輸出令別表第一の読み方







  読み方は「輸出貿易管理令の運用について」(輸出注意事項62第11号)

 (以下、「運用通達」という。)の<解釈>等によるが、ここでは、特に

 分かり難い部分品、内臓品等について整理し、また基礎的な部分について

 一部補足した。

                             

1.政省令の項番・号番

(1)政令別表の項の呼び方

   [例]・輸出令 別表第1の9の項(5) 

      ・外為令 別表の9の項(1)

(2)省令番号の付け方

   一般的には、条番→項番→号番→(細目)の順。

   なお、項番の最初の1は記載されない。

   また、XX条の2とXX条とは異なる別個の条番なので注意が必要。

   [例]「輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき

       貨物又は技術を定める省令」(通商産業省令49号)*

        ・第8条第八の二号ロ(一)  ;1項のみにつき項番省略

        ・第20条第1項第二号    ;第2項ありの場合

   *以下、「貨物等省令」という。 



2.中欄に掲げる貨物

(1)輸出令及び貨物等省令の原文は下表のような縦書きになっている。

   この表の上欄には輸出令別表第1の項番、中欄には規制すべき貨物、また

   下欄には規制対象地域が記載されている。





(2)上表の「〜に掲げる貨物」と「〜項の中欄に掲げる貨物」について

   (1)「〜に掲げる貨物」とは、規制対象貨物の種類を指すが、仕様に限定が

     ない。上表では規制対象貨物の種類を(1)〜(5)に示す。

   (2)「〜項の中欄に掲げる貨物」とは、〜項の全ての規制対象貨物であって、

     省令で定める仕様のものに限定される。従って、〜項に該当する貨物を

     指す。 もし、中欄に掲げる貨物の内の対象貨物を一部に限定したい時

     は、「〜項( )の貨物であって、省令で定める仕様のもの」としなけ

     ればならない。    

     

3.他の貨物に内臓されたもの(運用通達1-1(7)(イ)(b),(c))

(1)他の貨物及び内臓された物品を規制対象とするのが原則である。

   しかし、次項(2)の場合はそれが該当品であっても、内臓品単独での許可

   は不要とする。この場合、内臓品は当該貨物に含まれないものとし、他の貨

   物の該非のみ判定すれば良い。

   ※次項にあてはまらない場合は、内臓品単独での許可要否の判定が必要。

(2)当該貨物に組み込まれている内臓品(注)が容易に取り外しできない状態にあ

   り、かつ、その状態において当該貨物の用途以外の用途に使用することがで

   きない場合は、内臓品単独での許可は不要。但し、次項(3)の場合を除く。

   (注)”他の貨物の部分をなしているもの”に限る。(詳細は運用通達による)

(3)上記の内臓品がコンピュータ(輸出令別表第1の8の項)の場合は、(2)

   項の規定は適用しない。即ち、内臓品単独での該非判定を要し(1)項の

   原則による。



4.部分品及び附属品

(1)部分品及び附属品の解釈は、それが掲示される各条毎の<解釈>に従わねば

   ならない。多くの場合、”他の用途に用いるものを除く。”となっている。

   この場合は当該貨物のために特別に設計された部分品を言い、汎用部品を含

   まないことを意味する。

   また、部分品の<解釈>が記載されていない場合は、汎用品を含む全ての

   部分品が対象になる。

(2)法令条文の記述方法によって、部分品の規制範囲が異なるので注意が必要。

   貨物等省令第3条及び第14条における例を以下に示す。

   [例1]第3条:輸出令別表第1の4の項の通商産業省令で定める仕様のも

      のは、次のいずれかに該当するものとする。      

      一ロケット又は500キログラム以上のペイロードを300キロメートル以

       上運搬することができるロケットの製造用の装置若しくは工具(型

       を含む。以下この条において同じ。)、試験装置若しくはこれらの

       部分品

                  (以下省略)

      なお、本条には部分品の<解釈>なし。 

   [例2]第14条:輸出令別表第1の15の項の通商産業省令で定める仕様の

      ものは、次のいずれかに該当するものとする。      

                  (以下省略)

      四デジタル電子計算機又はその部分品であって、次のイ又はロに該当

       するもの

        イデジタル電子計算機であって、・・・・・・ 

        ロデジタル電子計算機の機能を向上するように設計した部分品で

         あって、・・・・

                  (以下省略) 

      八レーダーであって、次のいずれかに該当するもの又はその部分品

        イ目標の波形又は像の特徴から・・・・・・・

                  (以下省略) 

      なお、本条<解釈>において、部分品及び附属品は”他の用途に用い

      るものを除く。”となっている。 

   [説明]      

      @例1の場合は、部分品の解釈がないため、3条第一号で規制される

       ロケット、ロケットの製造装置若しくは工具、ロケットの試験装置

       の部分品は全て規制される。この部分品は汎用品、専用品の如何を

       問わず該当である。

      A例2の四号の場合は、デジタル電子計算機のために特別に設計され

       た部分品であって、かつ、「イ」又は「ロ」に該当しなければ規制

       されない。

      B例2の八号の場合は、「イ」以降に該当するものの専用の部分品は

       それ自体が省令で規制される機能を有していなくても該当として規

       制される。但し、汎用の部分品は本条の対象外。



5.デジタル電子計算機の機能を向上するように設計した部分品

(1)これは貨物等省令7条<解釈>よると次のように記述されている。

   データの処理能力を向上させるために増設するものであって、計算要素を実

   装できるように設計されたものをいう。装置に組み込まれていない状態で出

   荷され、その接続がプログラムで制御される部分品に限り、貨物等省令第7

   条3号ニ又はホが適用される。

   なお、グラフィックアクセレータ限定品、28,000Mtopsを超えないものに特

   別に設計されたもの等の除外規定の詳細は運用通達による。

(2)上記部分品には拡張用のプロセッサーモジュール等がある。

   このモジュールは一般にデジタル電子計算機に搭載され使用される。この場

   合、このモジュールは装置に組み込まれているので(1)項により第7条3

   号ニ又はホは適用されない。そこで、他に機能向上部分品に関する規制項目

   がないから、このモジュール単独での許可は不要となり、デジタル電子計算

   機としての該非のみ判定すれば良いことになる。

(3)機能向上部分品に関する第7条ニ又はホの規定は、計算要素を集合させるこ

   とにより規制値を超えるものを規制している。上記のモジュールを単品出荷

   した場合は、当該貨物が1モジュールであっても、これらを集合することに

   より規制値を超えるものであれば該当になる。

   この場合の規制値は装置に対するものより低いから、同じモジュールでも装

   置に搭載したものは非該当に、単品出荷する場合は該当になることもありう

   るので注意が必要。

                                   以上

[改訂来歴]

  REV1 '01.3.30:1.(2)(枝番)→(細目)に訂正。