米国商務省、戦略的貿易と外交政策規制のBXA事務局、情報技術規制局

            商業上の暗号化製品輸出に関する規制

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                         暗号化に関する政策の更新

               1999年9月

               質問と回答



1.何故、政府はその暗号化に関する輸出政策を改訂しようとしているのか。



  昨年、副大統領は、わが国の暗号化に関する政策の見直しを継続し、国家安全保障上の必要性と

  情報技術の世界的市場間の調整を行うために必要な更新を行うことを約束した。今回の更新は

  副大統領の約束を履行し、かつわが国の暗号化に関する政策に強力な足場を与えるものである。

  

2.今回の更新はどの程度広範囲なものか。それは現存する輸出規制を如何に変更するのか。



  この更新は、世界的市場規模での産業の自由競争の必要性に合致する一方、国家安全保障上必要

  不可欠な保護制度を存続させる輸出規制に関する新しい枠組みを提示するものである。どのよう

  な暗号化貨物及びソフトウェアでも、技術レビューを受ければ許可なしに、7つのテロリズム

  支援国家を除く、如何なる国の民間企業及びその他非政府機関の最終需要者向けに輸出が許さ

  れる。 

  電気通信及びインタネットサービスプロバイダは、民間企業及びその他非政府機関の最終需要者

  にサービスを提供するために暗号化貨物及びソフトウェアを使用できる。

  銀行、財務機関及びその他認められた部門に対する先の自由化は、今回の更新に包摂される。



3.今回の更新を実施するための規則はいつ公布されるか。



  我々は1999.12.15迄に施行規則を公布する予定である。

 

4.本日の政府声明について、米国の暗号化に関する政策は今もなおワッセナ・アレンジメントに

  おける多国間規制に一致しているのか。



  昨年12月、ワッセナは多国間暗号化規制を近代化するために多数の変更を行った。

    本日の声明は、わが国の暗号化規制をワッセナ参加国の規制に調和させようとするものである。

  我々の暗号化品目は、なお技術レビューを受けなければならず、又、適度な輸出後報告要件を

    含んでいる。



5.これを他の輸出国が暗号化に関し実施しているものと比較して如何か。



    我々は、この更新を立案する際、我々の多国間責務と我々の主要貿易相手国における許可の実際

    を注意深く考察した。特に、本更新は、我々の規則を欧州連合(EU)内で発展した、暗号化品

    目のEU加盟国間の簡易移転を可能とする規則に一致させるための一助となる。   



6.米国産業界と協議して頂けませんか。

      

  我々は、報告要件に対するビジネスのひな型と実際の入力について産業界と協議し、同時に、

  本日発表した変更点に関する示唆と注釈を行う予定である。政府は暗号化に関する政策について

  米国産業界との対話を継続するつもりである。

  

7.輸出者は、新しい輸出特権を利用するために、先にレビューを受けた暗号化製品に祖父条項を 

  適用できるか。



  許可例外或いは許可に基づき先に認められた暗号化品目は、施行規則の発行時点で、許可例外の

  大抵の条項に基づく輸出が適格になるであろう。我々は、許可例外に基づく如何なる鍵長の

  ”小売り”製品の如何なる最終需要者への販売にも、さらに別の技術レビューが必須となること

  を予期する。



8.本更新は、昨年度の変更の主な特徴であった銀行業務のような、産業部門に言及していない。

  これは、これらの部門に対する輸出政策が中止されていることを意味するのか。

                            

      産業部門に対する昨年度の免除は、効力を持続しているが、銀行、オンライン業者及びその他

  部門に対する特別な条項はさらに大きな免除の中に包摂されている。

  

9.術語”許可なしに”は何を意味するのか。

                            

      この術語は、技術レビューを受けた後、暗号化貨物或いはソフトウェアを米国産業が実際に許可

  申請書を提出することなく、輸出できることを意味する。例えば、ワッセナで規制対象外の品目

  については、技術レビューを受けた後は許可がいらない。これに反し、民間企業及びその他非政 

  府機関の最終需要者向けに輸出された暗号化品目は、規制対象外ではなく、技術レビューを受け 

  た後に許可例外に基づき輸出が適格になる。これが即ち、不文律の許可を与える仕組である。



10.大多数の輸出が今や許可例外に基づきできるようになるが、技術レビューにどの位時間を要す

   るのか。

                            

      BXAが技術レビューを完了するための平均時間は約1月である。この平均には、技術情報交換

  のための遅延、及び企業と政府間の論議も考慮されている。我々はこの過程を簡素化し、時間を

  短縮するよう努め、そして平均時間を短縮することを期待するが、それにも係わらずいくつかの

  製品については広範囲なレビューを必要とするであろう。

                                   

11.何故、政府はワッセナ・アレンジメントでは必要とされない輸出後報告をなお要求するのか。

                            

      昨年、ワッセナ・アレンジメントにおいて、各国は報告要件を除去することを互いに同意した。

  しかしながら、いくつかの国家ではなお報告することを要求している。他方では、いくつかの国

  では、個別許可を適用しなければならない故に、輸出後報告を要求しないかもしれない。報告す

  ることは、我々の規則に従うことを保証し、我々に許可要件を縮減させる助けとなる。

  64ビットを超える暗号化製品のあらゆる輸出については、今後も年2回ベースでのなんらかの報告

    が要求されるであろう。但し、米国の子会社への輸出は除く。我々は、これらの報告要件を立案

  するに当たり産業界の理解を得たビジネスのひな型と実際を勘案し、かつ更新のこの部分の最善

  の実施方法について産業界と協議するつもりである。



12.暗号化輸出の最終需要に関するどのような種類の制限があるのか。

                            

      先に企業内使用に限り認可された輸出が、今やその他企業、サプライチェーン及び内部使用限定

  顧客間の通信用に使用できるようになる。企業は、取り引きを行うために彼等の事業仲間、供給

  者及び顧客と通信を行えるようになる。



13.インタネット サービス プロバイダや電気通信会社が、米国製暗号化製品を購入できるよう

   になるか。

                            

      米国の製造者は、いかなる米国製の大量販売用或いは小売り用暗号化製品でも、技術レビューを

  受ければ許可なしに、7つのテロリズム支援国家以外の地域の外国のインタネット サービス 

  プロバイダや電気通信会社に輸出することができるようになる。米国の製造者は同様に、民間

  企業或いはその他非政府機関の使用についての技術レビューを受ければ、許可なしに如何なる

  暗号製品でもインタネット サービス プロバイダや電気通信会社に輸出することができるよう

  になる。



14.”小売り”の暗号化製品とは何か。

                            

      これらは、据え付け及び使用に対し実質的な支援を要しない製品であり、そして独立の小売り店

  経由或いは有形、無形の製品を通して形あるものとして販売されたものであり、個人消費者用に

  特別に設計されているものである。いかなる鍵長の小売り暗号化貨物及びソフトウェアも、技術

  レビューを受ければ許可なしに、7つのテロリズム支援国家を除く、世界中の如何なる最終需要

  者にも輸出ができる。ここで、我々の趣旨は小売り店で販売されたそれらの暗号化製品の規制を

  限定するものではない。電気通信及びインタネット サービス プロバイダは、如何なる受益者

  にもサービスを提供するために小売りの暗号化貨物及びソフトウェアを使用することができる。



15.インタネットを通じて販売された”小売り”の暗号化製品に関する制限があるか。

                            

      電子データの形で、即ちインタネットを通じて販売された小売りの暗号化製品は、小売り店で

  販売された同一の製品と同じものと見なされる。



16.64ビットを超える製品に関するなにか再輸出規制の制限があるか。

                            

      許可例外は、再輸出のみならず輸出を認める。しかしながら、7つのテロリズム支援国家への

  再販、移転或いは再輸出禁止のような、新しい規則では同じものとして扱われるいくつかの制限

  がある。幅広い制限と禁止の適用もまた継続されるであろう。



17.新しい報告要件が、どのような報告も要求しなかった以前発行された許可に如何なる影響を

   及ぼすのか。

                            

      今回の更新は、先の許可に関する政策にとって代わるものである。例えば、もしあなたが報告

  要件のない許可或いは外国銀行への暗号化許可協定について承認を得ていたとしても、新しい

  施行規則は、今やあなたに規則が公布された日に効力を有する輸出された全ての船積みについて

  の最終需要者の分類を報告するよう要求するであろう。報告要件は簡素化されるであろう。



18.なお許可が必要とされる二三の例を提示できるか。

                            

      暗号化技術、技術支援、暗号のアプリケーション プログラミング インタフェース(CAPIs)、

  ソースコードの輸出及び外国の行政府と最終需要者が軍隊向けの輸出には、なお許可が要求され

  るであろう。



19.何故、行政府は異なった取扱をされるのか。

                            

      新政策の下では、行政府向け輸出は許可に基づき承認がなされる。我々は、どんな輸出を決定す

  る場合にも外交政策の検討結果が充分に反映されることを保証するため、この許可要件の存続を

  望むものである。







        技術的な質問



1.今回の更新は、先のオンライン業者制限のような、最終需要者の種類により何か特別な製品制限

  を有するか。

                            

      いいえ。今回の更新は、昨年度の更新において以前に採用した製品-最終需要者制限(例えば、

  再生可能な製品或いはオンライン業者)の全てを取り除くものである。今や、ルータ、ファイヤ

  ウォール及びその他のミドルウェア製品のような、どのような汎用暗号化製品でも非政府最終

  需要者に輸出することができる。



2.特定のアルゴリズムの輸出に関する何か規制があるか。

                            

      いいえ。どのようなアルゴリズム、鍵スペース或いは鍵の交換機構の輸出についても制限は

  ない。



3.いったん、許可例外に基づき、チップ、ツールキット、或いは実行可能若くはリンク可能な

  モジュールの輸出承認を受けても、外国で完成された製品は別のレビューを必要とするだろ

  うか。

                            

      いいえ。我々は外国で完成された製品に技術レビューを受けさせるための要件を課すつもりは

  ない。しかしながら、これらの製品の特定の輸出に関連する最小限の必要条件は存在するであ

  ろう。



4.”小売りの”暗号化製品は、なお”EI”規制を受けなければならないか。或いはそれらは規制

  対象外とされているのか。

                            

      技術レビューを受けて”小売りの”ものと決定されたどのような鍵長の暗号化貨物及びソフト

  ウェアも、これらの製品がワッセナ・アレンジメントで継続して規制されていれば、規制理由 

  ”EI”で規制されるであろう。



5.米国で働いている外国人についてはどうか。

                            

      米国で働いている外国人は、もはや米国企業のために暗号化について働くための輸出許可を必要  

  としない。これは、技術レビューを受ければ許可例外に基づき、米国企業の外国の子会社のため

  に外国人が働くことを認めた、昨年度の更新で採用された政策を拡張するものである。



6.暗号化許可協定(ELAs)は取り除かれるのか。

                            

      今回の更新は、米国産業がELAsを取得する必要性を最小限度にするものである。しかしなが

  ら、我々は産業界が特別な取り引きのケースバイケースでのレビューに対するこのような許可を

  申請することを継続して認めるであろう。  

  

7.暗号化に関する政策の更新が、暗号のアプリケーション プログラミング インタフェース

  (CAPIs)の輸出に如何なる影響を及ぼすか。

                            

      暗号のインタフェースは2種類に分けられる。オープンな暗号インタフェース(OCI)とクローズド

  な暗号インタフェース(CCI)である。OCIは、顧客或いはその他当事者が暗号を暗号品目に差し込

  むことを許すがために、秘密の鍵穴と考えられる。OCIは許可を与える過程を通してケースバイ

  ケースでのレビューが継続されるであろう。

  

  CCIは、顧客或いはその他当事者が暗号を暗号品目に差し込むことを防止する(デジタル サイ 

  ン鍵のような)機構を含む。繋ぎ合わせる機構の技術レビューを受ければ、これらの製品は許可

  例外に基づく輸出ができるようになるであろう。もし最終需要者が企業であれば、技術レビュー

  を受けた後、許可例外に基づき追加の承認が実施される。もし外国の行政府或いは軍の機関向け

  であれば、追加の承認は許可を要求する。



  我々は、この規則の実施に関し協議する際、この問題にについて産業界と論議をしたい。



8.ソースコードが許可例外に基づき輸出可能か。或いはこの政策は暗号化オブジェクトコードの

  輸出を公認するのみなのか。

                            

      ソースコードはケースバイケースでのレビューが継続されるであろう。今回の更新は、許可例外

  に基づきオブジェクトコードの暗号化ソフトウェアの全世界向け輸出を認めるであろう。



                                        以上