの精巧なレーザー装置を注文する場合。 3.注文された製品が、それが積み出される行き先の国の技術水準と一致しない。   例えば、半導体製造装置が電子産業の無い国で使われることは殆どなかろう。 4.顧客が殆ど或いは全く事業の経歴を持っていない。 5.顧客が、販売条件で融資を必要としているような非常に高価な品目を進んで   現金払する。 6.顧客は当該製品の動作特性を知らないのに、なおその製品を欲しがる。 7.きまりきった据付、訓練又は保守サービスを顧客に断られた。 8.配達日が曖昧であろか、或いは引渡し先がとんでもない場所となっている。 9.貨物運送会社が製品の最終仕向け地として掲載されている。 10.積出しの経路が製品及び仕向け地に対し異常である。 11.梱包の仕方が指定された積出し方法又は仕向け地と合わない。 12.質問された時、購買者が購入製品を国内使用するか、輸出又は再輸出する    か否かについて言い逃れをしたり、或いは曖昧にする。                                   以上