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      電子申請等の概要
                             電子情報処理組織を使用して行う特定手続等を「電子申請」と言う。ここで はその手続、適用項目等の概要について纏めた。なお、この特定手続は、強制 的なものではなく、従来どおりの書面による申請等の手続きも可能とされてい る。また、電子許可・承認を受けた貨物について税関への輸出入申告に際し、 通関データベースシステムから許可・承認情報を打ち出し提出する方法につい て述べた。 1.関連法令とその要点又は抜粋 (1) 外為法第69条の2[電子情報処理組織による手続の特例等] ・第1項   主務大臣は、この法律若しくはこの法律に基づく命令の規定による主務大臣   に対する報告及び届出その他の手続であって政令で定めるもの(次項におい   て「特定手続等」という。)又はこの法律若しくはこの法律に基づく命令の   規定による処分の通知であって政令で定めるもの(第3項において「特定通   知」という。)については、政令で定めるところにより、電子情報処理組織   を使用して行わせ、又は行うことができる。   ここで、電子情報処理組織とは、主務大臣の指定する電子計算機(入出力装   置を含む。)と、この法律の適用を受ける取引、行為若しくは支払等を行な   う者又はその者の代理人(第3項において「対外取引者等」という。)の使   用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。  ・第2項   前項の規定により行われた特定手続等は、同項の電子計算機に備えられたフ   ァイルへの記録がされた時に主務大臣に到達したものとみなす。  ・第3項   第1項の規定により行われた特定通知は、同項の対外取引者等の使用に係る   入出力装置に備えられたファイルへの記録がされた後通常その出力に要する   時間が経過した時に当該対外取引者等に到達したものと推定する。 (2)経済産業省告示第108号[外為法第69条の2第1項の規定に基づき主務大臣         (H10.03.12) の指定する電子計算機を定める件]   次に掲げる経済産業大臣に対する手続に係る上記(1)第1項に規定する主   務大臣の指定する電子計算機とは、経済産業省の使用に係る電子計算機とす   る。    一 外為法第25条第1項の規定による許可(役務取引許可。同項第ニ号に      係るものを除く。)の申請    ニ 同法第48条第1項の規定による許可、輸出令第2条第1項の規定による      承認の申請等(貨物の輸出許可・承認等)    三 輸入令第4条第1項の規定による承認の申請等 (3)①輸出注意事項12第15号(H12.03.17)     [電子情報処理組織を使用して行う特定手続等の運用について]    ②輸出注意事項12第16号(H12.03.21)     [電子情報処理組織を使用した輸出許可・承認貨物及び輸入承認貨物      に係る税関への輸出入申告に当たっての裏書情報の記録等に必要な      届出及び税関に提出する書類について]    ③輸出注意事項12第24号(H12.03.22)     [電子情報処理組織を使用して行う特定手続等に係る申請項目について]  上記の他、輸出令、外為令、輸出規則等の関連法令があるが、これらに基づき  次項に「電子申請」の概要を纏めた。 2.電子申請の手続 (1)申請者の届出   ①電子申請を行おうとする者は、省令で定める手続に従い、申請者届出書及    び事実を証する書類を予め経済産業大臣に提出しなければならない。経済    産業大臣は、届出を受理したときは、当該届出をした者に識別番号、暗証    番号、申請者コード、上記1.(1)第1項の入出力装置から入力された情報    を暗号化するための鍵又は電子証明証のうち、必要なものを通知又は交付    する。   ②届出者    法人の場合、届出者は代表権を有する者とする。届出者が特定手続等を委    任した当該法人の代表権を有しない従業者(以下「被委任者」という。)    を届け出しようとするときは、代表権を有する者の届出時又は届出後に    届け出しなければならない。   ③接続方式    経済産業省の使用に係る電子計算機と、対外取引者等の使用に係る入出力    装置を接続する方式は、次の2つの方式とする。    (ⅰ)ダイアルアップ接続      経済産業省の電子計算機と入出力装置を、直接、電話回線で接続      (携帯電話端末からの接続を除く。)する方式    (ⅱ)インターネット接続方式      経済産業省の電子計算機と入出力装置を、インターネットを経由      して接続する方式 (2)適用項目と申請者   具体的な適用項目は1.(3)①による。その内の輸出関連項目は次の通り。     ①輸出許可・承認の手続      ・輸出許可/承認の電子申請      ・輸出許可・承認同時申請      ・内容の訂正又は変更の申請     ②役務取引許可の手続      ・役務取引許可の電子申請      ・有効期間の延長又は内容の変更の申請等     ③一般包括許可又は特定包括許可の手続      ・一般包括/特定包括 許可の電子申請      ・一般包括許可又は特定包括許可の変更/更新     ④電子申請の取下げ申請   電子申請を行おうとする者(以下「申請者本人」という。)は、2.(1)②   の被委任者を代理者として、電子申請を行わせることができる。但し、上記   ③の手続については申請者本人に限る。 (3)入力事項及び許可証の交付等     ①申請者本人又は代理者は、指定電子計算機に備えられたファイルから入手    した許可申請様式に、上記1.(3)③(以下「申請項目通達」という。)    に規定する申請項目のうち必須申請項目を、当該項目の属性及び桁数に従    って入力し、指定電子計算機に備えられたファイルに記録しなければなら ない。詳細は1.(3)①③による。   ②前記入力は1.(1)第1項の入出力装置から、前記の届出者により行われな    ければならない。なお、代理者に電子申請を行わせる場合には、申請者本    人は、代理申請用パスワード発行依頼等により、代理者が申請を行うとき    に使用する委任用パスワード等を入手しなければならない。前記の依頼は、    1件の電子申請毎に行わなければならない(申請者本人に限る場合を除く)。   ③経済産業大臣は輸出又は役務取引に対する電子申請の許可又は承認を行っ    たときは、指定電子計算機に備えられたファイルに許可又は承認の内容、    許可・承認番号及び個別パスワードを記録し、電子メールでその旨を申請    者本人又は代理者に通知する。前記規定にかかわらず、経済産業大臣は申    請者本人又は代理者の求めに応じ、書面による許可証等を交付する。    なお、経済産業大臣は、一般包括/特定包括 許可の電子申請を許可した    ときは、所定様式の書面による許可証を交付する。    詳細は1.(3)①による。     3.通関データベースシステム (1)税関に提出する書類    税関への輸出申告に際し税関に提出する書類については、輸出運用通達    (輸出注意事項62第11号)5-0の(2)による。これは、また、本HPの    「許可等の税関確認と輸出者の対応」にも記載している。    ここで、電子情報処理組織を使用した許可・承認については、1.(3)②    (以下「電子裏書通達」という。)による。 (2)税関における裏書情報の記録等    税関に提出された輸出許可証又は輸出承認証は、税関において裏書通関欄    に所要事項(個別の輸出における商品名、数量、金額等)を記載し、輸出    許可の際、申告者に返却する。    但し、「電子裏書通達」によるものは、税関において確認した上で、当該    裏書情報の右側の欄外余白に通関年月日の記載及び税関記名押印を行った    後、輸出許可の際、申告者に返却する。 (3)通関データベースシステム    税関への輸出入申告に当たっての裏書き情報の記録等に使用する、指定電    子計算機と申告者自らの使用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続し    た電子情報処理組織を「通関データベースシステム」という。    以下その利用方法について述べる。   ①申告者の届出    税関への輸出入の申告者であって、通関データベースシステムを利用しよ    うとする者は、予め経済産業大臣に届け出なければならない。但し、2.    (1)の届出を既に行っている場合には、この限りでない。    (注)本項では、税関への輸出入申告に当たっての裏書き情報の記録等に       通関データーベースシステムを利用するものを申告者という。また       電子許可・承認の申請を行い、当該申請に対する許可・承認を受け       た者を輸出入者とする。   ②接続方式    ダイアルアップ接続に限る(2.(1)③(ⅰ)参照)。   ③税関確認のための手続    ・輸出入者は、許可・承認情報ごとに経済産業大臣より入手する個別パス     ワードを、当該許可・承認情報に係る貨物の申告者に対し予め通知する。    ・申告者は、指定電子計算機に備えられたファイルに記録された、税関へ     の輸出入申告をしようとしている貨物に係る許可・承認情報に、所定の     裏書き情報等を入力した後、当該許可・承認情報を入出力装置からA列     4番の用紙に打ち出し、これを税関に提出する。    ・裏書き情報の内容を税関において確認を受け、当該裏書き情報の右側の     欄外余白に通関年月日の記載及び税関記名押印をされた後、税関におけ     る輸出許可の際、申告者に返却される。  [注]通関データーベースシステムは、電子情報処理組織による通関手続の特     例等に関する法律(S52法律第54号)第2条第1号に規定する電子情報処     理組織(NACCS)を利用している者でなければ事実上利用できない     ので留意すること。      4.EARの輸出通関手続との比較(参考)   これについて、筆者は未だ論ずるに足る理解ができていない。しかし、本   HPにEARの「輸出通関手続き要件」(§758章)の訳を掲載し、一応そ   の手続について調べた。   そこで、電子許可・承認と通関手続の連携に関し、筆者の理解の範囲で以下   に簡単に纏めてみた。 (1)我が国の電子申請と通関データベースシステムは経済産業省の使用に係る    電子計算機を中心とするシステムであり、一方電子情報処理組織による通    関手続は通関情報処理センター(財務大臣が認可した法人)の電子計算機    を中心とする別システムである。相互に連携はなく共通事項であっても一    元的な処理はできないようである。    例えば、税関における裏書き情報の確認には、通関データベースシステム    から出力した書面を税関に提出して行っている。 (2)EARの輸出通関手続    EARは米国商務省、輸出管理局(BXA)が執行している。またEAR    の§758章によると、自動輸出システム(AES:Automated Export System)を    利用すれば、税関に許可証等を提示しなくとも輸出申告が行える方法もあ    るようである。但し、その場合にもBXAに直接個々の許可を得ていなけ    ればならず、また、AESを利用するためには、事前に国勢調査局、米国    税関、BXA及びその他の代理機関の承認を得ておかねばならない。                                   以上