関税法等の法令上の期間、期限

 

 下表に関税法等の法令上の期間、期限とそれが適用される場合(主なもの)を纏めた。

但し、これらはしばしば改定されるので、実際に適用の際は必ず最新の法令に準拠のこと。

また、下表の後に国税通則法第10条の「期間の計算及び期限の特例」の要点及びその他

留意点を記載した。

索引  
直ちに
その日
3日
1ヶ月
2ヶ月
3ヶ月
4ヶ月
6ヶ月
1年
2年
3年
5年
7年
10年
不定の期間・期限

期間、期限
左記の期間、期限が適用される場合(主なもの)
直ちに


(1)保税蔵置場にある外国貨物が亡失し、又は滅却されたときは、当該保税蔵置
  場の許可を受けた者から「直ちに」その関税が徴収される。(倉主責任)

(2)保税運送において、外国貨物が指定された運送の期間内に運送先に到着しな
  いときは、運送の承認を受た者から、「直ちに」その関税が徴収される。

(3)保税工場外における保税作業又は保税展示場外における使用の許可に関し、
 
許可の際の指定期間が経過した場合において、その指定された場所にまだ
  外国貨物又はその製品があるときは、(保税工場/展示場の)許可を受けた
  者から「直ちに」その関税が徴収される。

(4)保税展示場の許可の期間の満了後において外国貨物がある場合で、指定され
  た期間内に処置がされないときは、展示場の許可を受けた者から「直ちに」
  その関税が徴収される。

(5)再輸出免税貨物で、1年(原則)を経過しても輸出されないこととなった
  場合、又は規定の用途以外の用途に供した場合は、免除を受けた者から
  「直ちに」その関税が徴収される。
 [索引]

その日
(即日)

(1)輸入の許可後の修正申告により納付すべき関税の納期限
 (その修正申告をした日)。
[索引]

3日

(1)収容の解除を受けた貨物で再収容される場合
 (収容解除の承認日から3日後)。
 [索引]

1ヶ月

(1)輸入の許可前引取り承認に係る納付通知書、輸入許可後の更正通知書又は
  決定通知書等により納付する関税の納期限

 (通知書等が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日)。

(2)保税運送貨物の到着確認済み書類(運送目録)を運送承認税関へ提出する期間
 (到着の確認を受けた日から1月以内)。

(3)包括保税運送貨物の発送及び到着の際の税関による一括確認をする期間
 
(包括運送期間中の各1月分)。

(4)過少申告加算税及び無申告加算税の納期限
 
(賦課決定通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日)。  

(5)指定保税地域にある外国貨物が収容適状となる期間
 
(搬入日から1月を経過する日後)。

(6)審査請求をすることができる期間
 (異議申立てについての決定があったことを知った日の翌日から起算して
    1月以内)。 [索引]

2ヶ月

(1)異議申立てをすることができる期間
 (税関長の処分があったことを知った日の翌日から起算して2月以内)

(2)延滞税の税率が14.6%に加重される期間
 (不足税額の納期限の翌日から2月を経過する日後の期間)。

(3)通関士が欠けた場合の補充期間
 (通関士が欠けることとなった日から2月以内)

(4)指定地域に係る特定災害に起因する申請等の期限の延長
 (特定災害に起因するやむを得ない理由のやんだ日から2月以内)。
[索引]

3ヶ月

(1)納税の申告により納付する関税の納期限の延長期間
 (輸入許可の日又は特定月の末日から3月以内)。

(2)蔵入/移入/総保入・承認申請をすべき場合
 (蔵入/移入/総保入;その搬入日から3月を超えて置こうとする場合,又は
  移入;3月以内に保税作業に使用しようとする場合,総保入;
  3月以内に加工もしくは製造又は展示もしくは使用しようとする場合)。

(3)保税蔵置場のみなし許可期間
 
(保税工場で使用する輸入貨物については、その搬入の日から3月間、保税
  蔵置場の許可を受けているものとみなす)。

(4)蔵入承認、移入承認又は総保入承認を受けないで、保税蔵置場、保税工場又は
 総合保税地域にある貨物が収容適状となる期間

 (搬入後3月を経過したもの)。[索引]

4ヶ月

(1)留置又は収容した貨物を公売・売却するために必要な期間
 (最初に留置又は収容した日から4月を経過する日後することができる)。

(2)輸入割当証明書の有効期間
 (原則として交付の日から4月)。[索引]

6ヶ月

(1)違約品等の再輸出又は廃棄の場合の関税払い戻しに必要な手続き
 (輸入許可の日から6月以内に保税地域に搬入しなければならない)。
[索引]

1年

(1)更正の請求をすることができる期間
  (輸入の許可の日から1年以内、又は輸入許可前引取り承認の日の翌日から
  起算して1年を経過する日と輸入許可の日とのいずれか遅い日までの間)。

(2)包括保税運送の一括承認の対象となる貨物
 (税関長の指定する1年間に発送される貨物)。

(3)特恵原産地証明書の有効期間
 (発給の日から原則として1年未満)。
[索引]

2年
(1)更正(決定に対する更正を除く)の期間制限
 (法定納期限等から2年を経過した日後することができない)。

(2)関税の徴収権の消滅時効の期間
 (原則として法定納期限等から2年間)。

(3)過誤納金等の還付請求権の消滅時効の期間
 
(請求することができる日から2年間)

(4)保税工場、総合保税地域又は保税蔵置場に外国貨物を置くことができる期間
 
(移入承認、総保入承認又は最初の蔵入承認の日から2年間)  

(5)蔵入承認、移入承認又は総保入承認 を受けて保税蔵置場に置かれている貨物
 で収容適状となるもの

 (上記(4)の期間を経過したもの)。
[索引]

3年
(1)通関関係書類の保存期間
 (帳簿閉鎖日又は作成日後3年間)。
[索引]
5年

(1)更正又は決定に対する更正の期間制限
 (法定納期限等から5年を経過した日後することができない)。

(2)上記(1)の決定又は更正に係る関税の徴収権の消滅時効の期間
 (法定納期限等から5年間)。[索引]

7年

(1)関税ほ脱に係る関税の更正又は決定の期間制限
 (法定納期限等から7年を経過した日後することができない)。

(2)上記に係る関税の徴収権の消滅時効の期間
(法定納期限等から7年間)。[索引]

10年
(1)保税蔵置場、保税工場又は総合保税地域の許可期間
 (最高10年間、更新は10年以内)。
[索引]

不定の期間

・期限

(1)船用品の積込みのための期間
 (相当と認められる期間を指定)。

(2)他所蔵置の許可の期間
 (必要な期間を指定)。

(3)みなし指定保税地域、みなし保税蔵置場又はみなし保税総合地域とされる期間
 
(必要な期間を指定)。

(4)保税工場外保税作業又は総合保税地域外保税作業の許可の期間
 
(必要な期間を指定)。  

(5)保税展示場外使用又は総合保税地域外使用の許可の期間
 (必要な期間を指定)。

(6)保税展示場の許可の失効の際に残存している外国貨物に対する搬出等を求める
  期間
 (必要な期間を指定)。

(7)保税展示場の許可の期間
 (博覧会等の会期を勘案して指定)。

(8)保税運送貨物の運送のための期間
 (相当と認められる期間を指定)。

(9)納税の申告(輸入許可の前の修正申告又は更正を含む)により納付すべき
  関税の納期限
 (輸入する日)。

(10)原産地の虚偽表示又は誤認表示がある貨物に対する当該表示の抹消・訂正
  又は積戻しのための期間
 (必要な期間を指定)。[索引]

[備考]

 期間の計算及び期限については、国税通則法第10条の「期間の計算及び期限の特例」を準用する。
その要点及びその他留意点を次に示す。
  1. 期間の初日は算入しない。従って、翌日が起算日になる。
    (例1)
    • 「到着の確認の日から1月以内」とある時は、到着確認の日の翌日から起算して1月を
      経過する日までと同じことになる。

  2. 期間を定めるのに月又は年をもってした時は、暦に従う。

  3. 前号の場合において、月又は年の始めから期間を起算しない時は、その期間は、最後の月又は
    年においてその起算日に応答する日の前日に満了する。但し、最後の月にその応答する日が
    ない時は、その月の末日に満了する。
    (例2)
    • 前記例1において、到着の確認の日が2月21日とすると、起算日は2/22だから、
      満了日は3月21日となる。この場合、起算日から1月を経過する日は3/21である。
      (上記の「月又は年の始めから期間を起算」する場合の初日は前年又は前月の末日
       になることに注意)

  4. 期限が日曜日、国民の休日等に当たる時は、これらの日の翌日をもってその期限とみなす。

  5. 関税等法令上、「1ヶ月」は通知書等配送に要する期間とみなされ、実務上の最小期間を意味
    する。又、「2ヶ月」は実務遂行上は短期間とみなされ、”すみやかに”の意味である。

    以上