輸出及び役務取引の時点







   輸出令及び外為令で規定する貨物の輸出並びに技術提供取引の時点を

  明かにし、次に非居住者の判定基準について述べる。

  なお、輸出及び役務取引は有償無償の如何に係らず、前記時点に至った

  時から規制の対象になる。

                             

1.輸出の時点

  これは、運用通達(輸出注意事項62第11号)による。その概要を次に示す。

   輸出の時点は、貨物を外国へ向けて送付するために船舶又は航空機に積み込

  んだ時とする。但し、次の場合を除く。

  (イ)船舶又は航空機の輸出の場合は、本邦において引渡した時とする。

  (ロ)本邦の領海又は公海で採捕した水産物を直接輸出する場合は、当該貨物

     を外国に向けて輸送を開始した時とする。

  *詳細は運用通達による。



2.役務取引の時点

  これは、役務通達(4貿局第492号)による。その概要を次に示す。

   外為法及び外為令に規定する役務取引の時点は、次によるものとする。

  ア 貨物の形による技術データの形態を提供する場合は、その貨物を非居住者

   に引き渡したとき又は非居住者に提供することを目的として外国に向けた船

   舶若しくは航空機に積み込んだときのいずれか早い方

  イ 技術支援又は貨物の形によらない技術データの形態を提供する場合は、こ

   れらの技術が非居住者に提供されたとき

  [補注]技術の提供には文書等による他、開示も含まれる。

      なお、開示には文書等の他、開示方法(例えば口頭)に制限がない。

      逆に、持っていても提供も開示もしなければ技術提供にはならない。



3.非居住者の判定基準

  これは、「外国為替法令の解釈及び運用について」(蔵国第4672号)による。

  その概要を次に示す。

(1)個人(但し、(3)に掲げる者を除く。)

    下表の区分欄の右欄は対象者の区分で、左欄に該当者の判定結果

   即ち、非居住者又は居住者の区分を示す。
区 分
該   当   者

(イ)外国にある事務所(本邦法人の海外支店等及び現地法人並びに国際機関
  を含む。)に勤務する目的で出国し外国に滞在する者
   (例)・本邦法人の海外支店に勤務する者
      ・外国の企業に勤務する者
(ロ)2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する者
(ハ) (イ)又は(ロ)に掲げる者のほか、本邦出国後外国に2年以上滞在するに
  至った者
(ニ) (イ)から(ハ)までに掲げる者で、事務連絡、休暇等のため一時帰国し、その
  滞在期間が6月未満の者

  外国人は、原則として、非居住者として取扱うが、本表の区分欄が居住者
 の外国人は居住者として取扱う。前記にかかわらず、次に掲げる者は非居
 住者として取扱う。
(イ)外国政府又は国際機関の公務を帯びる者
(ロ)外交官又は領事官及びこれらの随員又は使用人。ただし、外国において
  任命又は雇用された者に限る。

  本邦人は、原則として、居住者として取扱うが、本表の区分欄が非居住者
 の本邦人は非居住者として取扱う。前記にかかわらず、次に掲げる者は居
 住者として取扱う。
(イ)本邦の在外公館に勤務する目的で出国し外国に滞在する者
外 国人 (イ)本邦内にある事務所(本邦法人及び外国法人の本邦内にある支店等)に
  勤務する者
(ロ)本邦に入国後6月以上経過するに至った者
   (注)家族の取扱い

      居住者又は非居住者と同居し、かつ、その生計費が、専ら当該

      居住者又は非居住者に負担されている家族の居住性は、当該

      居住者又は非居住者の居住性に従うものとする。



(2)法人等(法人、団体、機関その他これらに準ずるものをいい、(3)に

   掲げるものを除く。)

   (1)本邦の法人等の外国にある支店、出張所その他の事務所は、非居住

     として取扱う。

   (2)外国の法人等の本邦にある支店、出張所その他の事務所は、居住者

     として取扱う。

   (3)本邦の在外公館は、居住者として取扱う。

   (4)本邦にある外国政府の公館(使節団を含む。)及び本邦にある国際

     機関は、非居住者として取扱う。

(3)合衆国軍隊等及び国際連合の軍隊等  

   (内容省略)



                                   以上